コラム

企業の取り組み事例から学ぶ
SDGsとビジネスの融合

SDGsを推進するに当たり、ビジネスや経営とうまく融合させることが求められています。その融合のさせ方は、各企業によってさまざまであり、正解はありません。
そこで今回は、企業の取り組み事例から、SGDsをどのようにビジネスに融合させて取り組んでいるのかを解説します。


SDGsとビジネスとの関係性

SDGsは、持続可能な社会を実現するために、2030年までに全世界で達成すべき17の目標を定めた国際的な目標です。

貧困を終わらせ、すべての人に尊厳があり、平等に機会が得られるような人生を送ることができるよう、各国の政府、企業、市民社会に対して、全世界的な行動を要請しています。また、持続可能な社会や経済、環境面を作り出していくためにも、パートナーシップを結び協力しながら推進していくことが求められます。

SDGsは、ビジネスと密接に関係しています。

企業はSDGsの目標達成への取り組みをビジネスおよび経営戦略と融合させていくことで、より達成へと近づけることができます。

企業はCSR(Corporate Social Responsibility)の観点から企業活動が影響を与える対象すべてに対して責任を負っていることから、SDGsの貢献によってさらにCSR活動を強化できます。

SDGsへ取り組みはCSR活動および社会的な貢献活動につながり、その貢献度がビジネスを取り巻く顧客や投資家からの評価基準の一つになります。特に近年は、投資家からも重要視されており、企業にとってSDGsを考慮しない経営はリスクになるため、SDGs経営が進められています。

経済産業省の「SDGs経営ガイド」や、国際的な組織による「SDG Compass SDGsの企業行動指針ーSDGsを企業はどう活用するかー」を参照にすることで、経営にSDGsを取り入れ、融合させる取り組みを進めていくことができます。


企業におけるSDGsの取り組み事例5選

すでに多くの国内企業はSDGsの取り組みを進めています。取り組み事例をテーマ別に5つご紹介します。

SDGsの取り組み

脱プラスチック・CO₂排出抑制

環境負荷の高いプラスチック製品を減らすことで、CO₂をはじめとした温室効果ガスの排出を抑制することができます。この取り組みは、目標12「つくる責任 つかう責任」や目標14「海の豊かさを守ろう」に密接に関係しています。

ある洋菓子メーカーは、菓子製品に利用していたプラスチックトレーを、環境に配慮したパッケージ「MAPKA®︎(マプカ)」に代替しました。同社はプラスチック容器の環境への負荷を懸念し、代替として環境に配慮したパッケージ素材を探していました。その中で採用されたのがTOPPANのMAPKAです。

MAPKAは紙パウダーを主原料にポリオレフィン系樹脂を混合させてペレット化した素材からできています。従来のプラスチックトレーと比べてプラスチック使用量とCO₂排出量を削減でき、環境適性の向上につなげました。

障がい者雇用促進

障がい者の雇用を促進する取り組みは、目標8「働きがいも経済成長も」や目標10「人や国の不平等をなくそう」をはじめとした複数の目標に関係しています。

ある高速道路会社は、障がい者雇用促進の取り組みとして、お客さまに配布するクリアファイルや袋などのノベルティのデザインに、障がい者が手掛けたアート作品を採用しました。このアート作品は、TOPPANが提供する「可能性アートプロジェクト」という取り組みによるものです。

可能性アートプロジェクトは、障がいのあるアーティストのアートを活用することでサポートにつながる機会をご提供するものです。アートが採用されるとアーティストやその支援団体へアート使用料が支払われ、自立支援に役立てられます。

すでに多くの企業などがこれらのアートを採用しています。本事業の利用を通じて障がい者の自立支援につながることから、SDGsに貢献することができます。

従業員の健康増進

従業員の健康増進は、目標8の「働きがいも経済成長も」に関係しています。従業員にとって働きやすい環境づくりは、やりがいを感じながら働くことができるベースとなります。

「たまると」は、従業員が社内活動やウォーキングや階段の使用などの健康増進活動を行うと、会社がポイントを付与する仕組みを構築できる福利厚生アプリです。ポイントは設定した賞品を交換することで、従業員のモチベーションアップに寄与します。

歩数計測機能、イベントやメッセージ機能、ポイントの交換などのコミュニケーション活性化のための機能、コンディション管理などのモチベーションケア機能があります。また関連する情報の提供やPUSH通知機能は社内の情報伝達をスムーズにし、業務効率化につながります。

食品ロス削減

食品ロス削減は、目標2「飢餓をゼロに」や目標12「つくる責任 つかう責任」に寄与します。食品ロスとはまだ食べられるのに廃棄されてしまう食品のことで、飢餓に苦しむ人への支援の可能性があります。さらに、資源の有効活用や環境負荷低減も考えなければなりません。

ある菓子製造・販売メーカーは、自社製品の包装を工夫することで賞味期限を延長し、食品ロスの低減につなげています。採用したのは、TOPPANの、内容物の劣化を防ぐ酸素バリア性能に優れている透明バリアフィルム「GL BARRIER」です。

GL BARRIERは、従来品のフィルムと比較して湿度や温度の影響を受けにくく、これにより1~2週間程度の賞味期限延長が可能になりました。

日本の食の持続可能性

日本の食といった伝統文化などの持続可能性を追求することは、SDGsのあらゆる目標に対応しています。特に和食という食文化は、多品目の食材を使用することから栄養面でバランスがよく、肉類を多く食べる国々の食事に比べて地球環境に与える負担が小さいともいわれています。

TOPPANは「日本産食材サプライチェーンプラットフォーム運営事業」を実施しており、農水産品や生鮮品などの海外の購入者とマッチングするECサイトプラットフォーム支援や、日本の食文化を紹介する「SHUN GATE」の運営など、日本の食材を世界へ広めるお手伝いをしています。


SDGsの取り組みと同時に行うべき活動

SDGsの取り組みは、中長期的な計画に基づくものとなるため、社外に積極的に状況や情報発信していくことが重要です。

国際的な3組織(※)が開発した持続可能性を企業の戦略の中心に据えるためのツールと知識を提供する「SDG Compass -SDGsの企業行動指針-」では、取り組みを進める5つのステップの最後のステップ5で「報告とコミュニケーションを行う」と定めています。

※GRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)、UNGC(国連グローバル・コンパクト)、WBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)

報告

設定した目標や優先課題についてのパフォーマンスの報告を行います。報告にあたっては、UNGCとGRIによる「SDGsを企業報告に統合するための実践ガイド(日本語翻訳版)」などの基準に沿って実施することで、より適切に報告を行うことができます。

コミュニケーション

積極的に社外に情報発信していく活動は重要です。適切な媒体を選択し、必要な情報をステークホルダーである投資家や評価機関、顧客、従業員それぞれに対して発信することが必要です。


まとめ

SDGsを経営やビジネスに融合させ取り組みを進めていくことは、とても重要です。社会的な貢献度がビジネスを取り巻く顧客や投資家からの評価につながります。ぜひ事例を参考に、自社に最適な手段をご検討ください。

TOPPANは、お客さまのSDGs推進をご支援するソリューションをご提供しております。ぜひお気軽にご相談ください。

2024.05.15