カスタマーエンゲージメントサービス コラム

MAのシナリオとは?設計方法・手順から
ポイントまで基礎を解説

MA(マーケティングオートメーション)の活用が進む中、いかに運用を効率的かつ効果的に行えるかが問われています。中でもその成果を大きく左右するのが、シナリオ設計です。今回はシナリオ設計の概要から活用法、設計方法やポイントまで解説します。


目次
1. MAのシナリオとは?
2. MAのシナリオ例と活用法
3. MAのシナリオ設計方法
4. MAのシナリオ設計のポイント
5. まとめ


MAのシナリオとは?

まずはMAやそのシナリオの基本を確認しておきましょう。

MAとは?

MA(マーケティングオートメーション)とは、マーケティング活動を支援する、可視化と自動化のためのツールを意味します。

MAには見込み顧客ごとに異なる興味・嗜好・関心に対して、それぞれに適したタイミングかつ、継続的なコミュニケーションを行うための機能が備わっています。主な目的は見込み顧客の育成(リードナーチャリング)とエンゲージメント強化であり、それによって売上や成約率の向上を目指します。

【参考】

MAのシナリオとは?

シナリオとは、カスタマージャーニーに基づいて立てる計画や道筋のことを指します。MAを使用する際、このシナリオを設定することが一般的です。

また、「カスタマージャーニー」とは、顧客が商品・サービスを認知し、購入や利用の意向を持った上で、他の商品・サービスとの比較、詳細情報の収集、評価やレビューを確認しながら購入や利用の検討、といった意思決定に至るまでの道筋を旅に例えた表現です。

シナリオ設計においては、このカスタマージャーニーをよく理解し、シミュレーションを行った上で、最適な見込み顧客とコミュニケーションの方法やタイミングを決めます。このような考え方で設計されたシナリオを通じて、最適なリードジェネレーションやリード獲得のためのコミュニケーションもMAに設定していきます。


MAのシナリオ例と活用法

MAのシナリオを具体的にどのように設計するのか、例をいくつかご紹介します。特に効果の出るシナリオ例を見ていきましょう。

有効なMAシナリオ例

・ユーザーが訪問したWebページや滞在時間に応じて、適したホワイトペーパーを配信
・セミナーレポート記事を閲覧したユーザーに、次回のセミナー予告を行う
・購買意欲の比較的低いユーザーにステップメールを設計する

以上のように「誰に、何を、いつ・どこで・どのように配信するのか」を設計します。これらのシナリオをMAに設定し、計画通りのタイミングでメールを配信するなど必要な情報を届ける仕組みを作ります。

MAシナリオの活用法

設計したシナリオ通りの施策により、見込み顧客の関心度合いに応じて最適な対応を取ることができます。

例えば、ユーザーが訪問したWebページや滞在時間の情報をアクセス解析によって収集することで、訪問ユーザーに適したホワイトペーパーを吟味できます。そのホワイトペーパーがユーザーにとって真に役に立つ内容であれば、ユーザーも「課題解決につながりそう」といった想像ができ、よりリード獲得という成果につながるでしょう。そして同時に、その課題解決の一手段として自社商品やサービスを選んでもらうことを促します。


MAのシナリオ設計方法

MAのシナリオ設計の方法を見ていきましょう。

先述の通り、「誰に、何を、いつ・どこで・どのように配信するのか」を順に決めていきます。あらかじめ、項目ごとの枠を決めるなどしてテンプレートを作っておき、毎回、テンプレートを使用して設計を行うと簡単に進めていくことができます。

1.シナリオの目的設定

シナリオごとに、目的を設定します。例えば購買意欲の低いユーザー層に対する施策を練りたい場合は、「購買意欲の比較的低いユーザーの購買意欲を高める」という目的を設定します。

2.「誰に」の設計

施策を行う対象となるターゲットを決めます。「購買意欲の比較的低いユーザーの購買意欲を高める」という目的であれば、購買意欲の低いユーザーの定義を行います。
その場合、「Webサイトへの訪問後、具体的な行動に至っていないユーザー」や「資料をダウンロードはしたものの、それからアクションがないユーザー」などがターゲットとして考えられます。

3.「何を」の設計

ターゲットに何をするかのアクションを決めます。目的を達成するためにどのようなコンテンツを届けるべきかを検討します。

購買意欲が比較的低いユーザーであれば、1通目にサービス詳細資料を送るよりも、簡易的に閲覧できるお役立ちコラムや資料へ誘導するための導線を設置したメールを送付して情報を案内するといった方法が考えられます。

4.「いつ」の設計

アクションを起こすタイミングや頻度、起点(トリガー)となる行動を決めます。適切でない設計をしてしまうと、不要な情報を送ってくる存在と認識され、見込み顧客からメルマガを解除される可能性もあります。慎重に設計することが重要です。

購買意欲が比較的低いユーザーであれば、購買意欲が高まる段階別に異なるコンテンツを送るステップメールの選択が考えられます。

5.「どこで・どのように」の設計

次に手段を決めます。ダイレクトメールやメールマガジン、Webサイトのポップアップ、アウトバウンドコールなどが挙げられます。
購買意欲が比較的低いユーザーの場合であれば、一斉配信のメルマガではなく個別最適化されたダイレクトメールが有効と考えられます。


MAのシナリオ設計のポイント

次に、効果の出るMAのシナリオ設計のポイントをご紹介します。

カスタマージャーニーを分析して理解する

シナリオ設計の前提として、まずカスタマージャーニーをしっかりと分析して理解することが重要です。同じ商品やサービスでも見込み顧客の属性ごとにカスタマージャーニーは異なります。複数のカスタマージャーニーを分析して理解することで、ターゲットごとの最適なコミュニケーション方法が見えてきます。

【参考】

BtoBとBtoCのシナリオの違いを理解する

BtoBとBtoCでは商材やマーケティング手法が異なるように、シナリオも変わってきます。BtoBは顧客が多くの場合に企業となるため購買までの期間がBtoCと比べて長く、意思決定に複数人が関わることから、カスタマージャーニーも大きく異なります。またBtoBはBtoCと比べて見込み顧客の数が圧倒的に少なくなるといった数の違いもあり、管理面でも変わってきます。

BtoBとBtoCそれぞれのカスタマージャーニーの特性をつかみ、最適なシナリオを設計していきましょう。

継続的にブラッシュアップする

シナリオは一度作成したら終わりではなく、実際に運用しながら成果を見て改善を行うことを繰り返し、継続的にブラッシュアップしていくことで成果につながっていきます。

そのためには、シナリオ設計の目的にたどり着くためのマイルストーンとしてKPIを複数設定し、それぞれのKPIを達成するためのシナリオ設計を行うことを推奨します。


まとめ

MAのシナリオの基本や設計方法、ポイントなどをご紹介しました。シナリオはMAの運用を始める際に、最初に設計する重要なものです。MA導入の効果を高める意味でも、ポイントを押さえて効果の出るシナリオ設計を行っていきましょう。

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2025.03.21