パーパスとは?
基礎知識から「組織の一体感を創る」
策定のステップまで徹底解説
パーパスの策定や見直しは、組織の存在意義を考え直す貴重な機会となります。しかし、文字面がきれいに整っているだけでは、形骸化し、社内の動機やモチベーションにつながらないというケースは少なくありません。そのような失敗は未然に防ぐことができます。
今回は、パーパスの定義や役割、策定が求められる背景と共に、策定時の基本プロセス、直面しがちな課題、策定を成功させるポイントをご紹介します。
<目次>
1.パーパスとは?
2.パーパスの作り方の基本プロセス
3.パーパス策定時のよくある課題
4.パーパス策定を成功させるポイント
5.まとめ
1.パーパスとは?
まずはパーパスの基礎知識や一般的な定義をご紹介します。
パーパスとは?
パーパス(Purpose)とは、組織の存在意義を指します。つまり、「自社は何のために存在するのか?」という、組織への根源的な問いに対する答えそのものです。
組織を構成する人の行動や、各種決断のベースとなる基本的な価値観や信念を指しています。
パーパスの例
「食を通じて人々の豊かで持続可能な生活に貢献する」(飲食チェーン経営企業)
「社会課題を音響で解決する会社」(音環境機器の開発企業)
「アスリートに寄り添い成長を支援する」(スポーツアパレルブランド企業)
※実在する例ではございません。あくまで参考例です。
パーパスの役割
パーパスの役割は、企業によって異なります。しかし、共通しているのは、企業が持続的に成長し、発展するためのベースとなる考え方であるという点です。
社員の日々の業務に対する動機として機能するとともに、組織や業務に対する献身度を向上させ、また、社会やお客さまからの評価軸の一つとしても機能するため、ブランドの差別化にもつながることがあります。
企業理念との違い
企業理念とは、企業の価値観や経営者による信念を指します。主に社内および社員に向けた考え方です。
一方、パーパスは社会環境における存在意義であるため、立ち位置や発信対象が異なります。パーパスは社内だけではなく社外も発信対象となります。
ミッションとの違い
ミッションとは、企業が果たすべき使命を指します。「パーパス(Why)」を実現するために、「具体的に何をするのか(What)」を意味します。
※企業によっては、ミッションとパーパスを同義として掲げているケースもあります。
ビジョンとの違い
ビジョンは、パーパスを実現するプロセスの途上にある理想像を指します。例えば5年後、10年後にありたい企業の姿です。
バリューとの違い
バリューとは、企業が大切にする価値観や行動基準を指します。
「パーパス」が“なぜ存在するのか(Why)”を問うのに対し、バリューはそれを体現するために“どう振る舞うのか(How)”という、日々の具体的な行動指針や判断基準となります。
パーパスが求められる背景
かつて、企業経営において重視されていたものは、「利益の創出」と「雇用の維持」という非常にシンプルなものでした。経済が右肩上がりに成長していた時代には、質の高い製品を世に送り出し、適正な利益を挙げることこそが、社会に対する最大の貢献として十分に機能していたからです。
しかし、その前提は国連サミットで採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」の浸透により変化を遂げました。
企業には地球環境や社会に対する重い責任が課せられるようになり、現代において、単に「利益を生むだけの存在」という姿勢では、もはや社会からの共感や信頼を得ることはできなくなりました。
こうした潮流は投資家の視点も変え、企業の価値を測る基準は財務諸表上の数字(財務状況)だけではなく、サステナビリティやESG(環境・社会・ガバナンス)といった「非財務指標」へと大きくシフトしています。
このような変化から、自社が何のために存在し、どう社会に貢献するのかという「パーパス」を明確に打ち出すことは、今や資金調達や市場での評価を左右する極めて実利的な要素となっているのです。
さらに、ビジネス環境の変化が激しい現代において、パーパスは多様な価値観を持つ従業員のベクトルを合わせ、組織の求心力を高める役割を担います。先の見えにくい不透明な状況だからこそ、自らの不動の存在意義を定義することが、目先の変化に惑わされる「迷走」を防ぎ、事業を支え続ける強固な土台(指針)となるのです。
2.パーパスの作り方の基本プロセス
パーパス策定の基本プロセスをご紹介します。
1.パーパス策定の目的の明確化
まずは目的を明確にします。パーパス策定の必要性に迫られる理由は何でしょうか。パーパスの役割は、企業によって異なるとお伝えしましたが、何を重視するかで変わってきます。例えば、社員のモチベーションが低いという課題がある場合、モチベーションアップやエンゲージメント向上などが目的となるでしょう。
2.パーパス策定プロジェクト体制構築
目的に基づき、パーパスを策定するプロジェクト体制を構築しましょう。この時に重要なのは、経営層だけではなく、全社的に構成することです。部署横断でメンバーを募る、もしくはリーダー層と共に現場のキーマンを集めるといった横断的なプロジェクトチームの編成を行いましょう。
3.自社分析・現状把握
経営層や社員へのインタビューおよびワークショップなどを通じて社内からあらゆる情報を集め、自社の分析と現状把握を行います。パーパスを作るための数多くの材料を集めましょう。
4.社会や顧客ニーズの把握・分析
社外からも情報を収集します。今市場で求められていることや、社会環境におけるニーズを把握し、分析します。自社に対する評価や要望も併せて収集する必要があるでしょう。
5.パーパスの言語化
社内外から集めたあらゆる情報を整理・統合して言語化を進めます。一般的には経営層が中心となってパーパスを言語化しますが、いくつかの候補に対して社員からのフィードバックを求め、最適化していきます。
6.パーパスを浸透させる
パーパスが決まったら、浸透フェーズへ移ります。パーパスは、策定し発信しただけで完成するものではありません。そこから社内にいかに浸透させ、日々の行動につなげるかが重要です。
しかし、パーパスは浸透すれば即座に社員の行動につながるというわけではありません。必ず「認知→共感→行動」というステップを踏む必要があります。そして共感プロセスにおいては、自分ごと化が条件となります。
自分ごと化のためには、社員一人ひとりが自らパーパスの意義を考え、その存在意義を体現するにはどのような行動を起こせばいいかを提案することが重要です。この流れを経験してもらうために、ワークショップなどを開催しましょう。
パーパスを含めた企業理念体系(ミッション・ビジョン・バリュー)を再構築し、コーポレートブランドを強化するための具体的なステップについては、下記の記事も参考にしてください。
3.パーパス策定時のよくある課題
パーパス策定時には、次のような課題に直面することがあります。
策定プロセスにおいて目的が曖昧でモチベーションが低い
そもそもパーパスを策定することへのモチベーションが低いという課題です。プロジェクトチームを組んだものの、メンバーが「なぜパーパスを策定しなければならないのか」という疑問や不満を持ったまま進めてしまうと、当然、良いビジョンは生まれないでしょう。
プロジェクトチームが一方的に取り決めている
パーパスは上層部が決めるものだという考え方のもと、現場を巻き込まず、プロジェクトチーム単独で取り決めてしまうケースは少なくありません。社内からのフィードバックを十分に受けなかったり、フィードバックを受けても強行してしまったりする状態です。
実態の伴わない「表面的なスローガン」になってしまう
美しい言葉でパーパスを作ることは可能です。コピーライティングのテクニックを駆使することもできるでしょう。しかし、日々の業務実態と乖離していると、社員やステークホルダーの目には「美辞麗句を並べただけのスローガン」として映ってしまいます。
策定しただけで満足し、形骸化している
パーパスを策定した後に、「我が社のパーパスは今後これでいきます」と経営トップから発信したものの、浸透フェーズに注力できず、単なる理念の発信に留まってしまう(あるいは「絵に描いた餅」になってしまう)ケースは少なくありません。社内で体現している人がいなければ、ただの飾り物になってしまいます。
浸透フェーズで共感を引き出せない
浸透施策を行ってはいるものの、社員からの共感を引き出せないこともあります。原因は複数考えられますが、例えば「抽象的すぎて、具体的な行動に落とし込めない」「自社の現状とはあまりにもかけ離れている」などが挙げられます。
4.パーパス策定を成功させるポイント
では、ご紹介した課題は、どのように解決できるのでしょうか。成功させるポイントと共にご紹介します。
目的の明確化
【解決できる課題】
・策定プロセスにおいて目的が曖昧でモチベーションが低い
・実態の伴わないスローガンになってしまう
【解決策・成功のポイント】
解決策は、共感を生む目的設定を意識することです。
パーパスを策定することそのものの目的を明確にしておかなければ、パーパスの内容も決まりにくく、モチベーションも湧いてきません。パーパス策定のきっかけは、投資家からの要請など経営都合が多くなります。そのため、ポイントは社内に策定への共感を生むことに重点を置き、改めて目的を検討することにあります。
プロジェクトチームメンバーの厳選
【解決できる課題】
・プロジェクトチームが一方的に取り決めている
【解決策・成功のポイント】
解決策は横断的なチーム編成を行うことです。
プロジェクトチームが経営層やマネジメント層などの上層部のみだと、社内からのフィードバックを受けず、一方的に取り決めるということに陥りやすくなります。ポイントは、現場社員の意見を取り入れやすくするような体制づくりを心がけることにあります。
浸透施策、効果測定も含めたプロジェクトと捉える
【解決できる課題】
・作って終わりになっている
【解決策・成功のポイント】
解決策は、あらかじめプロジェクトの計画に、浸透施策の実施と効果測定もしっかり含めておくことです。
パーパスをただ作っただけでは成功とはいえません。ポイントは、数値目標を設定し、社内浸透や目的達成ができているかの測定と改善を繰り返すことにあります。
共感されやすい内容の検討
【解決できる課題】
・「きれいごと」になってしまう
・浸透フェーズで共感を引き出せない
【解決策・成功のポイント】
社員や顧客、社会からの共感を引き出せるかどうかという視点で設計することです。
パーパスは、ただ字面が「きれい」「かっこいい」だけでは、共感と自分ごと化に至りません。ポイントは各社員が自分ごと化できるかどうかを意識することです。
インナーブランディング施策やコミュニケーション施策を数多く実施する
【解決できる課題】
・浸透フェーズで共感を引き出せない
【解決策・成功のポイント】
解決策は、浸透フェーズにおいて実施する施策は一つに限らず、できるだけ多くの施策を実施することです。
研修やワークショップ、ブランドブックの制作と配布、社内報/社内ポータルでの情報発信、表彰制度の創設、社内イベントの実施などが考えられます。
ポイントは、これらの多くの施策それぞれに連動性を持たせて進めることにあります。
インナーブランディング施策の詳細については、下記の記事でご紹介しておりますので、併せてご覧ください。
5.まとめ
パーパスを策定することは、先の見えにくい時代において、組織の存在意義を明確にし、持続的な成長と発展に寄与します。パーパスが形骸化してしまわないよう、社内浸透施策に力を入れて、策定プロジェクトを成功させましょう。
パーパス策定ノウハウや浸透施策に関する知見に乏しい、プロジェクトが思うように進まない、成果が出ない、などでお困りの方は、ぜひTOPPANにお声掛けください。パーパス策定のお手伝いが可能です。
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2026.03.27


