D2Cの完全ガイド|
メリットやポイントなど基礎から解説
D2Cは、消費者との関係性を濃厚にし、高い収益性が期待できるビジネスモデルとして注目されています。今回は、D2Cの完全ガイドと称し、メリット・デメリットや事例など基礎から解説します。
<目次>
1.D2Cとは?
2.D2CとECの違い
3.D2Cが普及した背景
4.D2Cの市場規模
5.D2Cのメリット
6.D2Cのデメリット
7.D2Cブランド企業例
8.D2Cを成功させるポイント
9.TOPPANのD2C支援サービス「D2Cのばセル®」
1.D2Cとは?
D2C(Direct to Consumer)とは、製造者(メーカー)が自社で企画・開発、製造、流通、販売までを行い、商品やサービスを消費者に直接届けるビジネスモデルを指します。
一般的な流通の場合、卸売業者や小売業者といった中間業者を介しますが、D2Cではメーカーと消費者の間に他の業者が入りません。そのため、メーカーと消費者との関係性が濃厚になり、商品・サービスの開発・改善につながることが期待できるほか、品質と価格のバランスを取りやすくなったり、マーケティング戦略や販促方針などの自由度が高くなったりといったメリットがあります。
2.D2CとECの違い
D2Cはビジネスモデルであり、消費者との直接的な関係構築を重視しています。一方で、ECは販売の手法を指し、オンラインで製品やサービスを販売することを意味します。つまり、D2CはECの一形態でありながら、より直接的に消費者との関係を築くことに特化しています。
3.D2Cが普及した背景
D2Cは、経済のありかたが従来の大量生産・大量消費から、少量多品種の生産・消費へシフトする中、次のような消費者の志向を背景に2000年代後半頃から普及してきました。
1. デジタルネイティブ世代の増加:ミレニアル世代やZ世代といったデジタルネイティブ世代が主力購買層に台頭し、オンライン販売が一般的になった
2. SNSの普及:スマートフォンの普及とともにSNSが社会に浸透したことにより、直接顧客とコミュニケーションをとってブランドストーリーや商品の特徴を効果的に伝える機会が増えた
3. 消費に対する価値観の変化:皆が同じものを所有するモノ消費から、商品に付加された個性や世界観、ストーリーを共有し独自の体験を得るコト消費へと価値が変化している
4.D2Cの市場規模
D2Cが近年特に注目される背景には、コロナ禍を経たEC市場の拡大があります。経済産業省が毎年行う「電子商取引に関する市場調査」によると、2022年の消費者向けのEC市場は22.7兆円を超え、前年比で9.91%増と1割近い伸び率を示しています。また、消費者向け市場のEC化率は前年比0.35ポイント増の9.13%でした。
日本のD2Cの市場規模
売れるネット広告社の調査によると、2015年に1.3兆円だったD2Cの市場規模は年々1割近い拡大を続け、2020年には2.2兆円に達しました。その後も右肩上がりに拡大し、2025年には3兆円を超える見込みです。
世界のD2Cの市場規模
米国では、アパレルやコスメ、衛生用品など、多くの業界でD2Cが増加傾向にあるほか、ヨーロッパではイギリスを中心にドイツやフランスなどで規模が大きく、中国は世界トップシェアを誇り、拡大が見込まれます。
5.D2Cのメリット
D2Cの販促形態を取り入れることで、以下のようなメリットが得られます。
・収益性が高まりやすい
・マーケティング戦略の自由度が高い
・商品企画や開発に顧客の声を活用できる
上述の通り、D2Cでは、商品の販売やサービスの提供に関連する中間マージンや、ECプラットフォームに支払う販売手数料が発生しないため、粗利率が上がり、収益性が高まりやすい点が特徴です。
また、メーカーが直接消費者と接点をもつため、マーケティング戦略の自由度が高まり、独自の調査や自社のECサイトから得られるデータを詳細に分析し、ブランディングの強化や最適な販促戦略を講じることができます。
さらに、自社のECサイトやSNSで直接的なコミュニケーションを図れるため、顧客からのフィードバックや購買データから得られるニーズの動向などを収集・活用することで、市場のニーズに即した商品・サービスの開発・改善を行うことが可能になります。
6.D2Cのデメリット
一方で、D2Cにはいくつかデメリットも挙げられます。以下のような点に注意しましょう。
・初期コストや運用コストがかかる
・マーケティングやブランディングも活用する必要がある
・売上が軌道に乗るまで時間を要する
D2Cは、ECサイトや流通経路の構築、顧客の開拓を自力で行う必要があり、初期コストが大幅にかかる可能性があります。ECサイトやSNSなどの運用にも、専門の人材確保や事業者への外注など、コストが発生します。外注しない場合は、ECサイトの認知度を高めるSEO対策や、商品への愛着を高めファンを増やすSNS運用などをすべて自社内で行う必要があります。
このようなマーケティングやブランディングは即効性のあるものは少なく、認知度が高まり商品の価値が浸透し、愛着が高まってリピーターが増えるようになるまでには相当の時間がかかります。
7.D2Cブランド企業例
D2Cブランドの具体的な事例として、いくつかご紹介します。
アパレル業界事例|A社
A社は、小柄な女性をターゲットにしたアパレルブランドです。身長の低さを個性として楽しめる世界観を展開し、骨格診断やカラー診断を活用したパーソナライズや、衣装と合う靴や小物のセッティングなど、ニーズに応じた商品を展開しています。
Instagramではコミュニティを形成し、ライブで商品説明をしたり、ユーザーからの質問に答えたりするなどファン化を進めており、数十万人のフォロワーを擁するブランドに成長しています。
美容業界事例|B社
B社は、サブスクリプション型ヘアケア商品を提供するブランドです。オンライン上で髪質診断を受けると、30万人の累計会員の診断データをもとに、最適化されたシャンプー・リペアセットやヘアマスクセットなどの商品が提案されます。カスタマイズされた商品は毎月届き、感想のフィードバックや定期的なカウンセリングによって継続して商品への反映ができる仕組みです。
8.D2Cを成功させるポイント
D2Cを効果的に展開するために気をつけておきたいポイントとして、以下のことが挙げられます。
・D2Cが勝ちやすい市場・商品を選定する
・サブスクリプションモデルを検討する
・物流体制を整備する
・マーケティングに注力する
「商品」「価格」「流通」「プロモーション」の4P分析の観点から、D2Cの特徴を活用することが要点になります。
D2Cは、デジタルコミュニケーションを活用したオンライン直販である点が特徴で、展開しようと考えている商品の競争力を検討するうえで、どの程度EC化した市場へ参入することになるのかを知っておくことが重要です。加えて、パーソナライズによる商品へのファン化と直販が特性であることから、サブスクリプション方式を使えばそれらをフル活用できるでしょう。
また、高品質の商品を個別ニーズや購買目的に沿って柔軟に対応しつつ、すばやく確実にお客さまへ届けるプロセスを確保する必要があるため、流通体制の整備が求められます。そのうえで、顧客のファン化と育成を行うためのプロモーションとして、ブランドの世界観を確立し、商品開発や販売形態へ反映させることはもちろん、ECサイトでの発信やSNSによるユーザーとのコミュニケーションでも統一した世界観で物語を紡いでいく必要があります。
9.TOPPANのD2C支援サービス「D2Cのばセル®」
TOPPANの「D2Cのばセル®」は、D2C事業の立ち上げからグロースまでワンストップで提供するD2C支援サービスです。「指名買いされるブランド」を実現すべく、難航する社内調整や不足している人材やノウハウの確保もプロにお任せ。TOPPANが培った商品開発、プロモーション、デジタルマーケティング支援のノウハウを最大限に活用し、経験豊富なPMがD2C事業の立ち上げから拡大まで伴走します。
2025.03.14