社員証・職員証リニューアル発行時のポイント
個人を識別し所属を示すために利用されているIDカード型の社員証や職員証。
多くの企業や団体において、社名変更や周年事業などのタイミング、またはカード発行機の保守切れなどをきっかけに、運用方法やシステム変更なども含めてリニューアルが検討されます。カード券面に顔写真を掲載していると、何年も前の顔写真のまま使い続けるわけにもいかないため、10年程度で社員証・職員証のリニューアルを行う企業・団体が多数を占めます。そしてその中でも拠点数や人数が多い場合、この“顔写真”が思わぬ負担になることがあります。
社員証・職員証のリニューアルにあたって検討する項目は、次の3つに大別されます。
①機能面
②製造・発行方法
③管理・運用面
そこで、それぞれの項目で注意するべきポイントをまとめました。
①機能面
個人を識別するためだけであれば、シンプルな「プラスチックカード」や「紙カード」などでもその要件は満たされますが、近年では「ICカード」にして入退室管理機能を持たせたりPCやプリンターなどの認証キーとして利用したりするなど、社員証・職員証が多くの用途に使用されています。1枚のカードに多彩な機能を持たせシステムと連携することで、セキュリティの向上や管理の効率化などにつながります。
もし、今後何かシステム連携をしたいと考えているのであれば、カードの拡張性まで考慮しておきましょう。
【ICカード利用シーン】
労務管理
タイムカードの代わりにICカードを利用して勤怠管理を実施
入退室管理
ICカードを利用して入退室の可否や履歴情報を記録
PCログイン
PCのログイン認証時にICカードを利用
食堂管理システム
決済シーンでICカードをかざすだけで、給与天引きや電子マネーでの支払いに
また、カード加工技術を組み合わせることで、より高い機能性を持たせた社員証・職員証を作成することができます。触れることでカードの判別を付けることができるようにしたい、カードがこすれて文字がにじむのを防ぎたい、カードの偽造防止効果を高めたいなど、“カードそのもの”に求める機能も事前に検討しておきましょう。
レーザー印字 | レーザー光でカードの内部を発色させて印字します。 カードの表面への印字と比べ、かすれや改ざんの防止に優れた効果を発揮します。 微細な文字や細かい画像も鮮明に表現可能です。 |
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タクタイル加工 | レーザー照射により、指でさわって判別できる凸状の加工が可能です。 エンボス加工と違い、デザインに柔軟性があることも特長の一つです。 |
パールインキ | 偏光・光沢感が増すパールインキを使用した印刷。 保険証などで採用実績が多く、カードの偽造防止に有効です。 |
マイクロ文字 | 肉眼ではよく見えない程度の小さな文字を印刷します。 拡大鏡で見ないと何が書いてあるか分からず、一見文字には見えないため偽造防止に大変有効です。 |
ヒドンワード | 独自配合のインキを使用し、コピー機などでスキャニングすると文字が浮かび上がります。 |
社員証・職員証のカード券面デザインは、その企業・団体のシンボルにもなり、ブランディングという点でも重要なツールです。小さな券面に掲載必要項目をどのようにレイアウトするか、名前など可変項目の最大文字数や加工技術、製造方法との兼ね合いなど、デザイン一つとってもさまざまな配慮が必要となってきます。
社員証・職員証を首から下げて常に装着する場合は、ネックストラップやバッジリール、カードホルダーなどカード周りのツールも併せて用意する必要があります。ストラップをコーポレートカラーで製造し、カード券面デザインと統一感を持たせることもできるので、このあたりも一緒に検討できるとさらにブランディングにつながるでしょう。
②製造・発行方法
カードの製造方法は2通りあります。
・背景をプレ印刷したカードに可変データをプリントする方法
・白いカードに全面プリントする方法
色再現性やカード発行までのリードタイムなど、それぞれ一長一短があります。
プレ印刷したカード | 白カード | |
---|---|---|
メリット | 〇色再現性が高い 〇大量製造時に低価格 |
〇在庫カード使用のためすぐに発行可能 〇少量発行時に低価格 |
デメリット | △カード製造に時間がかかる △少数製造時に高価格 |
△色再現性が低い(金銀特色は不可) |
また、カード発行についても、自分たちでカード発行を行う「自社発行」と、出来上がったものを納品してもらう「委託発行」との2通りの方法に大別されます。
自社発行の場合はベースとなるカードを在庫しておき、カードプリンターを使って自分たちでカード発行を行います。好きなタイミングで作業ができるので小回りが利く半面、カードプリンターの保守やカードの在庫管理などが必要となります。新入社員入社時など社員証・職員証の大量発行時は委託発行をして、普段の再発行などは自社発行する、といった「ハイブリッド発行」も可能です。
③管理・運用面
社員証・職員証のリニューアルにあたって一斉発行するタイミングで負担になりやすい点が、冒頭に挙げたように券面に掲載する「顔写真」の収集です。
何千人もの顔写真を一定のクオリティーと規格に統一し、さらに個人情報とひもづける。カメラマンに依頼して写真を撮ってもらったとしても、業務都合でスケジュールが合わない人が出てきたり、拠点が多ければ何カ所も回らないといけなかったりと、日数や手間、コストは膨大なものになります。社員・職員一人ひとりがスマートフォンやタブレット端末で写真を撮って収集できるツールを利用することで、煩雑な業務を削減することができます。
さらに、社員証・職員証のカード券面に掲載されるのは個人情報なので、その管理体制も重要です。
複数の事業所があるもののカード発行は本社でしか行えないという場合、再発行の依頼を受け付ける部署と発行部署が異なりカード発行業務が煩雑になりやすくなります。また、最近増えてきているのは、「データベースへのアクセス制限をかけているが、その影響で運用場所が限定されてしまいテレワークができない」といった課題です。このように、社員証・職員証は最初の発行時だけでなく、再発行などの管理・運用体制も②の製造・発行方法の検討に影響してくるので、事前に検討しておくことが重要になります。
数量や納期だけでなく、カード発行業務全体における優先度も検討しておきましょう。
まとめ
・システム連携などカードの拡張性
・“カードそのもの”に求める機能
・券面デザインや掲載情報
・運用体制や再発行手順
・データの収集・管理・運用方法
・業務全体の優先順位 など
社員証・職員証のリニューアル時には、以上のようなポイントに注意して検討をすすめる必要があります。
TOPPANはカード製造・発行メーカーの強みを活かし、カードの設計、デザイン、製造から発行、システム利用、配布に至るまでトータルでサポートいたします。社員証・職員証の新規作成やリニューアル、カードプリンターの保守切れが近い、カード発行業務の見直しを図りたいといったお悩みがあれば、ぜひご相談ください。
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2022.10.13