イミ消費とは?
Z世代の心を動かす“共感購買”の形
を徹底解説!
今後の主要な消費の担い手となるZ世代は、社会的・文化的な価値を重視する「イミ消費」に傾倒しているといわれています。そして近年はイミ消費がさらに多様化・細分化しています。SNSを通じて社会問題に触れる機会が多く、サステナビリティへの意識が高いことなどがその背景にあると考えられています。
今回は、イミ消費の意味や6つの消費傾向の特徴、Z世代の心を動かすイミ消費を促すポイントや施策例を解説します。イミ消費マーケティングを実施することをご検討の方は、ぜひ参考にしてください 。
<目次>
1.イミ消費とは?
2.イミ消費に含まれる6つの消費傾向
3.Z世代の心を動かすイミ消費を促すポイントとは?
4.Z世代の心を動かすイミ消費を促す施策例
5.まとめ
1.イミ消費とは?

イミ消費とは、商品やサービスが持つ社会的な価値や文化的な価値を重視する消費行動といわれています。2018年頃にホットペッパーグルメ外食総研エヴァンジェリストの竹田クニ氏によって提唱され、現在ではより広い意味で使われています。
モノ消費・コト消費との違いと変遷
消費行動の変遷としてよく取り上げられる、モノ消費・コト消費について押さえておきましょう 。
消費行動 |
注目され始めた時期 |
重視する価値 |
モノ消費 |
1970~1980年代 |
「モノの所有」 |
コト消費 | 1990~2010年代 | 「体験価値」 |
イミ消費 |
2000年代~ | 「意味・自分自身の在り方」 |
モノ消費
1970年~1980年代に浸透。「モノの所有」に価値を置いた消費で、高度成長期が生んだ白物家電や車などの新しいモノを手に入れることそのものが価値でした。やがてほとんどのモノを手にした人々は、そのブランドやデザインにこだわるシンボル的な消費に変化していきました。
コト消費
1990~2010年代に浸透したコト消費は、これまで傾倒していた「モノ」よりも、その消費から得られる「体験価値」のほうに重きが置かれるようになりました。「所有」よりも「体験」による自身の経験や満足に価値を見出すようになったのです。
イミ消費
2000年代に入ると、イミ消費が台頭してきます。「コト消費」は引き継がれているものの、より社会的な意義が問われるようになりました。そのきっかけは、2011年の東日本大震災が挙げられます。その後も2015年以降のSDGsの潮流、2019年~2020年の新型コロナによるパンデミックなど、社会貢献や環境保全への興味関心が高まったことも背景にあります。
そして近年は、イミ消費が多様化しており、細分化された消費傾向が生まれているといわれています。
2.イミ消費に含まれる6つの消費傾向

イミ消費という大きな潮流の中で、消費者の価値観はさらに多様化・細分化しています。ここでは、その代表的な6つの消費傾向をご紹介します。
トキ消費
トキ消費とは、「その時、その場所、その瞬間でしか体験できない価値」を重視する消費です。例えば、音楽ライブやイベントなどのリアルな場では、複数回開催されるものであっても、一度切りの、非再現性の高い体験です。そこに参加すること自体や感情の盛り上がりに価値を置きます。
エモ消費
エモ消費は、「エモい」というZ世代によく使われている言葉からきています。「エモ」とは「エモーショナル=感情」を指し、感情が動かされることを重視するのがエモ消費です。「楽しい」「ワクワク」といったポジティブな感情に突き動かされ、購入後も精神的満足度の高い状態を得ようとします。
チル消費
チルとは「くつろぐ」「リラックスする」などの意味があり、チル消費はリラックスグッズの購入や、リラックスできる場所や癒される場所へ出かけることによる消費です。ストレスが強く、デジタルに囲まれた日常を抜け出し、リラックスすることを価値とします。
推し消費
推しに対する応援活動「推し活」にまつわる消費です。ライブ参戦、グッズ購入、ファンクラブへの加入、推しグッズ作りなどが挙げられます。何かを応援することによる充足感などを価値とします。
エシカル消費
エシカルとは「倫理的な」「道徳的な」といった意味があり、エシカル消費は人や社会、地域、環境などに配慮した消費行動です。自身の消費を通じて社会貢献や環境保全につながることが価値となります。
シェア消費
いわゆるシェアリングエコノミーに基づく消費です。モバイルバッテリー、傘、電動キックボードなどを他者と共有して利用します。モノを所有して利用するのではなく、シェアすることで、必要な時に必要な分だけ利用する効率的な消費です。
3.Z世代の心を動かすイミ消費を促すポイントとは?

Z世代にマーケティングや販促を行う際には、イミ消費を促すことが重要になってきます。ここではそのポイントをご紹介します。
ニーズだけでなくインサイトを発見する
マーケティングを実施する際に欠かせないのがニーズ分析ですが、他社との差別化やよりZ世代への訴求を強めるためには、インサイト発見によるアプローチが重要です。
インサイトとは消費者自身も気づいていない無意識の心理を指します。消費者自身が自覚している「顕在ニーズ」や、無意識下にある「潜在ニーズ」を刺激し、購買行動の引き金となるため重要視されています。
手法から考えずにインサイトを起点にする
施策や商品開発を行う際には手法から考えるのではなく、常にインサイトを起点にすることがポイントです。ターゲットとなるZ世代に「イミ」を見出してもらうことが、最終的なゴールだからです。
例えば単に「SNSを使えば良いのだ」とは考えず、「SNSで誰が何を発信するか?」「どうすれば共感し、イミを感じてもらえるか?」というところから検討する必要があります。
Z世代の他の特徴も押さえる
ターゲットとなるZ世代のインサイトの発見はインタビューなどで実施しますが、ソーシャルネイティブであることや、社会課題への関心が高いこと、消費を通じて自己表現をすることなど、Z世代のあらゆる特徴も押さえながら施策を決定することもポイントです。
4.Z世代の心を動かすイミ消費を促す施策例

続いて、Z世代の心を動かすイミ消費を促す施策の具体例をご紹介します。
社会貢献できる環境・地域に配慮した施策
エシカル消費を促す、社会貢献性のあるマーケティング施策や商品開発を行います。
例えば環境配慮の素材を利用したアパレル製品の販売や、購入すれば被災地支援につながる仕組み、地方自治体の財政難の緩和に貢献するふるさと納税などが挙げられます。
ポジティブな感情を生む体験提供
エモ消費につながる、ワクワク・なつかしいなどのポジティブな感情を生み出す体験を伴うマーケティングや商品展開です。
例えばスマホカメラやデジタルカメラが当たり前の中、あえてフィルムカメラを利用・購入できる機会を提供したり、古着のリメイクによりこの世で唯一のファッションを着る機会を提供したりすることが挙げられます。
のんびりとリラックスできる体験提供
チル消費として、普段の情報やデジタルに囲まれたストレスフルな日常から離れ、のんびりとリラックスする体験を提供します。
温泉にのんびり浸かったり、ホテルの食事をゆっくり楽しんだりする「チル旅」、リラックスできるインテリアを提供する「チル部屋」作りのサポート、サウナによる発汗とひとときのくつろぎによるリラックス体験などの提供が挙げられます。
自分のスキルや時間、スペースをシェアできるサービス
シェア消費として、ユーザーが自分のスキルやモノ、時間、スペースなどをシェアできるサービスが挙げられます。これらはサービスを利用するだけでなく、自らが提供者となってスキルやスペースをシェアする体験も創出します。
5.まとめ
イミ消費は、モノ消費やコト消費に続く新たな消費行動のトレンドとして、今注目されている消費です。嗜好やスタイルが細分化されている中で、いかにターゲットに響かせるかがポイントになります。そのために重要になるのが、インサイト分析とインサイト起点の施策・商品企画です。
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2025.10.09