エクスペリエンスデザインサービス コラム

「共感」を生むコンテンツとは?
顧客の心に響かせるCX戦略における
ストーリーテリング手法

CX(カスタマーエクスペリエンス/顧客体験)が注目されており、各社が様々な体験を提供しています。CX戦略を緻密に構築し、取り組んでいくことが顧客生涯価値(LTV)を最大化するためにも重要です。

今回は、CX戦略の必要性、効果的なCX戦略の立案・実行方法、CX戦略における成功ポイントである「ストーリーテリング手法」やCXの成功事例をご紹介します。


<目次>
1.CX戦略はなぜ必要?重要な背景を解説
2.効果的なCX戦略の立案・実行方法
3.CX戦略における成功ポイントは「共感」!ストーリーテリング手法とは?
4.ストーリーテリングによるCX成功事例
5.まとめ


1.CX戦略はなぜ必要?重要な背景を解説

CXとは、「Customer eXperience/カスタマーエクスペリエンス」の略称で、「顧客体験」と訳されます。顧客が自社の商品・サービスを認知し、購入に至るまでの過程から、購入後利用して自社によるフォローを受ける過程まで、すべての過程における体験です。目に見える機能やサービスだけでなく、過程における感情体験も含みます。



CX戦略とは?必要な背景

CXを戦略的に高めるマーケティング手法をCX戦略と呼びます。
近年、企業はCX向上を戦略的に実施していくことが求められています。
その背景として、市場の成熟化、顧客ニーズの多様化・高度化によって、商品やサービスの機能や価格だけでは差別化が図りにくくなっていることが挙げられます。また、WebサイトやSNS、メールなどオンラインの顧客接点が増加し、マルチチャネル化が進む中、よりスムーズな顧客体験を提供する必要性が増している点、オンラインにおける顧客行動データやリアルな声を取得しやすくなっている点なども背景として挙げられます。


2.効果的なCX戦略の立案・実行方法

CX戦略の立案・実行方法を見ていきましょう。

(1)現状把握・ペルソナ・カスタマージャーニーマップの作成
CX戦略を立案する前に、現状の顧客体験を把握して分析します。データをもとに、顧客が自社の商品を購入する際に、いつ、どこで、どのような行動をして、どのような気持ちになるのかを顧客視点で洗い出していきます。
このとき、ペルソナ(架空の顧客像)と、顧客がたどる「認知・購入の意思決定・購入・利用・評価」の一連の流れを顧客視点で時系列に並べた図であるカスタマージャーニーマップを作成すると良いでしょう。社内での認識共有にも役立ちます。

(2)戦略・施策策定
カスタマージャーニーマップやアンケート調査、クレームなどから得られる情報をもとに、CX戦略を策定します。また戦略に基づく最適な施策を検討します。

【施策例】Webサイト改善、カスタマーサクセス部門の創設、注文システムの整備、セミナーや交流会の実施など

(3)KPIの設定
施策を実行する際にKPIを設定することで、達成度合いの可視化や軌道修正が容易となり、着実に成果につなげられます。よく利用されるKPIには顧客満足度、NPS(※)、LTV(顧客生涯価値)などがあります。

※「Net Promoter Score」の略で、顧客ロイヤルティ(商品に対する愛着・信頼)を測る指標。ブランドに対する推奨者や批判者の割合を測定。

(4)施策実行
戦略に基づく施策を実行します。

(5)効果測定
実行した施策に対する効果測定を行います。事前に設定したKPIを測定して、改善すべき課題を洗い出します。

(6)継続的な改善・実行
施策実行結果から得られる改善策を施し、実行しては測定、改善を繰り返します。


3.CX戦略における成功ポイントは「共感」!ストーリーテリング手法とは?

CX戦略における施策には様々な種類がありますが、成功のポイントの一つとしておすすめなのが、ストーリーテリングを取り入れることです。その重要性とメリットをご紹介します。

ストーリーテリングとは?

ストーリーテリングとは、商品やサービスの価値を、数字やデータではなく感情を揺さぶるストーリーを通じて伝えるマーケティング手法です。ストーリーを通じて顧客の感情に訴えることで、特別なCX体験の提供が可能です。

特にストーリーテリングの大きな効果が「共感」を生み出すことです。共感は企業やブランド、商品・サービスとの深い関係性を創出します。

ストーリーテリングの重要性とメリット

ストーリーテリングは、近年、特に重要視されています。その背景には、生活者が数えきれないほどのブランドに囲まれて生活していることが挙げられます。機能や品質は各企業が切磋琢磨して高め合っており、比較してもそれほど差が見つからないことが多くなっています。このような中で売れ続けるためには、顧客に対して商品・サービスを通じた喜びやお悩み解決などの価値のある体験を提供することが重要です。

ストーリーテリングは顧客の感情を刺激し、心を動かすことで、新たな差別化を図ることのできる有効な手法といえるのです。


4.ストーリーテリングによるCX成功事例

ストーリーテリングを実施したことで、CXを成功させた注目の事例をご紹介します。

その製品がユーザーの生活をどう変えるのかというストーリーに重点を置く

あるモバイル端末メーカーは、ストーリーテリングによるアプローチを行っています。製品の新作発表会においても、ただの技術的なスペックを紹介するだけではなく、その製品を通じてユーザーがどのような生活になり、どのような体験を得られるのかのストーリーに重点を置いた説明を行っています。
新製品の価値は、単なるスペック向上ではなく、実際に使うユーザーの体感や生活にどのように組み込まれ、どのように生活がアップデートされるのかによって決まるという考え方がベースにあります。

ターゲットとなる顧客を主人公にする

あるビューティーケア製品を取り扱うブランドは、ターゲットとなる顧客を主人公に見立てて、動画を制作しました。自信を失くしているターゲットが、自分の美しさに気づくストーリー展開にして、ターゲットが自分ごと化しやすくすることで、ファン創出につなげています。

人物ストーリーLPがセールスレターLPの売上を凌駕

あるCRMツールを提供する企業は、LP(ランディングページ)のABテストを行いました。一つは、ストーリーテリングを意識した人物を主人公にした構成、もう一つは、一般的なセールスレター風の構成にしました。
効果を測定した結果、人物ストーリーLPのほうがセールスレターLPと比べて、40%程度の売上アップを実現しました。


5.まとめ

CX戦略は、競争が激化する市場において顧客に選んでもらうために重要な取り組みです。中でも、感情を刺激するストーリーテリングは、CX戦略全体を通じて押さえておきたい手法です。

CX戦略やストーリーテリング手法についてご興味のある方や課題を抱えている方は、ぜひTOPPANにご相談ください。
CX戦略ソリューションチームが、CX戦略の立案から運用、ストーリーテリングのご提案まで一括サポートいたします。

2025.08.19