マーケティングオートメーションとは?
MAツール比較・導入・活用のコツ
2014年頃から日本でも浸透、普及が進むマーケティングオートメーション(MA)。
しかしその一方で、効果を実感している企業はまだ少なく、「実際の活用イメージがわからない」「導入と運用にどのくらい負荷がかかるのか不安」との声も多く聞かれます。
そこで今回は、「マーケティングオートメーション(MA)ツールの比較・選定・から導入までのステップ」をご紹介し、そのタイミングごとの「マーケティングオートメーション(MA)ツール活用導入を成功させるためのコツ」をご紹介します。
<目次>
1.マーケティングオートメーション(MA)とは?SFA・CRMとの違い
2.マーケティングオートメーション(MA)の導入のメリット
3.マーケティングオートメーション(MA)の導入のデメリット
4.マーケティングオートメーション(MA)導入~運用の流れと段階別成功のポイント
5.【BtoB/BtoC別】マーケティングオートメーション(MA)の活用目的とシナリオ例
6.マーケティングオートメーション(MA)運用支援とは何をしてくれるのか?
7.マーケティングオートメーション(MA)導入~運用はTOPPANへご相談ください
1.マーケティングオートメーション(MA)とは?SFA・CRMとの違い
マーケティングオートメーション(MA)とは、「マーケティング活動を支援する、可視化と自動化のためのツール」のことを指します。個々の見込み顧客の興味・嗜好・関心に合わせ、適したタイミングで継続的にコミュニケーションを行うことで、顧客とのエンゲージメント強化を実現するプラットフォームです。
マーケティングオートメーション(MA)ツールは、大きく
・見込み顧客の「獲得」(リードジェネレーション)
・見込み顧客の「育成」(リードナーチャリング)
・見込み顧客の「評価」(リードクオリフィケーション)
の3つの施策における一連の流れを可視化し、自動化します。
<マーケティングオートメーション(MA)の役割>
日本でも多くの企業でマーケティングオートメーション(MA)の導入が進んでいる主な理由は、以下の通りです。
・購買行動の変化、顧客ニーズ細分化によりデジタルでの「1to1マーケティング」が必要となった
・既存顧客対応に時間を取られ、営業が見込み顧客フォローに時間を割けない
・商談機会を逃さず、適切なタイミングで効果的・効率的にアプローチしたい
さらにコロナ禍で対面での営業や展示会開催なども制限され、商談のオンライン化が加速したことも加わり、営業・マーケティング活動のアップデートを目指してマーケティングオートメーション(MA)の導入を検討、実際に活用する企業が増えているのです。
「MA」とよく比較される「SFA」と「CRM」との違いは、
・MA(マーケティングオートメーション)は、「見込み顧客を商談に引き上げる」ためのツール
・SFA(セールスフォースオートメーション)は、「商談から受注までを効率化する」ツール
・CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)は「リピート/アップセルを生み出す」ツール
と言われています。
2.マーケティングオートメーション(MA)の導入のメリット
前述の通りマーケティングオートメーション(MA)には多彩な機能(役割)がありますが、導入の本質的な成果は「営業とマーケティング関連業務の効率化」と「有効なリードと商談を創出し、売上に貢献する」ことです。
そのための手段としてマーケティングオートメーション(MA)ツールは、獲得した見込み顧客(リード)を、メールなどさまざまなチャネルを通じたコミュニケーションにより育成し、検討度合いの高い有効な見込み顧客を選別し、営業部門に引き渡す役割を果たします。
3.マーケティングオートメーション(MA)の導入のデメリット
マーケティングオートメーション(MA)はマーケティング活動の効率化に大きく貢献しますが、導入すれば自動的に成果が出るわけではありません。導入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないために、以下のデメリットを理解しておきましょう。
導入前に認識すべき主なデメリット
・継続的な運用リソースの発生
マーケティングオートメーション(MA)ツールを稼働させるには、シナリオ設計、メール作成、レポート分析などを行う担当者が必須です。兼任の担当では手が回らなくなるケースも多く、人的コストを確保できないとツールが休眠状態になる可能性があります。
・コンテンツ制作の負荷
マーケティングオートメーション(MA)は「コンテンツ(=見込み客に提供する情報)」がなければ機能しません。ユーザーにとって役立ち、購買意欲を刺激するようなコラム、ホワイトペーパー、導入事例などを継続的に制作する必要があります。
・短期間での成果が出にくい
マーケティングオートメーション(MA)は、すぐには製品が売れない見込み客を中長期的に育成する仕組みです。そのため、導入から数ヶ月は明確な結果が出にくいことを認識しておく必要があります。
4.マーケティングオートメーション(MA)導入~運用の流れと段階別成功のポイント
それでは、マーケティングオートメーション(MA)の導入~運用までの流れを見ていきましょう。
基本的な流れと、段階別の成功のコツを解説します。
1|課題を洗い出し、ツール導入の必要性を確認
まずは現状課題を明確化しましょう。「なんとなくMAツールを導入してみたい」という曖昧な理由で導入を進めると、手段が目的化し、必ず失敗します。自社にとっての営業とマーケティングにおける課題は何か、マーケティング部署だけでなく営業部署にもヒアリングして課題を挙げ、ツール導入で改善が可能なのかを見極めましょう。
その際、まずは大きく
・ 自社にとっての営業とマーケティング活動の「ボトルネック」は何か?
・ 日々の営業とマーケティング活動で、特に「負荷の高い業務」は何か?
の2項目での課題を整理しましょう。
この中で
「アポや問い合わせはあるが、成約につながりにくい」
「既存顧客対応に追われ、新規顧客の獲得や既存顧客の掘り起こしに時間が割けていない」
「顧客情報が社内に散在し、一貫した施策が行いにくい」
「適切なセールスタイミングがわからず、アクションできていない」
などの課題が挙がれば、マーケティングオートメーション(MA)導入のタイミングと言えるでしょう。
2|社内の顧客(営業)データの整理・棚卸し
次に、社内に存在する顧客情報の把握と整理を行います。リスト化、データ化されているものはごく一部で、その多くは各営業が名刺や個人ファイルとして管理しているかもしれません。それらを収集、統一した項目で整理(名寄せと重複排除)しなければ、ツールを導入しても活用できません。ツールによってはリスト数やアクション数により金額が変動するものもありますので、早めに全体のボリュームを把握しておく必要があります。
また、取引済の既存顧客だけでなく、未取引の「見込み顧客」データがどのくらいあるのかも重要です。その際は会社名や役職、氏名、連絡先(電話番号やメールアドレス)などがどのくらい揃っているか、また業種や規模情報はあるか、といった確認も必要です。この見込み顧客情報の量が多く、精度が高いほどツール導入後に成果に結びつきやすくなります。社内でこのような顧客データの整理が困難な場合は「データクレジングサービス」などを活用しましょう。
3|マーケティングオートメーション(MA)ツール比較・選定
ここまで来たら、いよいよマーケティングオートメーション(MA)ツールの選定です。
マーケティングオートメーション(MA)ツールは多種多様で、価格も月額数千円から数十万円まで幅があります。価格の差はおおむね、利用できる機能の違いです。
マーケティングオートメーション(MA)ツールの機能には、
メール(メルマガ)配信・管理/Webサイトアクセス解析/LP(ランディングページ)作成/問い合わせフォーム作成/名刺管理/CRM(顧客管理システム)/SFA連携/リードスコアリング
などがあります。
マーケティングオートメーション(MA)ツール選定時のポイントは大きく4つあります。
1つ目は、自社にとって必要な機能で選ぶこと。機能が豊富(=高額)なツールが良いとは限りません。逆に多機能過ぎて使いこなせない(オーバースペック)、使いこなすまでに時間とコストがかかるということも、よくあります。
2つ目は、使い心地を確認すること。どんなに高機能でも、使いにくいと社内で普及しません。無料トライアル可能なツールがほとんどですので、事前に実際に触ってみることが重要です。
3つ目は、サポート対応です。ツール自体が高額で、かつ導入支援も有償なものが少なくありません。どこまでが無償で受けられ、またレスポンスはよいか、社内レクチャーやトレーニングなどを実施してくれるか、フォロー体制も含めて確認しましょう。
4つ目は、自社の業態に合ったものを選定すること。マーケティングオートメーション(MA)ツールには、BtoC向けとBtoB向けが存在します。導入実績なども確認し、自社の業態に合ったものを選定しましょう。
機能の有無や価格条件はツールにより異なりますので、各ベンダーが公開している比較表を確認しましょう。自社に合ったツールがわからない場合は、TOPPANへご相談ください。
4|マーケティングオートメーション(MA)ツール 各種設定・開発
マーケティングオートメーション(MA)ツールは導入しただけでは使えません。活用するためには各種の設定が必要です。顧客リストの登録などは比較的簡単ですが、中でも
・ 自社の顧客が商品購入に至るプロセスを可視化する「カスタマージャーニーマップ」
・ 誰がある行動をしたら、どのような方法で何をアプローチするのかを決める「シナリオ」
・ 顧客の興味・関心度合いに最適な情報を継続的に自動で配信する「ステップメール」
・ 見込み顧客が有望な見込み顧客へ変化したと見極める「ホットリード」
・ 見込み顧客の行動に応じて確度を見極めるための「スコアリング」
などの設計は、知識とテクニックが求められます。
5|提供するコンテンツ・クリエイティブの整備
ここまでの整備が完了し、ツールが機能する状態になると、コンテンツやクリエイティブを整備することになります。コンテンツの企画・制作は考慮が漏れがちなポイントです。
見込み顧客の興味・関心は細分化しているため、整備するメルマガやWebサイト、ダウンロード資料、Web広告、問い合わせフォームなどのコンテンツ(文章や画像)、クリエイティブ(デザインや写真)などは多種多様です。アウトソースを含めて制作リソースを検討しておかないと、ここがボトルネックとなりマーケティング施策が思うように行えないケースは少なくありません。
6|運用フローの整備
マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入後に、誰がどのように運用するかの「運用フロー」の整備も必要です。成果を高めるにはPDCAサイクルをいかに早く、確実に回すかが重要です。そのため運用フローは事前にある程度決めたら実際に運用してみて、柔軟に変更していくことが求められます。
7|部署間の連携
マーケティングオートメーション(MA)ツールは、マーケティング部門が扱うだけでは成果が局所的です。企業の売上と利益に直結する役割を担うため、営業など事業部門、経営企画部門、情報システム部門などとの連携が欠かせません。成功させるためにはお互いに何をどこまで実施するかの役割分担と、情報を引き渡した後のフィードバックはどう行うかといったルールを定め、適切な効果検証を継続することが求められます。
5.【BtoB/BtoC別】マーケティングオートメーション(MA)の活用目的とシナリオ例
マーケティングオートメーション(MA)はBtoBとBtoCのどちらでも活用できますが、その目的や活用方法は異なります。自社のビジネスモデルに合わせて、どのような活用ができるかイメージしてみましょう。
BtoB:中長期的な関係構築と「質の高いリード」の創出
BtoBは、購買決定までに複数の関係者が関わり、検討期間が数ヶ月〜1年以上と長期にわたるのが特徴です。そのためマーケティングオートメーション(MA)は、すぐに受注に至らない見込み客との関係を維持し、徐々に製品への理解を深めてもらう「リードナーチャリング(育成)」を目的として使われます。
・具体的なシナリオ例:ウェビナー後のフロー
ウェビナーや展示会などのイベント参加者に対し、参加のお礼メールを送付。その後、「関連資料のダウンロード」「導入事例の送付」など、ユーザーの行動履歴に応じて段階的に情報を提供します。サイトの料金ページを閲覧するなど、関心が高まった(スコアが上がった)タイミングで営業活動の担当に通知し、アプローチを促します。
・その他のシナリオ例
ホワイトペーパーをダウンロードしたユーザーに対し、すぐに製品の売り込みをするのではなく、関連する別のお役立ち資料を数週間に分けて配信し、徐々に製品紹介セミナーへ誘導するシナリオも有効です。また、過去に失注したり長期間接触がなかったりする休眠顧客の履歴を掘り起こし、最新の業界レポートや法改正に関する情報、新しいイベント情報を送付して反応を見る(再度スコアリング対象とする)シナリオも、マーケティングオートメーション(MA)の得意分野です。
BtoC:大量の顧客データに基づいた「最適なタイミング」でのアプローチ
BtoCは、顧客数が膨大で、比較的短期間かつ個人の判断で購買が行われるのが特徴です。そのためマーケティングオートメーション(MA)は、大量の顧客データ(属性、購買履歴、Web行動)を分析し、個々のユーザーに最適なタイミングでアプローチ(One to Oneマーケティング)を行い、購入頻度や顧客単価の向上を目指します。
・具体的なシナリオ例:ECサイトのカゴ落ちフォロー
ユーザーが製品をカートに入れたまま離脱した場合、一定時間後に「お買い忘れはありませんか?」というメールを自動送信します。最近では、AIを搭載したツールが行動履歴を分析し、そのユーザーが詳しく見ていた別の関連商品をレコメンドすることにも役立ちます。
・その他のシナリオ例
BtoCではメールだけでなく、スマートフォンのアプリプッシュ通知やLINE公式アカウントを活用するケースも増えています。例えば、ユーザーの誕生月に合わせて特別なクーポンを自動配信するシナリオ、製品購入から一定期間後(例:化粧品やサプリメントのなくなりそうなタイミング)に再購入を促すシナリオがあります。さらに、過去の購買データから「アウトドア用品に興味がある」と判断したユーザー層にだけ、新商品の先行セール情報を配信するなど、セグメントを細分化してアプローチを最適化できます。
6.マーケティングオートメーション(MA)運用支援とは何をしてくれるのか?
ここまでご説明したとおり、マーケティングオートメーション(MA)の導入から運用までには、さまざまな工程が必要です。また、ツールの整備が完了しても運用には予想外の業務負荷がかかり、リソースが不安でなかなか導入に踏み切れない企業も多いことでしょう。
こうした不安を払しょくするのが、マーケティングオートメーション(MA)運用支援サービスです。
TOPPANは300社以上へのCRM導入・運用実績から蓄積されたナレッジと、製造業として培ってきた品質管理手法をベースに、より精緻なコミュニケーションを必要とするマーケティングオートメーション(MA)の運用を支援するサービスを提供しています。
主なサービス内容は
・MAを活用したHTMLメール/TEXTメールの配信
・シナリオメール配信機能の設計~実装
・シナリオメールの配信~効果改善
・MA運用体制の設計
・MA運用ルール設計
・個人情報の取り扱い専用セキュリティルーム構築、運用
・インプットデータの加工および連携をETLで半自動化
など、多岐にわたります。
TOPPANにはマーケティングオートメーション(MA)ツール運用に特化した専門チームがあり、数百人が在籍するデジタルマーケティング部門全体では業務量・幅に応じた人員数の可変や、高度な運用に求められるコンテンツ制作・プランニング・分析・データ基盤構築などのスペシャリストのアサインも可能。進化に合わせ、最適な体制を提供します。
また、マーケティングオートメーション(MA)ツールに限らず個社のデジタルマーケティングの状況に応じて、柔軟な対応が可能です。
これまでの支援実績では、MA・統合DB・BIの構築~運用、集計・分析教務まで一括で対応した事例や、Web接客ツールの運用とサポートデスクの運用をセットで承った事例などが豊富にあります。
7.マーケティングオートメーション(MA)導入~運用はTOPPANへご相談ください
いかがでしょうか。マーケティングオートメーション(MA)ツールはかなり普及し、利用する企業も増加傾向にありますが、うまく使いこなし、その成果を実感する企業はまだ多くはありません。今回ご説明した導入~運用時のポイントを見誤ると、かえって業務負荷が高まり、使い続けられないといった事態にもなりかねません。
マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入、運用にお悩みの方は、TOPPANまでお問い合わせください!
2025.11.17




