バーチャル試着とは?
導入するメリットを企業・消費者目線で解説
最近、バーチャル試着という言葉をよく聞くようになりました。ECサイトやアプリを通じてバーチャルに試着ができることで、ECサイトでも商品の返品率が下がり、売上も高まることが期待できます。
今回はバーチャル試着とは何かについてと、導入するメリットを企業と消費者の両方の目線で解説します。
バーチャル試着とは?
バーチャル試着とは、文字通り、バーチャルで試着する仕組み・サービスのことを指します。
ARという「拡張現実」の技術を活用することにより、ECサイトやアプリなどのオンライン上で実際に服やファッション雑貨を試着するような体験ができます。メガネや時計、アクセサリーなどの装飾品まで、試着可能な商品の種類は広がっています。
主に自分の身体のサイズを登録したり、自分の写真と商品を重ね合わせたりすることでバーチャルに試着を行います。
従来、ECサイトで服を買うときは試着ができないため、おおよそのサイズを数値で確認して買うか、店舗で試着してからECサイトで購入するかのどちらかが一般的でした。
バーチャル試着を利用すれば、店舗に行かなくても、自宅で試着ができます。コロナ禍で販売や接客のオンライン化が急速に進んだのを契機に、国内外で広く普及しました。
バーチャル試着の仕組み
どのような仕組みでバーチャル試着ができるのかをご紹介します。
1.自分自身の寸法や画像を登録
バーチャル試着は、3Dデータと自身を重ねて行うのが一般的です。そのため、重ね合わせる自分の身体を何らかの形でデジタル化する必要があります。
例えば、ユーザーが自分の身長や胸囲、ウエストサイズなどを入力して登録すると、その寸法通りに自身のシルエットやアバターが画面上に作り出されます。またスマートフォンやタブレットなどのデバイスで自分自身を撮影したり、リアルタイムに動画で映したりすることでもデジタル化が可能です。
2.デジタル化された自身に商品の3Dデータを重ねる
作り出されたシルエットやアバター、もしくは写真や映像などに対して、あらかじめ生成されている商品の3Dデータを重ねます。これによって、あたかも自分が服やメガネ、サングラス、帽子などを試着しているかのように試着イメージを確認することができます。
機能としてAI(人工知能)が搭載されており、商品データがより身体にフィットするような形状に変化するものもあります。また、色や形を自由にカスタマイズして似合うものを見つけられるサービスも存在します。
このようなバーチャル試着のサービスは、ECサイトやスマホアプリなどの個人デバイスで利用できるもののほか、アパレルショップなどの店舗内に設置されたデジタルサイネージで体験できるものもあります。
バーチャル試着における企業側のメリット
バーチャル試着を提供する企業側には、次のようなメリットがあると考えられます。
・売上アップ、顧客満足度アップ
顧客は、アパレル商品を試着せずに買って「実際に着てみたら合わなかった」といった失敗をしたくないという思いを持っています。その点、バーチャル試着は、簡単な試着体験でそのニーズを満たすため、売上アップおよび顧客満足度アップにつながると考えられます。
・返品率の低減
特に返品の多いECサイトでは、バーチャル試着サービスを導入することで返品率を低減することができます。
・新規顧客開拓・機会損失の防止
試着できないことが理由で買わなかったという顧客も新たに獲得できる可能性があるため、新規顧客開拓および機会損失の防止につながります。
・試着スペースと待ち時間の削減
実店舗においてサイネージ型などのバーチャル試着を導入した場合は、試着室などが不要になり、スペースを有効活用できます。さらに、サイネージタイプであれば混雑しても服の着脱が不要なので、試着室と比べて混雑の心配は少なくなります。
・DXの推進
DXとは、デジタルトランスフォーメーションのことで、デジタルでビジネスを改革したり、新しい仕組みを作り出したりすることを指します。バーチャル試着は、新しい顧客体験を通じて顧客満足度向上や業務効率化、生産性向上に寄与するDXの一つといえます。
・新しい顧客体験の提供
バーチャル試着は顧客にとってこれまでにない購買体験を提供するものです。より多くの顧客を惹きつけることが期待できます。
バーチャル試着における消費者側のメリット
バーチャル試着を利用する消費者側には、次のようなメリットがあると考えられます。
・EC購入時の利便性向上
ECでアパレル製品を購入するときに、店舗に試着しに行かずとも、おおよそのフィッティングイメージがつかめることから、バーチャル試着には利便性向上のメリットが期待できます。
・店舗での利用時には服の着脱不要
店舗に設置されたサイネージ型のバーチャル試着サービスであれば、服を着脱することなく、手軽に試着することが可能です。例えば同じ型で色違いの服を一つずつ着て、どの色が似合うかを確かめたいときにも、バーチャル試着であれば手軽にできます。
・新しい顧客体験による楽しさが得られる
バーチャル試着は、ECサイトや店舗におけるこれまでにない新しい体験といえます。自分の写真などにアパレル商品を重ね合わせることは、それ自体に楽しみを感じられます。また普段はわざわざ試着しようと思わない種類でも、手軽に試着できることで、選択の範囲が広がり、新たなファッションを模索できるようになるという可能性もあります。
バーチャル試着導入のポイント
バーチャル試着は、企業にとっても消費者にとっても多数のメリットが期待できます。これからバーチャル試着を導入することをお考えの企業は、ぜひ次のポイントを踏まえて導入することをおすすめします。
目的の明確化
バーチャル試着サービスを導入する際には、どのような課題を解決したいかの導入目的を明確にすることが重要です。他社が導入しているからという理由で自社の目的があいまいなまま導入してしまうと、狙った成果を出すことができません。
例えば、ECサイトにおける返品率を下げることを目的とした場合には、返品率の高い種類の商品の試着を率先して勧めるといった施策が考えられます。このように、目的を明確にすることで、出したい成果も明確になることから、バーチャル試着サービス導入のメリットを享受しやすくなります。
最適なサービスの種類を選定する
バーチャル試着のサービスには、さまざまな種類があります。ユーザーがECサイトやアプリ上で自身の身長などのサイズを入力して作られたシルエットにフィッティングさせるタイプや、ユーザー自身の写真や映像とフィッティングさせるタイプがあります。また、アプリやECサイトで利用できるものから、店舗にデジタルサイネージを設置して鏡のように自分の姿を映し出し、そこに3Dデータの商品を重ね合わせることで試着するサービスもあります。
導入の目的に合わせて、どの形態が最も目的を達成できるのか、また自社の環境やサービスと合っているのかをよく吟味しましょう。
ネットとリアルを連携させることも検討する
インターネット上の体験と実店舗での体験を連携させることで、効果を上げることも有効です。
例えば、店舗でバーチャルな試着体験を提供した後、顧客は購入したい服が見つかったら、その場でECサイトにアクセスし、注文することも可能です。さらに、試着した画像をSNSに投稿して他の顧客に対してシェアできるようにするという方法もあります。
こうすることで、ネットとリアルとの連携が図られ、さらなる購買促進につながります。
まとめ
バーチャル試着は、企業にとって多様なメリットが得られます。また、新たな顧客体験を提供することで、顧客満足度の向上も期待できることから、今後も普及していくことでしょう。
TOPPANでは「DressMirror(ドレスミラー)」というバーチャルフィッティングサービスをご提供しております。
顧客がサイネージの前に立つと、顧客はバーチャルフィッティングが可能になります。動きに合わせて衣服画像を表示するので、実際に着ているかのようなリアルな見え方が確認できます。
詳細はサービスページをご覧ください。
関連コラム
2024.03.17