コラム

メタバースとは?意味やNFTとの関係、
ビジネスへの活用事例・メリット・課題を解説!

仮想空間の世界でアバターを介して他ユーザーと交流を持ちながら仕事をしたり、遊んだりできる「メタバース」。今、注目を集めており、ビジネス利用のために次々と参入している企業を見ながら、自社も何らかのメタバース事業の始めたい、と検討している方は多いのではないでしょうか。
今回は、メタバースの意味やNFTとの関係、ビジネスへの活用事例、メリットや課題を解説します。


メタバース関連コラム一気読み資料のダウンロードはこちら

メタバースとは

メタバースという言葉は、明確な定義が定められているわけではありませんが、「Meta」と「Universe」から作られているといわれています。Metaという言葉は「異なる次元からの観点」や「超越した」などの意味合いを持ち、Universeは「宇宙・世界」を意味することから、メタバースは“目の前の現実や次元とは異なる現実や次元の世界”を指します。

一般的に、バーチャルリアリティの仮想空間に、アバターと呼ばれる分身を操作して空間内を移動し、他の参加者と何らかの行動をともにしたり、コミュニケーションを取ったりすることができるものがメタバースと呼ばれています。

2021年10月に Facebook 社が社名を「meta(メタ)」に変更したことを受け、世間的にメタバースへ注目が集まりました。日本でも企業がこぞってメタバースに参入し、事業を開始する動きが加速しています。


メタバースとNFT・ブロックチェーンとの関係

メタバースが急速に発展している背景として、大きいものに、「NFT」と呼ばれる「Non Fungible Token(非代替性トークン)」という暗号資産の一種と紐づいたことがあります。

NFTは、メタバース上やオンライン上で楽しまれているアートやゲーム内のアイテムなどに、作者や所有者の情報を記録することができるので「非代替性」を実現しており、人が保有できる「資産」となり得ます。

NFTによってデータが「代替不可能」となることは、メタバースにおいて重要な意味を持ちます。NFTによってデータが唯一無二のものとなることで「希少性」が高まり、メタバースの世界で唯一のデータを自分の「所有物」として保有することができるようになったためです。
NFTの技術を活用したデジタルアートが75億円で落札された事例など、NFTによって希少性が高まったことにより、データの価値が大きく向上した事例は、近年では枚挙にいとまがありません。
NFTによって、現実とは異なる次元であるメタバースの世界でも、唯一無二の所有物を手にすることができるようになったのです。

NFTが非代替性を実現できるのは、ブロックチェーンという技術を用いていることが理由です。ブロックチェーンとは、情報を記録するデータベースの技術の一種で、取引履歴を1本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持することができるものです。ブロックチェーンにより、資産をコピーしたり、改ざんしたりすることが不可能になります。これにより、NFTとして活用できるようになりました。

すでに多様なものがNFT化されており、ゲーム内のアイテムやアーティストのグラフィックアート、アパレル企業のファッション、不動産企業によるバーチャルな建物などが取引されています。


ユーザーがメタバースビジネスを始める際の準備

これから、企業や団体がメタバースを始めたいという場合には、まずユーザーがメタバースを利用する際に、何が必要なのかを確認したうえで、ビジネス展開をした場合のターゲット選定などに活かす必要があります。

メタバースを始めるためには、主に以下の準備が必要な場合があります。

仮想通貨取引所の口座を開設する

メタバース内での取引には仮想通貨が用いられるため、仮想通貨取引所の口座が必要です。メタバース内でアイテム購入をする際に、スムーズに購入ができるよう、前もって口座を開設しておきましょう。

仮想通貨用のウォレットに登録する

次にメタバース内で使用する仮想通貨や、ゲーム内資産を保管するためのウォレットに登録します。ウォレットには仮想通貨の他、NFTやゲーム内のアイテムやトークンなども保管ができます。

メタバースを始める際に必要な機材をそろえる

メタバース空間を体感するためには、VRゴーグルの準備と、VRゴーグルに対応したパソコンの用意が必要です。メタバース空間に没入して楽しみたい方は、高性能なVRゴーグルを準備することをおすすめします。

利用するメタバースサービスを選択する

仮想通貨取引所の口座、ウォレット、機材を揃えたら、利用したいメタバースサービスをプレイしていきましょう。アバターやNFTを用いて現実世界の自分とは別のキャラクターとして、メタバース空間内で楽しみましょう。

【アーカイブ】事例から紐解く、メタバースを使う意味


メタバースのビジネス利用の可能性とメリット

メタバースのビジネス利用の可能性とメリット

これから参入予定の方はメタバースを企業がビジネスに利用する際、従来の類似サービスとはどのような違いがあるのか、気になるかもしれません。

例えば、メタバースは、従来から活用されてきた「VR(バーチャルリアリティ)」、つまり「仮想現実」の概念と似ているので、どこが違うのか、疑問に感じた方もいるかもしれません。メタバースという概念は、VRと比べてコミュニティ形成に重点が置かれているといわれています。VRが単に「仮想現実」を表すのに対し、メタバースはユーザーがアバターを用いて相互に交流する「交流の場」というイメージが強いようです。

さらにNFTの登場により、メタバース内で手に入れたNFTアートなどの資産を現実世界に持ち込み、SNS上で発信するなどできることから、現実世界と仮想世界がより近くなったともいわれています。

こうしたメタバースの特徴を踏まえると、企業が事業展開を考える際には、現実世界では実現不可能な世界観を共有したり、顧客の物理的な距離によるあらゆる制約を緩和したり、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミック時や災害時の現実的なコミュニケーションの代替策としたり、リモートワーク用のワーキングスペースとして活用したりするなどの、多様な用途で活用できる可能性が考えられます。

メタバースはじめてガイドのダウンロードはこちら


メタバース活用事例

では、メタバースは、ビジネスでどのように活用できるのでしょうか。その可能性は無限大です。ヒントになるような、企業の活用アイデアや活用事例をご紹介します。

現実空間を仮想空間へ取り込みコミュニケーションを効率化

現実空間を仮想空間へ正確に取り込むことで、仮想空間上で従来の商談や複数人での共同作業などのビジネスコミュニケーションを行うことができます。
TOPPANが提供するメタバースサービス基盤「MiraVerse®(ミラバース)」は、仮想空間のメタバース内に、現実の色や質感を忠実に再現する真正性を追求しており、ビジネス利用に必要となるデータ管理機能や改ざん対策などを備えつつ、アバターの本人認証と共に安全なコミュニケーションを実現します。
プロモーションや製造・設計などのビジネス用途や、観光、教育、ヘルスケア・医療、防災、都市計画など多様な分野で活用することができます。

3Dアバター作成機能の提供

仮想空間と共にメタバースに欠かせないのがアバターです。ユーザーに仮想空間を提供する際、アバターの作成機能を提供することで、ユーザーに好みのアバターで仮想空間を楽しんでもらうことができます。
TOPPANの「メタクローン™アバター」は、顔写真と入力した身長と体重の情報を元に再現した、フォトリアルな3Dアバターを自動生成することができるサービスです。まばたきや「口を開く」などの自然な表情を作ることができ、ユーザーはメタバース上でよりリアルに近しい姿で活動ができます。同時にメタバースでのなりすましを防ぐ、3Dアバターの本人証明ができるセキュリティ基盤「AVATECT™」の導入により、セキュリティ対策も実現できます。

バーチャルショッピングの提供

ECを展開している場合、顧客に実店舗でショッピングを楽しんでいるかのような体験を提供できるバーチャルショッピングを活用する方法もあります。
店舗をメタバース上に展開する方法の一つに、TOPPANのバーチャルショッピングモールアプリ「メタパ®」というサービスがあります。仮想空間上に構築された複数店舗が一つのアプリに集約されているため、出店している企業のバーチャル店舗を複数めぐって買い物することができます。特徴は、リアルとバーチャルを融合した新しい買い物体験ができることにあり、ユーザーは友達と一緒に楽しく買い物をしたり、商品に触れるとバーチャルな商品体験が始まったりと、リアル店舗でのショッピング体験と同じような体験を提供します。
メタパ®内のショッピングでは、各ショップの公式サイトにて決済を実施するため、事前にバーチャル空間用の通貨を購入する必要もありません。一方で、その他のバーチャルショッピングサービスでは、決済に仮想通貨が使われることもあります。その場合は、事前に仮想通貨取引所で通貨を購入することで、仮想通貨を使用したバーチャルショッピングを楽しむことが可能になります。

メタバース上で音楽ライブ・イベントを開催

メタバース上では、すでに多くのアーティストがバーチャルライブを行ったり、企業などがイベントを開催したりしているのをご存知の方も多いでしょう。例えば、メタバース内に構築した音楽ステージ上に、アバターに扮した音楽アーティストがライブ演奏を行い、観客もアバターとしてライブ会場に入ることで、現実空間では味わうことのできないメタバースならではのライブ演出や、アーティストの世界観へ没入するといった新たなライブ体験を提供することができます。

PDFでまとめて読める!メタバース活用事例集 ダウンロードはこちら


メタバース関連サービスを企業が導入する際の課題

メタバース関連サービスを企業が導入する際の課題

このように、メタバースは、非常に多くのビジネスの可能性を秘めています。今後、ますますメタバースを活用するケースは増えてくるでしょう。一方で、メタバースを何らかの形で導入する際には、企業にとって次のような課題が考えられます。ぜひ課題も押さえておきましょう。

仮想通貨など法律で対応できないトラブルのリスク

仮想通貨が登場した当初は、法令などに記載が全くなく、無秩序な状態となっておりました。現在では、仮想通貨法といった法律の整備が進んでいますが、日々進化する最新技術であるため、未知の法律問題が発生する可能性もゼロとは言えない状態です。そのため、自社のメタバース関連サービス内で、現状の法律では対応できないトラブルにユーザーが巻き込まれてしまうというリスクも考えられます。メタバース関連サービスを始める上では、まずは「仮想通貨関連法」などの法律の内容を理解しつつ、未知の法律問題が発生した際の対応フローなどを事前に検討しておく必要があります。

「なりすまし」「個人情報等の情報漏洩」などの情報セキュリティリスク

メタバースは、オンライン上で展開するサービスである以上、従来のオンラインサービスと同様、情報セキュリティ対策は欠かせません。特にアバターのなりすましや個人情報等の顧客データ情報漏洩などの対策は徹底する必要があります。

商取引や詐欺などのトラブル回避策

NFTが暗号資産として活用される中、NFTを導入する際には商取引が行われることになります。すると、仮想空間内での商取引などのルールの整備や権利の保護・侵害への配慮などの責任が発生するため、入念な準備が必要になるでしょう。同時に詐欺のリスクもつきまとうため、トラブル全般への回避策を検討する必要があります。

VRデバイス利用の必要性

メタバース市場が盛り上がる中、各社からVRゴーグルやVRヘッドセットなどがぞくぞくと発売されています。こうしたVRデバイスはメタバースをより楽しむために今後も利用ユーザーを増やしていくでしょう。一方で、PCやスマートフォンなどのデバイスにプラスしてVRデバイスが必要なサービス展開をする場合、ユーザーにとってやや利用のハードルが上がってしまいます。今後は、より利用しやすいVRデバイスの開発や、VRデバイス有り無しに関わらずサービス利用できる配慮などが求められるのではないでしょうか。


まとめ

メタバースは、現在、市場が急速拡大している最中の注目の分野です。どの企業にとっても、自社のサービスをメタバース化する好機と言えます。今後、メタバースを一般ユーザーに普及させていくためには、強固なセキュリティ対策やガイドラインの整備などが求められるため、適切に対応していくことが重要といえそうです。
TOPPANが提供するメタバース関連のサービスは、セキュリティ対策などビジネス利用に最適化した仕様となっており、企業のメタバース市場への進出を万全にサポートします。ご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

メタバース関連コラム

PDFでまとめて読める!メタバース活用事例集 ダウンロードはこちら

2023.11.22

新着記事 LATEST ARTICLE
    人気記事 POPULAR ARTICLE