コラム

観光業で注目のメタバース旅行とは?

現在、メタバースが世界的に話題となり、関連ビジネスに参画する企業も増えています。メタバース上でさまざまな取り組みが行われているなかで、旅行や観光サービスを提供する取り組みも増えてきているのをご存知ですか?今回は、そのメタバースにおけるVR旅行の魅力に迫ります。


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メタバースで旅行ができる!?VR 旅行とは?

メタバースは、「異なる次元からの観点」「超越した」を意味するメタ(meta)と「宇宙・世界」を意味するユニバース(universe)を合わせた造語です。直訳すれば「超越した世界」となり、一般的にはオンライン上の仮想空間に構築された世界を指します。

メタバースは、仮想空間であっても、人々が互いに交流したり、購買活動が行えるだけでなく、デジタルと物理的な世界の両方にまたがる体験ができることが特徴です。

そのメタバースは、旅行や観光業にも使用されており、VR旅行とも言われています。
VR旅行とは、VR(バーチャルリアリティ)技術を用いてメタバース空間上で旅行・観光体験をすることを指します。利用者はスマートフォンやタブレット、パソコン、VRゴーグルを活用してメタバース内でのコンテンツを楽しみます。
これにより、遠くに行けない人や身体的な理由で旅行が難しい人でも、自宅から世界各地の観光地や歴史的な場所、自然環境などを楽しむことが可能となります。また、旅行先でしかできない体験、例えばダイビングや宇宙旅行などもVRならではの体験として提供されています。

一方で、実際に現地を訪れることで得られる空気感や人々との交流などはVR旅行では得られないため、実際の旅行とはまた違った楽しみ方を考える必要があります。

メタバースでは、アバター同士の交流やショッピング、イベント開催することができるなど、必要なコンテンツを包括しているため、それらのコンテンツと相性が良いとされています。

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メタバースにおけるVR旅行の実施方法

メタバースでのVR旅行と、ひとまとめに言ってもさまざまな実施パターンがあります。例えば、次のような方法があります。

メタバースにおけるVR旅行の実施方法

バーチャル都市で観光名所や建築物を鑑賞

メタバースに現実に存在する都市を模したバーチャル都市をまるごと構築して、その街を自由に歩けるようにコンテンツを公開。またバーチャル都市の中に観光名所や建築物を設置すれば、遠方のユーザーもバーチャル観光巡りを楽しめます。

バーチャルで釣りなどのアクティビティを提供

実際の旅行で体験できる、釣りやウォータースポーツなどのアクティビティをメタバース上で擬似体験できる仕組みを提供するのも一つの方法です。

バーチャル上の旅行先でアバターを介したコミュニケーション

メタバースではアバターという自分の分身を用いて活動できますが、アバターを通じて実際の旅行のように現地の人々とのコミュニケーションを楽しむ仕組みを提供することもできます。

旅行先をイメージしたバーチャル店舗での販売

例えば、ハワイ旅行に訪れたかのようなバーチャル空間をメタバース内に構築し、そこにバーチャル店舗を設置してハワイのお土産物を販売するといったように店舗販売も可能です。

バーチャルでの移動体験

列車や飛行機、バスなど、移動も旅行の醍醐味です。その移動体験をバーチャルで提供するのも一つの方法です。


メタバースにおけるVR旅行のメリット・デメリット

メタバースでのVR旅行は、事業者にとってどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。主なメリットとデメリットをご紹介します。

メタバースにおけるVR旅行のメリット

メリット

・時間や場所を問わずに誰にでも提供できる
メタバースでの旅行は、インターネットにアクセスできる環境や端末があれば、いつでもどこからでも利用ができます。ユーザーに対する利便性は非常に高いといえるでしょう。

・見るだけでなく、疑似体験も提供できる
ただ旅行先の映像を見せるだけではなく、擬似体験を通したコンテンツを提供できるので、より没入感を持って楽しんでいただくことが可能です。ただ鑑賞するだけでなく、アバターで他ユーザーや現地スタッフとコミュニケーションしてもらうこともできるので、より旅行の楽しさを疑似体験できます。

・実際の旅行よりも低価格で提供できる
海外旅行など遠方になればなるほど、旅行に必要な金額は増加します。しかし、メタバースであれば、移動を伴わないため、行き先問わず低価格でユーザーに旅行体験を提供することができます。

・普段入れない場所も公開できる
例えば国宝や秘宝などは厳重に管理されており、一般公開されることは少なく、公開されても期間が限られていますが、メタバースであれば、このような普段入れない場所にも入ることが可能です。

デメリット

・導入費用がかかる
メタバースで旅行サービスを提供する際には導入費用がかかります。具体的には、メタバースプラットフォームの用意や構築、旅行コンテンツの制作費用などが考えられます。リアルの旅行を提供するときの、トータルコストと比較すると良いでしょう。

・長期的な運用が必要
メタバース旅行や観光のサービスは、長期的に運用していく必要があります。人員リソースや長期的な運用設計が必要です。あらかじめ運用体制を整えておくことがポイントといえるでしょう。


【アーカイブ】事例から紐解く、メタバースを使う意味


メタバースにおけるVR旅行の事例

メタバースにおけるVR旅行は、すでに多数実施されています。ここでは具体的事例を複数ご紹介します。

TOPPAN「時空を超える メタバース城郭ツアー」

TOPPANは、自社で開発した体験型観光アプリ「ストリートミュージアム」を利用し、「お城EXPO2021」にて様々なイベントを開催しました。
例えば、オンラインVRプラットフォーム上に、最新技術で、創建当時の「安土城」「彦根城」「肥前名護屋城」「和歌山城」を再現して構築。そしてメタバース内でお城を案内することで『時空を超える メタバース城郭ツアー』を実現しました。これらを体験したのち、実際に現地で史跡を観光したいと感じてもらうことを目指しました。

「バーチャル大阪」

メタバースに大阪の都市を再現した「バーチャル大阪」は、2025年開催の大阪・関西万博に先がけ、大阪の魅力を国内外に発信し、新たな文化創出やコミュニティ形成に寄与することを目的とした都市連動型メタバースです。
「新市街エリア」では、大阪市の「都市」の魅力を表現した道頓堀、大阪城、梅田スカイビル、海遊館といった大阪観光スポットがあります。
「今昔街」では、大阪の歴史・文化の魅力を表現しており、観心寺や金剛寺をモチーフとした寺社仏閣や、歴史ある寺内町をモチーフとした空間となっています。
この取り組みはバーチャルとリアルをつなぎながら、大阪に新しい魅力をもたらし、より良い変化を促すものとなりました。

横浜みなとみらいエリアのメタバースでのXR(※)観光バスツアー

ある鉄道会社は、観光庁・国土交通省と連携し、3D都市モデルをベースに横浜・みなとみらいエリアのメタバースを構築。XR技術と高精度位置認識技術を活用し、利用客がVRゴーグルを装着しながら周遊するリアルとバーチャルが融合したXR観光バスツアーを運行しました。リアルの観光バスツアーよりも満足度の高い結果が得られ、今後のメタバースの可能性が期待される事例です。

※XRとは、クロスリアリティの略で「VR」や「AR」といった技術の総称を指します。

航空会社による、旅行コンテンツの提供事例

ある航空会社は、バーチャルトラベルプラットフォームを手がけています。スマートフォン、タブレット等各種端末からアクセス可能な旅のプラットフォームとなっており、メタバース空間に旅客機に模した世界を構築。旅のテーマパーク、空港でのショッピング、エンターテイメント体験をイメージしたバーチャルショッピング空間、バーチャル上で医療・教育・行政などのサービスを展開する未来の街をイメージした空間の3種類があります。
そのうち、旅のテーマパークでは、3D CGによって描かれた世界の様々な都市や絶景スポットで旅行体験を提供しています。自宅にいながら最大8人で同時にバーチャル旅行を楽しめるほか、バーチャルでの旅行体験に合わせた現実の旅行が提案され、予約することもできます。

ホテル業者による、宿泊体験サービス

あるグローバル的にホテルを展開する企業では、大阪や東京などで展開するホテルにおいて、アバターやAR(Augmented Reality・拡張現実)を使ったゲームを楽しめる宿泊サービスを導入しました。宿泊客はゲームを通してホテル内を探索し、記念撮影もできることから、宿泊体験をしながらメタバースの世界を同時に体験することができます。

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まとめ

メタバースでの観光・旅行体験の可能性は無限に広がっています。様々なアプローチができるため、何か自社にとって得意な分野で、新しい取り組みを実施してみるのも良いのではないでしょうか。

TOPPANでは、メタバースに関連するサービスや観光や旅行の取り組みも進めています。情報誌「ideanote vol.148」ではメタバース関連の情報も掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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2024.01.24

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