コラム

製造業が工場で取り組むべきSDGs

近年、SDGsへの社会的関心が高まってきており、企業の向き合い方も注目されています。
特に製造業はその業務の性質上、SDGsへの取り組みは欠かせないものとなりますが、
具体的に何をしたら良いかよくわからない、とお悩みの方も多いかと思います。

本コラムではSDGsの概要から製造業の工場が取り組むべきSDGsの内容やメリット、
その実現方法についてご紹介します。


◎◎

<目次>
■製造業におけるSGDs
■製造業の工場がSDGsに取り組むメリット
■製造業が現場レベルで取り組むべきSDGsのテーマ
■工場でSDGsに取り組む際のポイント
■SDGsの取り組みを進めるためのステップ
■まとめ


■製造業におけるSDGs

SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、日本では持続可能な開発目標とも呼ばれています。
これは2015年に国連サミットにより採択された世界共通の目標であり、
17のゴールを定めることで経済発展と持続可能性を兼ね備えた地球の未来を実現する取り組みです。

法的な拘束力はありませんが、国、企業、個人、すべての人々が意識して取り組むべき目標であり、
具体的なアクションが求められています。

製造業に携わる工場では大型機器の稼働による温室効果ガスの排出や薬液・溶液の排水管理等、
環境面への配慮を求められるケースが多く、
サプライチェーン全体で自然環境や労働環境に配慮した取り組みがなされているか、
CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)の観点から十分な対応を実施できているか、
といった監査が要求されるケースも増えてきています。

ここでは、製造業と特に関連性の深いSDGsの目標を4つご紹介します。

7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに

工場では多くの機器が稼働することから、
エネルギーを大量に使用することによる温室効果ガスの問題があります。
省エネ性能の高い機器の導入や、エネルギーの見える化による省エネ対策が求められます。

8. 働きがいも 経済成長も

工場ではオフィスワークに比べ肉体的に過酷な労働環境となるため、
労働環境の改善による働き方の見直しが求められます。

9. 産業と技術革新の基盤をつくろう

工場の製造現場にIoTやAI等の最新技術を取り入れる企業も増えてきており、
より効率的で生産性の高い環境を実現することで売上アップや最適なリソース配置が可能です。

13. 気候変動に具体的な対策を

工場から排出される温室効果ガスは地球温暖化等の気候変動の原因と考えられています。
そのため、省エネ機器の導入やエネルギーの見える化によって
気候変動問題解決に向けた具体的な取り組みが求められます。


■製造業の工場がSDGsに取り組むメリット

製造業の工場がSDGsに取り組む必要性については上述の通りですが、
このような取り組みを積極的に行うことで以下のようなメリットが得られます。

・企業イメージおよび企業価値の向上

近年CM等でSDGsの取り組みをアピールする企業が増えてきていますが、
こういった社会全体に貢献している姿勢を打ち出すことで、
消費者や取引先に対する信頼性向上はもちろんのこと、優秀人材の雇用にもつながります。

・生産性の向上、労働環境の改善

少子高齢化の日本において、今後生産人口が減っていくことは確実視されており、
生産性を維持するために業務の効率化に取り組むことは必要不可欠と言えます。
人による作業を自動化することによって、業務の効率化はもちろんのこと、
働く人の労働環境の改善にもつなげることができます。

・投資家や顧客、取引先からの信頼性の向上

SDGsの取り組みは、取引先等のステークホルダーに対してのアピールポイントとなります。
また、ESG投資と呼ばれる、
環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視する投資家が増えてきているため、
資金調達の点でもSDGsへの取り組みは重要と言えます。

また、持続可能なサプライチェーンの構築を掲げる企業が増えてきていることから、
取引先からCSR認証機関の監査への対応を要求され、
SDGsへの対応を強化せざるを得ないケースも考えられます。


◎◎

■工場の現場レベルで取り組むべきテーマ

SDGsに取り組む必要性とそのメリットについてご紹介してきましたが、
本章では工場の現場レベルで実践すべき内容とその実現方法についてご紹介します。

・IoT、DXサービスを活用した業務効率化

センシング機能を有するIoT機器を活用して現場環境を改善することで、
作業者の負担を下げて働きやすい環境づくりを実現することができます。

例えば、日々工場内を巡回点検している作業内容をIoT機器を用いた遠隔監視に置き換えることで、
現場作業者の負担を大幅に軽減することが可能です。
現場に行く必要性がなくなることから労働災害の撲滅が可能で、
効率化によって浮いたリソースをより付加価値の高い業務へとシフトすることで、
生産性の向上にもつながります。

・作業現場のカーボンニュートラルの実現

工場のカーボンニュートラルの実現のためには、
まず電力量やCO2排出量の見える化に取り組む必要があります。
工場全体ではなく、エリアごと、機器単位で電力量の状況を把握できる仕組みを整えることで、
より詳細な電力量の調整が可能となり、コスト削減およびCO2排出量の削減につながります。

エリアごと、機器ごとの電力量の見える化はIoT機器を活用することで実現可能です。
現場で確認する必要がない無線通信を活用したサービスの利用をお勧めします。

・環境に配慮した工場づくり

カーボンニュートラル以外にも、環境事故を防ぐような仕組みづくりがSDGsにつながります。
例えば、工場から薬品や油が流出した報道がされるケースがありますが、
このような事故は環境汚染を引き起こします。

こういった環境事故を防ぐためにも、まずは工場から出る排水の状態監視と、
異常にすぐ気づけるような仕組みを取り入れる必要があります。

人による巡回監視では異常の早期発見が難しいため、
排水の状態監視にもIoT機器の活用による遠隔監視が求められます。
水質の監視を行い、異常があった際にアラートを発報するような機能を活用することで、
異常発生時の迅速な対応が実現できます。


■工場でSDGsに取り組む際のポイント

工場でSDGsに取り組む際には、以下のポイントを考慮することが大切です。

〇全体的なビジョンと戦略の策定
SDGsの取り組みを会社の長期的なビジョンと戦略に組み込むことが重要です。
これにより取り組みが一過性のものではなく、継続的なものとなります。

〇従業員の教育と意識向上
SDGsに関する教育を従業員に提供し、それぞれが取り組みの重要性を理解するように促すことが重要です。全員が同じ目標を目指すことで、より効果的な取り組みが可能になります。

〇具体的かつ測定可能な目標設定
SDGsの各目標に対して具体的かつ測定可能な目標を設定し、進捗を定期的に評価することが必要です。これにより活動の効果を確認し、必要に応じて戦略を調整することができます。

以上のようなポイントを踏まえ、SDGsに取り組んでいくことが重要です。

■SDGsの取り組みを進めるためのステップ

SDGsの取り組みを推進するためには、以下のステップで進めていくことが推奨されます。

〇現状分析と目標設定
工場のエネルギー消費など現状の環境負荷を分析し、エネルギー効率の向上や廃棄物の削減といった具体的な目標を設定します。

〇行動計画の策定
エネルギー効率化のためのシステム導入など具体的な行動計画を策定するとともに、各アクションプランの責任者を設定します。

〇実行とモニタリング
計画に基づいて具体的な取り組みを行ない、 定期的に進捗状況をモニタリングし、目標達成度を評価します。

実行後は必要に応じた計画の修正や継続的な改善を行ない、持続的な工場運営を実現します。

■まとめ

上記でご紹介した、工場内の巡回点検の自動化、電力量の見える化、排水の遠隔監視は
TOPPANが提供する点検作業のDXサービスe-Platchで実現することが可能です。

SDGsへの取り組みが重要なことは分かっていながらも、
なかなか具体的なアクションを起こせていないケースがよく見られますが、
こういった取り組みはスタートが早ければ早いほどその効果を長期間受けることができるため、
後回しにせず早めに対応を検討することが重要です。

小規模から徐々に範囲を拡大してくことも可能ですので、
まずはTOPPANのe-Platchを活用して工場内のデータの可視化から始めてみてはどうでしょうか。

データの見える化がSDGsの実現への第一歩となります。
SDGsの実現を検討されている方、SDGs対応にお悩みの方はぜひ弊社にご相談ください。

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2024.10.23

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