エクスペリエンスデザインサービス コラム

Z世代を惹きつけるのに必要なインサイト発見とは?データから読み解く消費行動

長期的に支持されるブランドを構築するには、今後の主要顧客となるZ世代を深く理解したマーケティングが重要視されています。Z世代を惹きつけるカギとなるのが、Z世代の「インサイト」を発見することです。
今回は、Z世代のインサイト発見の必要性からZ世代の主要なインサイト、Z世代のインサイトを発見する手法、課題と解決策までご紹介します 。


<目次>
1.Z世代のインサイト発見の必要性
2.Z世代の主要なインサイト
3.Z世代のインサイトを発見する手法
4.Z世代のインサイト発見・分析の課題
5.まとめ


1.Z世代のインサイト発見の必要性

Z世代に対して何らかの施策や商品・サービス開発を実施するにあたって、「インサイト」を発見することが必要不可欠です。

インサイトとは、端的にいえば、消費活動や購買意欲を促す引き金となるものです。本人が自覚している「顕在ニーズ」や、気づいていないものの確実に欲求として持っている「潜在ニーズ」をかきたてるスイッチのような役目を果たします。もちろん、インサイトは本人も自覚していません。

長期的に支持されるブランドを構築するには、今後の主要顧客となるZ世代を深く理解したマーケティングを実施する必要があります。しかし、Z世代はデジタル・ソーシャルネイティブであり、この変化の激しい時代において従来とは異なる価値観や行動特性を持っています。

例えば、自身の行動に明確な理由や意味、共感要素などが必要であり、消費についても「無駄」を避ける傾向があるといわれています。

もはや従来のマーケティングでは効果が出ないとされる中、Z世代の複雑かつ独特の価値観や、Z世代にとっての意味を発見することが求められているのです。

そのために、インサイトをできるだけ正確に把握する必要があるのです。


2.Z世代の主要なインサイト

Z世代の主要なインサイトとして次の点が挙げられます。

つながりを求める

物心ついたときからSNSに親しんできたソーシャルネイティブであるZ世代は、SNSはすでに生活の一部であり、誰かと「つながる」のは当たり前に感じています。一方的な情報受信よりも「双方向」のコミュニケーションを求めています。

価値観を重視する

多様な人々が社会で共生する現代において、人権やジェンダー問題などの平等や個の尊重といった問題に関心が高いといわれています。自分自身の価値観はもちろん、相手や企業、ブランドに対しても「どのような価値観を持っているか?」という視点を持っています。例えば、環境に配慮した素材を使用するアパレルブランドや、売上の一部を社会貢献活動に寄付する企業を積極的に支持するのもその一例です。単に商品が良いだけでなく、その背景にあるストーリーや企業の姿勢に共感できるかを重視します。

情報の見極めが得意

日々、膨大な情報が飛び込んでくる中、Z世代は必要な情報のみ厳選する習慣が根付いています。情報の見極め力に優れているといえるでしょう。

タイパ・効率を重視

あふれる情報の中から、自分にとって意味のあるものを取捨選択していく日々において、自分の価値観とは異なる情報に時間をとられることは大きな無駄であり、損失に思えてしまいます。その分、一定時間に得られる効果や満足度の指標である「タイムパフォーマンス(タイパ)」を重視する傾向があります。

モノ消費より、コト消費やイミ消費

消費スタイルのトレンドとして、商品そのものの機能や使い勝手などの価値よりも、そこから得られる体験や自分の価値観を表現できるかといった視点で消費する「コト消費」や「イミ消費」を重視する傾向にあります。


3.Z世代のインサイトを発見する手法

Z世代のインサイトを発見する手法には、主に次のものがあります。

デプスインタビュー

インタビュー対象者と1対1で行う形式で、一般的に1時間から1時間半ほどの長い時間をかけて意見を聞く定性調査の一種です。デプスとは英語の「Depth=深さ」を意味しており、対象者と深く対話を行うのが特徴です。

Z世代のインサイト発見に最も適している手法と考えられています。その理由として、こちらの知りたい情報を直接質問を通じて聞くことができる点が一つに挙げられます。またインサイト深掘りには、「N1分析」が必要不可欠です。N1とは、特定の1人の顧客を指し、深い理解のために、観察やヒアリングを行う手法です。定量調査だけでは見えないインサイトを発見するには、徹底的に1人を深掘りして理解することが成功のカギとなります。

グループセッション

グループセッションはグループインタビューとも呼ばれる手法で、4~8人の対象者に2時間ほどかけてヒアリングする手法です。ワークショップや勉強会、企業との共創の場などの名目で行われることもあります。いずれにしてもZ世代の率直な声を聞けるため、インサイトを探る上で貴重なデータとなります。

ソーシャルリスニング

Z世代のインサイトは、上記のインタビューが重要な結果となりますが、それと並行してSNS上の行動や声を分析するソーシャルリスニングも行われます。インタビューよりも率直な表現が多く、ストレートな心情を得られるメリットがあります。


4.Z世代のインサイト発見・分析の課題

Z世代のインサイト発見・分析にまつわるよくある課題をご紹介します。

Z世代に寄り添う意識の必要性

Z世代のインサイトを探る際に、固定概念やバイアスにとらわれていると、正確な把握が難しくなります。また、Z世代のインサイトが得られたとしても、多数のインサイトの中から何を選び取り、どう活かしていくかは施策を実施する側にゆだねられています。

これらの課題に対応するには、極力、固定概念を取り払うようにしてZ世代に寄り添う意識を持ち、常にZ世代の声を聞く姿勢が必要です。

調査手法によってはインサイトが得られにくいこともある

インサイトを探っているつもりが、アンケートやインタビューを通じて顕在ニーズしか得られないこともあります。またインタビューを行っても、その当事者が建前で発言する可能性もあります。このようなインサイトが得られにくいという課題は常につきまといます。

「N1理解」の難しさ

N1理解は非常に重要であることは多くのマーケターが認識している一方で、実際には難しいという課題があります。またN1分析結果をどのように活かしていけばいいかも重要な課題です。

これらの課題を解決するには、専門家による調査や分析の支援を受けるのもおすすめです。

TOPPANでは、ミレニアルズ・Z世代向けマーケティングソリューションとして、ミレニアルズ・Z世代の価値観分析をはじめとしたサービスをご提供しています。

Z世代に寄り添いながら、独自のインサイト分析、N1インタビューなどを通じて貴社のビジネスをご支援します。


5.まとめ

今後の顧客の中心的存在となっていくZ世代のインサイトを発見することの重要性はますます高まっていくものと思われます。そのためZ世代のインサイトを発見する手法の最適解を見つけつつ、分析を効率的に進めていく必要があるでしょう。その際に直面する課題については、TOPPANにご相談ください。

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2025.10.09