社史の作り方|制作時の流れやポイントを解説
- TOPPAN CREATIVE編集部
社史は、企業の創立から現在までに起こった重要な出来事やターニングポイント、企業が残した功績とそこに関わった人たち、理念やビジョン、存在価値などを網羅的にまとめた史料です。
基本方針の決定、資料収集、取材、執筆・校正、デザイン・レイアウト調整といった流れを経て、発行・配布に至ります。
本記事では、社史の作り方について順を追って解説するとともに、制作のポイントもお伝えします。
社史の作り方・流れ
社史を作る際には、下記の流れで工程を組むのが一般的です。
1. 基本方針の決定(目的やメッセージを伝えたい対象の設定など)
2. 社史に掲載する資料の収集・整理
3. 取材
4. 執筆・校正
5. デザイン・レイアウト調整
6. 発行と配布
それぞれの工程について、詳細をみていきましょう。
基本方針の決定
社史制作は基本方針の決定から始まります。まず、社史を作る理由や目的、主な対象読者を考えましょう。
社史制作の目的の例としては、以下のようなものが挙げられます。
● 周年記念に企業のあゆみをストーリーとして後世に伝えたい
● 社員の帰属意識を高め、一体感を醸成したい
● 取引先などに配布し、PR資料としたい
● 広く社会へ周知してブランディングに役立てたい
など
目的を決めれば、その目的を達成するためにはどのような読者を対象にするべきかも明らかになるでしょう。
目的や対象読者は、構成内容を決めていくうえで重要な判断基準です。
続いて、社史のボリュームや構成内容、冊子・Webサイトなどの発行媒体といった基本要素を定めます。
なお、社史は多くの人の目に触れる公式媒体となるため、経営戦略の一環として制作するケースが多くみられます。制作の目的や社史に期待することなどを経営トップ層にヒアリングすると、方針がぶれずにすむでしょう。
社史に掲載する資料の収集・整理
基本方針を踏まえ、構成内容や掲載項目に沿って必要な資料を集め、整理していきます。
収集するべき資料としては、下記のようなものが挙げられます。
● 会社案内(公式サイト)
● 製品に関する資料
● 社内報
● 事業報告書
● 企業トップの経歴資料
● 決算書
など
会社案内に記載されている公開情報を集めて基本要素とし、その間を埋めるようにして必要な情報を掘り下げて資料を収集するとスムーズです。
また、社史にはビジュアル要素も不可欠となるため、当時の写真や商品なども同時進行で集めておきましょう。
取材
素材収集を進めるなか、資料からの読み取り以上に情報を補う必要がある場合は、関係者への取材を行います。特に、当時の思いや失敗談などはインタビューで掘り起こすと、社史の内容に深みが出るでしょう。
取材では、対象者から聞き出したい内容に関する資料を事前に読み込み、情報が足りない箇所を補えるようにします。インタビュー内容はボイスレコーダーなどで録音し、必要に応じて写真も撮影しましょう。
執筆・校正
集めた資料をもとに、原稿の執筆、校正へと進みます。
校正とは、誤字脱字や記載内容の矛盾を正す作業です。とくに日付や金額などの数字、団体名・社名・人名・製品名など固有名詞の誤りは社史の品質を損ねるため、情報の原典から厳しくチェックします。
校正により文章の読みやすさ、正しい情報の伝わりやすさが向上し、社史の信頼性も高まります。社内担当者だけでなく社外の校正者にも依頼するなどして複数人で取り組むことが理想です。
デザイン・レイアウト調整
原稿を写真や図表と合わせ、レイアウトやデザインを決めます。表紙まわりもこの段階で調整します。近年は写真を多く配置した雑誌のような本文構成も増え、ビジュアルや画質にもこだわりたいところです。
社史としての風格を出すため、フォントや文字数や文字間隔、罫線の太さ、テーマカラーなど、ベースデザインの統一感も重要です。細部まで工夫を凝らしましょう。
発行と配布
デザインの最終決定(校了)を受けて印刷・製本と進み、従業員や取引先への配布や書籍の流通にのせて発行に至ります。
紙媒体の社史と並行してWebで特設サイトを作成する例も増えています。一覧性が高く、長く読み継がれる冊子と、動きをつけて関心を高め、公式サイトとリンクできるWebの利点を活かし、より広い対象者へ周知するなどの相乗効果も見込めます。
社史を作る際のポイント
ここでは、効果的な社史を制作する際に押さえておきたい重要事項として、以下の5つのポイントを紹介します。
● 読ませるために、あえて苦労話や失敗談も盛り込む
● 企業にとって都合の悪い事実も記す
● スケジュールに余裕をもたせる
● 手にとってもらえるよう表紙のデザインにこだわる
● 外部に依頼する際は費用だけで決めない
それぞれみていきましょう。
読ませるために、あえて苦労話や失敗談も盛り込む
苦労話や失敗談は、積極的に社史に盛り込みましょう。輝かしい功績だけでなく、等身大の苦労や失敗談も掲載することで、読者はストーリーをリアルに感じるようになります。
とくに現役の従業員にとって、成功の影にあった苦労や失敗は、共感しやすいポイントとなるでしょう。過去の社員との一体感を感じることで帰属意識の醸成にもつながり、同じような課題を抱えている場合は問題解決のヒントにもなります。
企業にとって都合の悪い事実も記す
社史には自社にとって都合の悪い事実も隠さず記しましょう。
長い歴史の中には、不祥事や債務整理など、負の出来事もあったかもしれません。しかしそうした事実を記載せずにいると、読者は「なぜ書かないのか」と隠蔽体質を疑い、社史全体の記載内容に不信感を抱いてしまう可能性があります。
社史には、あくまで客観的な事実に基づいた内容を記載し、マイナスの事実に対しても真摯に向き合っている姿勢を示しましょう。
スケジュールに余裕をもたせる
社史の制作には、1年以上を要するケースが大半です。さらに制作の過程では、部署を横断して多くの人が関わります。プロジェクトが長期で大規模になるほどチェック工程も増えてスケジュールが遅れやすいため、余裕をもって進めていきましょう。
記念誌として社史を発行する場合は、節目のタイミングに必ず間に合うよう、とくに注意が必要です。
手にとってもらえるよう表紙のデザインにこだわる
目にした人が手にとってページをめくりたくなるよう、表紙デザインにはこだわりましょう。
せっかく社史を作っても、読んでもらえなければ目的を果たせたとはいえません。表紙はいわば社史の顔ですから、社史の概要やテーマがひと目でわかり、思わず惹きつけられるデザインを目指します。
たとえばホログラムや箔押しなどを施す表面加工などは、社史の世界観をより豊かに表現し、インパクトも増すため、関心を向ける助けとなります。
外部に依頼する際は費用だけで決めない
社史の制作工程のなかには外注が必要な部分が多く出てきます。その際、依頼先を費用だけで選ばないようにしましょう。
一般的に、クオリティと対価は正比例するものです。費用を下げすぎると、社史の目的を果たせないものができ上がるかもしれません。
社史は企業の歴史や文化を記録した貴重な資料であり、社内外問わずさまざまな人に読まれるものです。社史の品質が企業イメージに直結するといっても過言ではないため、外注先は社史の制作実績や評判、目的に沿った提案力などを総合的に判断して決めましょう。
社史制作ならTOPPANへ
社史の制作はまず基本方針を決定し、資料収集、取材、執筆・校正、デザイン・レイアウト調整、発行・配布と、段階を経て進んでいきます。
つねに制作目的と対象読者を意識し、目的を果たせる社史となるよう内容の吟味は厳密に行いましょう。
さらに、多くの人に読み継がれる社史とするには風格を感じさせるデザイン要素も重要です。
TOPPANは1900年に創業した総合印刷会社として高い製版技術を誇り、クリエイティブ性が高く、繊細かつ斬新で長く記憶に残る社史デザインを提案します。
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2024.07.09