カスタマーエンゲージメントサービス コラム

人手不足時代のコンタクトセンターに急務!?
ナレッジマネジメントとは?メリットや実践ポイントをご紹介

近年はコンタクトセンターにおける人手不足が深刻化しており、それに伴う知識やノウハウの属人化が、業務に支障をきたす大きな原因となっています。そんな今こそ、オペレーターなどの個人が持っている知識やノウハウを組織全体で共有・活用する「ナレッジマネジメント」を導入し、この課題を根本から解決するときです。

今回は、コンタクトセンターでナレッジマネジメントが求められる背景、メリット、実践のポイント、成功させるカギを解説します。


<目次>
1.コンタクトセンターでナレッジマネジメントが求められる背景
2.コンタクトセンターにおけるナレッジマネジメントのメリット
3.コンタクトセンターにおけるナレッジマネジメントの実践ポイント
4.コンタクトセンターにおけるナレッジマネジメントを成功させるカギ
5.まとめ


1.コンタクトセンターでナレッジマネジメントが求められる背景

コンタクトセンターでナレッジマネジメントが求められる背景

近年、コンタクトセンターでナレッジマネジメントが求められていますが、その背景として大きく以下の3点が挙げられます。

「人」に関する課題が深刻化

コンタクトセンターでは、「人」に関する次の課題が深刻化しています。

・働き手不足
・採用難
・オペレーターの時給上昇
・オペレーターの離職率の増加

少子高齢化による労働力人口の減少に伴い、コンタクトセンターも慢性的な人手不足に陥っています。採用市場が厳しさを増す中で、人材確保のためにオペレーターの時給を上げざるを得ない状況も大きな課題です。
また、コンタクトセンター業界は、問い合わせ増加による高い業務負荷やクレーム対応による精神的ストレスなどから、もともと離職率が高い傾向にあります。昨今の人材の流動化が、この状況に拍車をかけています。

知識やノウハウの属人化

コンタクトセンター内で共有すべき知識やノウハウは、オペレーター個人の経験に紐づいていることが多く、属人化が常態化している点も大きな課題です。これにより、オペレーターの退職や異動とともに重要な業務ノウハウが失われるリスクを常に抱えることになります。

業務効率(生産性)の向上

昨今、顧客からの問い合わせ内容の複雑化や、多様なチャネル(電話、メール、チャットなど)への対応が求められる中で、オペレーターの業務負荷が増加しています。また、必要な情報が分散していたり、古かったり、探しづらかったりすると、オペレーターは回答を探すのに時間がかかり、保留時間の長時間化や後処理時間の増加を招きます。こうした状況は、生産性の低下に直結します。

上記のような課題を受け、より一層、ナレッジマネジメントの重要度が増しています。
ナレッジマネジメント(Knowledge management)とは、「ナレッジ=知識、知恵、知見、ノウハウなど」を体系化し、適切に管理する取り組みです。これを組織内で共有し、活用を促進させることにより、日々のコンタクトセンター業務やサービス品質が改善され、業務効率化を実現します。


2.コンタクトセンターにおけるナレッジマネジメントのメリット

コンタクトセンターにおけるナレッジマネジメントのメリット

コンタクトセンターでナレッジマネジメントを実施することで、次のメリットが期待できます。

属人化リスクの回避

ベテラン担当者の経験やノウハウを形式知化し、コンタクトセンター内の誰もが参照できる仕組みを構築することで、属人化リスクを回避できます。特定個人への依存を防ぎ、担当者が退職・異動した後もナレッジが組織に残り、全体の応対品質を安定して維持できるようになります。

応対品質の維持と業務の効率化

問い合わせ対応のマニュアルやFAQ、応対事例をナレッジ化して共有することで、複数のオペレーターが同じ手順・基準で対応でき、応対品質のバラつきをなくせます。また、顧客からの問い合わせに対して過去事例を迅速に活用できるため、オペレーターによる調査や確認の手間が削減され、応対スピードが向上します。

教育・育成スピードの向上・効率化

蓄積されたナレッジを教材として活用することで、実践型研修(OJT)に加え、体系的な新人研修を行えます。
ナレッジを反映した教材なら、新人が短期間で一定レベルの対応力を身につけることが可能になり、教育担当者の負担軽減にもつながるでしょう。

ハイブリッドワーク/多拠点勤務における情報格差の是正

近年はリモートワークとオフィス出社を併用するハイブリッドワークや、本社オフィス以外の多拠点で従業員が業務を行うことも増えています。こうした新しい働き方は情報格差を生み出す恐れがありますが、ナレッジを蓄積するシステム基盤をクラウド化し、一元管理することで、拠点や働く場所に関係なく均質な情報へのアクセスを可能にします。その結果、情報格差の課題解決にもつながります。


3.コンタクトセンターにおけるナレッジマネジメントの実践ポイント

コンタクトセンターにおけるナレッジマネジメントの実践ポイント

コンタクトセンターでナレッジマネジメントを実践する際のポイントをご紹介します。

問い合わせ履歴をナレッジの源泉にする

日々発生する問い合わせ履歴データは、オペレーターの応対ノウハウと顧客ニーズが詰まったナレッジの宝庫です。これを源泉として定期的に分析し、「どのような質問が多いか」「どの対応に時間がかかっているか」といった結果を、オペレーターが参照するFAQやマニュアルの改善に活かすことが有効です。

ナレッジの質を高めるためのデータ登録ルールの設定

ナレッジは単に記録するだけではなく、質を高めることが重要です。問い合わせ内容や応対履歴をそのまま残すのではなく、「誰が見ても理解でき、すぐに使えるフォーマット」で登録するルールを設定しましょう。情報の粒度や表現を標準化することで、ナレッジ利用時の誤解を防ぎ、手間を省けます。

活用促進の仕組みづくり

ナレッジは蓄積するだけでは意味がありません。同時に活用を促進する仕組みづくりが重要です。例えばFAQとして整備した際に、検索性やUI(ユーザーインターフェース)を向上させることで、活用が促進されます。またオペレーターによるナレッジ活用状況を可視化し、活用実績を評価制度へ組み込むことも有効です。

生成AIの活用でナレッジマネジメントを進化

生成AIとは、学習データをもとに新たなコンテンツを創り出すことができるAI(人工知能)の一種です。生成AIをナレッジマネジメントに活用することで、問い合わせ履歴の自動要約、FAQ候補の自動抽出、自然言語でのナレッジ検索、リアルタイムでのオペレーターの回答支援などが可能です。
このように、生成AIはナレッジ整備と活用の大幅な効率化に寄与します。ただし、生成AIには誤情報リスクがあることから、情報管理のガバナンス強化が必要です。


4.コンタクトセンターにおけるナレッジマネジメントを成功させるカギ

コンタクトセンターにおけるナレッジマネジメントを成功させるカギ

コンタクトセンターでナレッジマネジメントを成功させるために、特に以下の3点に重点的に取り組みましょう。

ナレッジ基盤の導入と一元管理

ナレッジ基盤を導入し、ナレッジを一元管理する仕組みを作りましょう。
問い合わせ内容や応対履歴といったデータを、いつでも誰でも参照できるように、標準化・整形して蓄積しましょう。これにより、オペレーターのナレッジ活用が促され、マネジメント全体の効率化が進みます。

ナレッジマネジメント体制の構築

ナレッジマネジメント体制の構築とは、ナレッジマネージャーなどの推進責任者を配置し、ナレッジ作成・更新のルールを策定することを指します。これにより、属人化を防ぎ、常に最新かつ高品質なナレッジを維持・活用できる仕組みが確立され、オペレーターの応対品質向上と効率化につながります。

定期的な見直し・進化

ナレッジマネジメントは施策を実行して終わりではなく、継続的に進化させることが不可欠です。ナレッジの活用実績や効果を定期的に測定し、課題があればテコ入れを行いましょう。このPDCAサイクルの積み重ねがナレッジを最新の状態に保ち、活用文化をさらに根付かせ、組織全体の成長につながります。


5.まとめ

コンタクトセンターでナレッジマネジメントを進めることは、属人化リスクの回避から業務の標準化と効率化、教育・育成スピードの向上、情報格差の是正まで様々なメリットが見込まれます。
実践と成功の重要ポイントはナレッジ基盤の導入や活用文化の醸成、継続的な見直しや、生成AIを活用することです。

生成AIも含めたナレッジマネジメントの導入を検討されている方はぜひTOPPANまでご相談ください。TOPPANでは、コンタクトセンターの課題を解決する様々なサービスを展開しております。貴社の具体的な課題に合わせ、ナレッジマネジメントをはじめとした最適なソリューションを提案し、課題解決に向けて伴走支援いたします。ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

2025.11.14