エクスペリエンスデザインサービス コラム

顧客の隠れたニーズを解き明かす!
インサイト発掘から導くCX戦略

CX(顧客体験価値)の向上が求められる昨今、顧客ニーズやインサイトを正確に把握することなくしては、成功は難しいのが実情です。まずは顧客ニーズを把握し、適切に活用することが重要です。その上でCX戦略を練ることが、成果につながっていくと考えられます。

今回は、顧客ニーズとインサイトの違いから、顧客ニーズを把握する手法、活用方法、そしてニーズとインサイトから導くCX戦略設計についてご紹介します 。


<目次>
1.顧客ニーズとインサイトとの違い
2.顧客ニーズの把握手法
3.顧客ニーズの活用方法
4.顧客ニーズとインサイトから導くCX戦略設計
5.まとめ


1. 顧客ニーズとインサイトとの違い

顧客ニーズとは、顧客が持つ欲求や要求、期待を指します。生活や仕事、趣味などの行動をとる上で満たされていない欲求や、その欲求が生まれる理由のことです。

ウォンツとの違い

ニーズとよく比較される言葉に「ウォンツ」があります。英語の「wants(欲求)」からきており、ニーズと似ていますが、ウォンツはあくまで欲求そのもの、もしくは最初の欲求を指します。

ニーズも欲求そのものを指すことはありますが、ウォンツと厳密に区別する場合、欲求が生まれる理由や根本にある動機を指します。

顕在ニーズと潜在ニーズの違い

顧客ニーズは、本人が自覚しているかどうかによって「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の2つに大きく分けられます。「あの服がかっこいいから欲しい」が顕在ニーズであり、「あの服を着て好感度を上げ、人気を得たい」が潜在ニーズにあたります。

インサイトとの違い

顕在ニーズ:本人が自覚しているニーズ
潜在ニーズ:本人が自覚していない潜在的なニーズ
インサイト:本人が自覚していない本音・深層心理

近年、もう一つ注目されているのが「顧客インサイト」です。

インサイトは、顧客自身も気づいていない、購買行動の背後にある動機や潜在意識を指します。いわば、隠れた本音です。

インサイトは本人も自覚していない点で潜在ニーズと共通しますが、潜在ニーズよりも深い潜在意識に存在します。インサイトがニーズを生み出す「スイッチ」になるともいわれています。

近年インサイトが注目されるのは、市場に潜在ニーズを満たす商品がすでに多く存在するためです。

インサイトにアプローチすることで、競合他社のいない市場の開拓につながる可能性があります。


2.顧客ニーズの把握手法

顧客ニーズを把握するための代表的な手法をご紹介します。

アンケート調査

顧客に対して、ブランドや商品、ニーズに関するアンケートを行います。

インタビュー

顧客に直接ヒアリングを行い、ニーズを把握します。

ソーシャルリスニング(SNS分析)

SNSに投稿された膨大な口コミデータを分析します。

VOC分析

問い合わせなどを通じて寄せられる「Voice of Customer(顧客の声)」を分析し、ニーズや傾向を読み取ります。

購買データ分析

店舗やECのデータ分析から、ニーズのある商品や顧客行動を発見します。

アクセス履歴分析

ECサイトやWebサイトのアクセス履歴から行動を分析し、ニーズを洗い出します。

RFM分析

Recency(最終購入日)・Frequency(購入頻度)・Monetary(購入金額)の3つの指標で顧客を分類・分析し、グループごとのニーズを把握します。

CTB分析

Category(カテゴリ)・Taste(テイスト)・Brand(ブランド)の3つの指標で顧客を分類・分析し、グループごとのニーズを把握します。

ペルソナの作成

理想の顧客像を属性やライフスタイルなど細かく設定した上で、仮想の対話を通じてニーズを引き出します。

これらの定量データと定性データを組み合わせて分析することで、より正確にニーズを把握できます。


3.顧客ニーズの活用方法

発見した顧客ニーズの具体的な活用方法をご紹介します。

●商品・サービス開発
●マーケティング施策の見直し(広告、SNS投稿、キャンペーンなど)
●接客、コールセンター対応改善
●営業のトークスクリプトや資料の改善
●CX改善

上記のシーンの各所に反映することで、顧客ニーズに沿ったサービス展開や施策を実現できます。

なお、CXは「Customer Experience(顧客体験/顧客体験価値)」の略称で、商品やサービスの機能・価格といった合理的な価値に加え、購入から使用中、購入後のフォローアップまで、一連のプロセスにおけるすべての体験から生まれる感情的な価値を指します。顧客ニーズを反映させることで、顧客に最適化された体験を提供できます。


4.顧客ニーズとインサイトから導くCX戦略設計

顧客ニーズと共に、インサイトを発見した上で、CX改善に戦略的に活かすことが、近年のトレンドとなっています。しかし、実施に当たって、分析にまつわる課題に直面しがちです。

顧客ニーズやインサイト分析の課題

・顧客データ分析活用が進まない
顧客ニーズの分析に必要なデータ収集や集計、分析に手間取り、さらに活用につなげるとなれば、多くのリソースや専門的知見が求められます。なかなか社内で進まない課題はよくあります。

・社内体制が整っていない
そもそもCX改善という目標が社内に浸透しておらず、体制が整っていないまま取り組もうとしているケースも見られます。CX向上は組織的なプロジェクトとして戦略的に推進する必要があるため、成果を出すのは難しいでしょう。

・ターゲット層の正確な分析や真のニーズ発掘ができていない
顧客ニーズやインサイトの把握は多様なデータを掛け合わせて分析した上で実現します。またインサイトの発見には、アンケート調査やソーシャルリスニングなどの調査に加え、個別インタビューやグループインタビューを通じて、個人の嗜好や価値観を深堀する調査も求められます。

これらの調査が不十分なため、真のニーズやインサイトを発見できず、表面的な把握に留まっているケースは少なくありません。

課題解決策は専門家の支援を受けること

上記のCX改善を戦略的に進める上で生じる課題を解決するには、ノウハウとリソースの両面で専門家の支援を受けることが有効です。

TOPPANでは、CX戦略ソリューションをご提供していますので、ぜひお声がけください。貴社のビジネス目標に沿ったご支援をさせていただきます。


まとめ

顧客ニーズを発見し、ビジネスのあらゆるところに活用していくことで、売れる商品・サービス、有効なマーケティング施策、顧客に喜ばれる接客・営業、そしてCXの改善が見込めます。

特にCX改善は、データ分析や社内リソース不足、顧客の真のニーズ深掘りが難しいといった課題に直面することがあります。

そんなときは、TOPPANのCX戦略ソリューションにご依頼ください。

パーパス・MVV策定から事業戦略の立案、商品・サービス開発、顧客体験設計まで、さまざまなCX課題に応じて専門性の高いソリューションをご提供します。顧客ニーズの調査・分析もお任せください。

2025.10.09