【フェーズ別】
ECサイトの継続的な拡大における
課題と解決策
ECサイトを運営するなかで、「初期投資額が高額で予算が足りない」「現行システムの機能不足でスムーズな運営ができない」といった課題に悩まされている方も多いのではないでしょうか。
ECサイト運営で生じる課題は、立ち上げ期・成長期・拡大期のフェーズごとに内容が異なります。そのため、各フェーズで発生しやすい課題の傾向を見極め、事前にしっかりと対策を立てることが重要です。
本記事では、上記3つのフェーズごとに起こりがちな課題と、その解決策を解説します。
<目次>
1.なぜECサイト運営ではフェーズごとに課題を見るべきなのか
2.【立ち上げ期】ECサイト運営の課題と解決策
3.【成長期】ECサイト運営の課題と解決策
4.【拡大期】ECサイト運営の課題と解決策
5.【その他】ECサイト運営の課題と解決策
6.ECサイト運営に関するお悩みはTOPPANへ
1.なぜECサイト運営ではフェーズごとに課題を見るべきなのか
ECサイト運営で成功を収めるためには、自社の事業フェーズに合った課題設定が不可欠です。なぜなら、立ち上げ期・成長期・拡大期では、優先すべき目標や使えるリソース、そして課題の原因が根本的に異なるからです。
例えば、サイトの注目度が低い立ち上げ期では、まずユーザーに商品を認知してもらう施策が最優先です。この段階で、拡大期の企業が行うような客単価向上のための複雑な改善に注力しても、望むような結果は得られにくいでしょう。自社の現在地を正しく把握し、各段階で現れる特有の課題を一つずつクリアしていくことが、遠回りのようで最も着実な成長への道筋となります。
以降では、各フェーズの具体的な課題と解決策を解説します。
2.【立ち上げ期】ECサイト運営の課題と解決策
ECサイトの立ち上げ期は、売上が発生していない状態でサイト構築やシステム開発に多くの費用を割く必要があるため、コスト面での課題が生じがちです。また、サイト運営の方向性で迷いが生じることも多いでしょう。
ここでは、立ち上げ期特有のよくある課題と、その解決策を解説します。
システム面の主な課題と解決策
ECサイトの立ち上げ期には、システム面で次のような課題が発生しがちです。
● 少ない初期投資で素早くECサイトを立ち上げたい
● D2Cに注力するために自社に合うECサイトを構築したい
このような課題を解消するには、ECサイトのさまざまな構築方法を把握したうえで、自社に最適な構築方法を選ぶことが重要です。
ECサイトの構築手段は多岐にわたり、それぞれに異なるメリットとデメリットがあります。選択肢が多い分、技術面やセキュリティ面の要件をしっかりと洗い出し、適切な手段を見極めなくてはなりません。
たとえば、ShopifyをはじめとするASP(Application Service Provider)では、柔軟に料金プランを選択できるため、立ち上げ期の初期投資額を最小限に抑えられます。また、ECサイト構築に必要な機能が一通り備わっており、プログラミングなどの専門的な知識も不要です。
D2Cサイトのような独自性の高いプラットフォームを構築するのであれば、カスタマイズ性に優れたECサイト構築用のパッケージや、フルスクラッチによるシステム開発といった方法も選択肢に入るでしょう。
マーケティングにおける主な課題と解決策
ECサイトの立ち上げ期には、次のようなマーケティング面での課題も発生します。
● ECサイトへの集客と会員の獲得(初回購入)
● データ分析による正しい自社ECサイトの評価
自社のブランドイメージが十分に認知されていない立ち上げ期は、何よりも集客が重要です。ECサイトへのアクセス数が伸びなければ販売機会は縮小し、事業計画の達成も難しいでしょう。
そのため、ECサイトの構築と同時に、集客やブランディングへの集中的なリソース投下が不可欠です。具体的には、Web広告の出稿やSEO(検索エンジン最適化)の強化、コンテンツ制作などの施策が考えられます。
また、立ち上げ期の段階から顧客情報を収集すると、後の成長期や拡大期で分析データを最大限に活用できます。特に、顧客との関係強化に必要な属性情報(氏名や年齢など)やコンタクト情報、ニーズを探るために欠かせない行動履歴データなどは、積極的に収集しましょう。
3.【成長期】ECサイト運営の課題と解決策
成長期とは、事業の方向性やECサイトの運営基盤が確立され、軌道に乗り始めた時期を指します。この時期は、システム面での機能不足や、マーケティング手法の見直しといった点が課題になりがちです。
ここでは、成長期特有のよくある課題と、その解決策を解説します。
システム面の主な課題と解決策
成長期におけるシステム面での主な課題は次の通りです。
● 売上成長により機能が不十分
● 業員数の増加に伴う管理工数増大
ECサイトの売上が拡大すると、注文数や問い合わせ数が増加し、従来のシステムでは対応しきれなくなる可能性があります。
たとえば、スモールスタートを意識してECサイトを構築した場合、事業成長とともに機能不足の問題が発生しがちです。また、従業員数の増加に伴う管理工数増大も課題の一つです。
解決策としては、現在利用しているシステムのプラン変更や、オプション追加を検討することが考えられます。この機会にECサイトの運用方法やシステムを見直し、他社の製品に乗り換えるのも良いでしょう。
さらに、組織内での管理工数を削減するための工夫も必要です。具体的には、単一のアカウント情報だけで複数のシステムにログインできるシングルサインオンや、需要予測・在庫の過不足計算などを自動化できるAI機能などを活用すると良いでしょう。加えて、権限設定や多要素認証といったセキュリティ機能の重要性も高まります。
マーケティングにおける主な課題と解決策
ECサイトでは、事業成長に伴い次のようなマーケティング面の課題も発生します。
● 顧客の行動や購買履歴の把握が困難
● 少ない投資で勝てる広告を運用する
● リピート顧客の獲得
顧客数が増加すると、おのずと行動傾向が複雑化し、ニーズの特定が困難になります。そのため、簡易的な分析機能しか搭載されていないシステムを利用している場合、機能不足に陥りがちです。
対策としては、ECサイト運用システムとは別に、データ収集や分析に優れたツールの導入を検討するのがおすすめです。
たとえば、顧客情報を一元管理するためのCRM(顧客関係管理)ツールや、マーケティング施策の統一化を図るためのMA(マーケティングオートメーション)などの選択肢があります。そのほか、事業規模の拡大に合わせ、データレイクやDWH(データウェアハウス)といったデータ分析基盤を構築するのも良いでしょう。
また、事業のさらなる拡大のために、集客チャネルを見直すことも重要です。成長期になると、ある程度の既存顧客が存在するため、リファラル(紹介販売)や口コミマーケティングにも視野を広げましょう。
4.【拡大期】ECサイト運営の課題と解決策
ECサイト運営が拡大期に入ると、実店舗導入によるO2Oマーケティングや、OMO(Online Merges with Offline)などを検討する機会が増えます。それとともに、既存システムのハード面での課題や、ロイヤルカスタマー不足などが問題になりがちです。
ここでは、拡大期特有のよくある課題と、その解決策を解説します。
システム面の主な課題と解決策
拡大期におけるシステム面での主な課題は次の通りです。
● システムの機能や性能、カスタマイズ性の不足
● 追加機能の実装にかかる時間とコスト
● ECカートのバージョンアップデートの頻度の少なさ
● サーバーダウンやセキュリティーへの不安
ECサイトの拡大期は、O2Oマーケティングの導入や実店舗との連携など、新たな事業を立ち上げる機会が多くなります。そのため、成長期に増してシステム面での機能不足が露呈しがちです。
このようなケースでは、ECサイトの運用システムだけでなく、基幹システムや業務システムの刷新が求められる場合もあります。旧システムと新システムとの互換が難しいケースも想定されるため、社内システム全体の見直しが必要です。
マーケティングにおける主な課題と解決策
拡大機におけるマーケティング面での主な課題は次の通りです。
● ロイヤルカスタマーの数やリピート率の低迷
● オペレーションコストの増大や人手不足
一般的に事業が拡大すると、それに伴って新規顧客の獲得数が頭打ちになりがちです。限られた市場のなかでは、自社の認知度やシェアが高まるほど、顧客獲得施策の効果が徐々に薄れます。
そのため、新規顧客獲得から、既存顧客の維持へと舵を切ることが重要です。たとえば、オウンドメディアを通じた情報発信や、コミュニティサイトの構築、カスタマーサポートからカスタマーサクセスへの転換といった施策が考えられます。このような施策を活用すると、顧客との関係が強化され、ロイヤルティの向上やアップセル・クロスセルの提案機会の拡大が見込めます。
ただし、施策の種類やタッチポイントが拡充するほど、より多くのオペレーションコストや人的リソースが必要です。施策を強化するとともに、適切な運用基盤を整えることも大切です。
5.【その他】ECサイト運営の課題と解決策
ECサイト運営における課題は、集客やリピート率といった主要な指標だけに留まりません。事業フェーズに関わらず、継続的に向き合うべき通期の課題も存在します。
ここでは特に見落とされがちな「カート周り」と「バックヤード業務」の2つの課題に注目し、その解決策を解説します。
カートにおける主な課題と解決策
購入意欲が最も高い最終段階であるにも関わらず、多くの機会損失が発生するのがカートから決済完了までのプロセスです。ここの改善は売上に直結します。
●カゴ落ちによる直接的な機会損失
●複雑な決済フローによるユーザー体験の悪化とCVRの低下
多くの企業が、カートに商品が追加された後の離脱、いわゆる「カゴ落ち」に悩んでいます。その主な原因は、購入手続き中に表示される想定外の送料や、入力項目が多すぎるアカウント登録の強制などが挙げられます。
これは直接的な売上損失であると同時に、購入を諦めたユーザーのブランドに対する印象を損ねるリスクも孕んでいます。
解決策として、まず決済ページの入力項目を最小限に絞り、住所の自動入力補助などを導入することが有効です。また、「ゲスト購入」を可能にすることで、アカウント作成の手間を嫌うユーザーの離脱を防ぎます。
ある企業では、決済方法の選択肢を増やすといったシンプルな施策でCVRが向上した事例もあり、このような成功の結果に繋がる施策は、貴社の電子商取引事業の成長に大きく役立ちます。
バックヤード業務における主な課題と解決策
顧客の目に触れにくいバックヤード業務ですが、ここの効率と品質が顧客満足度を大きく左右します。
● 在庫管理の不備による販売機会の損失と顧客信用の低下
● 煩雑な発送業務によるコスト増加と配送品質のばらつき
ECサイトの運営で軽視されがちなのが、在庫管理や発送といったバックヤード業務です。手動での在庫更新によるタイムラグは、サイト上では在庫があるのに実際には欠品している「売り越し」や、その逆の「販売機会損失」の原因となります。これは顧客からの信用を大きく損なう問題です。
また、非効率な梱包・発送作業は、人件費の増大や配送ミスを招きかねません。
これらの課題を改善するため、在庫管理システム(WMS)を導入して在庫情報を一元管理し、自動化するなどの方法があります。また、発送業務に関しては、専門の物流代行企業へアウトソースすることも有効な選択肢です。
顧客がWebで商品を検索し、購入してから手元に届くまでの体験全体を向上させることが、最終的なビジネスの成功に繋がります。配送状況の丁寧な案内をSNSで行うなど、顧客との接点を増やす工夫も顧客満足度向上に役立ちます。
6.ECサイト運営に関するお悩みはTOPPANへ
一概にECサイト運営といっても、集客やブランディング、ナーチャリングといった数多くの施策が存在します。そのため、立ち上げ期や成長期、拡大期のフェーズごとに、適切な施策を反映するのは難しいものです。
TOPPANでは、成長ステージに応じたECサイトの構築・運用をサポートしています。EC事業における戦略立案や基盤リプレイスなど、マーケティングからカスタマーケアまで一気通貫でのサポートが可能です。ECサイトの基盤を強化したい方や、パフォーマンスを向上したい方は、ぜひ一度お問い合わせください。
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2025.11.05



