コラム

メタバースがビジネスに与える影響とは?
具体的な事例を交えて解説

最近、「メタバース」という言葉を、ビジネス界隈でよく耳にするようになりました。大手有名ブランドや企業がこぞってメタバースに乗り出しているのを知り、自社のビジネスでもメタバースを活用し、何かできることはないかと模索している方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、メタバースビジネスとは何か、メリットとデメリット、メタバースをビジネスに活用する方法、事例、始め方を解説します。


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メタバースビジネスとは

メタバースと聞いて、何語なのかと疑問に思った方もいらっしゃるかもしれません。実は、メタバースは造語です。「メタ(meta)」とはギリシャ語で「超越した・高次の」という意味を持ち、「バース(verse)」は「宇宙・世界」を表す「ユニバース」からきているといわれています。つまり「超越した世界」を指します。

主にメタバースは、VR技術などで作られた仮想空間にゴーグルなどを用いて、人間が入り込み、アバターとして活動をするデジタル上の世界を指しているのです。

従来のメタバースといえば、主にオンラインゲームの世界で一部の層だけで楽しまれているものでした。しかし、ここ数年で一般層にも拡大し、ゲームだけでなく、コミュニティ内のコミュニケーションやイベント、ショッピングの場としての活用も進んでいます。

世界的な各調査機関によって、メタバースの市場規模は、この先数年の間に急速に拡大すると予測されており、今後さらなる発展が予想されます。そしてメタバースのビジネス分野での活用は国内でも、今後さらに加速度を増していくことでしょう。

ここまで、メタバースビジネスの概要について解説いたしましたが、近年のコロナ禍によって、リモートワーク等が普及したことにより、メタバースビジネスにも急速な拡大が見られています。

例えば、Facebook で有名なメタは、メタバースサービスに注力するためにも、コロナ禍の 2021 年 10 月に社名を「メタ」に変更しています。そのメタは、VR 上でアバターとしてオフィスに入室し、会議や作業をすることができる「 Horizon Workrooms 」を リリースするなど、メタバースビジネスに本格的に参入しています。

コロナ禍以降、メタの様に、有名企業がメタバースビジネスに参入するケースが多く見られています。マイクロソフトがリリースした「Microsoft Mesh for Teams 」もその一つで、メンバーの姿を空間に 3D で描き出して共有することも可能になります。

このように、コロナ禍によって対面でのコミュニケーションが難しくなったことや、当初の想定よりもコロナ禍が長引いていることをきっかけに、多くの企業がバーチャル空間でコミュニケーションを行うメタバースに参入しています。

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メタバースビジネスのメリット・デメリット

メリット

・ビジネスコミュニケーション・イベント開催の効率化
メタバースは、ビジネスコミュニケーションに大きな変革をもたらします。これまで物理的に行われていたミーティングやイベント、ビジネスセミナーなどが仮想空間上で、場所を問わず実施できるようになります。メタバースでは、従来のWeb会議と異なり、アバターとして仮想空間に滞在できるので、あたかもそこにいるかのような感覚が得られ、よりリアルなコミュニケーションが実現します。

・新しいマーケティングの可能性
メタバース上では、新たなマーケティングの可能性が広がっています。例えば、メタバース上での広告配信、ブランド主導のイベント開催や商品紹介などによる価値の提供、仮想店舗の設置による集客テストなどが挙げられます。リアル世界では実現できなかった宣伝や計測が可能になります。

・新たなビジネス創出の可能性
メタバース内に疑似店舗を創設し、ショッピング体験の提供や、イベント開催、ゲーム用の洋服や装飾品の販売など新たなビジネスの機会を創出できます。

・パンデミック・災害発生時の事業継続として
メタバースは、BCP(事業継続計画)の一助にもなり得ます。仮想オフィスをメタバース上に設けることで、例えば、パンデミック時や災害時でリアルオフィスへ出社できない状況でも、デバイスと通信環境さえあれば、社員が集まり、業務やコミュニケーションが行えるメタバース空間が創設できます。

デメリット

・安定的なネットワークが必要
メタバース空間を実現するためには、ユーザーにとって遅延が少なく、安定的なネットワークが必要になります。メタバースの重要な価値の一つは「コミュニケーション」にあります。コミュニケーションが滞ってしまうと、せっかくのビジネス機会が失われることになりかねません。何よりユーザー環境の整備を推進することが重要といえます。

・メタバースビジネス開始時のイニシャルコストの課題
メタバースビジネスを行う際には、ほとんどの場合、自社でメタバース空間を設ける必要があります。その開発・構築には専門技術が必要になり、他社製プラットフォームを利用するにしても、ある程度のコストが必要です。

・トラブルや誹謗中傷のリスク
メタバースは匿名性の高さから、コミュニケーションがよりリアルに行えることから、その分、コミュニケーション上のトラブルや犯罪行為が起こりやすいという課題があります。まだメタバース空間上の法的整備がされていないこともあり、企業側はルールを明確に定め、トラブル時の対応を行う体制づくりが求められています。

・サイバー攻撃やなりすまし等のセキュリティ面の課題
メタバースが浸透するにつれて、仮想通貨のハッキングや、メタバース上でのなりすましなど、セキュリティ面での課題が大きくなると考えられます。

【アーカイブ】事例から紐解く、メタバースを使う意味


メタバースをビジネスに活用する方法

メタバースのメリットとデメリットをふまえた上で、ぜひメタバースビジネスを展開したいと考えている方もいるでしょう。メタバースをビジネスに活用する方法には、さまざまなパターンがあります。

メタバースをビジネスに活用する方法

・メタバースのプラットフォーム・VR機器・アバターを制作して提供する
メタバースのプラットフォームやゴーグルなどのVR機器、アバターなどを制作し、それを販売して提供する事業を展開する方法です。

・メタバース空間やアバターをつくるためのツール開発
メタバース空間やアバターをオリジナルで制作できるツールを開発する事業です。

・メタバースで商品販売、イベント展開などのサービスを提供
メタバース空間に店舗を設け、商品を販売したり、イベント、映画、ライブ、テーマパーク、旅行などのサービスを提供したり、広告を配信する方法です。

・オフィスで行っていた業務をメタバースで
自社の業務をメタバース上で行う方法です。バーチャルオフィスとしての利用や、アバター会議の実施などが考えられます。

・メタバースでモノづくりを行う
メタバース空間内でアート作品を展示したり、その場でイラストを描いたりするなど、アーティストとしてパフォーマンスを実施する方法です。これは企業単位というよりも個人単位の活動になることが多いかと思います。


メタバースのビジネス活用事例

ご紹介したようなメタバースのビジネス活用事例は、すでに海外や国内で多数実施されています。主なメタバースの活用事例を海外、国内それぞれご紹介します。

海外企業のメタバースビジネス事例

・仮想空間を開発してビジネスコミュニケーションの場を提供
チャットやWeb会議が行えるビジネスコミュニケーションツールを展開し、そのツールとVRによる仮想空間を作り出すサービスとを紐づけることで、メタバース上でアバターを介してビジネスコミュニケーションがとれるサービスがあります。

・「工場」をメタバース上で再現
工場の一部機能を仮想空間上に再現し、メタバースで稼働させている企業があります。メタバース空間の強みを活かし、3D設計を容易に行うことができるほか、大規模なシミュレーションなども行うことができています。

・アバター接客システムを制作
企業のメタバースビジネスを助けるために、アバター接客システムを制作して提供している企業もあります。これは来店者などの顧客への接客をアバターで行うことで、接客業務を省人化できる事業者向けのサービスです。

国内企業のメタバースビジネス事例

・東京の一都市を再現
東京の一つの都市をメタバース空間に再現し、バーチャルな世界での音楽ライブやスポーツイベントなどを開催。日本国内のみならず、世界中の人々が参加したフェスもあり、可能性が広がっています。

・バーチャル空間で音楽ライブ
コロナ禍で音楽ライブが中止になる中で、メタバースでの音楽ライブも実施されました。
特に注目を集めたのは、全世界で3 億人以上のプレイヤーを持つゲーム「フォートナイト」内にて開催された米津玄師のバーチャルライブです。インターネット上で、それもバーチャルな空間で、音楽ライブを行ったことで大きな話題を集めました。ライブのメイン会場となったバーチャル上の会場には、世界中のプレイヤーがそれぞれのアバターで参加した他、米津本人もアバターで登場することにより、バーチャル会場を自由に飛びまわるダイナミックなパフォーマンスとなりました。ライブの参加者は、リアルな会場よりも近い距離で米津を見ることができ、バーチャルならでは自由なパフォーマンスを目の当たりにしたことで、没入感の高いライブとなりました。

・バーチャルでショッピングモールを再現
TOPPANでは、メタバースショッピングプラットフォームを提供しています。複数のバーチャル店舗を一つの仮想空間に集めたアプリを使って、ユーザーはスマートフォンから気軽に、メタバース上のバーチャルとリアルを融合した新しいショッピングのかたちを体験できます。
ただバーチャル空間でモノを得るだけでなく、家族や友人と共に買い物をしたり、立ち寄った店で思いも寄らない商品と出会ったり、店員との気軽な会話を楽しんだりといったリアルならではの楽しさをバーチャル上で提供することを目的としています。

・メタバース空間でのファンイベントの実施
TOPPANは、浦和レッズのクラブ設立30 周年を記念し、「REDS 030th VIRTUAL FAN WORLD byTOPPAN 」を開設しました。
ファンワールド内では、TOPPAN がプロデュースしたメタバース空間に、浦和レッズの歴代ユニフォームやトロフィーの3DCG 、また30 年間の浦和レッズの歴史を振り返ることができる写真展や軌跡映像などの展示が体験できるようにしました。
また浦和レッズのユニフォームを着た3D アバターを介してファン同士の交流も可能にしました。展示されている選手のアバターの生成には、TOPPAN の「MetaClone ® アバター」を使用し、着用ユニフォームも忠実にCG で再現、コート上の選手を普段見ることのできない等身大で体感することができます。

・新入社員研修にメタバースを活用
TOPPANおよびTOPPAN のグループ会社では2022 年度新入社員研修を、コロナ禍を背景とした安全確保も加味し、完全オンラインで実施しました。
2022年度はそれに加え、新たに新入社員同士のコミュニケーションのプラットフォームとして、TOPPAN のアプリ「メタパ® 」をカスタマイズして導入し、メタバース上に新入社員同士の交流を促進できる場を用意しました。「メタパ® 」導入の背景としては、オンラインの欠点であるコミュニケーションのしにくさを補うためという意図があります。
また、2018 年度から継続実施しているコンディション教育に活用してきた独自アプリのノウハウを基に、TOPPAN のアプリ「たまると® 」と組み合わせ、新たなアプリとしてリニューアルし、良好なコンディション維持・管理のための教育も強化して実施しました。

TOPPANが提供するメタバース関連のサービスは、下記の資料にまとめてご紹介しています。ぜひご覧ください。

PDFでまとめて読める!メタバース活用事例集 ダウンロードはこちら


メタバースビジネスの始め方

ではメタバースビジネスを実際に始める際には、どのようなポイントがあるのでしょうか。

・メタバースビジネスの種類と収益化の方法を検討
先述のように、メタバースをビジネスに活用するパターンは複数ある中、自社は何ができるのかを検討しましょう。その際、どのように収益化するのかをよく確認しておくことをおすすめします。

・人材の確保
メタバースの構築・運用・プラットフォーム開発など、メタバースビジネスに必要な専門技術や知見を持つ人材を確保することが大切です。

・暗号資産(仮想通貨)取引所の口座開設
メタバース空間内で収益は、暗号資産によって得るのが現状です。暗号資産(仮想通貨)取引所の口座開設を行っておきましょう。

・ルールの策定/セキュリティ面・犯罪面などの対応検討
メタバースプラットフォームをビジネスとして運用する場合や、メタバース上でイベントを開催するなど主催側となる場合には、ルールの策定やセキュリティ・犯罪対策などの対応をどのように行うか、検討しておくとより良いでしょう。

・社内におけるテスト運用
メタバース空間を運用していくビジネスの場合、社内でテスト運用を実施しましょう。その上で、問題ないかを確認し、課題を解決した上で、社外や顧客に本格稼働することが大切です。


まとめ

メタバースビジネス市場は、今後、規模の拡大が見込まれており、今こそ、参入のチャンスといえます。メリットとデメリットを踏まえ、自社ができることを模索して、ぜひメタバースビジネスに乗り出しましょう。

TOPPANでは、企業がメタバースビジネスを始めるために役立つサービスを複数展開しています。ぜひお気軽にご相談ください。
また、バーチャル美少女ねむ氏にご登壇いただいたTOPPAN主催セミナーのアーカイブ動画もぜひご覧ください。

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【アーカイブ視聴可】人類の新たな生活空間・ソーシャルVR~住民たちの生活実態~

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メタバース空間で日々を過ごすVtuber「バーチャル美少女ねむ」さんに登場頂き、メタバース空間でユーザーはどの様な生活をしているのか、空間内で何が起きているのか、現実(リアル)との決定的な違いは何か等について伺いました。

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2023.04.21

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