カスタマーエンゲージメントサービス コラム

ECサイトにおけるCRMの
必要性や導入時の注意点、
売上を伸ばすためのポイントを解説

CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客情報を一元管理したうえで、そのデータを最大限に活かす手法・ツールです。顧客のニーズや傾向を明らかにできるため、営業やマーケティング、カスタマーサポートなどの施策改善に効果を発揮します。

CRMはECサイト運用においても、集客やプロモーションなどの戦略構築に効果的です。そのため、CRM施策を強化することで、売上の最大化につながります。
本記事では、ECサイトにおけるCRMの重要性や活用時のポイントを解説します。


<目次>
1.ECサイトの売上の伸び悩みにはCRMを活用しよう!
2.ECサイトでCRMを活用するとできること
3.ECサイトにCRMを導入しよう
4.CRMでECの売上を伸ばす3ステップ
5.【悩み別】ECの売上を伸ばすCRMの具体的な施策ポイント
6.TOPPANのEC CRMご支援メニュー
7.ECにおけるCRMのお悩みはTOPPANへお気軽にご相談を!


1.ECサイトの売上の伸び悩みにはCRMを活用しよう!

ECサイトの運営において、「リピート購入につながらない」「客単価が思うように伸びない」といった、売上の伸び悩みを感じるケースも多いでしょう。このような場合は、顧客との関係構築の面に問題がある可能性が高いため、CRMを活用するのがおすすめです。

CRM(Customer Relationship Management)は「顧客関係管理」を意味し、顧客との関係を良好かつ長期的に保つための考え方、またはそのツールやシステムを指します。

CRMツールを活用すると、属性や行動履歴といった顧客に関するあらゆる情報を一元管理することが可能です。蓄積されたデータから的確にニーズを汲み取れるため、アクションプランの質が高まり、ロイヤルティやリピート率の向上につながります。


2.ECサイトでCRMを活用するとできること

CRMは、営業やマーケティング、カスタマーサポートなどの幅広い領域で活用されていますが、ECサイトの運営においても効果を発揮します。
ECサイトの運営にCRMを導入する主なメリットは以下の3つです。

● 購買履歴や閲覧履歴から顧客ごとに最適なアプローチができる
● データドリブンな精度の高いマーケティング施策の実施ができる
● 顧客情報の管理・共有が容易になり業務効率化が図れる

順番に見ていきましょう。

購買履歴や閲覧履歴から顧客ごと最適なアプローチができる

購買履歴や閲覧履歴などの幅広い情報を集約することも可能なCRMは、顧客のニーズ分析に効果を発揮します。

購入日や頻度から優良顧客を判別する「RFM分析」や、類似性をもとに顧客をグループ分けする「クラスター分析」などを駆使すれば、顧客のニーズや傾向をつかむことが可能です。

分析結果をもとに、それぞれの顧客に最適なアプローチ方法を検討したり、既に実施しているカスタマーサポートやアップセル・クロスセルの施策改善を行うことで、リピート率やLTVの向上が期待できるでしょう。

データドリブンな精度の高いマーケティング施策の実施ができる

CRMに蓄積される顧客情報は、既存顧客だけでなく、潜在顧客や見込み客向けの施策改善にも活かせます。つまり、既存顧客のニーズや傾向をもとに、新たな顧客を生み出すためのマーケティングに活用するということです。

たとえば、優良顧客の行動傾向を観察したうえで、メールやSNS、オウンドメディアなどでの関係構築手法を編み出すこともできます。顧客に関する詳細な分析データがあれば、施策ごとに集客・ブランディング・ナーチャリングの役割が明確になるでしょう。

前述した既存顧客向けの施策と、本項の新規顧客獲得に向けた施策を組み合わせることで、売上の最大化が可能です。

顧客情報の管理・共有が容易になり業務効率化が図れる

CRMは施策の改善だけではなく、業務効率化にも効果的です。

CRMツールがないと、顧客情報が複数のシステムに分散することになり、顧客情報を見たいときにどこを参照すれば良いか分からず手間がかかります。
CRMツールを活用することで様々な顧客情報を1つに集約することができ、情報の検索や収集において、大幅な業務効率化が期待できるでしょう。


3.ECサイトにCRMを導入しよう

CRMの導入は、ECサイトの成長に大きく貢献します。しかし、やみくもにツールを導入するだけでは、期待した効果は得られません。ここでは、実際にCRMの導入を成功させるために、ツール選定から導入プロセスにおいて特に気を付けるべきポイントを具体的に解説します。

CRMツール選定のポイント

自社に最適なCRMツールを選ぶためには、いくつかの重要な視点があります。世の中には豊富なCRMツールが存在しますが、多機能で高価なものが必ずしも最良の選択とは限りません。自社の目的と状況を正しく把握し、長期的な視点でツールを選定することが重要となります。

●目的達成に不可欠な機能を見極める
まず最も重要なのは、「自社の課題を解決できるか」という視点です。「リピート率を上げたい」「客単価を向上させたい」といった具体的な目的を明確にし、その達成に必要な機能が何かをリストアップすることから始めましょう。豊富な機能を持つツールも多いですが、自社に不要な機能は費用の無駄につながります。自社のECサイトの事業規模や課題に合わせて、必要な機能が過不足なく搭載されているかを確認することが重要です。

●外部システムとの連携性を確認する
現在利用しているECプラットフォームやMAツール、基幹システムといった外部システムとスムーズに連携できるかは、必ず確認すべき極めて重要なポイントです。データが分断されてしまうと、せっかくの顧客情報も活用しきれず、かえって運用が煩雑になってしまいます。API連携の柔軟性や、標準で連携できるアプリケーションが用意されているかなど、システムの拡張性も視野に入れて選ぶと良いでしょう。

●長期的な視点で費用対効果を判断する
費用体系も重要な選定基準です。初期費用や月額料金だけでなく、導入後のサポートや将来的なカスタマイズにかかる追加費用まで含めたトータルコストを把握しましょう。複数のツールを比較検討し、自社の事業規模や成長フェーズに合った料金プランを選ぶことで、無理のない運用が可能になります。

これらのポイントを総合的に評価し、長期的なパートナーとなるツールを選定しましょう。

CRM導入時の注意点

CRMツールを効果的に活用するためには事前の計画と準備が不可欠です。ツールを導入さえすれば、自動的に業務が効率化され、売上が向上するわけではありません。導入プロセスにおける注意点を押さえ、着実に成果へとつなげましょう。

●導入目的を明確にし、社内の推進体制を構築する
まず、CRM導入によって何を目指すのか、具体的なゴール(KGI・KPI)を定め、関係部署間でしっかりと共有しておくことが重要です。誰が、どの業務で、どのように活用するのかを明確にし、推進体制を整えることで、導入後の「使われない」という事態を防ぎます。他社の成功事例も参考にしつつ、自社ならではの活用イメージを固めることが、導入後のスムーズな運用開始につながります。

●活用を見据えたデータ設計とセグメントルールを定義する
顧客管理の成功は、事前のデータ設計にかかっていると言っても過言ではありません。顧客の購入履歴やWebサイト上の行動履歴といったデータをどのように収集・統合するのか、あらかじめルールを定義しておく必要があります。その上で、どのような切り口でセグメントを作成し、顧客へのアプローチに繋げるのかを具体的に設計します。この設計が、後のマーケティング施策の精度を大きく左右します。

●既存の業務フローを再設計し、効率化を図る
CRMの導入は、既存の業務フローを見直す絶好の機会です。これまで手作業で行っていた顧客へのアプローチや分析レポートの作成などを、CRMの機能を使ってどこまで自動化できるか検討し、新しい業務フローを設計しましょう。最初から大規模に行うのではなく、特定の業務に絞ってスモールスタートし、運用を定着させながら着実に効率化を進めるアプローチも有効です。


4.CRMでECの売上を伸ばす3ステップ

ECサイトでCRMを活用するには、次のような手順で進めるのが一般的です。

1. 顧客情報を収集・分析する
2. 分析データを基に全体戦略を立てる
3. 全体戦略基に最適なアプローチを行う

各手順について詳しく見ていきましょう。

1.顧客情報を収集・分析する

まずは分析を行う前に、企業様の現状を把握するため、ヒアリングをさせていただきます。そして、現状の中から見えてきた課題や、改善を希望されている領域を重点的に分析を行います。
その際、アクセス解析ツールを用いるか、過去の購買データをご共有いただく、またはデータが集約されているツールのアクセス権限を付与いただくなどして、事前分析を行います。

2.分析データを基に全体戦略を立てる

分析結果の活用方法は、既存顧客を対象にするか、潜在顧客・見込み客を対象にするかによって大きく異なります。前者の場合は主にカスタマーサポートやアップセル・クロスセルに、後者はマーケティングやインサイドセールスに予算を割くのが一般的です。そのため、あらかじめ施策の対象を明確にしましょう。

既存顧客を対象にRFM分析を実施する場合は、「優良顧客・一般顧客・新規顧客・休眠顧客」の4カテゴリーに分類します。そして、次のようにカテゴリーごとに適切な施策を考案します。

カテゴリー 特徴 施策例
優良顧客 購入頻度(F)・購入金額(M)が高く、直近の購入日(R)も近いことから、最も重要度が高い ・限定商品の提案
・コミュニティサイト構築
・レビュー投稿促進
・カスタマーサクセスの提案
一般顧客 優良顧客には及ばないものの、R・F・Mの水準が高く、優先的にアプローチすべき顧客

・継続割引キャンペーン
・アップセル・クロスセル
・ポイントカードの案内

新規顧客 見込み客から顧客に転換したばかりで、R・F・Mの水準が低く、一般顧客へ育成するための施策が必要 ・SNSフォロー
・リピート購入特典
・友達紹介キャンペーン
休眠顧客 しばらく自店で購入していないため、再来店を促す施策が必要

・クーポンの配布
・リマーケティング広告
・ポイント失効の案内

3.全体戦略を基に最適なアプローチを行う

上記の全体戦略を踏まえ、各顧客に最適なアプローチ方法(シナリオ)を検討します。そして、検討したシナリオに沿って制作・配信を行い、配信結果の分析と効果改善を行うことで、今後のシナリオをチューニングしていきます。
この一連の流れであるPDCAサイクルを繰り返すことによってシナリオの精度も上がり、売上増加が見込めるようになります。


5.【悩み別】ECの売上を伸ばすCRMの具体的な施策ポイント

CRMでデータ分析を行うと、以下のような課題を発見できるでしょう。

● カゴ落ちが多い
● F2転換・リピート購入に繋がらない
● 休眠顧客が多い
● ロイヤルカスタマーの獲得・維持ができない

ここでは、課題ごとに解決策となる施策の考え方を解説します。

カゴ落ちが多い

カゴ落ちとは、ユーザーが商品をショッピングカートに入れたまま離脱する状態を指します。買い物中にほかの用事を思い出した、入力フォームが使いにくくて離脱したなど、さまざまな要因が考えられます。

そのため、カゴ落ちが多い場合はユーザーの行動傾向をよく読み取ったうえで、適切な対策を講じることが大切です。CRMツールでカゴ落ちの要因分析ができるので、原因に対して仮説を立てて対策を講じましょう。

具体的な対策としては、カートに入れたまま一定期間経過している顧客に対し、「購入をお忘れではありませんか?」などとメールで通知を行ったり、カートに入れた商品の在庫数が少なくなったタイミングで購入を促すメールを配信したりすることが考えられます。クーポンを付与し、最後の一押しを行うことも有効でしょう。

また、配送先や支払方法の入力中に離脱するユーザーが多ければ、入力フォームのレイアウトやUIを見直す必要があります。

F2転換・リピート購入に繋がらない

初回購入後のフォローが不十分だと、顧客との信頼関係が生まれず、F2(2回目のリピート購入)転換率やリピート率が低下する可能性があります。そのため、顧客との関係構築に向けた施策が必要です。

商品やサービスの購入サイクルに合わせて、ステップメールやDM、LINEなどのチャネルを活用して顧客と定期的にコミュニケーションを図ることが最も効果的です。例えば、購入直後は商品購入のお礼、購入から一定期間が空いている顧客に対しては次回購入時にお得なクーポンを配布し、2回目購入のハードルを下げるなどの施策が有効だと考えられます。

休眠顧客が多い

休眠顧客が多い場合は、再度の利用を促す取り組みが欠かせません。各顧客の購買履歴や興味に基づいた、パーソナライズされたメールを配信して自分事化してもらうことで購入を促したり、商品を再び購入したいと思わせるようなクーポンやキャンペーンなどの割引訴求施策を行ったりすることが有効的だと考えられます。リマーケティング広告で店舗の存在を再認知してもらうのも良いでしょう。

また、プロスペクト理論と呼ばれる、損失を回避する心理に訴えかけるのも方法の一つです。たとえば、ポイント失効に関するメールを送信すると、「失効する前に利用しよう」という心理が働くため、ユーザーが再び商品を購入してくれる可能性があります。

ロイヤルカスタマーの獲得・維持ができない

そもそもロイヤルカスタマーへと成長しない顧客も存在するため、その候補を見極めることが先決です。ロイヤルカスタマーの候補を洗い出すには、RFM分析やデシル分析といった顧客の重要度を測る手法が役立ちます。

ロイヤルカスタマーへと育成する場合、ほかの顧客よりもリソースをかけ、より価値の高い施策を展開することが重要です。たとえば、限定商品の優先販売や限定特典の提供、会員ランク制度の導入などが挙げられます。一度の施策に終始せず、継続的にコミュニケーションを取りましょう。


6.TOPPANのEC CRMご支援メニュー

TOPPANでは、ECサイトにおけるCRM総合支援サービスを提供しています。事前分析や戦略構築、PDCA運用と、一気通貫でサポートを行っているのが特徴です。

ここでは、そのサポート内容について紹介します。

事前分析・現状把握

お客様が置かれている現状や課題をヒアリングし、独自のCRM運用プランを設計します。現状把握のため以下の施策を実施し、自社だけでは特定できない課題を洗い出します。

● ヒューリスティック分析
● 購買データ分析
● クロス集計
● アクセスログ分析
● 商品分析
● RFM分析
● クリエイティブ評価
● ヒアリングシート作成

全体戦略

分析結果をもとに顧客定義やカスタマージャーニーマップ作成、KPI策定などをサポートします。その後、課題解決に向けた優先順位を設定し、お客様個別に最適なシナリオを設計します。施策を実施するための方向性が明らかとなるため、よりスムーズな軌道修正や効果検証が可能です。

PDCA運用

TOPPANでは、施策を実行するだけでなく、その後のPDCAサイクルが回るように伴走支援を行っています。定期的なレポート提出に加え、定例の場にて振り返り+ネクストアクションをご提案し、成果にしっかりとつなげる仕組みを提供します。

PDCAの全ての領域をご支援できるからこそ、施策に対する効果改善と反映をスムーズに行え、PDCAサイクルの高速化を実現することができます。


7.ECにおけるCRMのお悩みはTOPPANへお気軽にご相談を!

TOPPANは目的や課題の整理、CRMツールの選定、施策の設計・実行、効果検証までを一気通貫でサポートします。メールやLINE、DMなど、顧客に対してECに最適なCRMのシナリオ設計の支援が可能です。スポット対応からフルサポートまでお客様に合わせて柔軟に支援します。加えてデータ基盤(CDP)の構築や、CRMツール、MAツール、そしてECサイト全体のデータを可視化するBIツールの導入支援も可能です。

CRM活用にあたって、「導入手順がわからない」「データを活用できるか不安」といった悩みを抱えている方は、社内に蓄積された顧客情報を最大限に活かすためにもぜひTOPPANにご相談ください。


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2025.11.05