エクスペリエンスデザインサービス イベントレポート

今の時代に求められる
‟新しい価値”で市場を創造する考え方
~インテグレート×TOPPAN共催オフラインセミナー~

TOPPANは2025年11月11日、変化の激しい現在の市場において持続的な競争力を手にするために、市場創造や生活者インサイトの発掘、コミュニケーション設計、店頭体験までを一気通貫で「新しい価値創造」をどう実現するか、をテーマにMICHI inc.代表の北原規稚子氏と(株)インテグレートの代表取締役CEOの藤田康人氏を迎え、セミナーを実施しました。

最新の研究や技術が社会実装されるまでのプロセス、生活者インサイトの深耕、事業創発や業務改革のためのDX(デジタルトランスフォーメーション)、事業をグロースさせるためのCX(顧客体験)とEX(従業員体験)、SNSマーケティング手法、CDP(カスタマーデータプラットフォーム)の活用など、新しい価値を創造するためにどのような取り組みが必要かを提示し、具体的な取り組みについても紹介しました。
登壇者によるパネルディスカッションの全貌は、資料DLが可能ですので、是非ご覧ください。
【イベントレポート】今の時代に求められる‟新しい価値”で市場を創造する考え方~パネルディスカッション編~のバナー画像


〈プログラム〉
1.新価値創造を可能にする ブランディングの考え方
2.新価値創造で考えるべき パーセプションチェンジとは
3.TOPPANのビジネス変革支援とは?
リアル接点をLTVの起点に変える これからの店舗DX戦略
4.パネルディスカッション


■北原 規雅子 氏(きたはら みちこ)│株式会社MICHI 代表取締役CEO
2002年にライオン株式会社へ入社。史上最年少の27歳でブランドマネージャーに就任し、ボディケアの新ブランド立ち上げに従事。2010年に株式会社資生堂へ入社。TSUBAKI、ELIXIR、MAQuillAGE等のブランドマネジメントを経て、マーケティング本部長等、指揮を広く管掌。2025年にMICHI inc.を立ち上げ、幅広くブランディングやコンセンプト開発を通じた新価値創造に携わる。

■藤田 康人 氏(ふじた やすと)│株式会社インテグレート 代表取締役CEO
味の素株式会社を経て、ザイロフィンファーイースト社(現:ダニスコジャパン)の設立に参画。キシリトール・ブームを仕掛け、製品市場をゼロから2000億円規模へと成長させた。2007年、IMC(統合型マーケティング)プランニングを実践する、マーケティングエージェンシー株式会社インテグレートを設立。

■秋月 健児 (あきづき けんじ)│TOPPAN株式会社 情報コミュニケーション事業本部 ビジネストランスフォーメーション事業部 プロデュース本部 本部長
経験者採用として凸版印刷株式会社(現:TOPPAN株式会社)へ入社。通信業界や製薬業界の営業を担当して、企業の販促支援や業務改善プロジェクトを多数実施。2020年からはデジタルマーケティング部門の営業責任者として新たな得意先開拓、ビジネスモデル開発、共創パートナー構築に取り組む。社内では営業改革プロジェクトに参画し、SFAツールなどの導入を推進。現在は、マーケティングDX領域を中心に企業のビジネス変革の支援を推進。

■奈良 泰秀 (なら やすひで)│TOPPAN株式会社 情報コミュニケーション事業本部 ビジネストランスフォーメーション事業部 エクスペリエンスデザイン第二本部 店舗DX推進部 部長
2008年に凸版印刷株式会社(現:TOPPAN株式会社)へ入社後、クリエイティブディレクターとしてメーカー企業のマーケティング課題に寄り添い、セールスプロモーションの戦略実行を推進。その後、CX(顧客体験)を設計する専門部署にて、生活者インサイトの理解を軸に体験価値向上に取り組むと同時に、都市再開発におけるエリアマネジメントサービスの立ち上げにも尽力。現在は、TOPPANの強みである「店舗開発」と「DX」を組み合わせ、顧客データの価値を最大化することに注力。優れた顧客体験の創出を通じて最終的なビジネス成果へと繋げる戦略を設計・実装し、クライアントの事業成長に伴走する部門を率いる。

※所属企業名・部署名は2025年11月時点



【セッション1】新価値創造を可能にする ブランディングの考え方

北原 規稚子 氏
株式会社MICHI 代表取締役CEO


ブランドを単なるイメージではなく、ビジネス成長を促す「意味(ベネフィット)の創造」として捉える考え方を解説。
ブランドとは生活者の頭の中に蓄積される記憶によって出来上がる「意味」であり、この「意味」は、ブランドが提供するモノ(機能)ではなく、相手に起こる良い変化である「ベネフィット」であるべきと定義。お客様はドリルというモノ(機能)ではなく、それをもって開いた壁の穴(ベネフィット)にお金を払うという例を示した。さらにそのベネフィットを深く追求することで、既存のカテゴリーを超えた思わぬ競合や新しい市場(新価値)が見つかると示唆。機能とベネフィットの見分け方は、主語が商品orお客さまであるかだ。
そして、ブランドマネジメントはこの「意味」を使って、マーケティング投資を最適化・最大効率化することと提言。

さらに新価値創造においては、データにそのままリアクトせず、既存市場ではない「じゃない方市場」(例:ノンアルコール飲料の市場、車を持たない人々)のインサイト(日常的に意識していない潜在意識)を深く捉え、新たな価値(=What/ベネフィット)で応えることがイノベーションを生み、重要であると強調。

また、作成したブランドの構成要素をまとめた「ブランドバイブル」が「パワーポイントの中にだけ留まる」ことを防ぐため、体験に落とし込み届けきるパーセプションフローの設計を推奨。
これは、ターゲットがどう行動するかではなく、ブランドのベネフィットを期待・実感するといった「認識変容」をどの接点で起こすかを設計するものであり、この認識の設計図によって施策の目的が明確化され、一貫性のあるブランド体験を提供し、結果としてブランドは効率的な成長を促すことが可能になると結んだ。


【セッション2】新価値創造で考えるべき パーセプションチェンジとは

藤田 康人 氏
株式会社インテグレート 代表取締役CEO

新規事業や新市場創造において、認知拡大だけでは不十分であり、生活者のパーセプション(認識)をデザインすることの重要性を強調して説明。

クレイトン・M・クリステンセン教授の「ジョブ理論」の考え方を引用し、顧客はある特定の商品を購入するのではなく、「生活を進歩させたい(=ジョブ)」ために、それらを生活に引き入れる(=ジョブの解決のために商品を購入する)と解説。ジョブはニーズよりも特定の状況で作用する潜在的・本質的なもので、そもそもその人は何をしたいのか、人の目的・理由を主軸に考える。
例えば、ミルクシェイクがどうしたら売れるかと味やパッケージを熟考しがちだが、それを「ジョブ」視点で見ると朝の時間は「通勤中の退屈しのぎ」、夕方は「子供を喜ばせて優しい父親気分を味わう」と時間帯や状況によって違うジョブが見えてくるため、それぞれセルフサービスにしたり、半分サイズにするといったベネフィット提供のアイディアがでてくる。

特に新市場では、解決すべきジョブがまだ顕在化していないことが多いため、企業は製品のベネフィットを伝える前に、その製品が「最良の答え」となる「問題(ジョブ)」そのものを顕在化させる必要がある。

最終的には「顕在化していないジョブの特定」から、プロダクト、サービス、コミュニケーションが一体となった顧客体験(CX)を設計し、それが製品からライフスタイル、さらには文化(例:キシリトールによる予防歯科文化)へと昇華する仕組みを作ることで、持続可能なビジネスと新しい市場が創造されると結んだ。



【セッション3】TOPPANのビジネス変革支援とは?

秋月 健児
TOPPAN株式会社 情報コミュニケーション事業本部 
ビジネストランスフォーメーション事業部 プロデュース本部 本部長

パーセプションやジョブに対して、どうアクションを取っていくか(=How)を考える際に、デジタル化の進展により「顧客・従業員体験の断絶/サービスへのFBの断絶」が、DXにおける価値創造の課題であると指摘。
広島銀行や化粧品メーカーの事例からも、分断されたチャネル(デジタル、小売、直営店など)を跨ぎ、一貫した顧客体験とパーセプション(認識)を形成する重要性を強調。

オンライン競争の限界とリアル価値への回帰を受け、人間とリアルな体験を主役とし、デジタルを脇役として活用する「リアル・トランスフォーメーション(RX)」を提唱。
顧客、従業員、商品体験の好循環を生み出すRXを通じて、真の顧客体験(CX)向上を目指すべきであると結んだ。



【セッション3】リアル接点をLTVの起点に変える これからの店舗DX戦略

奈良 泰秀
TOPPAN株式会社 情報コミュニケーション事業本部 
ビジネストランスフォーメーション事業部 エクスペリエンスデザイン第二本部 店舗DX推進部 部長

DXは効率化に留まり、チャネルやブランド体験を横断できている・向上させられているという状態に未だ至っていない企業が多いのが現状だと指摘。
消費者の55%がリサーチ後に来店する現在、店舗は答え合わせの場として「LTVの起点」であり「エンゲージメントの拠点」であると強調。
店舗を単なる販売拠点からファン化促進の最重要拠点へと進化させるため、DXの次なる一手として「リアル・トランスフォーメーション(RX)」の必要性を提言。
これは、モノ中心から人中心(行動・本音・意図)のデータ取得に転換し、オンラインとリアルチャネルのデータを連動させることで、お客様の深い理解に基づく「あなただけの体験」を提供する仕組みを実装することだと結んだ。




【セッション4】パネルディスカッション

登壇者4名が、
●ブランド パワポの中だけ現象
●‟じゃない方”市場
●顧客接点におけるリアルが重要

の3テーマを元にディスカッションをしました。

貴重なディスカッション内容の詳細は、こちらから資料DLが可能です。
【イベントレポート】今の時代に求められる‟新しい価値”で市場を創造する考え方~パネルディスカッション編~のバナー画像

2025.12.15