コラム

地産地消の具体的な取り組み方法や
事例を解説

地産地消の取り組みは、流通経費等の削減や生活圏内での売買などにより 、生産者と実需者の距離が近付きます。そのため、少量多品種の農産物や規格外品を販売しやすくなるなど、生産者にとって大きな販売チャンスが生まれます。また、地域内の経済が活性化するのも地産地消の利点です。

本記事では、地産地消の取り組み方法や、事例を紹介します。地域経済の活性化のため、地産地消の取り組みを検討している自治体の方は、ぜひ参考にしてください。

(※)実需者とは、生産者の作った農産物を求める事業者(飲食店・宿泊施設等)のこと。


地産地消の具体的な取り組み方法

地産地消を実現するには、生産者と実需者を自然につなぐ工夫が必要です。具体的な取組方法としては、以下のようなものが挙げられます。

● 直売所の設置
● 地元のスーパーでの地場野菜の取り扱い
● 地域の学校給食や福祉施設での地元農産物の利用
●地元の宿泊施設・レストランでの地元農産物の利用
● CSAの導入
● 農業の6次産業化の取り組み
● 需給マッチングサービスの活用

直売所の設置

直売所とは、卸売業者を介さず、生産者が消費者に直接商品を販売する施設です。消費者は、新鮮な旬の農産物を購入できるほか、生産者と密なコミュニケーションを図れるため、安心感が生まれます。

直売所で商品を販売するには、運営元と契約を交わすのが一般的です。そのため、生産者にとっては、運営組合などとのコネクションを増やす機会が生まれます。

地元のスーパーでの地場野菜の取り扱い

地元スーパーと提携し、青果部門の一角に「地産地消コーナー」を設けるのも方法の一つです。

直売所の場合は、地域によって数が限られていたり、場所を探すのが難しかったりと、やや消費者の利便性に欠ける傾向があります。その点、地元スーパーであれば誰でもアクセスしやすく、より手軽に商品を購入できます。

単に商品を並べるだけでなく、生産者や産地の情報が掲載されたPOPを用意することで、消費者に親近感を持ってもらえるでしょう。

地域の学校給食や福祉施設での地元農産物の利用

学校給食は、子どもたちに地元の美味しい農産物に親しんでもらったり、地産地消の意味を学んでもらったりする絶好の機会です。

例えば岩手県では、地元の米を米粉に加工し、米粉パンにして給食に出しています。また、農林水産省が公表している、「地産地消給食等メニューコンテスト受賞メニュー 一覧(学校給食・社員食堂部門) 」を参考にするのも一案です。

参考:地産地消給食等メニューコンテスト受賞メニュー 一覧(学校給食・社員食堂部門)
https://www.maff.go.jp/j/nousin/inobe/chisan_chisyo/menu_contest_1.html

地元の宿泊施設・レストランでの地元農産物の利用

地元の宿泊施設やレストランに目を向けるのも良いでしょう。このような施設には、地元客だけでなく他地域からの観光客も訪れるため、地元の農産物を知ってもらう良い機会になります。

結果、観光需要の拡大や、ふるさと納税の寄付金増加など、さまざまな恩恵が生まれるでしょう。

CSAの導入

CSA(Community Supported Agriculture)とは、地域住民が農家と契約し、その農家で生産された農産物を定期的に受け取る取り組みです。生産者は、消費者から前払いで受け取った農産物の代金をもとに作物を育て、できたものを契約者に分配します。

農家にとっては、収穫量や卸売価格の変動によって、収入が不安定になるリスクを減らせるため、安心して農業に取り組めます。ただし、収穫量によって消費者への分配量が変化する点には注意が必要です。

農業の6次産業化の取り組み

画像引用元:6次産業化の推進について - 農政部食の安全推進局食品政策課
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ns/shs/agri-b/6_jikaR.html

6次産業化とは、1次産業にあたる生産者(農林漁業者)が、2次産業の加工や3次産業の流通・販売まで担う取り組みを指します。

たとえば、トマト農家が、収穫したトマトをトマトジュースに加工し、実需者にその商品を販売する一貫した流れを構築します。

生産者自ら流通・販売領域に参入することで、例えばそれまで商品にならなかった規格外野菜で加工品を作るなどの動きが活発になり、地元産の農林水産物を使った商品バリエーションが豊富になります。これによって、地元の生産者を応援したい消費者との距離が近付き、地産地消の促進につながるのが利点です。

需給マッチングサービスの活用

需給マッチングサービスとは、生産者と実需者をオンライン上でつなぐサービスです。生産者・実需者双方向での情報の検索や自動マッチングなどを通じて、農産物を販売したい人と、それを購入したい人を結びます。

TOPPANでは、「ジモノミッケ!®」という需給マッチングサービスを提供しています。ジモノミッケ!®は、農業生産者と飲食店や宿泊施設、介護施設などをつなぎ 、地産地消を支援するプラットフォームです。現在は、 青果物 、穀物類、花卉、一次加工品といった品目を取り扱えます。

地域内の需給情報を可視化できるため、農産物の生産者や商品価値を具体的に買い手に伝えられ 、規格外品の販売や高品質商品の販売が促進します。生産者は需要に合わせた価格設定も可能になるため、適切な金額で販売できるようになり、利益の確保につなげることができます。

また、取引のデータから各品目の需要情報が次期毎にわかるため来期の作付け量を調整できたり、地産地消を実現する取り組みとして上記で挙げた「地域の学校給食や福祉施設」「地元の宿泊施設やレストラン」での利用につなげたりできる点もメリットです。

以下で詳細を紹介していますので、気になる方はぜひご一読ください。

地産地消の取り組み事例

ここでは、ジモノミッケ!®を活用した地産地消の取り組み事例を紹介します。

福島県会津若松市

福島県会津若松市では、スマートシティ化における「食・農業」領域の取り組みの一環として、市内の生産者と実需者のマッチング事業を実施しました。その際に活用したのがジモノミッケ!®です。

2022年7月11日から9月30日にかけて行われた実証実験には、会津若松市とその近隣地域から、生産者と実需者がそれぞれ30グループずつ参加しました。その後、9月末までの間に356件のマッチングが成立しています 。実証実験が成功したことにより、2022年10月からは本運用がスタートしました。

規格外品をはじめとする食品ロスの削減や、地域内流通の最適化、新聞紙などを使った梱包の簡易化による生産者負担の軽減など、生産者と実需者を問わず、さまざまな効果を実感しています。

熊本県南阿蘇

熊本県南阿蘇村では、生産者の経営維持に向けた、生産者と実需者のマッチングに取り組んでいました。しかし、電話やFAXなどのアナログな手段で調整を行っていたため、業務効率の低下や属人化などの問題が発生していました。

そこで、データの一元管理に強みを持つジモノミッケ!®を導入します。具体的には、売上や値動きが一目でわかるダッシュボードを実装するほか、商品の掲載方法をわかりやすくカテゴリー分けし、利用者の利便性を高めています。

結果、2023年8月から2024年3月末 までの間で、1,471件の マッチングに成功しています。

地産地消の取り組みのご相談はTOPPANへ

地産地消は、地域経済を活性化させるための重要な取り組みです。その実現のためには、直売所の設置やCSAの導入などを通じて、生産者と実需者の距離を近付けることが重要となります。

施策を進めるなかで、生産者と実需者のマッチングを図りたい場合は、TOPPANの「ジモノミッケ!®」の活用をご検討ください。ジモノミッケ!®の活用には、大きく以下3つのメリットがあり、地産地消の推進に大きく貢献します。

【ジモノミッケ!®を活用するメリット】
①生産者の所得向上:生産者と実需者を直接繋ぎ、こだわりの農産物を適正価格で販売可能
②実需者の送客効果:こだわりの地元農産物を扱えるため、実需者が自社の魅力を訴求可能
③地産地消の促進:需給情報の可視化および流通経路の効率化により、地域内での農産物の
流通を活性化

以下で詳細を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

2024.04.11