メタバース不動産とは？
仮想空間内に登場した不動産市場を解説
メタバースは、アバターなどを用いてコミュニケーションや購買活動、イベント体験などができる仮想空間です。近年、注目度が高まっており、その用途はゲームなどの個人向けからビジネス向けまで広がっています。そんな中でも注目されている分野の一つが「不動産」です。
そこで今回は、メタバース内で生まれている不動産ビジネスやその市場の可能性についてご紹介します。
メタバースで不動産取引ができる？
メタバースとは？
メタバースは、一般的にバーチャルリアリティの仮想空間にアバターを参加させ、他の参加者と何らかの行動を共にしたり、コミュニケーションを取ったりすることができる空間のことです。メタバース上にいる人々は、ゲームやイベント、コミュニケーション、ショッピングを楽しむことができます。
メタバースという言葉は、「Meta」と「Universe」を組み合わせた造語で、Metaは「異なる次元からの観点」や「超越した」など、Universeは「宇宙・世界」を意味します。つまり、メタバースは“目の前の現実や次元とは異なる現実や次元の世界”を指します。
メタバースでさまざまなアイテムの売買ができる
メタバース上でショッピングやゲームなどをする場合は、現実世界のお金に紐付く仮想通貨が使用されています。この仮想通貨を用いることで、例えばデジタルアートの購入や、ゲーム内で使えるアイテムの購入ができます。
また「NFT」という言葉を耳にする機会も増えました。これは「非代替トークン」と呼ばれるもので、ブロックチェーンという仮想通貨に使われる暗号化技術を用いて、唯一無二の情報を付加することができます。
NFTの登場により、デジタルデータの所有者と唯一性を証明することができるようになったため、イラストなどのアート作品やデジタルファッションのほか、メタバース空間上の不動産にも唯一無二の価値が付けられ、売買が行われるようになっています。
仮想不動産専門の仲介プラットフォームも存在するなど、メタバースでの不動産取引は本格化し、発展してきています。
メタバースの不動産とは？
先ほど、メタバースでは不動産の取引が行われていると紹介しましたが、そもそもメタバースの不動産とは何か、もう少し詳しく説明します。
メタバースの不動産とは、メタバース内の土地や建物を指します。例えば土地を購入したら、その仮想空間上にある地面を所有する権利と、地面の上にある仮想空間を利用する権利が得られます。つまり、メタバース不動産は現実世界の不動産と同じような価値を持つとされています。
メタバースの不動産はNFTデータ
メタバースの不動産はNFTデータです。そのため、いくら他人にその不動産が複製されても所有権の証明ができないため、改ざんやなりすましの等のリスクを心配することなく、取引ができるようになり、その不動産は自分が手放さない限り、自分の所有物であり続けます。
すでに海外ではメタバース不動産の売買が活発に行われています。ゲーム内の土地が約3～5億円で売買されたり、国によってはメタバース不動産ローンが登場したりするなど、メタバース不動産市場で取引される金額も規模も大きなものとなっています。今後も、市場は徐々に拡大していくと考えられます。
メタバースの不動産活用の具体例
では、いまメタバースではどのような不動産取引が行われているのでしょうか。その具体例を紹介します。
土地の購入、売却、賃貸
メタバースの不動産は、現実の不動産と同様に、購入、売却、賃貸などを行うことが可能です。
・土地を購入・売却する
メタバース内の不動産の価格が安いときに購入し、値上がりしたら売却するという、いわゆる不動産投資が可能です。
・土地を賃貸する
メタバースの土地を賃貸することもできます。他ユーザーに賃貸し、賃貸料を得る仕組みです。
・土地に建物を作って売却する
土地を購入した後、その土地にバーチャル建築物を建設し、価値を高めた後に売却するという方法もあります。
土地を活用したビジネス展開
購入した土地でビジネスを展開することも行われています。メタバースの土地では店舗やサービスの運営、イベントの実施、ゲームの提供、広告展開などを行うことで収入を得ることができます。
すでに活発に取引されているのが、ゲームの世界です。世界的に利用されているメタバースゲームの中には、土地の購入やレンタルが可能で、自身のアバターを用いて自由に遊ぶことができるものがあります。遊ぶユーザー数が多いゲームでは、土地の価格も上がりやすいため、活発に売買・活用がされています。
メタバースでの不動産の購入方法
メタバースで不動産を購入するためには、さまざまな方法があります。その購入方法をご紹介します。
通常、メタバースで何かを購入する際には、それぞれのメタバース内で規定されている仮想通貨を使用します。仮想通貨取引所で現金を仮想通貨に換金してメタバース内で利用します。
不動産を購入するには、❶メタバースの中で直接購入する、❷メタバースの土地を売買しているNFTマーケットプレイスで購入する、❸メタバースの不動産仲介会社から購入する、の3通りの方法があります。
メタバースの不動産と現実世界の不動産の違いと注意点
メタバースの不動産と、現実世界の不動産とは共通点があるとご紹介してきましたが、違いもあります。中でも特に知っておきたい違いとそれに伴う注意点も確認しておきましょう。
リスクが大きい
メタバースの不動産は現実世界と比べて価値、つまり価格の上下が激しいため、リスクが大きいといえます。現実世界の不動産も価値の変動が激しいことがありますが、メタバースと比べればゆるやかです。
価値の基準が異なる
メタバースの不動産の価値は、現実の不動産のように希少性や交通利便性によって決まることは少なく、どれだけユーザーが訪れるかが重要です。つまり「集客できる不動産」について、価値が大きいといわれています。例えば、広い区画は大規模イベントを開催しやすいため、価値が上がります。また有名人やインフルエンサーが所有する不動産の近くの土地も人が集まりやすいため、価値が上がります。このように現実世界とは価値のつけられ方が異なることが大きな違いといえます。
売買に面倒な手続きがない
メタバースの不動産は、現実の不動産と違い、面倒な名義変更や所有者変更の手続きが不要です。書面による捺印や申請などが不要であるため、より手軽に手続きができます。
法的な面はまだ未整備
法律的に、日本ではまだメタバースの不動産の所有権が認められていません。今後、現実世界における所有権や占有権と同様に権利保護の仕組みの整備が必要になってくるでしょう。
まとめ
メタバースそのものとNFTの認知度が向上していることから、今後はメタバース空間上の不動産市場がますます盛り上がっていくと考えられます。その不動産としての価値は、現実世界での価値とは異なるため、よく理解をして取り扱う必要があるでしょう。
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2023.11.22
