エクスペリエンスデザインサービス コラム

Z世代マーケティングの成功事例と基本戦略
│他世代との比較から解説

Z世代を、日頃からマーケティングのターゲットとして重要視しているケースも多いのではないでしょうか。しかし、この世代を一概にひとくくりに定義することは困難であるほど、さまざまな特徴や考え方、消費傾向を持っています。
今回は、Z世代向けのマーケティングが求められる背景や基本戦略、具体的な手法について解説します。


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<目次>
1.Z世代マーケティングとは?
2.他世代(X・Y世代)との比較
3.Z世代マーケティングが求められる背景
4.Z世代マーケティングの基本戦略とは?
5.Z世代の具体的なターゲティング
6.Z世代マーケティングの具体的な手法
7.Z世代マーケティングの成功事例
8.【最新】AIネイティブが選ぶ、新時代の購買導線「AIファースト相談」
9.まとめ


1.Z世代マーケティングとは?

Z世代マーケティングとは、企業などがZ世代をターゲットに実施するマーケティング全般を指します。従来のマーケティング手法とは異なるといわれます。果たして、どのような理由でどのように異なるのでしょうか。まずはZ世代の傾向から確認していきましょう。

Z世代とは?

Z世代とは、1990年代中盤から2010年代前半に生まれた世代の総称です。年代の区切りは厳密に決まっているわけではなく、諸説あります。多くの共通認識として、この世代は、物心ついた頃からスマートフォンなどのデジタルデバイスとSNSに親しむ「デジタルネイティブ」であり、同時に「ソーシャルネイティブ」であるといわれています。

今後、本格的に社会活動および消費活動の中心的存在となることから、企業のマーケティング対象として年々、重要度を増しています。

Z世代向けマーケティングの特徴

後ほど詳しく解説しますが、Z世代向けマーケティングの特徴として、Z世代が従来の世代と異なった環境、つまりデジタルとSNSが当たり前にある中で生まれ育った点が挙げられます。その意味で、デジタルマーケティングとSNS活用は大前提となり、Z世代に対して多大な影響力を持つインフルエンサーの活用に期待がかかっています。
つまり、企業などは従来のマーケティング手法から脱し、新たなアプローチ方法で実施していく必要があるといえます。


2.他世代(X・Y世代)との比較

Z世代マーケティングを成功させるためには、若年層である彼らがこれまでの他の世代とどのように異なるかを理解することが大切です。
「彼らは何を求めるのか」と考える際、ここではX世代(1960〜1970年代生まれ)やY世代(ミレニアル世代:1980〜1990年代前半生まれ)との比較を通じて、学生や若者を多く含むこの層が持つ独自の行動原理を浮き彫りにします。

デジタルとの関わり:ツールから身体の一部へ

X世代は成人してからインターネットが普及したデジタルイミグラント、Y世代は成長過程でITに触れたデジタルネイティブと呼ばれます。対してZ世代は、生まれた時からスマートフォンやSNSが当たり前に存在するソーシャルネイティブです。
日常的な利用ツールも異なり、無料のアプリをダウンロードして情報を得るなど、その行動は常に進化しています。X・Y世代が検索エンジンでのテキスト検索を多用するのに対し、Z世代はInstagramやTikTok、YouTubeなどの動画プラットフォームを駆使し、日々配信される内容から商品のリアルな魅力を直感的に確認する人が増加しているのが特徴です。

消費価値観の変遷:スペックからイミへのシフト

各世代の消費価値観は、所有を重視するモノ消費から、体験を求めるコト消費へと変化してきました。 Z世代においては、社会的な課題に関心を持つイミ消費や、その瞬間の共有を尊ぶトキ消費へとさらに深化し、多様な購買行動へと拡大しています。
事業を展開する企業は、単に製品のスペックを紹介するだけでなく、自社のパーパスをナラティブとして伝えることで、彼らのコミュニティに属する消費者に共感してもらうコミュニケーション設計を行っていくことが何より重要です。

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信頼の定義:公式情報からUGCへ

デジタルネイティブとして膨大な情報に晒されて育ってきた彼らは、売り込み色の強い従来の広告対応に対して非常にシビアな目を持っています。 彼らにとっての信頼は、企業が一方的に発信する言葉以上に、インフルエンサーや一般の消費者によるリアルな口コミの中にあります。企業が行うアンケート調査などを参考にするだけでなく、自分事として捉えられる情報の透明性と信頼性に最も注目する傾向が強いといえます。

キャリア観の相違と「タイパ」への渇望

X・Y世代と比較して、Z世代は時間対効果を非常に重視します。これは消費行動の上でも顕著ですが、Z世代特有の採用面や仕事に対する向き合い方にも表れています。 自分自身の成長や良好なコミュニケーションが担保された環境を求め、効率的に目的を達成したいという欲求が強いため、サービスの利用導線から社内イベントに合わせた働き方に至るまで、ストレスのない経験を提供することが、組織やブランドが選ばれるためのポイントとなります。


3.Z世代マーケティングが求められる背景

では、なぜ今、Z世代マーケティングを行うことが求められているのでしょうか。その主な背景を見ていきましょう。

今後の消費行動の中心となる世代

国立社会保障・人口問題研究所によると、日本において、Z世代以降に生まれた世代が2030年には総人口の約3割に達し、2050年には約半数を占めるようになると推計されています。

Z世代とその後に続くα世代は今後の社会・消費活動の中心になっていきます。そのため、今のうちからZ世代を中心にテストマーケティングを重ね、ある程度成功法則を見出していく必要があるでしょう。

従来のマーケティング手法が通用しなくなる恐れ

Z世代以降はそれより前の世代とは異なる新しい価値観を持っているといわれています。そのため、今後、従来の価値観で立案したマーケティング戦略では、通用しなくなってくるリスクがあります。したがって、新たなマーケティング手法にシフトしていくという意識と体制づくりが早急に求められています。その意味で、あえてZ世代マーケティングという言葉が叫ばれていると考えられます。


4.Z世代マーケティングの基本戦略とは?

Z世代マーケティングの基本戦略をご紹介します。

SNSを全面的に活用する

先述の通り、Z世代はソーシャルネイティブであり、常日頃から情報収集の手段としてSNSには慣れ親しんでいます。その意味で、マーケティング戦略は公式サイトなどのデジタル広告やOOH広告(屋外広告・交通広告)を活用しつつも、SNSを中心にとらえることが基本といえるでしょう。

信頼性・透明性を担保する

Z世代は、経済的に不況の最中や東日本大震災などの不安定な時代に育ってきたこともあり、保守的で現実的な経済志向があるといわれています。またSNSで培った共感性の高さもあり、信頼性や透明性を担保することが重要です。

企業・ブランドの価値観と使命を前面に押し出す

多様性を重んじる傾向や、その商品を購入する「意味」を見出す「イミ消費」を好む傾向があるZ世代に対しては、積極的に企業・ブランドの価値観や使命を押し出すことがポイントといえます。

共感・親近感を重視

共感性の高さから、より深い共感を促すコミュニケーションもZ世代には向いているといえます。より親近感のわく、ユーザーの生活に密着したストーリーでコミュニケーションを作り出すことが有効といえるでしょう。

Z世代のトレンドを押さえる

Z世代ならSNSで発信すれば誰もが興味を持つわけではありません。トレンドの波というものがあり、Z世代もそれに基づいて情報収集するものです。トレンドを押さえるための手段を検討するのもおすすめです。

社会問題や環境問題への配慮

インターネットが定着しており、グローバルな視野を持つZ世代は社会問題や環境問題が身近に感じられる側面があるため、企業がSDGs(※1)などを意識して、社会問題や環境問題への配慮を常日頃から実践することが必要といえます。

※1 SDGs:「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、貧困や不平等、環境破壊などのさまざまな問題を解決し、持続可能でより良い社会の実現を目指す世界共通の目標。

タイパの良さや効率性を持たせる

Z世代の周囲には、常に膨大な情報やコンテンツがあふれており、すべてに触れていると時間を無駄にしてしまいます。そこで自分にとって本当に有用で必要な情報に短時間でたどり着き、目的を効率よく達成できる「タイパ(タイムパフォーマンス)」が求められています。コンテンツ提供やコミュニケーション面においてもタイパを意識することが重要です。


5.Z世代の具体的なターゲティング

Z世代マーケティングにおいて、学生や若年層といった従来の年齢や性別などの属性だけでターゲットの層を括る手法はもはや通用しにくくなり、マーケティングの常識は大きく変化しています。
ここでは、多様な価値観を持ち複雑な行動様式を見せる若者に対し、実務において成功率を高めるための具体的な視点を解説します。
「どのようなアプローチが効果的か」と考える際、彼らの行動を深く理解することが大切です。

「界隈」を捉える:興味関心起点のセグメンテーション

Z世代はひとくくりに定義することが困難なほど、多様な興味・関心を持っています。
彼らはSNS上で、趣味や価値観を共有するコミュニティ(いわゆる「界隈」)を形成し、その中で濃密なコミュニケーションを行っています。 そのため、ターゲティングにおいては、属性データ以上に「何に熱狂しているか」という軸の特定が重要です。自社の魅力を伝えるために、ブランドと親和性の高い界隈を見つけ出し、アンケート調査などを参考にしながらその文脈に合わせた内容を届けることが、共感を生み、ターゲットを拡大する第一歩となります。

「信頼」をハブにする:インフルエンサーとUGCの連動

デジタルネイティブとして育ち、広告に慣れ親しんでいる彼らは、企業からの売り込みに対して非常に慎重です。彼らが重視するのは、情報の透明性と信頼性です。 企業が一方的に発信するのではなく、彼らが信頼を寄せるインフルエンサーや、一般の消費者によるリアルな口コミを介したアプローチが重要です。InstagramやTikTok、YouTubeなどで日々配信される、信頼できる第三者の言葉を通じてブランドの価値を自分事として認識してもらう情報の流れを作ることで、彼らの注目を集める人が増加し、ターゲットへの到達精度を高めます。

「タイパ」を意識した導線設計とオムニチャネル

膨大な情報に囲まれて生活するZ世代は、自分にとって有用な情報に短時間でたどり着きたいというタイムパフォーマンスを強く求める傾向があります。 興味を持った瞬間にストレスなく無料アプリをダウンロードしたりサービスを利用したりできるよう、SNSや公式サイト、リアルイベント、他の店舗などをシームレスにつなぐ対応が欠かせません。オンラインとオフラインの境界を意識させないスムーズな経験を提供し、多様なチャネルを展開することでユーザーの課題を解決することが、彼らの購買意欲を維持し、最終的なコンバージョンや将来の採用活動につなげるための鍵となります。


6.Z世代マーケティングの具体的な手法

Z世代マーケティングの手法を示します。

インフルエンサーの活用

SNSへの親しみ、共感性の高さ、自身の価値観や信念に基づいて行動する特性から、インフルエンサーの生の声はZ世代に大きな影響を及ぼします。似ている情報でも、企業発信よりもインフルエンサー発信のほうが響く傾向があるでしょう。

シェアしたくなるコンテンツ

多くのSNSは共感したら「シェア」する機能も備えているため、Z世代には「シェアしたい」意識も高いといわれています。そのため、Z世代に刺さるだけではなく「シェアして一緒に楽しみたい」と思わせるユーザー参加型キャンペーンなどが有効といえるでしょう。

「イミ消費」のための「意味」の提供

物質的な所有欲を満たす「モノ消費」から、体験に価値を置く「コト消費」、そのときにしか体験できない価値を重視する「トキ消費」を経て、近年は「イミ消費」がZ世代の間でトレンドとなっています。イミ消費とは、例えば、大震災の被災地支援のために商品を購入するなど、その消費活動を通じて「意味」が得られる消費活動を行うことです。マーケティング施策としては、何らかの「意味」を提供する仕掛けを検討するのもおすすめです。

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チャネルの使い分け・オムニチャネル

顧客接点の多様化が進む中、SNSのほか、公式サイトやECサイト、リアル店舗、OOH広告といったさまざまなチャネルを使い分け、オムニチャネル(※2)化を図り、シームレスなコミュニケーションを設計するのもおすすめです。SNSキャンペーンを電車広告でアピールしたり、リアル店舗のセールと連動させたりすることで多様な入口によるZ世代とのコミュニケーションを可能にします。

※2 オムニチャネル:顧客接点となる複数のチャネルを統合し、連携させることで販売を促進するマーケティング手法。


7.Z世代マーケティングの成功事例

Z世代の特徴と傾向をうまくとらえることで、成功したマーケティング事例を3つご紹介します。

メタバース空間の提供と店舗送客プロモーション

総合小売イオンリテール様では、Z世代向けの新たな店舗送客の手段を模索する中、メタバース空間を活用したプロモーションを行いました。

メタバースにおいては、夏祭り会場での巨大射的ゲームや、リアル店舗を模したバーチャル食品売り場での買い物競争ゲームなどを提供し、純粋にコンテンツを楽しめるようにしました。さらにメタバース内で見つけた合言葉をメモしておき、リアル店舗に出かけた際に、掲出されているポスターのコードを読み取ってアクセスすると、Z世代に人気のVTuber(バーチャルYouTuber)の限定描き下ろし壁紙をGETできる仕組みにし、これまでになかった層の店舗送客を実現しました。
TOPPANでは、イオンリテール様のメタバース空間を活用したプロモーションの全体設計から施策実行、運用・効果測定、改善といった一連のPDCA運用を伴走支援しています。

リリックビデオで技術職の認知度向上

ある専門技術者の認知向上に取り組む団体は、入職を促進するために、Z世代に親しまれている「リリックビデオ」と呼ばれる、楽曲の歌詞を表示するミュージックビデオの形態でオリジナル動画を発信しました。各地域にある団体の拠点ごとに技術者や風景が実際に撮影され、楽曲はAI(人工知能)が作ったものをベースとして制作されました。

歌詞には、仕事のやりがいやプライドなどのメッセージを込めることで、職種の認知度向上を促進するだけでなく、より心に響くコンテンツにしています。

UGCコンテンツの投稿促進

あるECサイトは、インフルエンサーを活用し、インフルエンサーが割引セールで購入した商品レビューなどのプロモーション動画を発信することで、PR色を薄める施策を行いました。さらに、それを見た一般ユーザーたちが「インフルエンサーが購入していた商品○選」などのUGC(※3)コンテンツをぞくぞくと投稿したことも、マーケティング戦略の一環となっています。

※3 UGC:「User Generated Content」の略称で、一般ユーザーによって作られたコンテンツのこと。

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8.【最新】AIネイティブが選ぶ、新時代の購買導線「AIファースト相談」

デジタルネイティブやソーシャルネイティブと呼ばれるZ世代は、今や生成AIなどの最新技術を抵抗なく使いこなす「AIネイティブ」へと進化を遂げています。これに伴い、彼らの購買行動における情報収集のプロセスも、検索エンジンやSNS検索から、AIに「相談する」という新たなフェーズへと移行し始めています。
ここでは、新時代の購買導線「AIファースト相談」の実態と、なぜこのような変化が起きているのかを理解することが大切であると考える背景を解説します。

「検索」から「相談」へ:能動的な情報選別の終焉

これまでのZ世代の行動様式は、InstagramやTikTok、YouTubeなどで日々配信される内容や口コミを参考にし、トレンドやリアルな情報を自ら情報収集を行って、コミュニティ内で共有するスタイルが主流でした。しかし、情報が溢れる現在、AIネイティブたちは自分で情報を比較検討するプロセスさえも省略し始めています。彼らが求めるのは、単なる情報の羅列ではなく、自分のニーズや関心に対する唯一の正解や提案です。無料のAIアプリをダウンロードして友人のような距離感で問いかけ、リコメンドされた商品をそのまま購入の候補として利用する人が増加しています。

究極の「タイパ」追求:結論への最短ルート

この変化の背景にあるのは、Z世代特有の時間対効果(タイパ)への強烈な渇望です。
膨大なコンテンツの中から自分にとって有用な情報を選別することは、彼らにとって時間の浪費に他なりません。AIへの相談は、複数のレビューサイトや動画を回遊する手間を省き、瞬時に要約された結論にたどり着けるため、彼らが最も重視する効率性と合理性に合致した手法といえます。

企業に求められる「AI時代のSEO」と信頼性

「AIファースト相談」が定着しつつある今、事業を展開する企業は、従来のマーケティング施策以上に、AIから選ばれるための戦略を迫られています。AIが参照するデータベースの上において、自社のブランドやサービスの魅力が正確に認識され、それを消費者に伝えることが重要になります。
また、Z世代は情報の透明性に注目するため、アンケート調査などで示されるAIが提示する根拠としての信頼性や、社会課題に対する企業としての真摯な対応が一層問われることになります。

テクノロジーとの親和性を活かした顧客体験設計

Z世代は、AIが生成したコンテンツに対しても違和感を抱かず、むしろその価値を柔軟に受容します。この親和性に合わせて、購買前の相談からリアルなイベントでの体験、さらには購入後のサポートに至るまで、AIを活用したシームレスな経験を提供し、共感してもらうことが、ターゲットを拡大し、将来の採用活動にも繋がる新時代のロイヤルティ形成における鍵となるでしょう。


9.まとめ

ソーシャルネイティブといわれるZ世代向けのマーケティングは、SNSを全面的に活用することや、共感性や信頼性を担保しつつ、価値観や使命を誠実に発信していくことが重要といわれています。またタイパや効率的な情報提供とコミュニケーションが、多くのZ世代との接点を生むでしょう。

Z世代へのアプローチには、前提となる傾向分析が欠かせません。Z世代マーケティングでお困りの方は、TOPPANのミレニアルズ・Z世代向け顧客起点のコミュニケーションデザインサービスにご相談ください。詳細は、サービスページをご覧いただくか、お気軽にお問い合わせください。

2026.03.25