自治体業務のアウトソーシングで
効率化を実現!
アウトソーシングのメリットと
事例をご紹介
近年、自治体は業務のアウトソーシングを進め、業務効率化やコア業務への注力などの効果を得ています。実際、自治体のアウトソーシングではどのような業務がアウトソーシングされているのでしょうか。具体的な活用例からメリット、成功のポイント、成功事例まで自治体のアウトソーシングを利用検討する際に知っておきたい情報をご紹介します。
■自治体のアウトソーシングとは?
まずは自治体のアウトソーシングの概要を押さえておきましょう。
●自治体のアウトソーシングとは?
自治体アウトソーシングとは、自治体が行っている業務の一部を外部の委託業者にアウトソーシングする行為もしくはアウトソーシング先の事業者のことを指します。
アウトソーシングとは、職員が担う業務の一部を外部委託することです。自治体や企業が不足している人材や業務リソースを外部の事業者に委託することで、業務効率化やコスト削減、生産性向上などを実現します。
・業務委託との違い
アウトソーシングに似た言葉に、「業務委託」があります。実質、アウトソーシングと業務委託はどちらも自治体などの業務を外部の事業者が代わりに行うことを指します。近年は同じ意味で用いられることが多くなっていますが、厳密にいえば意味合いが異なります。
大きな違いは、委託する業務の意思決定権が委託元にあるか委託先にあるかという点です。アウトソーシング業務の意思決定権が委託先にあるのに対し、業務委託は業務の意思決定権が委託元にあるとされています。
アウトソーシングでは、意思決定の部分まで外部委託先に任せることになるため、ただ業務を委託元に代わって遂行するだけではなく、戦略立案や業務改善などのコンサルティング的な要素を含むことがあります。
●自治体アウトソーシングの具体的な活用例
自治体アウトソーシングの具体的な活用例として、次のものが挙げられます。
・給付金申請受付業務
自治体から住民や民間事業者に対して給付金を支給する際に発生する、申請受付や問い合わせ対応などの一連の受付業務をアウトソーシングします。
・マイナンバーカード申請受付業務
住民が自治体に対してマイナンバーカードを申請したいときに申請先の窓口業務をアウトソーシングします。申請・更新や交付、必要書類の確認、問い合わせ対応のほか、バックオフィス業務として交付事務処理や通知書発送、マイナポイント制度への紐づけなどのサポート業務などの一連の業務が含まれることがあります。
・行政手続きのデジタル化
特定の行政手続きをただ代行するだけではなく、従来のアナログの手続きをデジタル化し、より効率的かつ迅速、正確に実施できるようにするアウトソーシングも進んでいます。自治体内では実現できないテクノロジーや専門知識の活用は、民間事業者にアウトソーシングすることの大きなメリットといえます。
●自治体アウトソーシングが注目される背景
近年、自治体アウトソーシングが特に注目されている背景として、民間委託の拡大を行うという政府の方針が挙げられます。そうした方針が定められた、公共サービスに対する住民ニーズが多様化しており、民間事業者のノウハウや技術が求められているということがあります。
さらに、行政支出の無駄を省き、効率化するためにも、業務効率化を実現できる自治体アウトソーシングの利用は大きな対策といえるのです。
■自治体のアウトソーシングのメリット
自治体がアウトソーシングを利用することで、次のようなメリットが期待できます。
●コスト削減
自治体業務すべてを職員が担う場合、業務量の増加も背景に、職員をより多く採用する必要が出てきます。その場合、人件費がかかりますし、採用後の教育コストも軽視できません。また、既存職員に新たな業務を担わせる場合、リソースの確保が必要になり、時間と工数の確保にもコストがかかります。アウトソーシングすることは、これらのコスト削減につながると考えられています。
●効率向上
人員の採用や、リソースを配分するといっても、人員不足が深刻化する中では容易ではありません。人員不足やスキル不足で業務効率の面で期待ができない場合は、アウトソーシングにより専門性の高いプロに代行してもらうことで、業務効率化につながります。また業務プロセスの見直し・改善やデジタル化、マニュアル作成などを通じて大幅な業務効率化を実現できることもあります。
●専門知識の活用
自治体内で業務に対する専門知識が不足していて外部に専門知識を求める場合には、アウトソーシングは最適です。業務に関するデジタル技術やセキュリティ管理などの知識をフル活用することで、自治体内ではできなかった業務も円滑に実現可能です。
■自治体のアウトソーシングサービス導入のプロセス
自治体のアウトソーシングサービスの導入は、効率的な業務運営とコスト削減を目指すための重要なプロセスです。サービスを導入する際は以下のステップで構成されます。
●現状分析
まず、自治体内部の現状を詳細に分析することが重要です。具体的には、各部門の業務内容、業務の流れ、リソースの配分、現行のコスト構造などを把握します。このために、内部インタビューやアンケート、業務フローの図解、コスト分析などの手法を活用します。現状の課題やボトルネックを明確にすることで、アウトソーシングの必要性とその効果を具体的に示すことができます。
●業務選定と計画立案
次に、アウトソーシングする業務を選定し、計画を立案します。選定基準としては業務の重要度、外部委託の適合性、コスト削減効果、リスク管理の観点などが挙げられます。選定した業務について、具体的なアウトソーシング計画を策定します。この計画には、目標設定、スケジュール、予算、リスク管理策などが含まれます。また、関係者への説明と合意形成も重要なステップです。
●業者選定と契約
業者選定は、アウトソーシングの成功を左右する重要なプロセスです。まず、RFP(提案依頼書)を作成し、複数の業者に対して提案を依頼します。提案内容を評価するための基準を設け、技術力、実績、コスト、サポート体制などを総合的に比較検討します。選定後は、詳細な契約内容を詰めるフェーズに移行します。契約書には、業務範囲、サービスレベル、報酬、リスク管理、機密保持、契約解除条件などを明確に記載します。
●導入と運用
最後に、実際の導入プロセスと運用方法を確立します。導入フェーズでは、業務の引き継ぎ、システムの設定、スタッフのトレーニングなどが行われます。運用開始後は、定期的なモニタリングと評価を実施し、サービスレベルの維持と改善を図ります。問題が発生した場合には、迅速に対応するための連絡体制と解決策を準備しておくことが重要です。定期的な報告会やレビューを通じて、業務の進捗状況や課題を共有し、継続的な改善を図ります。
■自治体のアウトソーシング先の選定のポイント
自治体がアウトソーシングを利用する際には、次のポイントで選定することをおすすめします。
●目標設定
選定前にぜひ実施したいのが、目標設定です。その業務をアウトソーシングすることで、どのような効果を得たいのかということを具体的な数値目標として設定しましょう。目標を設定することで、成果を出しやすくなります。例えば、給付金申請受付業務のアウトソーシングであれば、給付率や問い合わせ対応率などを設定することができます。
●適切なパートナーの選定
業務範囲や実績、セキュリティの徹底度合いなどを確認し、適切なパートナーを選定することをおすすめします。特に実績面や信頼面は自治体業務を任せるときに重要視しなければならない項目です。自治体アウトソーシングの実績が豊富なパートナーを選ぶようにしましょう。
●クリアなコミュニケーションが可能か
アウトソーシングの窓口となる担当者とのコミュニケーションが円滑に進むかどうかは大きな選定基準です。意思疎通が行いやすいかどうかはもちろんのこと、透明性の高いコミュニケーションを行ってくれるかも重要な確認ポイントです。
業務中に受け付けた住民からの声を拾い、収集してレポーティングするなど真摯な対応をしてくれるところであれば安心です。
■自治体のアウトソーシングの成功事例
自治体のアウトソーシングの成功事例を3つご紹介します。
●給付金申請受付業務のアウトソーシング
ある自治体では、コロナ禍を受けた臨時特別給付金の申請受付業務のアウトソーシングを行いました。迅速かつ確実に給付することに加えて、高いセキュリティ環境のもとで申請受付業務を遂行する必要があり、豊富な実績と高いノウハウのある民間事業者へのアウトソーシングを検討しました。
その結果、スピードと正確さを確保できたほか、情報管理や進捗などの情報共有が円滑かつタイムリーに進んだことで、自治体職員は本来の業務へ注力できるようになりました。
●国民保険課・児童家庭課業務のアウトソーシング
ある自治体では、国民保険課と児童家庭課において業務負荷が高まっていることが課題となっていました。職員がやむをえず時間外に対応を行っている状況で、早急に解消する必要がありました。
そこで民間にアウトソーシングを行うことにしました。委託したのは、国民保険関係の業務と、児童手当などの請求書や届出書の入力などの事務処理です。
その結果、住民サービスの質と満足度が向上したことがアンケート結果によってわかりました。
●要介護認定の申請処理業務のアウトソーシング
ある自治体では、要介護認定の申請を担う電話窓口の業務負荷が高く、電話がつながりにくい状況にクレームも生じていました。しかし実態すら把握できていない状況でした。
そこでコールセンターを設置して問い合わせの種類ごとに異なるオペレーターを配置しました。さらにコールセンターシステムを導入して受電状況の可視化を行いながら、状況に合わせて回線数を増やすなどの柔軟な対応を行うことで、応答率を維持できるようになりました。
■まとめ
自治体のアウトソーシングは、近年の環境変化を背景に、重要性が増しています。最適なアウトソーシング先を選定することで安心して本来の業務に注力することができるでしょう。
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2024.07.25