リードナーチャリングはMAと
インサイドセールスの連携で決まる!
成果を出す実践ノウハウ
- エンゲージメントサービス本部
- 桑原 唯
近年、急速なデジタル化やオンライン化を受け、顧客の購買行動が大きく変化し、BtoBマーケティングにおける環境も大きく変わっています。 そのため、顧客のニーズや課題を正確に理解しながらアプローチすることが求められています。そこで有効な活動がリードナーチャリングです。
今回は、リードナーチャリングの定義から必要性と重要性、具体的施策、インサイドセールスの役割と重要性まで、BtoBマーケティングにおける商談化率を高める実践ノウハウをご紹介します。
<目次>
1.リードナーチャリングの必要性・重要性
2.リードナーチャリングとは?
3.リードナーチャリングの具体的施策
4.リードナーチャリングにおけるインサイドセールスの役割・重要性
5.まとめ
1.リードナーチャリングの必要性・重要性
リードナーチャリングとは、コンテンツマーケティングやインターネット広告、メールマーケティングのほか、展示会などのリアルイベントを通じて得たリードを、中長期的に育成していく手法です。
近年、このリードナーチャリングの必要性や重要性が高まっています。その背景として、次の点が挙げられます。
BtoB領域における購買行動の変化
近年、デジタル化やスマートフォンの急速な浸透を背景として、BtoB領域における顧客の購買行動に変化が起きています。従来、顧客が商材に関する情報収集を行う際には直接営業担当者に会うのが一般的でしたが、近年はインターネットを通じて手軽に多様な情報を入手できるようになったこともあり、顧客は営業担当者との接触前に情報収集を済ませていることがほとんどです。
こうした変化を受け、BtoB企業は商談前の段階から「リード(見込み顧客)」としてターゲットへとアプローチし、課題に合致した情報提供を重ねていくことで、自社商材への興味を喚起し、関係を構築しながら購買意欲を高めていく必要性が出てきています。
営業活動の効率化と受注率の向上
獲得したすべてのリードを営業部門がフォローするのは、リソースの観点から非効率的です。リードナーチャリングでは、購買意欲が成熟していないリードを育成し、最適なタイミングで「確度の高いホットリード」として営業に引き渡す仕組みを作ります。これにより、営業部門は受注確度の高い案件にのみリソースを集中できるようになり、営業効率が大幅に向上し、結果として全体の受注率を高めることが可能になります。
休眠リードの再活性化と企業との信頼関係構築
過去に接点があったものの、現在は取引のない「休眠リード」は、製品やサービスを認知しているため、フォロー次第で優良顧客になる可能性を秘めています。新規顧客の獲得コストは既存顧客の5倍とも言われており、休眠顧客は「眠れる資産」です。リードナーチャリング では、メールマガジンやコンテンツ提供を通じて、これらのリードとの接点を維持・再構築し、再活性化させることができます。また、顧客の課題解決に役立つ情報を継続的に提供することで、企業への信頼感を高められるため、長期的なエンゲージメントを築く上でも極めて重要です。
2.リードナーチャリングとは?
リードナーチャリングは、マーケティング・営業プロセスのうち、次の図のような位置付けとなります。
リードナーチャリングでは、リードジェネレーションによって獲得したリード情報を用いてアプローチし、育成を行うことで購買意欲を高めます。商談レベルにまで引き上げたら、商談担当に引き継ぎます。リードナーチャリングによって育成を進める際に、確度の高い見込み顧客の絞り込みを行いますが、このプロセスを切り分けて「リードクオリフィケーション」と呼ぶこともあります。
リードナーチャリングでは、電話やメール、Web広告、コンテンツマーケティング、SNS、ウェビナー、リアルの展示会やセミナーなどを通じて、見込み顧客の課題をヒアリングし、情報提供しながら育成していきます。
リードナーチャリングのミッションは、ただ商談につなげることだけではなく、いかに質の高い見込み顧客を商談担当にトスアップできるかという点にあります。見込み顧客が抱える課題が、自社商材によって解決できるかどうかのマッチングなどを含めて見極め、絞り込みを行っていくことが重要です。
3.リードナーチャリングの具体的施策
続いて、リードナーチャリングの具体的な施策をご紹介します。「MA(マーケティングオートメーション)」「スコアリング」「CRM(顧客関係管理)」「アウトバウンド(電話)」の4施策です。
MA(マーケティングオートメーション):ナーチャリングのエンジン
MA(マーケティングオートメーション)とは、リードナーチャリングのエンジンともいえる役割を果たすツールです。リードナーチャリングを効率的・自動的に行うために必要不可欠です。
MAには、効率的なリード獲得から育成、選別を実施できる機能がそろっており、特に育成・選別機能については、メール配信、Webサイトの行動追跡、セグメント分けといった機能があります。あらかじめ定めた「見込み顧客の誰に・いつ・何を」届けるかのシナリオを、実行する役割を担います。
例えば、次のようなシナリオを実行します。
・料金ページを見たリードへ導入事例をメールで送信
・特定の資料をダウンロードしたリードへステップメールを送信
・展示会ブースに訪れたリードへ詳細な商材紹介資料や導入事例、課題解決に役立つコンテンツをメールで送信
スコアリング:見込み顧客の熱意を可視化する
スコアリングとは、見込み顧客の属性や行動に点数をつけて、熱意や購買意欲を数値的に可視化することです。MAの重要な機能の一つとなっており、リードナーチャリングで欠かせない施策です。
スコアには主に、業界や規模、年齢、役職、部署などの属性スコアや、Web閲覧履歴、メール開封状況、セミナー参加状況などのオンライン・オフラインの行動スコアがあり、項目ごとに点数を付けます。
【スコアリング例】
・上場企業:+5点
・メール開封:+1点
・事例ページ閲覧:+3点
・資料ダウンロード:+10点
など
これにより、購買意欲が高まっている確度の高い見込み顧客を客観的な指標で判断でき、営業へ引き渡す最適なタイミングを見極められます。
CRM(顧客関係管理):全社で顧客情報をつなぐハブ
CRM(顧客関係管理)とは、顧客情報を集約して管理するシステムです。マーケティング部門だけではなく、営業部門も含めた全社において顧客情報を一元管理できるデータベースとしての役割があります。MAと連携させることにより、営業活動の履歴や商談結果なども踏まえた上で顧客情報を閲覧できるため、より個々の見込み顧客に合ったパーソナルな育成活動が可能になります。
アウトバウンド(電話):人だからこそできる関係構築
スコアリングで点数が段階的に高まっている見込み顧客に対し、電話を通じて課題をヒアリングしたり、解決に向けたディスカッションを行ったりします。MAによるデジタルなアプローチだけでは拾いきれない、顧客の細かなニュアンスや潜在的な課題、休眠理由を引き出すことができるため、単なるアポイント獲得以上の深い関係性を築くことが可能です。
4.リードナーチャリングにおけるインサイドセールスの役割・重要性
リードナーチャリングの役割は、「インサイドセールス」が担うケースが増加しています。
その役割とは何か?実行ポイントと併せて解説します。
マーケティングと営業の「橋渡し役」
インサイドセールスは、「内勤営業」ともいわれる営業手法の一種で、主に電話やメール、SNS、オンライン会議ツールなどを通じて見込み顧客への営業活動を行う役割を担います。MAなどを活用して育成したリードを確実に商談につなげるための重要なポジションです。
インサイドセールスはリードナーチャリングを担うことが多く、マーケティングや営業の商談担当者(フィールドセールス)の「橋渡し役」として機能します。そのため、マーケティング施策の効果を最大化し、フィールドセールスの生産性を高める役割があります。商談化率や受注率を高めるために欠かせない部門として注目されています。
インサイドセールスが担うべき2つの重要な役割
インサイドセールスは、その役割によって次の2つに大別されます。
●SDR (Sales Development Representative)
「反響型」のインサイドセールスと呼ばれており、主に見込み顧客からの問い合わせに対応しながら商談化を目指します。
●BDR (Business Development Representative)
「新規開拓」のインサイドセールスと呼ばれており、ターゲット企業に対して能動的にアプローチし、商談機会を創出します。
SDRとBDRは営業戦略に応じて使い分けることが重要です。
見込み顧客の生の声をフィードバックする価値
インサイドセールスを実行する際にポイントとなるのが、見込み顧客との対話で得た「生の声」を取りこぼさないことです。生の声とは、例えば市場のニーズ、競合情報、製品への要望などが挙げられるでしょう。これらの声をマーケティング部門にフィードバックすることで、今後のマーケティング施策のコンテンツの改善や新たな施策につながり、ナーチャリング活動全体の質が向上します。
5.まとめ
リードナーチャリングは、顧客行動が変化する時代において、良好な関係を構築しながら購買意欲を高めていく重要な活動です。MAやインサイドセールスを有効活用することで、商談化率と受注率を効果的に高められます。また、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスが密に連携することで、マーケティング・営業プロセスを最適化することが可能です。
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2025.11.26



