現場を巻き込み組織を変える!
「ビジョン策定」の正しい手順と浸透
のポイント
近年は先の見えないVUCA(※)時代において、人材の流動化やリモートワークの浸透などが進展する中、企業はより一層、明確なビジョンの下での結束強化が求められています。
しかし経営企画や人事責任者の方などは時代の変化に敏感になっており、従来の経営者によるトップダウンのビジョン策定だけでは成果が出ないと感じているのではないでしょうか。
そこで今回は、ビジョン策定の成功ポイントをご紹介します。ビジョン策定の重要性が増している背景からよくある課題、失敗が生じる原因と解決のポイント、成功させる5つの手順まで解説します。
※VUCA:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉で、先の見えない、将来が予測困難な状態を指す。
<目次>
1.ビジョン策定の重要性が増している背景
2.企業のビジョン策定にまつわるよくある課題
3.ビジョン策定で失敗が生じる原因と解決のポイント
4.ビジョン策定を成功させる5つの手順
5.まとめ
1.ビジョン策定の重要性が増している背景
まずはビジョンについて、改めてその意味を確認しておきましょう。また近年、ビジョン策定の重要性が増している背景も合わせてご紹介します。
ビジョンとは?
ビジョンとは、企業が目指す理想像を明文化したものです。組織の進むべき方向性を示しており、意思決定の基準となります。ビジョンが浸透した組織に属する人員は、目指すべき方向性が明確であると同時にビジョンへの共感度が高いことから、モチベーション高く熱意を持って仕事に取り組みます。
似た概念に企業理念やミッションがありますが、意味が異なります。
| ビジョン | 目指す理想像、将来像 |
|---|---|
| 企業理念 | 大切にする考えや価値観 |
| ミッション | 存在意義、果たすべき使命 |
企業理念は企業の根幹となる考えや価値観を示しており、ビジョンやミッションを含めた多様な要素を含む概念です。ミッションは企業が何のために存在しているのか、果たすべき使命を意味します。
これらに対して、ビジョンは長期的に目指すべきゴールとして位置付けられます。
ビジョン策定の重要性が増している背景
近年、ビジョン策定の重要性が増していますが、その背景には次のようなものがあります。
■VUCAの先行き不確かな時代背景
近年は、パンデミックや自然災害、テクノロジーの急速な発展などを背景に、先行きが不確かなVUCA時代であり、組織として目指すべき明確な軸が必要不可欠となっています。
■組織の結束の必要性
人材の流動化やリモートワークの浸透などにより、組織はより一層の結束が求められている中で、ビジョンの共有は欠かせません。
■働き方の価値観変化・パーパス重視
近年、若年層を中心として働き方の価値観が変化しています。就職先を決める際には、自分が社会的にどのように自己実現を図ることができるかという点を重視するようになりました。そのため、企業がどのような存在意義(パーパス)を持ち、どの方向性に進んでいくのか(ビジョン)に関心が高まっています。
■働き手の熱意とモチベーション向上の必要性
人手不足や働き方改革などを背景として、業務効率化と生産性向上が求められる中、働き手の熱意とモチベーション向上は必要不可欠です。ビジョン策定を通じて、働き手に「何のために働くのか?」という動機付けをもたらすことができれば、熱意とモチベーションが向上し、業務効率化と生産性向上を後押しするでしょう。
■ステークホルダーからの信頼性向上
ビジョンやミッションなどを明確に定めることは、投資家や顧客、取引先、社員などあらゆるステークホルダーからの信頼を獲得するためにも重要です。
2.企業のビジョン策定にまつわるよくある課題
企業のビジョン策定にまつわる、よくある課題を解説します。
以前作ったビジョンが日々の業務に結び付いていない
ビジョンは策定されているものの、日々の業務に結びついていないという課題です。原因として、理解されていない、浸透していない、形骸化しているなどが考えられます。
抽象的すぎてわかりにくい・他人事になっている
ビジョンはもともと抽象的になりやすいところがありますが、あまりに抽象的すぎるとわかりにくく、共感もしづらいことから、社員にとって他人事になってしまっていることもあります。
役員や上層部のみで策定し、現場クラスと温度差が生まれている
ビジョンを役員や上層部のみで策定してしまうと、現場で働く社員は押し付けられたように感じてしまいかねません。そうなれば体現はできず、温度差が生まれてしまいます。
社内での合意形成がうまくいかない
ビジョンを策定する動きはあるものの、役員や社員などの合意が取れていないという課題です。原因として、言葉の解釈にズレがある、議論がかみ合わない、それぞれの所属や立場のみの視点で解釈してしまっていることなどが挙げられます。
これらの課題を受け、経営層などは「かっこいい言葉」を作ることよりも、社内に真の意味で浸透させ、「社員が動くこと」をゴールにしたいという思いがあるのではないでしょうか。
3.ビジョン策定で失敗が生じる原因と解決のポイント
先述のビジョン策定にまつわる失敗が生じる原因と解決のポイントをご紹介します。
失敗の原因
1)「現場不在」に陥っている
ビジョンが日々の業務に結び付いていない、抽象的すぎてわかりにくく、社員にとって他人事になっている、役員や上層部のみで策定して現場と温度差が生まれている、社内での合意形成がうまくいかないといったすべての課題の根本的な原因として「現場不在」があります。
つまり、現場の意見を取り入れず、トップだけで決めてしまっていることが問題だといえます。決めた後も、現場のフィードバックも受けずにトップダウンで従うように促すだけでは、より格差を生む一方です。
2)「組織としてどうありたいか」という強い「意志」が言語化できていない
自社の外部環境や業界分析の結果を踏まえた上で、今後「どうありたいか」という強い意志が言語化できておらず、曖昧な印象になってしまっている可能性もあります。社員が自分事化できないのは、そのような理由から自分の意志と融合しにくいことが原因かもしれません。
3)策定して終わりで、コミュニケーション施策に落とし込めていない
ビジョンを策定した後、社内には周知するだけで、「コミュニケーション」を通じて浸透させる具体策が実施されていなければ、失敗に終わってしまうでしょう。そもそもコミュニケーション施策は一回限りではなく、継続して効果を測定しながら効果を高めていくべきものだからです。
ビジョン策定のポイント
課題の原因を踏まえると、ビジョン策定の成功ポイントは、「組織全体を動かす」「現場との壁を壊す」ことにあるといえます。
ビジョンを社内に浸透させ、社員一人ひとりが理解・共感しつつ、現場の業務に反映させながら熱意を持って遂行するようになるには、現場との壁を壊して、社員を巻き込むワークショップ設計を進め、自分事化を促すことがポイントです。この取り組みを通じて、組織全体がビジョンに向かって動くように変革することが肝心です。
そして、定量的に効果を測定できるビジョンにすることも意識しましょう。効果を測りながら改善していくためです。
4.ビジョン策定を成功させる5つの手順
ビジョン策定を成功に結びつけるための、作り方の手順をご紹介します。
この手順は、経営層や役員、上層部だけに留まらず、社員参加の上で行うことを前提としています。その点を踏まえながら検討してみてください。
STEP1.現状把握
部門、部署、職種、役割を横断した社員へのヒアリングを通じて、オープンなコミュニケーションのもとで事業内容や環境、そして価値観に関する現状把握を進めます。
STEP2.将来の理想的な姿をイメージ
ビジョンとして未来像を描くには5年後、10年後と、変化する市場動向の変化などをデータ収集・分析により見極め、根拠のある現実的な予測を行います。その際、自社の強みや弱み、市場におけるポジションなどをもとに理想像を具体化していきます。
STEP3.ビジョンとして落とし込み言語化する
社内ヒアリングと理想像をすり合わせ、ビジョンとして言語化します。何度もフィードバックと改善を重ねることが重要です。
STEP4.ビジョンを周知する
社内に認知と理解を促すプロセスです。正確かつ十分にビジョンに含む意味や背景を説明しましょう。
STEP5.ビジョンを自分事化させる
ただ知らせるだけでは不十分です。社員が実務や日々の行動において意識するためには、「自分事化」が必要です。例えばワークショップなどを通じて、さらなるビジョンの深い理解と共感を促すことで、自分事化し、体現する社員を増やしていきましょう。
この後は「生産性が向上したかどうか」などの定量的な測定と、社員の意識変化を測る定性的なアンケート調査などを通じて効果測定を行いましょう。改善を重ねていくことで、ビジョン策定と浸透の成果につなげていけます。
5.まとめ
企業は組織として強固な結束が求められており、ビジョン策定はそれを支える一つの重要な取り組みです。現場の社員を巻き込みながら策定し、ワークショップを通じた自分事化により、ビジョン浸透を図りましょう。
しかし自社だけで、今回ご紹介したような策定と浸透を進めるのに自信がないということもあるのではないでしょうか。その場合はTOPPANにお任せください。
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2026.02.18


