試着の手間を削減する
バーチャルフィッティングサービスを解説!
具体的な種類や事例をご紹介
ECで服を購入する際に、試着ができないことで不安を感じる消費者が多く存在します。そうした中、バーチャルフィッティングというバーチャル空間で試着を行えるサービスが増えています。
そこで今回は、バーチャルフィッティングサービスの特徴から普及の背景、種類や事例を解説します。
バーチャルフィッティングとは
バーチャルフィッティングとは、パソコンやスマートフォンなどのデバイスを用いて、擬似的に服やファッション雑貨の試着を行うことができるサービスのことを指します。ARという「拡張現実」の技術を用いるのが一般的です。
バーチャルフィッティングサービスの主な仕組みをご紹介します。まずアプリなどを通じて自分の身体をカメラで撮影し、その後、試着したい商品の3Dデータをアプリに表示させ、撮影した自分の画像に商品画像を重ねます。これにより、実際に試着しているかのようなイメージを確認できます。
インターネットを通じて、アプリやECサイトなどのサービスを利用する形態のほか、実店舗に設置されたサイネージの大画面で試着した自分の姿を見ることができるサービスもあります。
バーチャルフィッティングの例
例えば、あるアパレルECサイトでは、あらかじめ計測した身体サイズと撮影した写真を登録すると、自分では計測しにくい身体の細かい部分を採寸してくれる仕組みがあります。この採寸データに基づき、自分に合ったサイズの商品が表示され、3Dデータ上でバーチャルフィッティングができます。
またあるメガネ専門店では、自社のオリジナルアプリを開発し、顧客はそのアプリ上で擬似的にメガネの試着をすることが可能です。スマートフォンでリアルタイムに映し出した自分の顔の映像と3D化されたメガネの画像を合成して似合うかどうか確認することができます。またAIが搭載されており、似合う商品を案内してくれます。
バーチャルフィッティング普及の背景
バーチャルフィッティングが普及する背景には、次のようなものがあります。
近年のEC市場活性化
EC市場の活性化により、多くの消費者は衣料品をオンラインで購入するようになりました。欲しい服やファッション雑貨を、自宅にいながら手軽にパソコンやスマートフォンから購入できるようになったことで、利便性の面から購買活動が積極的に行われています。しかし、オンラインで購入した商品は実店舗とは違い試着することができず、購入したもののサイズが合わなかったり、イメージと違っていたりすることがあるため、必然的にバーチャルフィッティングのニーズは高まっています。
手間や時間をかけたくない消費者のニーズ
服を購入する際は、店舗で試着をする流れが一般的ですが、試着はどうしても手間になります。また多忙な消費者は、ECでも同じものが購入できるのであれば、できれば店舗に足を運びたくないと考えるものです。試着が面倒で時間がない人でも手軽にシミュレーションができるバーチャルフィッティングは、消費者ニーズに合っているといえます。
非接触・非対面によるアパレル接客の必要性
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、非接触・非対面によるアパレル接客の必要性が増しました。そこで実店舗のみならず、ECサイトでもできるだけ丁寧に接客したいニーズがアパレルメーカー側に出てきました。バーチャルフィッティングは、ECサイトにおける接客を有意義なものにしてくれます。
AR技術の発展
バーチャルフィッティングに利用されるAR技術や3DCG技術などの発展も目覚ましいものがあります。またアパレル業界でもDXが推進されているため、積極的に新しい技術を取り入れる潮流もバーチャルフィッティングの導入が進む理由といえます。
アパレル業界の大量廃棄の課題
アパレル業界では、大量廃棄による環境への影響が問題視されています。特にECでは返品率が高くなっており、返品された服などは廃棄につながりやすいのが現状です。バーチャルフィッティングは返品率を下げる可能性があり、大量廃棄を減らす助けになります。
バーチャルフィッティングの種類
バーチャルフィッティングには、次のような種類があります。
自分のサイズ情報とフィッティング
消費者が、ECサイトやアプリ上で自身の身長などのサイズを入力すると、コンピューター上で自身の体型を模したシルエットが作り出されます。そのシルエットに、3DCG化された服などのアイテムを重ね合わせてフィッティングを行います。一度、その身体サイズを登録してシルエットを作ってしまえば、何度でもそのシルエットを利用してさまざまなアイテムを試着できるようになるサービスもあります。
自分の写真や映像とフィッティング
自分の写真や映像とアイテムをフィッティングする方法です。大きく分けて、アプリを用いるタイプと店頭にあるデジタルサイネージを用いるタイプの2種類があります。
・アプリタイプ
アパレルECサイトが配信しているスマートフォンアプリを通じて、自分の身体をスマートフォンのカメラで撮影するか、リアルタイムで自身の映像を映し出すかして、3DCG化された服などのアイテムと重ね合わせてバーチャルフィッティングを行う方法です。
・サイネージタイプ
サイネージタイプは、店舗に設置されたデジタルサイネージの前に立ち、鏡のように映し出された自分の全身に対して、3DCG化された服などのアイテムを重ね合わせることで、試着イメージが表示されるタイプです。試着室にわざわざ入って服を着脱する必要はありません。また混雑して試着室が埋まっており利用できないといった事態を防ぐことができますし、サイネージタイプであれば混雑しても服の着脱が不要なので、試着室と比べて混雑の心配は少ないなど、利便性の面で多数のメリットがあります。
バーチャルフィッティングにおける企業・消費者のメリット
バーチャルフィッティングは企業側と消費者の双方にメリットをもたらし、新たなショッピング体験を提供します。
企業にとってバーチャルフィッティングは、顧客満足度の向上と返品率の低減に直結します。
顧客は自宅からでも、衣服やアクセサリーが自分にどのようにフィットするかを確認できるため、購入後の不満が減少し、ブランドロイヤルティの強化につながります。
また、リアルタイムでの商品の試着によって、サイズやスタイルの不一致による返品が減るため、物流コストの削減にも貢献します。
一方消費者にとって、バーチャルフィッティングがもたらす最大のメリットは、ショッピングの利便性と確信です。
オンラインでの購入は便利ですが、サイズ感が不安な点がネックでした。しかし、バーチャルフィッティングにより、試着のプロセスが簡単になり、より自信を持って購入できるようになります。また時間や場所を選ばずに好きな時にショッピングが楽しめるといったメリットもあります。
バーチャルフィッティングは、企業のコスト削減と売上増加、消費者のショッピング体験の向上という、ウィンウィンの関係を生み出しています。
バーチャルフィッティングの事例
バーチャルフィッティングの事例をご紹介します。
1.服×アプリ
ある海外のスーパーマーケットでは、バーチャル試着室プラットフォームを顧客に提供しています。
アプリを用いることで利用できるサービスで、約50人のモデルが登録されており、自分に近い身長や体型、肌色や髪色などを選んでバーチャルフィッティングすることが可能です。
また自分の写真をアップロードして試着する機能もあり、自分に合った方法によってバーチャルフィッティングができるようになっています。
2.服×サイネージ
ある日本発のアパレルメーカーは、海外店舗にバーチャルフィッティングができる鏡型のサイネージを設置しました。縦型ディスプレイとタブレット端末、カメラが備わったシステムです。
まず店舗に訪れた顧客が試着用の服を実際に着用し、鏡風のサイネージの前に立ちます。手元でタブレット端末を操作すると試着した服のカラーが変化するため、自分に合ったカラーを手軽に試して見つけられるというメリットがあります。
3.スニーカー
ある海外発のECモールでは、靴のバーチャル試着サービスをアプリで展開しています。
アプリを通してスマートフォンカメラで自分の足元を写すと、スニーカーなどの靴をバーチャルフィッティングすることができます。また多様な角度から確認できるようにもなっており、顧客体験をより充実させています。
まとめ
バーチャルフィッティングは、現在、アパレルメーカーを中心に積極的に導入が進んでいます。顧客と企業共に、多様なメリットが得られることから、今後も普及していくことでしょう。
TOPPANでは「DressMirror(ドレスミラー)」というバーチャルフィッティングサービスをご提供しております。
顧客がサイネージの前に立つと、顧客はバーチャルフィッティングが可能になります。動きに合わせて衣服画像を表示するので、実際に着ているかのようなリアルな見え方が確認できます。
詳細はぜひサービスページをご覧ください。
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2024.03.17