コラム

WAN(広域通信網)とは?
LANとの違いも徹底解説

国内に多拠点を構える企業は、全体をつなぐプライベートなネットワークを構築する際に、さまざまな要素を考慮する必要があります。遠隔地同士を局所的なネットワークで接続することは技術的にも負荷が高いため、WAN(ワイドエリアネットワーク/広域通信網)を利用した仕組みが採用されることがあります。

本コラムでは、WANの概要からWANとLANの違い、WANサービスの種類、WAN構築にまつわる課題と解決策までWANを活用する際に知っておきたい事項をご紹介します。


WAN(広域通信網)とは?

WANの定義や特徴を確認しておきましょう。

●WAN(広域通信網)とは
WANとは、「Wide Area Network(ワイドエリアネットワーク)」を略したもので、遠く離れた拠点のLAN同士をつなぐネットワーク通信網のことを指します。

複数の拠点を持つ企業の場合、東京と大阪などの離れた拠点同士をLANで接続するのは現実的ではありません。そこで、WANによって各拠点のLANをつないで、通信を行えるようにします。

●WANの特徴
広域通信といえばインターネットがありますが、WANとは異なります。インターネットは世界中のコンピューター同士を接続する大規模ネットワークであり、接続すれば世界中のコンピューターとつながるパブリックなネットワークです。

一方で、WANはインターネットとは異なり、接続できるユーザーが限定されるプライベートなネットワークです。

WANを実現するには、専用線や専用通信機器を用意して、特別なネットワークを構築する必要があり、その点がLANとは大きく異なります。

WANとLANの違い

WANとLANはどのように異なるのでしょうか。主な違いをみていきましょう。

●LANとは?
LANとは、Local Area Networkの略称で、オフィス内や建物内の複数フロアなど、限定的なエリアで接続するプライベートネットワークです。有線と無線の接続方法があります。

●WANとLANの違い

・LANは通信事業者が不要
LANは通信事業者のサービスを介することなく、企業が自ら独自にネットワークを構築して実現できます。一方でWANは通信事業者が所有するネットワークを利用します。つまり通信事業者を介するかどうかという点に違いがあります。

・WANはLANより通信速度が遅い
一般的にWANはLANと比較して通信速度が遅いといわれています。

その主な理由は伝播遅延です。伝播遅延とはネットワーク内におけるある地点からある地点へ信号が移動するのにかかる時間が遅くなることを意味します。WANはLANに比べて遠距離であるため伝播遅延が多くなり、また、ネットワークが公共のインターネットに基づいて構築される場合には、インターネットの運用方法によっては混雑や遅延などが発生し、通信速度が低下しやすくなります。

ただ、専用線でネットワーク接続を行う場合は、WANの中でも比較的通信速度が速くなります。

・IPアドレス
IPアドレスとはネットワークに接続するデバイスに割り当てられる数字のことです。LANとWANとではIPアドレスの付与方法が異なります。LANは狭い範囲で限られたデバイスしかつながないため、WANと比較して自由に割り当てられます。WANでは通信事業者によって割り当てられるのが一般的で、世界で唯一の数字が割り当てられます。そのため、ユニークなIPアドレスが求められるインターネットに接続する際に直接アクセスできます。

・ネットワーク機器
構成する機器も異なります。LANは一般的にLANケーブルやハブ(※1)、LANスイッチ(※2)、ルーター(※3)などを使用しますが、WANはルーターやモデム(※4)、WANスイッチ、ゲートウェイ(※5)などが使用されます。ただし、WANは通信事業者によって構成の仕方が異なるため、機器は一例となります。

※1ハブ:複数の有線ケーブルを接続してすべてのデバイスにおいてデータ送信できるようにする装置。
※2スイッチ:複数の有線ケーブルを接続して、特定のデバイスに対してデータ送信が可能な装置。
※3ルーター:異なるネットワーク同士を中継し、接続する機器。
※4モデム:デジタル信号をアナログ信号に変換し、データ送受信できる機器。電話回線やケーブルテレビ回線などを通じてインターネットに接続するために使用する。
※5ゲートウェイ:異なるプロトコル(通信規約)やアプリケーション同士で通信を行うための装置。


LANは、LANケーブルやハブでデバイス同士をつなぎ、スイッチによってデータを転送します。またルーターによって中継しインターネットなどの外部ネットワークに接続できるようにします。

WANは、異なるLANをルーターで接続し、最適な経路を選択してデータ送信のルートを決定します。モデムで信号を変換したり、WANスイッチでデータ転送を効率化したり、異なる通信規約同士をつなぐゲートウェイを使用したりして構築します。

WANサービスの種類

WANにはさまざまな構築方法があり、サービスによって異なります。主な種類として、次の4つが挙げられます。

●デジタル専用線
各拠点のLANを専用線を利用してつなぐ方法です。特有の回線を利用することから、高速かつセキュアな環境下での通信が可能になる一方で、コストが高くなりがちです。

●IP-VPN
IPアドレスを介して、通信事業者が独自に構築する閉域ネットワークを実現する方法です。VPNとはVirtual Private Networkの略称で仮想の通信回線を利用する技術です。
VPNは他にインターネットを利用して構築する方法もありますが、それと比較して閉ざされたネットワークであるため、安定した通信が可能です。

●インターネットVPN
インターネットを利用したVPNです。通信速度や通信品質はIP-VPNより劣りますが、インターネットを利用するため特別な回線を用意する必要がなく、コストを抑えることができます。

●広域イーサネット
イーサネットとは有線接続の通信規格でよくLANに利用されるものです。これを拠点間など広域で実現するようにしたのが、広域イーサネットです。イーサネットのインターフェースにて、通信事業者による閉域網を利用して接続します。
プロトコルに制限がないため、柔軟性が高いという特徴があります。さらに通信速度が速く、セキュリティが比較的、強固なのも特徴です。

WAN構築の際の注意点

WANを構築するにはいくつかの課題があります。主な課題と共に解決策をご紹介します。

●自社開発の難易度の高さ
WANのネットワークを専用線で構築する場合、広域で高セキュリティかつ高速の通信が求められるため、コストも高額になりがちです。自社開発で行うのは難易度が高くなります。

●トラフィック増加を想定したリスク回避
WANを構築しても、通信がスムーズに行えなければ利便性が劣ります。そのため、WAN構築時には、トラフィックが集中したときに遅延や通信品質の低下が生じてしまいます。トラフィック増加による通信品質の低下や遅延などによる業務への影響によるリスク回避をあらかじめ行っておく必要があるでしょう。

●高度なセキュリティの確保
WANに限らず、LANにおいてもいえることですが、高度なセキュリティを実現することが求められます。LANのように自社で構築できないWANだからこそ、通信事業者やネットワーク構築事業者にセキュリティ面の徹底度やサポートを確認しておくことが求められます。

IoT分野で注目されているWANの一種LPWAとは?

WANに関連して、近年、注目されているLPWA(LPWAN)というWANの一種の無線通信技術について押さえておきましょう。

●LPWA(LPWAN)とは?
LPWAとは、Low Power Wide Areaの略称で、「Low Power(省電力)」による「Wide Area)(広域)」ネットワークが構築できる無線通信技術です。LPWAN(Low Power Wide Area Network)と呼ばれることもあり、広域ネットワークの一種です。

LPWAの特徴は、低消費電力かつ長距離通信が可能な点からコストが抑えられるところにあります。長距離通信の方法としては5Gが筆頭に上りますが、消費電力が高く高速通信であることから高コストになる傾向があります。長距離通信が求められる一方で、5Gではニーズを満たさない場合にLPWAが一つの選択肢となります。

●LPWA(LPWAN)が活用されているシーン
LPWAは、その特徴からインフラ・設備の監視・点検、獣害対策などに利用されています。これらの用途は、遠隔地に設置された温度や水位センサーなどからのデータを取得することから、少ないデータ量かつ一定間隔を置いての通信でも問題はありません。また低消費電力で長時間の稼働が可能になる点からもLPWAに適しています。

●LPWAの通信規格の一種「ZETA(ゼタ)」
LPWAの通信規格の一種である「ZETA」は、LPWAの他の通信規格と比べてメッシュネットワークによる広域の分散アクセスができる点に大きな強みがあります。通信エリアを拡大する際、新たに基地局を追加せずとも、安価な中継機をいくつか配置することで、通信エリアを容易に拡大できます。そのため、山間部などの遠隔地かつ障害物の多い場所でも、低コストに通信エリアを拡張・構築できます。ZETAは人手不足やインフラ老朽化などの課題が高まる日本において、今後さらに活用可能性が広がっている通信規格といえるでしょう。

まとめ

WANの概要やIoTとの違いなどについて解説しました。LANやWAN、IoT、M2Mなどの通信技術は、現在、企業や自治体に広く採用されており、実際の業務に役立てられています。ネットワーク構築の際、少しでも参考にしていただければと思います。

TOPPANでは、LPWA通信規格の「ZETA」を活用したリモート水位監視ソリューション「スイミール®」や遠隔獣害対策の罠監視ソリューション「リモワーナ®」などをご提供しております。センサーやカメラから取得したデータをZETAを通じてサーバーに届け、情報統合プラットフォームを通じてアプリケーション上で閲覧することが可能です。ご興味のある方は、ぜひサービス紹介ページをご覧ください。


TOPPANデジタルのソリューションのご紹介

お客さまのビジネス変革と持続的な発展をサポートするため、
さまざまなデジタルソリューションを提供しています。
下記画像をクリックし、その他のソリューションもご覧ください。




2024.12.10