コラム

ルーバー天井とは|メリット・デメリットと種類・採用事例、後悔しないためのポイントを解説

近年、商業施設・オフィス・ホテルなど建物用途問わず採用事例が増えているのが「ルーバー天井」です。シンプルな内装でもルーバーを取り入れることによって、ダイナミックでオリジナリティのある空間デザインに仕上がります。

そこで今回は、「ルーバー天井」について、メリット・デメリットや材料の種類、成功事例を詳しく解説します。多くの方からいただくルーバー天井に関するご質問や、1900年創業のTOPPANが手がけるおすすめの内装建材も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。


◎◎

<目次>

■ ルーバー天井とは
■ ルーバー天井のメリット
■ ルーバー天井のデメリット・注意点
■ ルーバーの種類|特徴と材料選びのポイント
■ ルーバー天井のおしゃれな採用事例
■ 【FAQ】ルーバー天井に関するよくある質問
■ TOPPANの「環境配慮型&高意匠」の内外装不燃アルミルーバー材
■ まとめ


■ ルーバー天井とは

ルーバーとは、羽板(はいた)と呼ばれる薄く細長い材料を平行かつ等間隔で並べたものを指し、そのルーバーを天井に取り入れたデザインを「ルーバー天井」と呼びます。ルーバーは可動タイプ(角度を変えられるもの※)と固定タイプに分かれますが、天井に設置する場合は固定タイプを設置するのが原則です。
※可動タイプは窓前など遮光やプライバシー保護のために設置されます。

建築用途問わずルーバー天井を採用する事例が増えていますが、特に空間の意匠性を重視する“非住宅分野”において、採用事例は少なくありません。

■ ルーバー天井のメリット

ルーバー天井の採用事例が増えている背景には、デザイン性と空間の快適性におけるメリットがあります。

デザインのアクセントになる

ルーバーを天井に採用すると、無機質で平坦な天井に視覚的なアクセントが加わります。平天井部分の仕上げと、ルーバー材のカラーや素材を変えてコントラストをつけるデザインがトレンドです。

間接照明と組み合わせると、ルーバーの凹凸によって個性的な陰影が生まれます。

納まりによっては天井が高くすっきり見える

ビルなどの天井をコンクリートスラブ表し(あらわし)にするインダストリアルな印象のスケルトン天井がトレンドですが、そのままではダクト配管や電気配線が見えて雑多な印象になりがちです。

しかし、コンクリートスラブの下にルーバーを配置すると、ダクト配管や電気配線などが下から目立ちにくくなり、システム天井※を組むよりも天井を高くできる可能性があります。

※システム天井:吊り天井の一種で「吊りボルト・ハンガー・バー・天井仕上げパネル」などで構成され、工場で生産されるため現場での作業を削減できます。

間接照明と組み合わせやすい

平天井に間接照明を採用する場合、平らな部分に器具が収まるスペースを造作しなくてはいけませんが、ルーバー天井の場合はルーバー材の側面などに器具を設置できるため、細工手間を減らせます。

間接照明の中にはルーバー天井照明と呼ばれる建築化照明※もあります。
※建築化照明:天井や壁と照明器具を一体化させたライティング計画で、設計によって下から器具が見えないようにすることが可能です。

天井の広範囲にルーバーを配置し、その上に光源となる照明器具を設置すると、光が直接下に落ちず、柔らかい灯りが広がって落ち着いた印象に仕上がります。ただし、オフィスなど作業するスペースに間接照明を採用する場合は、事務所衛生基準規則で定める作業面(デスクの上)照度基準をクリアする必要があるので注意しましょう。

■ ルーバー天井のデメリット・注意点

ルーバー天井は空間デザインをワングレード高めるメリットがある反面、採用する際に注意しなくてはいけないポイントもあります。それぞれ、後悔しないための対策と併せて紹介します。

ホコリがたまる・掃除しにくい

ルーバー天井は、ルーバー材の上端にホコリがたまったり、材料と材料の間に蜘蛛の巣が張ったりするなど、衛生面で注意しなくてはいけない点があります。天井が高いとこまめに掃除するのが困難になる可能性があるため、事前の対策が欠かせません。

また、間接照明にしていると、照明器具の故障やランプ切れのたびにルーバー材を取り外さなくてはいけないケースもあります。

【対策】
ホコリが気になる場合は、平天井の上にルーバー材を直付けする納まりにしましょう。

ルーバーとスラブの間に照明器具を納める場合などは、ルーバー材を取り外しできるようにしておく工夫が必要です。

天井が低いと圧迫感がある

古いビルやマンションなどはコンクリート躯体(床スラブから天井スラブまで)の距離が2.5〜3m程度で、そこに天井を組むと室内天井高が2.2m程度になるケースもあります。そのような建物にルーバー天井にすると圧迫感が出るので注意しましょう。

【対策】
ルーバー天井を採用する際は、躯体の状況を考慮して、ルーバー材のサイズと納まりを慎重に検討する必要があります。

天井のコストが高くなる・納まりに工夫が必要

ルーバー天井は平天井より材料費が高くなり、下地の構造も複雑になります。特に1本ずつ取り付けるタイプのルーバー材は手間がかかり、施工費も割高です。

構造体(柱型や梁型など)やダクト配管を避けて部分的にルーバー天井を採用する場合は、平天井とのバランスや取り合い部分の納まり調整を十分検討しましょう。

【対策】
ルーバー材を採用する際は、システム化されている材料がおすすめです。また、様々な納まりに対応できるようにオプション部材が充実しているかもチェックしましょう。

建物用途によってはルーバー天井も内装制限の対象に

天井に取り付けるルーバー材も材料の太さや間隔によっては内装制限の対象となる可能性があります。内装制限(建築基準法第35条第2項)とは不特定多数の人が利用する公共建築物において、居室や廊下・階段室の壁・天井に不燃性の高い材料を用いることで火災時の延焼で屋内にいる人の避難が遅れることを防ぐための決まりです。

内装制限の対象となる建物は以下のとおりです。

・特殊建築物に該当する建物(建築基準法第2条第1項第2号)
・3階建て以上・延べ床面積が500㎡を超える建物
・2階建て・延べ床面積が1,000㎡を超える建物
・平屋(1階建て)・延べ床面積が3,000㎡を超える建物
・調理室などの火気使用室(主要構造部を耐火構造とした場合は除く)
・無窓居室
・11階建て以上の全建築物
・地下街の居室及び廊下や階段等
・非常用エレベーター乗降ロビー、避難階段の壁・天井

内装制限の対象範囲にルーバー天井を採用する場合は、建物の用途や規模に応じて「難燃・準不燃・不燃材料」のいずれかを選ぶ必要があります。

【対策】
内装制限の対象範囲をルーバー天井にしたい場合は、必ず建築材料が告示によって防火材料として認定を受けているか、国土交通大臣から製品ごとに個別認定を受けているか確認しましょう(建設省告示第1400号、建設省告示第1401号、建設省告示第1402号を参照)。

TOPPANの化粧シートとアルミニウムを組み合わせた高意匠ルーバー材は、不燃認定番号(NM-5462・NM-5723)を取得しています。

◎◎

ルーバーの種類|特徴と材料選びのポイント

ルーバー天井をプランに取り入れる際には、ルーバー材の種類とそれぞれの違いを知っておく必要があります。天井に設置するルーバー材は、主に以下の3種類に分けられます。

・木製(木質)ルーバー
・ガラスルーバー
・アルミルーバー

では、それぞれ特徴を詳しく紹介します。

木製・木質ルーバー

木製・木質ルーバーとは、一般的に無垢材をカット・塗装加工したものや、突板化粧板を用いた材料を指します。また近年は、木粉と樹脂を混ぜ合わせた人工木材や無垢材に不燃薬剤を注入した不燃木材を採用する事例も珍しくありません。

内装制限の対象範囲には、原則として不燃認定を受けた不燃木材もしくは不燃突板化粧板を用いたルーバー材のみを施工できます。

メリット

  • ・天然木のナチュラルな色合い・木目をデザインに取り入れられる
  • ・樹種によっては材料にかかる費用を抑えられる(内装制限対象外の場合)
  • ・樹種によっては軽く加工しやすい

デメリット

  • ・温度や湿度の変化によって変形(反り・ねじれ・伸縮)しやすい(薄く長い材料ほどリスクが高い)
  • ・紫外線(太陽光・照明光)によって経年変色する
  • ・乾燥によって表面にヒビが入る可能性がある
  • ・希少な樹種は材料にかかる費用が高くなる
  • ・不燃木材は材料にかかる費用が高くなる
  • ・樹種によっては重く加工しにくい
  • ・突板化粧板は湿度変化の影響を受けやすいため屋外・半屋外(軒裏天井など)に施工できない
  • ・防腐防虫処理された無垢材は屋外・半屋外にも設置できるが、塗装など定期的なメンテナンスが必要

ガラスルーバー

ガラス製のルーバーは透明性が高く、上に天窓(トップライト)や照明器具があっても強い光が下まで届くため、主に光天井(光膜天井)のプランに採用されます。

メリット

  • ・明るく開放的な印象に仕上がる
  • ・耐用年数が長くメンテナンスフリー
  • ・半屋外や屋外にも設置できる

デメリット

  • ・デザインやサイズのレパートリーが少ない
  • ・ホコリや汚れが目立ちやすい
  • ・強化ガラス製で材料にかかる費用は木製(木質)ルーバーやアルミルーバーより高くなる
  • ・重量が大きいため、下地への負荷が大きい
  • ・原則として現場加工できない

アルミルーバー

メリット

  • ・クールモダンなデザインにはメタル調、ナチュラルデザインには木目調と使い分けられる
  • ・耐用年数が長く、表面に深いキズがつかない限りはメンテナンスフリー
  • ・軽量で施工性が高い
  • ・湿度や温度変化による変形リスクはほぼない
  • ・軽量で施工性が高く、下地への負荷が少ない
  • ・専用部材が充実している
  • ・耐候性・耐熱性・耐食性が高いため、屋外・半屋外にも施工できる

デメリット

  • ・木目調タイプでも、触り心地は木製(木質)ルーバーと比べると硬く冷たい

天井に施工する場合は人の手に触れないので懸念点にならない

  • 材料にかかる費用は木製(木質)ルーバーより高い

耐用年数が長くメンテナンスフリーなので、長期的に見ると低コスト

【ポイント】
TOPPANは1900年創業以来培った印刷技術と開発ノウハウを活かし、「環境配慮・高い意匠性・不燃性能」を全て備えたアルミルーバー材(不燃意匠材)「FORTINA(フォルティナ)」を製造しております。

ルーバー材に加えて、同素材・同デザインでスパンドレル・フラットパネル・リブパネルもございますので、トータルデザインにこだわりたい現場にぜひご採用ください。

■ ルーバー天井のおしゃれな採用事例

TOPPANの不燃アルミルーバー材は、多くの事例で天井ルーバーとして採用されています。その中から特徴的な事例を抜粋し、デザインのポイントと合わせて紹介します。

アクセントとしてのルーバーで空間が引き締まる

こちらの天井にはFORTINA(フォルティナ)のルーバー材が採用されています。広い平天井は間延びした印象になりがちですが、この事例では空間の奥にアクセントとしてルーバーを採用し、それを解消しています。

ルーバーと平天井のカラーコーディネートによって印象が変わる

ルーバーと平天井のカラーのコントラストを強くすることによって、おしゃれな印象に仕上がります。上の事例はコンクリート躯体や配管・配線などを全てホワイトに塗装し、その上から明るい木目のアルミルーバー材を施工しました。

こちらの事例は、白い壁・天井のシンプルなインテリアに、ダークブラウンのルーバーを採用した事例です。ルーバー材と什器や家具の色合いを揃えることで、統一感のあるトータルコーディネートが可能になります。

照明計画がポイント

こちらは天井の一部と壁面にルーバーを採用した事例で、下がり天井に仕込んだ間接照明の光が印象的です。間接照明とルーバーを組み合わせるとルーバーのラインがより強調されます。

間接照明だけではなく、下の写真のようにルーバーとスポットライトやペンダントライトを組み合わせるプランも人気です。

壁と天井に連続したルーバーを採用

ルーバーを天井だけではなく壁に取り付けるデザインもトレンドです。こちらの事例は、天井・下がり壁・カウンター上とふんだんにルーバーを取り入れました。

連続性のあるルーバーを配置することによって、空間に広がりが生まれて、プランによっては遠近感を強調できます。シンプルなインテリアに個性をプラスできる点もポイントです。

こちらの事例はホテルエントランスの天井と壁にルーバーを採用した事例です。間接照明との組み合わせによって洗練された高級感のあるデザインに仕上がりました。

ルーバーで統一するデザインも素敵ですが、こちらのようにパターンが異なるパネル材と組み合わせるプランもおすすめです。

無機質な空間に木目ルーバーをプラス

こちらは無機質になりがちな駅のコンコースにルーバー天井を採用した事例です。木目ルーバーを取り付け、デザインのアクセントにしています。

また、外壁面にも同色のルーバーを採用し、統一感のあるファサードにした点もポイントです。

ダクト配管を隠して洗練された印象に

【ポイント】
TOPPANは様々な建築材料の製造を通じて、みなさんの設計デザインをサポートしております。「環境に配慮した建築材料を探している」「高意匠・高耐久な材料を採用したい」という方は、弊社までお気軽にご相談ください。

■ 【FAQ】ルーバー天井に関するよくある質問

最後に、ルーバー天井に関して多くの方からいただく質問を紹介します。

Q.「ルーバーには目隠し・防音・遮光・省エネ効果があるって本当?」

ルーバーをつけることによって目隠し・防音(遮音)・遮光・省エネ効果が発揮されるケースは、あくまでも外壁や窓の前など「垂直方向」に設置した場合のみです。

ルーバーを外壁や窓の前に設置することによって、外部からの視線や騒音を軽減したり、日射を遮り空調負荷を下げられたりする可能性があります。

Q.「ルーバー天井の納まり例は?」

TOPPAN「FORTINA(フォルティナ)」のルーバー材は、納まりに応じて2種類のタイプからお選びいただけます。

・専用部材でシンプルな納まりを実現できる「ストリンガータイプ」
・ストリンガーが不要で見た目をすっきりとできる「直付けタイプ」

それぞれ天井の吊りボルトやストリンガーのピッチが決まっているので、詳細はカタログの納まり詳細図 (カタログP.71〜(ストリンガータイプ)、カタログP.81〜(内装直付けタイプ))をご確認ください。

◎◎

Q.「既存天井にルーバーを後付けできる?」

天井の下地材として野縁などが入っていれば、ルーバー材を後付けすることは可能です。ただし、製品やルーバー材の間隔によって必要な下地の種類や位置は異なりますので、必ずメーカーに納まりを確認しましょう。

【ポイント】
TOPPANでは、現場ごとの個別の納まり相談も承っております。材料選定や設計デザインの納まりでお悩みの方は、弊社までお問い合わせください。

■ TOPPANの「環境配慮型&高意匠」の内外装不燃アルミルーバー材

TOPPANは、環境配慮と高意匠を実現できるレパートリー豊富な内外装不燃アルミ意匠材「FORTINA(フォルティナ)」を製造しております。

【FORTINA(フォルティナ)の特長】
・最新の印刷技術によって再現したリアルな木目と質感
・豊富な形状レパートリーによる様々な納まり・デザインを実現できる多様性(ルーバー・スパンドレル・フラットパネル・リブパネル(フォルティナレッジ))
・20種類以上の木目ラインナップ(内装用は80種類以上)※リブパネルは3種類
・低汚染なオレフィンシートによる環境配慮(塩ビよりも製造過程のCO2排出量が少ない・塩素を含まないため燃焼時に有毒が発生しない・VOCの一因である可塑剤を含まない)※準外装・内装用のみ
・耐候性をアップさせ屋外環境でも長期間「シート表面のクラック・各層の密着低下・絵柄の退色や変色」を抑制した「外装R仕様」

フォルティナ以外にも多彩な建築材料を取り扱っておりますので、ぜひ設計デザインへご採用ください。

■ まとめ

ルーバー天井はデザイン性や快適性においてメリットがあり、採用事例は住宅・非住宅問わず増えています。ただし、ルーバー天井をプランへ採用する際には、材料別の特徴やデメリットとその対策も併せて把握しておくことが重要です。

TOPPANでは、環境に配慮しデザイン性を豊かにする内外装建材を開発・製造しております。「環境に優しい建築」や「人に長く愛される建物」、「街のシンボルになる建築」の材料選定でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

2025.09.10

新着記事 LATEST ARTICLE
    人気記事 POPULAR ARTICLE