顧客エンゲージメントを向上させる
CXコンテンツ設計!
成功企業から学ぶ具体例
「企業と顧客の間の信頼関係や絆」を意味する「顧客エンゲージメント」という言葉をよく耳にするようになりました。すでに多くの企業が向上施策に取り組んでいます。まずは、なぜ高める必要があるのか、そのメリットを押さえておきましょう。
今回は、顧客エンゲージメントの概要から、高める必要性やメリット、具体的な手法とステップ、そしてCXコンテンツ設計の重要性、成功事例までご紹介します 。
<目次>
1.顧客エンゲージメントとは?高める必要性とメリット
2.顧客エンゲージメントを高める手法とステップ
3.顧客エンゲージメントを高める鍵はCXコンテンツ設計にあり
4.成功企業に学ぶCXコンテンツ設計の事例
5.まとめ
1.顧客エンゲージメントとは?高める必要性とメリット

顧客エンゲージメントの概要、背景、そしてメリットについてご紹介します。
顧客エンゲージメントとは
顧客エンゲージメントとは、顧客と企業やブランドの間に築かれる信頼関係や絆のことです。
顧客エンゲージメントが高い顧客は、商品やサービスを継続的に購入・利用し、知人や家族に対して、SNSなどで好意的な口コミをする傾向があります。また、企業に対してポジティブなフィードバックや、サービス改善のための積極的な意見をくれるのも特徴です。これは、企業やブランドがより良いものになることを期待しているからです。
似た言葉に「顧客ロイヤリティ」がありますが、これは顧客が企業やブランドに対して抱く愛着や忠誠心の度合いを示す指標です。顧客エンゲージメントが顧客と企業間の双方向的な「つながり」を意味するのに対し、顧客ロイヤリティは顧客から企業への「一方的な思いや感情」を指す点で異なります。また、顧客エンゲージメントは顧客の感情よりも「行動」にフォーカスしているという違いもあります。
顧客エンゲージメントを向上させる必要性
近年の市場や顧客行動の変化から、顧客エンゲージメント向上の必要性は高まっています。市場は飽和状態にあり、高機能な商品が多数存在する中、顧客は複数の選択肢から情報収集を行い、比較検討します。もはや機能や価格だけでは選ばれない時代となり、得られる顧客体験や価値観への共感などが購買につながるのです。深い顧客エンゲージメントを築くことは、顧客の継続的な利用を獲得するための重要な取り組みです。
顧客エンゲージメントを高めるメリット
顧客エンゲージメントを高めることで、次のメリットが期待できます。
・リピーター創出や利益率向上
・良質な口コミの創出
・企業やブランドの成長促進
・顧客との共創実現
・生活文化の形成
自社に信頼や愛着を抱いた顧客は、自社商品を選んでくれるだけでなく、ポジティブな口コミやフィードバックをくれるでしょう。これは企業イメージの向上や成長に貢献します。ファンとのコミュニティを構築すれば、商品やサービスの共創も可能です。
また行動変容の結果、中長期的には商品やサービスが顧客の生活習慣になじんだり、文化として形成されたりすることも期待できるでしょう。
2.顧客エンゲージメントを高める手法とステップ

顧客エンゲージメントを高める手法と、具体的なステップをご紹介します。
顧客エンゲージメントを高める手法
・パーソナライズされた体験の提供
顧客データ分析に基づき、顧客に個別最適化されたレコメンドを行うなどします。
・双方向コミュニケーション
一方的な情報発信ではなく、参加型キャンペーンなど双方向の施策を行います。
・ロイヤリティプログラムの実施
会員プログラムにより、購買回数や金額に応じたオファーを提供するなどロイヤルカスタマー化を促します。
・オムニチャネル体験の最適化
オンラインとオフライン、複数の問い合わせ窓口など、すべてのチャネルで統一された最適な顧客体験を提供します。
・Web広告/SNS広告
オンライン広告を活用し、情報感度の高い顧客への露出を増やします。
・接客、応対品質向上
店舗やコールセンターでの接客や応対品質を向上させ、ストレスのない体験価値を提供します。
・VOC分析活用
問い合わせなどを通じて寄せられる「Voice of Customer(顧客の声)」を分析し、ニーズや傾向を読み取り、サービスや施策に反映します。
・ストーリーテリング
企業ビジョンや価値観をストーリーとして語り、顧客の感情を動かし、共感を促します。
顧客エンゲージメントを高めるステップ
STEP1.現状把握と目的の明確化、目標設定
まずはアンケート調査などにより現状を把握し、課題を見つけて目的と目標を設定します。これらの社内共有も欠かせません。
STEP2.顧客接点の洗い出し
顧客とのあらゆる接点での改善を図るべく、顧客が購入までにたどる道筋を「カスタマージャーニーマップ」として作成します。
STEP3.顧客体験のパーソナライズ設計
カスタマージャーニーマップの各プロセスに、エンゲージメント向上のための工夫を盛り込みます。顧客グループごとにパーソナライズされた体験を設計します。
STEP4.体験提供
設計した施策を実行し、新たな体験価値を提供します。
STEP5.効果測定
あらかじめKPI(重要業績評価指標)を設定しておき、効果測定を行います。
●KPI例
・リピート率
・解約率
・顧客満足度
STEP6.改善施策の実行
KPIの数値を見ながら、思わしくない部分を改善します。効果測定と改善は継続的に行うことが重要です。
3.顧客エンゲージメントを高める鍵はCXコンテンツ設計にあり

顧客エンゲージメントを高めるためには、CXコンテンツ設計が重要です。ここでは、その設計ポイントも合わせて解説します。
CXコンテンツ設計の重要性
顧客エンゲージメントは、優れたCXを積み重ねることで高まります。CXとは「Customer Experience(顧客体験/顧客体験価値)」の略称で、商品やサービスの機能・価格といった合理的な価値に加え、購入から使用中、購入後のフォローアップまで、一連のプロセスにおけるすべての体験で発生する感情的な価値を指します。
CX向上や改善のためのコンテンツを戦略的に設計することが、顧客エンゲージメント向上の鍵を握るのです。
設計のポイント
・パーソナライズ
「これが欲しかった」「タイミングが良い」といった感情を生み出す、パーソナライズされた体験は大きな価値となります。
・一貫性
提供する体験全体を通じて、ブランドイメージや品質に一貫性を持たせることも重要です。不一致があると、信頼を損なう恐れがあります。
・顧客ニーズ、インサイトの把握
顧客が何を求めているのかを正確に把握できるほど、CXは洗練されます。
顧客ニーズはもちろん、インサイトも合わせて把握し、取り入れましょう。インサイトとは、顧客自身も気づいていない、購買行動の背後にある動機や潜在意識を指します。いわば、隠れた本音です。
顕在ニーズ:本人が自覚しているニーズ
潜在ニーズ:本人が自覚していない潜在的なニーズ
インサイト:本人が自覚していない本音・深層心理
・顧客視点のコミュニケーション
常に顧客視点を保ち、企業からの押し付けは避けましょう。
複数部署連携
複数部署が連携し、組織的にチームを編成しましょう。CX戦略の目標を共有することで、顧客対応品質やブランドイメージの統一化につながります。
4.成功企業に学ぶCXコンテンツ設計の事例

顧客エンゲージメントを高めた企業事例をご紹介します。
顧客エンゲージメントを高めた企業事例をご紹介します。
ある航空会社は、根付いてしまった官僚的なイメージを払拭するため、ブランド戦略を進めていました。顧客エンゲージメントを高めるには、ブランドとの距離を縮めるSNSの活用が有効であると見出しました。
そこでFacebook公式アカウントを開設し、旅行に行きたくなるような投稿など、ユーザーとのコミュニケーションを通じて、お堅いイメージの刷新に成功しました。その結果、アンケート調査などから、ユーザーに身近な存在として感じられていることがわかりました。
インテリアブランド
大手インテリアブランドが市場に複数存在する中、このブランドは独自のポジションを築く必要がありました。そこで若い女性向けのブランドメッセージを明確にし、SNSを中心とした投稿を進めました。
その結果、UGC(User Generated Content/ユーザー生成コンテンツ)を多数生み出し、顧客エンゲージメント向上につなげています。
玩具ブランド
世界的な玩具ブランドは、テレビゲームなどの台頭により、大きな赤字に見舞われていました。さまざまな施策を行う中で、ファンを集めたオンラインコミュニティを構築し、共創プログラムを実施しました。
同ブランドの玩具で組み立てた作品を投稿・レビューし合うシンプルなコミュニティで、コンテストなども実施。1万人以上からの支持で製品化するなど、顧客と共創しながら顧客エンゲージメント向上を実現しています。
5.まとめ
顧客エンゲージメントを高めることは、企業の競争力を向上させる上で重要な取り組みです。ぜひCXコンテンツ設計を行い、顧客エンゲージメント向上につなげていきましょう。
一方で、CX設計は専門的な知識やノウハウが求められる領域です。
自社での実現が難しいと感じた場合は、ぜひTOPPANにご相談ください。
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2025.10.09