CRMマーケティングとは?施策において重要な分析・戦略立案のポイント
「CRMマーケティングって何?」
「どのように活用すればいいの?」
上記のような疑問を抱いている担当者の方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、CRMマーケティングの概要や、その重要性、戦略立案や活用のポイントなどを紹介していきます。
具体的な活用方法についても紹介しているので、是非参考にしてください。
CRMマーケティングとは?
CRMマーケティングとは、収集・分析した顧客データからニーズを導き出し、顧客のニーズに合わせたサービスを提供するマーケティング手法です。
CRMはCustomer Relationship Managementの略で「顧客関係管理」と訳されます。CRMを活用する際に必要な顧客情報には、氏名や連絡先、購入履歴、お問い合わせ内容など、さまざまなものがあります。
CRMマーケティングによってニーズに合ったサービスを提供することで、顧客満足度やLTVの向上に期待でき、ひいては自社の利益向上にもつながります。
CRMマーケティングの重要性・必要性
以下の3点の要因から、近年CRMはさらに重要視されています。
●人口減少に伴う既存顧客の囲い込み競争激化
●デジタル化による消費者行動の変化の把握
●チャネルの多様化によるデータの一元管理
それぞれ見ていきましょう。
人口減少に伴う既存顧客の囲い込み競争激化
CRMマーケティングは、既存顧客を維持・育成するための施策です。
一般的に、新規顧客の獲得には、既存顧客の維持の5倍のコストがかかる(1:5の法則)といわれています。また、近年は多くの業界で市場が成熟しているため、新規顧客の獲得が従来に比べて困難です。
このような状況においては、新規顧客の獲得より、既存顧客の維持・育成にリソースを割いた方が効果を見込めるため、CRMマーケティングの重要性が高まっています。
また、企業の売上の80%は上位20%の顧客(ファン)が生み出している(パレートの法則)といわれています。CRMマーケティングを駆使し、既存顧客をファンに育成することで利益の向上を目指す戦略が注目されているのです。
デジタル化による消費者行動の変化の把握
ネット社会の発達により、消費者は製品・サービスの品質や価格を比較し、ニーズに合った製品を選び出すことが容易になりました。こうしたなかで顧客に選ばれるには、ニーズを理解したうえで、そこにあわせたマーケティングを行うことが重要です。
このような背景の中で、顧客の年齢や性別、購入履歴などを分析し、一人ひとりのニーズにあったアプローチを可能にするCRMマーケティングの必要性が高まっています。
チャネルの多様化によるデータの一元管理
現代は、チャネル(販売経路)が多様化しており、顧客は実店舗はもちろん、WebサイトやSNS、メルマガなど、様々な媒体から製品の情報に触れることができます。効果的なマーケティングを行うには、異なる複数のチャネルから得られた顧客データを一元管理し、チャネルや顧客などの分析を行いデータを効率よく活用することが必要です。
また、データを一元管理することで施策結果も容易に確認することができ、PDCA運用がしやすくなります。
CRMマーケティングのメリット
CRMマーケティングを導入するメリットには、以下のようなものがあります。
●特定のターゲットに絞ったマーケティング施策が実施できる
●顧客一人ひとりに寄り添ったマーケティングが可能になる
●顧客満足度の向上により既存顧客のLTVを高めることができる
●商品・サービスそのものや施策の改善に役立てられる
順番に見ていきましょう。
特定のターゲットに絞ったマーケティング施策が実施できる
分析を行い、顧客ごとの購入日や利用頻度、購入額などを収集することで、自社のファンや、ファンになる可能性の高い顧客を割り出し、優先的にアプローチをかけることができます。前述のとおり、企業の売上の80%は上位20%のファンによって生み出されるといわれるため、ファンを優先したマーケティングは売上向上を図るうえで効果的な施策となります。
また、年齢や性別、所属先といったデータからは、顧客の実像が浮かび上がってくるでしょう。顧客の実像が分かれば、次のマーケティング施策に活かすことが可能です。
顧客一人ひとりに寄り添ったマーケティングが可能になる
年齢・性別・所属といった属性や、購入履歴・対応履歴などの行動を把握すれば、顧客一人ひとりに合った情報を、最適なタイミングかつ頻度で発信できるようになります。
具体的には、購入履歴に基づいたおすすめの商品を発信したり、自社サイトの中での行動やクリック履歴に基づいた内容のみを発信したりといったアプローチが可能です。
顧客の欲しい情報を、欲しいタイミングに届けることで、満足度を高めたり、再度の利用を後押ししたりできるようになります。
顧客満足度の向上により既存顧客のLTVを高めることができる
CRMマーケティングをとおして、ニーズに合った情報を提供し続けると、満足度や信頼度が高まり、既存顧客をファン(ロイヤルカスタマー)に育成することができます。
ファンが増えれば、顧客一人あたりのLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)が向上し、施策や商品・サービスの改善に役立てられます。
商品・サービスそのものや施策の改善に役立てられる
売上構成や顧客、商品などの分析をすることで施策の課題が浮き彫りになり、今後の改善に役立てることができます。PDCAサイクルにおけるCheck(評価)の精度を高め、より良いAction(対策・改善)に活かすことで、効率的にマーケティングの改善をおこなうことが可能です。
CRM施策において重要な分析・戦略立案のポイント
続いて、CRMマーケティングを効果的に行うためのポイントや注意点として、以下の3点を紹介します。
●事前分析を行い現状を把握する
●データをただ蓄積するだけでなく分析・戦略立案に注力する
●戦略に沿ったPDCAサイクルを実行する
順番に見ていきましょう。
事前分析を行い現状を把握する
CRM施策を実施する際は、ただ漠然と行うのではなく、まず事前調査や分析を行い目的と課題を明確にしましょう。事前情報がないままなんとなくでCRM施策を実行すると、本当に改善が必要な箇所を見落としたり、課題に対して効果が薄い施策を選んでしまったりと、改善が見込める可能性が下がってしまいます。
データをただ蓄積するだけでなく分析・戦略立案に注力する
事前分析によって得られたデータから課題や施策の方向性の示唆出しを行い、データに基づいた戦略を設計・立案することが重要です。CRMの分析によって可能になる施策の例としては、以下のようなものがあります。
●ペルソナ設計
●カスタマージャーニー作成
●顧客定義の設定
●KPIの策定
●シナリオ設計 など
戦略に沿ったPDCAサイクルを実行する
設計した戦略を基に、PDCAサイクルを実行します。PDCA(ピーディーシーエー)とは、「Plan(企画)」「Do(制作・配信)」「Check(分析)」「Action(効果改善)」のそれぞれの頭文字をとった用語です。
戦略に基づいて各シナリオの企画や制作・配信を行い、施策から効果が得られているか分析を行います。そして、分析から得られた改善点を洗い出します。改善点を次に繋げ、より高い効果を得るために施策をチューニングしていくことが重要です。
CRMマーケティングのチャネルごとの活用例
ここでは、CRMマーケティングの施策の具体例を6つ紹介します。事前分析、戦略立案を行った後、戦略に基づいた以下のような様々なチャネルによる施策を実施することで、顧客満足度やLTVの向上、売上拡大が期待できます。
メール配信
電子メールによるDM(ダイレクトメール)は、比較的少ない手間とコストで配信できる点が強みです。たとえば、ある行動を行ったユーザーに対してのみメールを送信することで商品・サービス購入を促し、売上増加を図ったり、定期的にメールを配信しお得な情報を提供することで離脱防止を図ったりすることが可能になります。
また、開封率やクリック率などのデータを取りやすく、施策の改善に活かしやすい点も、電子メールならではのメリットといえるでしょう。
DM送付
紙を使用したDMは、電子メールによるDMとは異なる強みがあります。電子メールには、多くのメールのなかに埋もれてしまう、インターネットに馴染みのない層へのアプローチが難しいなどの欠点がありますが、紙のDMであれば実物が手元に届くため目を通してもらえる可能性が高くなります。インターネットを使わない層にもアプローチしやすい点が魅力です。
また、メール等のデジタルチャネルと比較して色やデザインの自由度が高いため、例えばロイヤル顧客に向けてリッチなDMを送付し、特別感を提供するといった工夫も可能です。
LINE配信
近年増えているのが、LINEの公式アカウントを利用した情報配信です。ユーザー数は9500万人以上と多く、利用者層も幅広いため、広範囲に情報発信できる点が特徴です。
日常的に使用している顧客が多いため、他のデジタルチャネルと比較して開封率が高く、また開封されるまでのリードタイムも短いためリアルタイムの情報提供がしやすい傾向にあります。
例えば、先着順で商品がもらえるイベントをお知らせしてLINEアカウントのブロックを防止したり、さらにイベントに参加した顧客のみを対象にインセンティブを付与し顧客のLINEアカウント満足度を向上させたりすることが可能です。
広告配信
CRMシステムから得た情報を活用した広告を「アドレサブル広告」といいます。収集したCRMデータを基盤として「潜在顧客向け」「既存顧客向け」「ファン向け」など、それぞれ異なる内容の広告を表示することが可能です。
アドレサブル(addressable:住所を指定可能な)という言葉が示す通り、顧客一人ひとりに対して最適な広告を配信できます。また、基盤とするCRMデータは自社で収集したものであり、他社は持ち得ない情報であることから、競合との差別化が容易な点や、cookie制限の影響を受けないため情報の取得が可能な点もメリットです。
Web接客
Web接客とは、Webサイト上で顧客の訪問回数や行動履歴に応じて、個別にポップアップメッセージやチャットボットでの顧客対応をすることにより、あたかも実店舗で接客を受けているような体験を提供することです。
例えば、初回訪問のお客さまに対して、会員登録でのクーポン提供を行うことによる会員登録促進や、商品/サービス選びで離脱傾向の顧客へのチャットやFAQの誘導を行う事で、商品購入や申し込み率を向上させることが可能です。 また、顧客への手厚い接客をWeb上で行う事でサービスへのロイヤルティを向上させるなどの効果も期待できます。
コンタクトセンター
お客さまからの問い合わせや要望を受け取るコンタクトセンターでは、顧客の過去の対応履歴や購買履歴などのデータを活用することによって、よりコンタクトセンターでのCRMマーケティングを充実させることが可能です。
蓄積したデータをFAQに反映させたり、VOCデータとして商品開発や顧客サービスに活用したりすることができます。 また、電話だけでなくメールやSNSなど対応チャネルのデータを収集することでより高度な顧客サポートを実現することができます。
CRMマーケティングのお悩みはTOPPANへ相談を!
CRMマーケティングの概要や、その重要性、導入するメリット、活用のポイントなどを紹介しました。
CRMマーケティングは、顧客データを収集・分析し、ニーズに合わせたサービスを提供するマーケティング手法です。既存顧客にアプローチし、ファン化をめざすCRMマーケティングは、新規顧客の獲得が難しい近年の状況においても、高い効果が見込める施策といえるでしょう。
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2024.02.19