新潟工場におけるe-Platch運用事例
TOPPANはスマート点検支援サービス「e-Platch」を展開しており、
工場における巡回点検作業の業務改善を実現しています。
e-Platchは無線のネットワークを構築し、
アナログメーターや既存のメーターを後付けで見える化することが可能です。
本コラムでは、e-PlatchをTOPPAN新潟工場に導入した結果、
点検作業の業務改善を実現した例をご紹介します。
<目次>
■導入した内容
■e-Platchの導入背景
■e-Platch初期導入内容
■e-Platch追加導入
■導入による副次的な効果
■まとめ
■導入した内容
新潟工場においては現在
・基地局1台
・中継器2台
・ZETABOX5台
を導入し、これらの機器が現在稼働しています。
基地局、中継器によって工場内にZETAネットワークを構築し、
ZETABOXによって工場に存在している設備の遠隔監視を実現しています。
また、ZETABOX5台のうち、
2台は雨水側溝の監視、
3台はTOC計の監視に活用することで業務負荷の低減をサポートしています。
■e-Platchの導入背景
工場においては水質や空調の管理など様々な点検項目がありますが、
これらの点検項目は環境への影響を与える要素となっているものが多くあります。
そのため、近年のSDGsや環境汚染対策への意識の高まりを背景に、
より厳しい精度での点検作業が求められつつある状況になっています。
実際に「責任あるサプライチェーン」への注目が高まっており、
得意先企業から
・人権侵害をしていないか
・環境汚染対策は万全か
・法令は遵守されているか
といった調査を実施するケースも増えています。
これらへの対応が十分ではない場合、
サプライチェーンから排除されてしまうリスクがあり、
製造業が今後事業を存続する上では対応が必須となる内容です。
新潟工場においても関係会社から
「雨水が流れる側溝の水質をチェックし、
異常発生時には即時に遮断できる仕組みを導入して欲しい」
との要望を受け、e-Platchの導入を検討するきっかけとなりました。
雨水側溝は基本的に雨水が流れる側溝であるため、
工場で排出した水を流す側溝ではなく、
多くの工場が点検項目としての優先順位は低いと考えているケースが多いです。
ただし、溶液タンクの倒壊、側溝への製造物の落下などの予期せぬ事故が発生した場合、
汚染物質が雨水側溝を通って工場外に出る可能性が有るため、
近年は雨水側溝に関しても点検作業を実施するように求められつつあります。
■e-Platch初期導入内容
前項で説明したような水質の管理を背景にe-Platchの導入を決定しました。
当初は、雨水側溝におけるpHの数値チェック、
異常発生時に使用される遮断弁の稼働監視からスタートしました。
pH計に関しては、4-20mAで出力しているケースがほとんどです。
また、遮断弁に関しては異常発生時の発報に活用されることが多いドライ接点で出力しています。
これらの4-20mA、ドライ接点については、
既存設備の後付け見える化をサポートする機器「ZETABOX」によって対応が可能です。
ZETABOXは1台で4-20mAの出力3つ、ドライ接点の出力1つに対応が可能な端子を保有しているため、
1台のZETABOXでpH計、遮断弁の稼働、それぞれの見える化が可能です。
このようにZETABOXは工場における多くの点検項目に対応しており、
「後付けで無線化が可能」であるため、
大規模な工事が不要で、すぐに導入することが可能です。
側溝を流れる水の水質の自動監視を実現することで、
頻繁に現場に訪問して数値のチェックを実施する作業の負荷が低減され、
異常が発生した場合には現場に即時に駆け付けることも可能となりました。
このように水質の監視においてe-Platchを活用することにより、
公害や環境汚染発生のリスクを低減しつつ、業務効率化を実現することが可能です。
■e-Platch追加導入
さらに雨水側溝の遠隔監視のために構築した無線ネットワークの活用し、
TOC(全有機体炭素)計の遠隔監視についても追加で導入しました。
TOC計に関しては、4-20mAの出力を保有しているものを導入することで、
ZETABOXの活用によって見える化が可能です。
TOC計とZETABOXの導入により、遠隔で排水の監視を実現することが可能となりました。
従来であれば現場に訪問し、排水の数値をチェックし、数値を記録するという作業が必要でしたが、
e-Platchの導入によりこれらの作業の自動化を実現することに成功しました。
計測器の遠隔監視に際しては、有線のネットワークやLANなどを優先される場合が多いですが、
これらを実際に導入するためには、大きな手間がかかり、費用も多くかかるため、
導入が遅くなったり、導入に向けた障壁が高いためあきらめざるを得ないケースもあります。
一方でe-Platchであれば、
無線のネットワークを構築することで様々な場所のデータを収集することが可能になり、
ZETABOXなどの後付け設置が可能なデバイスの活用により、
比較的安価に、簡単に導入することが可能です。
■導入による副次的な効果
ここまでご紹介してきた通り、
従来であれば業務改善が実現しにくかったケースにおいてもe-Platchであれば、導入が可能です。
導入によって業務効率化を実現することが可能ですが、さらにさまざまな効果をもたらします。
・危険な場所の点検作業を削減
・上下移動、広大な敷地の移動に伴う体力的負荷の低減
・労働時間の減少による働く環境の改善
などの様々な導入効果を実現することができます。
また、浮いた時間を他の作業に転換したり、研修に充当することが出来れば、
さらなる従業員の生産性向上も可能です。
■まとめ
e-Platchは、比較的簡単に導入が可能な無線ネットワークを活用した点検作業支援サービスです。
一見、少ない台数での導入では効果が出ないように見えますが、
特定の場所への導入による特定の業務を改善することを実現を目指すだけでも
想定以上の効果を実現することが可能です。
上記の通り、近年はSDGsや環境汚染対策への注目が高まっており、
サプライチェーンの企業同士が、より厳しい視点で監視しあう状況が訪れつつあります。
従来の有線やLANでの導入を目指す場合、
これらの要求にこたえるためにもより多くの時間を要する可能性が有りますが、
e-Platchであればすぐにこれらの改善が可能です。
工場の点検作業にお悩みの方、
遠隔監視の実現を検討されている方は、ぜひTOPPANにご相談ください。
2024.07.04