パフォーマンスマーケティングサービス コラム

BtoB企業でMA(マーケティングオートメーション)ツールを導入するメリットと事例紹介

BtoB企業へのMA(マーケティングオートメーション)ツール導入には業務の効率化、商談創出を促すなど多くのメリットがあります。一方、運用にあたってはBtoBマーケティングの特徴を踏まえ、MA自体の特性も活かしながら、リード獲得やリード育成など、さまざまな施策を計画的に打っていく必要があります。
そこで本記事では、BtoB領域におけるMAツール導入のメリットと、導入検討の参考になるTOPPANの事例をご紹介します。BtoBマーケティングやMA運用について豊富な知見を持ったパートナーを得ることで、より効果的にMA運用が行えるはずです。


<目次>
1.MA(マーケティングオートメーション)ツール導入によるメリット
2.BtoBマーケティングの特徴
3.BtoB企業においてMA導入が進む背景
4.BtoB企業のMA導入の費用対効果は?
5.BtoB企業がMAを導入する前に確認するべきポイント
6.TOPPANのMA導入・運用事例紹介
7.TOPPANのBtoB向けMA運用支援
8.BtoB企業のMAはTOPPANへご相談ください


1.MA(マーケティングオートメーション)ツール導入によるメリット

昨今、BtoB領域におけるMA(マーケティングオートメーション)の活用が注目されています。
しかしいざ自社のこととなると、MAツールの導入を検討してはいるものの、何から始めたら良いかわからないという方も多いのではないでしょうか。

まずは、BtoB企業でMAを導入することにより、どのようなメリットがあるのかを1つずつ見ていきましょう。

営業とマーケティング関連業務の効率化

従来のマーケティング手法では、受注確度・検討度合いに関わらず、すべてのリード(見込み顧客)に人手を割いて対応してきました。しかし、MAツールを活用すれば、リードとのコミュニケーションを自動化し、受注確度・検討度合いが高いリードのみを選別してから人(営業担当者)に渡すことができ、効率化が図れます。

1人ひとりに合ったマーケティングの実施

MAツールを活用することで、リード1人ひとりの属性データや行動パターンなどに応じて、リードごとに興味・関心内容に即したコンテンツを提供できます。リードが知りたい情報を適切なタイミングで得られることにはメリットがあり、購買意向を高めることにもつながります。

商談化の促進で売上に貢献

MAツール活用により、獲得したリードに対し、メールなどさまざまなチャネルを通じたコミュニケーションが展開できます。コミュニケーションを継続する中で、リードの検討度合いを可視化し、受注確度・検討度合いの高い見込み顧客を選別してから営業部門に引き渡せます。営業部門は受注決定に向けた商談活動に専念でき、より売上につながりやすくなります。

図1) MAツールを活用したコミュニケーション概略図

BtoB MAツールを活用したコミュニケーション概略図


2.BtoBマーケティングの特徴

MA導入にあたっては、まずBtoBマーケティングの特徴を踏まえた上で、適切なMAツールの選定や社内体制の検討を行わなければなりません。続いては、BtoBマーケティングの主な特徴を見ていきましょう。

BtoBマーケティング

BtoCマーケティング

リード数 少ない 多い
商材単価

高い

(数千万円や数億円規模になることも)
安い
購買検討期間 長期間

即時の場合が多い

購買検討者 窓口担当者のほか、その上司や決裁者など複数名 購買者本人

BtoCと比較するとリードが少ない

マス広告なども盛んなBtoC案件と比べると、BtoB案件はそもそも対象が限られやすいため、リードの数も少ないのが特徴です。ターゲット企業の業界・規模、対象者の所属部門・職位といった特性を加味したコミュニケーションが求められます。

購買までの期間が長期にわたる

メリットを感じたら個人の裁量ですぐに購買に至りやすいBtoC案件と比較して、BtoB案件は扱う金額が大きいこともあり購買(決裁承認・発注)に至るまでのプロセスが多く、長期化する傾向があります。課題認知~予算立案~比較検討~購入検討といった具合で、BtoC案件とは購買に至るまでのプロセスが大きく違ってきます。

購買に関わる担当者・人の数が多い

購入までの意志決定が個人だけで行われることの多いBtoC案件と比較して、BtoB案件では購買に関わる担当者が複数いるのが一般的です。先ほど挙げた課題認知~予算立案~比較検討~購入検討の後、もしくはその途中にも、複数の部門・立場の担当者による承認が求められます。窓口担当者はもちろん重要ですが、決裁承認者へのアプローチも意識しておかねばなりません。


3.BtoB企業においてMA導入が進む背景

ここまでご紹介したMAのメリットなどを活かすべく、BtoB企業からTOPPANへMA導入のご相談をいただく機会も増えています。次は、BtoB企業においてMA導入が進むその背景をご紹介します。

企業の購買行動が対面からWEBへと変化

テレワークの普及などを受け、企業の担当者による購買検討行動も変化しています。オフィスで営業担当者から直接情報を得るスタイルは廃れ始め、自らWEBで情報収集をするスタイルへのシフトが進んでいるのです。
ここではリードが自発的に検索し、比較検討してもらうことが鍵になりますから、WEBサイトで商品・サービスに関する情報提供を行い、問い合わせを誘導することが重要です。さらに、検討度合いが高いと見込まれるリードが発生したら、商談機会を逃さぬよう、MAによる計画的なアプローチが有効です。

人件費の抑制とマーケティング効率の向上

BtoBマーケティングでは購買までの検討期間が長いことから、購買意欲が高まるよう長期的にリードを育成する必要があります。しかし、すべてのマーケティング活動を人の手で行うのは負担が大きく、費用対効果も決して高いとは言えません。リードを集め、育て、刈り取って営業担当者に引き渡すまで一貫して引き受けるMAは、業務負荷を軽減し費用対効果も高めます。


4.BtoB企業のMA導入の費用対効果は?

MAツールの導入検討において、最も重要な指標が費用対効果(ROI)です。ここでは、ROIの基本的な計算方法と、成果を最大化するためのポイントを解説します。導入後の結果を具体的にイメージし、意思決定の後押しに繋げましょう。

MA導入におけるROIの計算方法

ROIは「Return On Investment」の略で、投資した費用に対してどれだけの利益が生まれたかを示す指標です。基本的な計算式は以下の通りです。

ROI (%) = (MA導入による利益増加額 - 導入・運用費用) ÷ 導入・運用費用 × 100

「利益増加額」を算出するには、MA導入によって改善が期待できる数値を把握する必要があります。例えば、「商談化率が向上したことによる売上増」や「マーケティング業務の自動化による人件費削減額」などがこれにあたります。

自社の課題に合わせて、どの数値を改善目標とするか事前に設定することが重要です。この設定が、導入後の効果測定の軸となります。

ROIを最大化するための3つのポイント

ROIを高めるためには、計画的な準備と運用が欠かせません。特に以下の3つのポイントを押さえることが成果への近道です。

●明確なKGI・KPIの設定と共有
何をもって成功とするのか、具体的な数値目標(KGI・KPI)を導入前に必ず設定しましょう。「半年後に有効商談数を30%増やす」といった目標を会社全体で共有することで、施策の方向性が定まり、各部門の協力も得やすくなります。

●精度の高いスコアリングルールの設計
見込み客の行動を点数化するスコアリングは、営業効率を大きく左右します。どのような行動を何点とするか、自社の顧客育成プロセスに合わせてルールを細かく設計しましょう。

精度の高いスコアリングが可能になれば、営業担当は購買意欲の高いリードに集中でき、受注率の向上という結果に繋がります。定期的にルールを見直し、改善していくこともおすすめします。

●PDCAサイクルによる継続的な施策改善
MAは導入すれば自動で成果が出る魔法のツールではありません。メール配信やオンラインセミナーなどの施策を実行し、その結果を確認・分析し、改善を繰り返すPDCAサイクルを回すことが不可欠です。どの施策が効果的だったのかを常に確認し、顧客データの一元管理というMAの強みを最大限に利用しましょう。


5.BtoB企業がMAを導入する前に確認するべきポイント

MAツールは、一度導入すると乗り換えが難しいシステムです。機能や価格だけでなく、以下の3つのことを事前に詳しく確認しましょう。自社に最適なツールを選ぶための重要なポイントです。

●サポート体制の範囲と費用を把握する
ツールをスムーズに導入し、社内に定着させるためにはベンダーのサポートが不可欠です。契約前に以下の点を明確に把握しておきましょう。

・初期設定のサポート範囲:アカウント開設や既存データの投入などをどこまで代行してくれるのか。無料で対応してくれる範囲はどこまでか。
・運用サポートの方法:電話やメール、オンラインミーティングなど、問い合わせ方法と対応時間。専任のコンサルタントがつく場合、追加費用は発生するのか。
・学習コンテンツの有無:ツールの利用方法を学べるセミナーや動画コンテンツが用意されているか。

上記のように手厚いサポート体制を利用することで、導入後の立ち上がりを早めることが可能です。

●オプション機能と将来的な料金形態を確認する
基本料金だけで判断せず、将来的な事業拡大を見据えた料金体系の概要を確認することが重要です。

・機能の範囲:標準機能とオプション機能の違いを明確にする。将来的に必要になりそうな機能がオプションの場合、追加費用はいくらか。
・従量課金の仕組み:管理するリード数やメール配信数が増加した場合、料金がどのように変動するのか。複数の料金プランのシミュレーションを依頼するのもおすすめです。

自社の成長に合わせて柔軟にプランを変更できるかどうかも、ツールを選ぶ上で大切な視点となります。

●既存システムとの連携とデータ移行の方法
MAの成果を最大化するには、社内の他システムとの連携が鍵となります。特にSFAやCRMとの連携は必須と言えるでしょう。

・API連携の可否と費用:現在利用しているSFA/CRMと標準機能で連携が可能か。追加開発が必要な場合の費用と期間はどれくらいか。
・データ移行のサポート:既存の顧客リストを移行する際の具体的な手順と、ベンダーのサポート範囲を確認しましょう。データの一元管理や正確なスコアリングのためにも、スムーズなデータ移行は欠かせません。

これらのポイントを事前に確認し、複数の会社を比較検討することが、MA導入時には重要となります。


6.TOPPANのMA導入・運用事例紹介

それではここで、自らもBtoB企業であるTOPPANのMA導入・活用事例を詳しく見ていきましょう。TOPPANでは、MAツールとして「Adobe Marketo Engage」を部門横断的に活用しています。

図2)BtoB 見込み顧客の獲得~受注までの購買プロセス

BtoB 見込み顧客の獲得~受注までの購買プロセス

見込み顧客の創出:リードジェネレーション

リードを獲得するまでのプロセスは「リードジェネレーション」と呼ばれます(図2参照)。
まずSEO対策、WEB広告出稿、オフラインでの名刺獲得などから顧客の属性や連絡先などのデータを獲得し、MAツールでコミュニケーションがとれる状況を作っていきます。

WEB問い合わせフォームの作成

SEO対策やWEB広告でできることは、主に「顧客に発見していただき、関心を高める」ところまで。そこで、MAツールを用いて問い合わせフォームを作成し、顧客に情報を入力していただくことで、リードを獲得する導線を設けました。

資料ダウンロードフォームの作成

商材に関連するダウンロード資料の提供は、「問い合わせで直接コミュニケーションを取るのはまだ早い」と考える層をリードとして取り込むのに有効です。関心を集められるよう複数の資料を準備し、ダウンロード時にフォームに情報を入力していただくことで、MAツールへ顧客の情報を連携する導線を設けました。

名刺管理システムとの連携

名刺管理システムとMAツールを連携し、営業がオフラインで収集した名刺情報を管理。情報を共有しておくことで、集めたリードに対して適切なタイミングでコミュニケーションが取れるようになりました。

WEBセミナーの開催とフォローアップ

事前申込制のデジタルマーケティングイベント「DATA CAMP」を開催。MAツールを用いてメール集客や広告配信、営業によるチラシでのご案内を行い、1,000名超の集客を実現しました。
申し込みフォームでの顧客データ獲得はもちろん、セミナー終了後にアンケートを実施し、ホット化した顧客は営業担当者が個別にフォローアップ。
またセミナーの内容を伝えるレポート、セミナーで投影した資料を編集したダウンロード資料や、関連するテーマのコラム・ダウンロード資料などを提供し、セミナー開催以降もリードと継続的に接点を持てるようにしました。

見込み顧客の育成:リードナーチャリング

メールアドレスを獲得した顧客に対しては定期的にメールマガジンを配信し、付かず離れずの関係性をキープ。リードへのリマインド訴求につながり、メール経由でも案件の引き合いを獲得することができました。

見込み顧客の優先順位付け:リードクオリフィケーション

ここまでで獲得したデータを基に「購入検討度合いの高い顧客」を定義付け、MAの分析により可視化。スピード感を持ってインサイドセールスと連携し、営業担当者から「購入検討度合いの高い顧客」へのフォローアップを行うことで、商談の創出に成功しました。


7.TOPPANのBtoB向けMA運用支援

ここまでで見てきた通り、MAには戦略的なコミュニケーション設計~丁寧な施策実行が求められます。TOPPANでは、300社以上へのCRM導入・運用実績から蓄積されたナレッジと、製造業として培ってきた品質管理手法をベースに、細部まで行き届くMA運用支援を提供しています。

TOPPANによるBtoB向けMA運用支援のサービス内容

・MAを活用したコミュニケーションの全体設計・コンサルティング
「何から始めたらいいかわからない」方でも商材やマーケットに合わせて適切にMAを運用できるようサポートしていきます。

・HTMLメール/TEXTメールの企画・制作・配信代行
「開封されないメールマガジン」ではリードとの接点が薄れてしまいます。リードの関心を高める情報発信を支援します。

・シナリオメール配信機能の設計~実装
顧客の行動履歴に応じてメールを送り、適した情報を届けるシナリオメール配信。スタート前の仕組み作りから伴走します。

・シナリオメールの配信~効果改善
配信して終わりではなく、その後の顧客の行動履歴なども踏まえてシナリオを調整。開封率、クリック率といった指標を見ながら、ともに効果改善を目指します。

・MA運用体制の設計
担当者が運用しやすい体制となるよう、MAの設計段階からサポートします。

・MA運用ルールの設計
貴重な顧客情報を安心して取り扱えるよう、セキュリティ事故を防ぐ運用ルール策定を支援します。

・個人情報の取り扱い専用セキュリティルーム構築、運用
TOPPANでは高いセキュリティ機能を備えたMAコマンドセンターを有しており、本ルーム内での運用を厳守することで、個人情報の管理を徹底しています。

TOPPANによるBtoB向けMA運用支援の強み

お客様の課題に合わせ、「何から始めたらいいか」アドバイスするところからの包括的な支援にも、必要なサービスのみに絞ったスポット的な支援にも対応。ご支援範囲を柔軟にカスタムしていただけるのがTOPPANによる運用支援の強みです。いずれのサービスも事例を豊富に揃えていますので、運用イメージをより具体的に共有しながら進めていただけます。


8.BtoB企業のMAはTOPPANへご相談ください

BtoB企業のMA運用は効果的である一方、そのメリットを最大限に生かすには、BtoBマーケティングの知識・経験からMAの強みを活かしたコミュニケーション施策まで、幅広い知見が求められます。BtoBマーケティングへのMA導入を検討されているのであれば、こうした知見も豊富なTOPPANへお気軽にお問い合わせください。

2025.11.17