データテクノロジー&プラットフォームサービス コラム

CDPとは?
基礎知識からメリット、事例、
導入ステップまで徹底解説!

マーケティング施策を実行する際に欠かせない顧客データ。その顧客データを収集・統合・一元管理する際に用いる「CDP(カスタマーデータプラットフォーム)」。
顧客の属性や行動などのデータを収集・集約・蓄積し、利活用するためのシステム基盤であり「顧客一人ひとりを理解し、最適なコミュニケーションを行うためのプラットフォーム」です。
今回は、CDPとは何か、について応える基礎知識からCDP導入経験者の調査結果、活用事例、課題まで、分かりやすく解説します。


<目次>
1.CDPとは
2.CDPが必要とされる背景
3.CDPとDMPの違い
4.CDPとMA、CRMの違い
5.CDPのメリット
6.CDP活用事例
7.CDPを効果的に活用するためのETLツールの重要性
8.CDPの導入の具体的なステップや流れ
9.CDP導入経験者1,030人に聞く!検討・導入・運用の「理想」と「現実」
10.自社に最適なCDPツールの比較と選び方
11.日本企業のデータ利活用の課題と解決策とは?
12.顧客軸のデータ統合で“ビジネスの成功”をサポート  CDP/DMP構築・運用支援サービス
13.CDPを構築し、すべての顧客体験をIDでつなぐ  データテクノロジー&プラットフォームサービス


1.CDPとは

CDPとは、「Customer Data Platform(カスタマー データ プラットフォーム)」の略称。日本語で言えば「顧客情報基盤」となります。

■扱うデータ
主に1st partyデータを集積+人単位の情報管理に特化
プライベートDMPよりもオンライン・オフライン問わずより多くのデータソースを持つ

■特徴
広告配信にとどまらず、顧客との良好な関係を築くために必要な、
さまざまなマーケティングツール(MA・BIなど)との連携に長けている

■メリット
社内で一元化したデータと外部データを組み合わせることで
より成功確度の高い広告施策やマーケティング活動、分析/可視化を行うことが可能


CDPに格納される主なデータは下記です。
・Webサイトやアプリ・デジタルアシスタントなどの媒体を通して実行されたWeb行動履歴
・eコマースやPOSシステムなどで取得された顧客の購買データ
・氏名や生年月日、住所、結婚歴、子どもの有無などの顧客データ

■CDPの目的
CDPの大きな目的は、顧客体験の向上とマーケティングの効果を最大化することです。そのために、企業が顧客に関するデータを一元的に収集、統合、管理し、それを基にした洞察を得ることが必要になります。

顧客との接点が多様化した現代のビジネス環境において、オンラインとオフラインの両方で多くのデータが生成されます。ウェブサイトの行動、購買履歴、ソーシャルメディアのインタラクション、カスタマーサポートの問い合わせなどが含まれ、このようなデータを統合することで、個々の顧客の全体像を描きやすくする狙いがあります。



2.CDPが必要とされる背景

CDPが必要とされる背景には、近年の顧客データの重要性と複雑性の増大があります。デジタル化が進む中、企業は多種多様なチャネルを通じて顧客と接点を持つようになりました。これにより、ウェブサイト、SNS、メール、店舗などから膨大なデータが生成されます。しかし、これらのデータはしばしばサイロ化され、統合的な顧客理解を阻む要因となっています。

このような状況に対して、CDPを活用し、異なるソースからデータを収集し、一元的に統合・管理することで、企業は個々の顧客に対してパーソナライズされたマーケティングやサービスを提供できるようにする狙いがあります。

また、プライバシー規制の強化に伴い、データ管理とコンプライアンスの重要性が増しており、CDPはこれらの課題にも対応するための有効なソリューションとして注目されています。


3.CDPとDMPの違い

顧客管理データのプラットフォームという点で、CDPと共通しているものとしてDMPがあります。

CDPとDMPは全く異なるものではなく「顧客データを収集・統合・一元管理・分析してマーケティングに活かすプラットフォームである」という点は同じです。もともとマーケティングにおいてDMPが主流でしたが、後からCDPが登場し、主流になりつつあります。同じような機能を提供するツールも多く混乱しやすいですが、もともとの思想や目的が異なるため、正しく活用するためにはきちんと“違い”を比較のうえ、理解しておく必要があります。

DMPの主な利用目的は「デジタル広告ターゲティングの精度改善および、広告の最適化」です。そのためDMPの扱うデータは、Webサイト訪問者の年齢や性別など、匿名トラッキングデータがメインです。

一方、CDPの主な利用目的は「顧客理解を元にしたマーケティング施策の実施」です。そのためCDPはセグメントではなく「実在する個人」に紐づけて顧客データを収集し、活用していきます。

CDPとDMPの違いとは?
仕組みからわかりやすく徹底解説!!


4.CDPとMA、CRMの違い

前項ではCDPとDMPの違いを解説しましたが、以下では顧客データを活用するという共通点を持つMA(マーケティングオートメーション)とCRM(顧客関係管理)の違いについて解説します。

MAとCRMは全く異なるものではなく、「顧客との関係を良好にし、マーケティング活動を推進する」という点は同じです。しかし、目的が異なるため、その違いについて理解することが重要です。

MAの主な利用目的は「見込み客の育成と商談機会の創出」です。Webサイトの閲覧履歴といった行動データを基に、特定の見込み客へ自動でアプローチするプログラムを作成するために使用されます。

一方、CRMの主な利用目的は「既存顧客との関係維持」です。営業担当者の活動履歴や購入履歴といった、顧客との直接的な接点で得た情報を管理します。

これらに対しCDPは、MAやCRMが扱うデータも含め、あらゆる顧客データを統合し「実在する個人」に紐づけたデータ基盤を作成することが目的です。この技術により、顧客一人ひとりを深く理解することが可能になります。もちろん、個人情報のセキュリティは最重要です。


5.CDPのメリット

CDP活用で得られる3つのメリットは以下の通りです。

●CDP活用メリット1:顧客データの効率的な一元管理
CDPは社内に散在するデータを、顧客ひとり一人のデータとして統合。CRMの顧客情報をMA用に加工してアップし直す、といったマーケティング担当者の業務負荷が削減されます。また、Webサイト・SNS・メルマガ・アプリなどチャネルごとに顧客管理していることで同一顧客に何度も同じお知らせが届いてしまう、大切な顧客にネガティブ・マイナスの印象を与えるリスクを防ぐことができます。

●CDP活用メリット2:顧客インサイトのより深い分析でLTVを高める
昨今のマーケティングは「顧客に最適な体験を提供し、継続して購入を促す」、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)が重視されます。CDPは顧客に関わるすべてのデータを集積することで顧客ひとり一人のより深い分析とニーズ把握、LTV向上のための施策検討や実施、振り返りが可能になります。

●CDP活用メリット3:部署間連携による顧客対応の全体最適化
CDPをBIツールと連携させ、分析結果を全社(部署間、グループ会社間)で共有することで、顧客対応を全体最適化し、満足度向上を促進することができます。その影響範囲はマーケティング部門では実施施策立案、営業やコンタクトセンターではクレーム対応と離脱防止、製造部門では商品開発や製造スケジュールの調整など幅広く、真の「顧客中心の企業活動」実現のための基盤となります。

【ダウンロード資料】
CDP基礎知識~導入成功ガイドブック


6.CDP活用事例

ITメーカーA社では、新規顧客の獲得と成約率アップを、サブスクリプションサービスを提供するB社では、解約率低減・ファン化を、不動産グループC社ではマーケティング最適化によるLTV向上など、様々な課題解決のためにCDPが活用されています。

CDP活用事例の詳細は以下のコラムをご確認ください。

CDP(プライベートDMP)の活用事例!
失敗例や成功のポイントなどを解説


7.CDPを効果的に活用するためのETLツールの重要性

企業が社内に点在するデータを有効活用し、経営に役立つインサイトを得るためには、データ統合・CDP(プライベートDMP)の構築が欠かせません。その際には、集めたデータを正しく整える「加工」処理が、非常に重要な工程となります。元データのままでは「同一のデータ」が「異なるデータ」と誤って判定されるなど、さまざまな不具合が生じてしまうためです。

こうした問題に対処するために、CDP(プライベートDMP)でSQL処理を行う際に簡単なデータ加工(スペースやハイフンの除去、正規化など)を実施することがよくあります。しかし、複数のシステム間で大量の、同じ基準によるデータ加工が必要な場合は、CDPにデータ連携する前にデータ加工をして「正規化されたキレイなデータ」としてから統合した方が、CDPを効率よくデータ統合・セグメント処理に専念させることができます。データが正規化されていないと、CDP側の設計時にその都度フォーマットや加工処理を意識しなくてはならず、開発・運用工数増や設計ミスなどにつながってしまうのです。

しかし、多種多様なデータを加工・正規化するのにも、多大な工数がかかります。情報元であるデータソースの種類が多ければ多いほど、加工のためにプログラミングなどの専門的な知識が求められ、膨大な開発・運用工数が必要となります。
 
その障壁を取り払うための有効な手段が、ETLツールです。

ETLツールを利用することで、データソース毎に求められる高度なエンジニアスキルをツール側で吸収することができます。また、ほとんどのETLツールには加工したい内容を簡単に処理できるインターフェース(GUI)が装備されているため、開発・運用工数を大きく削減できます。

ETLとは?
プロセス処理の内容やメリットを解説



8.CDPの導入の具体的なステップや流れ

CDPの導入は、単にツールをインストールして終わるものではなく、明確な目的意識を持って計画的にプロジェクトを推進することが成功の鍵です。ここでは、具体的な導入ステップを5つに分けて紹介します。

STEP①目的とKPIの明確化
まず「何のためにCDPを導入するのか」というプロジェクトの根幹となる目的を定めます。目的が曖昧なことが、導入が失敗に終わる一番の理由です。「顧客体験の向上」「LTV(顧客生涯価値)の最大化」といった抽象的な目的だけではなく、「初回購入から3ヶ月以内の再購入率を15%向上させる」といった具体的なKPI(重要業績評価指標)まで落とし込むことが重要です。この目的とKPIが、今後の全てのステップにおける判断基準となります。

STEP②要件定義とデータ設計
目的とKPIを達成するために、どのようなデータが必要かを定義します。どのシステムから、どの個人情報を含むデータを、どのような形式で収集し、どう統合するのかを詳細に設計します。例えば、ECサイトの購買データ、実店舗のPOSデータ、Webサイトの行動ログ、MAツールの配信レポートなど、社内に散在するデータを洗い出します。ここで重要なのは、個人情報の取り扱いなど、データのセキュリティを担保する技術的な要件も同時に定義しておくことです。安全なデータ活用の基盤となるこのデータ設計が、将来的な施策の可能性を広げる土台となります。

STEP③ツール選定と比較
定めた要件を満たすCDPツールを検索し、比較検討します。現在提供されているツールは多岐にわたるため、機能やコストだけでなく、自社が既に使用しているMAやCRMといった外部ツールとの連携のしやすさ、サポート体制の充実度も重要な選定基準です。この機会に複数のベンダーからデモンストレーションを受け、自社の課題を解決できるかを見極めましょう。将来的なAI活用の拡張性なども比較項目に入れると良いでしょう。

STEP④実装とテスト
選定したツールを導入し、データ連携のためのプログラム設定や実装を行います。設計通りに各システムからデータが収集・統合され、特定の顧客として正確なプロファイルが作成されているかを十分にテストします。例えば、「AというECサイトの会員IDと、Bという店舗アプリの会員IDが、同一人物として正しく紐づけられているか」といった点を検証します。ここで不備があると、後の施策に大きな影響を与えます。

STEP⑤運用と施策への活用
CDPの運用を開始し、統合されたデータを基に分析レポートを作成したり、MAツールと連携してパーソナライズされたマーケティング施策にデータを活用したりします。例えば、「過去に特定のカテゴリの商品を購入した顧客セグメント」を抽出し、そのセグメントに特定の新商品情報を配信するといった施策が考えられます。施策を実行して終わりではなく、必ず効果を測定し、改善を繰り返していくことが、CDPの価値を最大化するために不可欠です。


9.CDP導入経験者1,030人に聞く!検討・導入・運用の「理想」と「現実」

TOPPANは2021年11月、CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム/プライベートDMP)導入・運用経験のある1,030名を対象として、アンケート調査を実施しました。10の設問への回答からは、企業のデータ活用の実態や、理想と現実のギャップが垣間見えるほか、企業の売上規模別の違いも把握できる結果が得られました。

今回の調査では、データ量の増加に伴いデータ結合や基盤システムリプレースの必要が出てきたという背景からか、予想以上に様々な業種で、かつ売上規模に関係なく、データ分析・効果測定のためのCDPツール導入が進んでいることがわかりました。

導入のきっかけ、狙いから選定時のポイント、そして導入時点での期待、導入時に苦労したこと、導入後の運用に苦労していること、さらにCDP導入により得られた改善効果について解説しています。

CDP(プライベートDMP)導入経験者1,030人に聞く!
検討・導入・運用の「理想」と「現実」

   
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10.自社に最適なCDPツールの比較と選び方

CDPは、顧客データを収集・統合・分析し、さまざまなツールやシステムと連携することで、顧客への深い理解と豊かな顧客体験(CX)提供が可能になるとして、ニーズが高まっています。
各社からさまざまなコンセプトの製品が提供されており、「どのツールを選べばよいかわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。

CDPツールを検討する際、比較するべきポイントは大きく、以下の5つの項目です。
1. 目的に応じた機能と拡張性
2. ツールとの連携性
3. 使いやすさ、操作性
4. サポートの充実度
5. コスト

これらをもとに、数多くの企業のコンサルティング支援から構築運用を担っているTOPPANが、プロの視点で各CDPツールの特徴をご紹介します。
詳細は、以下の記事をご覧ください。

プロが選ぶ!オススメCDPツール
~自社に最適なツールの比較と選び方


11.日本企業のデータ利活用の課題と解決策とは?

日本企業のデータ利活用では、事業部ごと、あるいはグループ企業ごとにデータが生まれ、利用ツールも体制も異なるというサイロ化が起こっていて、社内の人的リソースも不足しており、マーケティングDXが進みにくいという現状があります。

具体的には、以下の3つです。

1. タコツボ問題
システムが分断・個別最適化されていることで、運用負荷が高く施策がスケールしない

2. スキル問題
デジタルチャネル(+ツール)を活用方法がわからない、導入の仕方がわからない

3. キャパシティ問題
複数の業務を兼務しており、マンパワーがなく、業務を回転させられない

特に日本の大企業では数年周期で異動が発生するため、それまでのスキルやナレッジが後任の方にうまく継承されないケースも多いため、データ活用は事業部単独ではなく、CoE(センターオブエクセレンス)の観点で組織を横断する取り組みを継続的に行うための基盤を整えて、全社最適の活動と捉えて実行する必要があります。

Treasure Data×TOPPAN
日本企業のデータ利活用の課題と解決策とは?



【事例】マーケティング”をアップデートするCDPの開発

新しいテクノロジーを活用してマーケティングをアップデートするためには
1. ビジネス(何を実現したいか)
2. システム(どう実現するか)
3. オペレーション(どう実現するか)
の3要素が必要になります。

この3つの要素を丁寧に進められ、PoCを開始した富士フイルムヘルスケアラボラトリー様の取り組みを以下でご紹介しています。

<DATA CAMP 2019>
“マーケティング”をアップデートするCDPの開発



12.顧客軸のデータ統合で“ビジネスの成功”をサポート  CDP/DMP構築・運用支援サービス

TOPPANでは、データの取得やCDP/DMPの設計・構築はもちろん、目標を達成するための適切な戦略設計~運用~施策実行までワンストップで伴走支援いたします。

CDP/DMPは、バラバラになったデータを統合するだけでは不十分。適切なデータの管理・運用体制を構築し、貴社のビジネス目標を達成することが最終目的です。


【CDP/DMP構築・運用サービス】
顧客軸のデータ統合で“ビジネスの成功”をサポート
TOPPANのCDP/DMP構築・運用支援サービス


13.CDPを構築し、すべての顧客体験をIDでつなぐ  データテクノロジー&プラットフォームサービス

TOPPANでは、社内に点在する様々なデータ資産を統合し、ビジネスを“個客”中心に捉えるプラットフォームを構築する「データテクノロジー&プラットフォームサービス」をご提供しています。
CDPを構築し、全てのサービスを顧客IDで繋ぐことで、デジタル時代にあった個客と御社の向き合い方を実現します。


データテクノロジー&プラットフォームサービス
すべての顧客体験をIDでつなぎ、デジタル経済圏を構築


2025.11.10