エクスペリエンスデザインサービス コラム

顧客体験を変革した成功事例から学ぶ!
全社連携で成果を出すCXの実践法

顧客行動の変化、市場競争の激化、企業ブランディングの必要性などを背景に、CX向上への取り組みは多くの企業で実践されています。しかしニーズの把握や効果測定などの 課題に直面することもあり、どう乗り越えるべきか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、CX向上で直面するよくある課題から、CXを向上させた成功事例7選、CX向上のための成功ポイントまでご紹介します 。


<目次>
1.CX向上におけるよくある課題
2.CXを向上させた成功事例7選
3.成功事例から学ぶ、CX向上のための成功ポイント
4.まとめ


1.CX向上におけるよくある課題

CXとは「Customer Experience(顧客体験/顧客体験価値)」を指します。商品やサービスの機能・価格といった合理的な価値だけでなく、購入から使用中、購入後のフォローアップまで、一連のプロセスにおけるすべての体験がCXであり、そこから生まれる感情的な価値を指します。

近年は、顧客の価値観が多様化し、市場競争も激化しています。そのため、ただ機能を向上させるだけでは顧客に選ばれにくく、高い体験価値を提供することで差別化を図る必要性が増しています。

CXの詳細については下記のコラムもあわせてご覧ください。

CX向上施策は数ありますが、それらに取り組む際に、マーケティング担当者や経営層が抱える、代表的な課題として次の点が挙げられます。

顧客ニーズを把握できていない

優れた体験価値を提供するには、顧客が何を求めているかを知る必要がありますが、そもそも何が最適なのか把握できていないという課題です。

複数チャネルの連携や統一ができていない

CXを進める上で、問い合わせに対応するコールセンターやメールフォーム、チャット、FAQなど、さまざまなチャネルが連携しておらず、共通した顧客体験を提供できていないという課題です。統一感のない対応は、顧客に不便さや不満を与える大きな問題となります。

CX向上施策が「やって終わり」になっている

何らかの施策を実施しても、効果測定をせずに自己満足で終わってしまうという課題です。これでは成果を測れず、施策の見直しや改善ができません。

このような課題は多くの企業が直面しており、さまざまな工夫で解決しています。


2.CXを向上させた成功事例7選

そこで上記のような課題を乗り越えつつ、CX向上を成功させた事例をご紹介します。

1)テクノロジー企業

課題・目的 :ECモールを展開しており、優れたユーザー体験を重視しています。

施策:徹底的に顧客ニーズを予測し、ワンクリックで購入できる仕組みやレコメンド、複数チャネルによる問い合わせ受付を実施。フィードバックを開発に取り入れることも行っています。

成果:膨大なユーザー数を獲得し、顧客ロイヤリティ(顧客のサービスに対する愛着・忠誠心・信頼)の向上を実現しています。

2)コーヒーチェーン

課題・目的:カフェ業界の競争激化による他社との差別化の必要性や、顧客ロイヤリティを高めるための付加価値提供が求められています。

施策:ただの飲食のみならず、店舗体験をブランド価値とするべく、独自の体験を意識的に創出。ポイント制度やモバイルオーダー、SNSのお得なキャンペーン、デリバリーなど顧客ニーズに応えています。

成果:カフェの高いシェアや満足度を獲得し、このカフェの体験を求めに毎日多くの人が詰めかけています。

3)高級ホテルチェーン

課題・目的:差別化や顧客獲得のために感動的な顧客サービスに注力しています。

施策:スタッフがホテルの使命や行動指針を明記したカードを携帯しており、顧客にきめ細やかかつラグジュアリーなサービスを提供。さらに従業員への丁寧なトレーニングにより従業員満足度も高めています。

成果:多くのファンとリピーターを創出しています。

4)回転寿司チェーン

課題・目的:コロナ禍でオンラインとオフラインの垣根を超えた顧客体験の提供が求められていました。

施策:店舗はもちろん、自宅でも楽しめる「お持ち帰り寿司」を積極的にアピール。スマートフォンから手軽にテイクアウト注文をできるようにしたり、複数のデリバリーサービスと提携するなどしました。

成果:複数チャネルの徹底した体験価値の統一化と、自宅での新鮮なブランド体験の提供から根強いファンを有しています。

5)製菓メーカー

課題・目的:オンラインショップやファンコミュニティの管理・運用が煩雑化しており、統一された顧客体験に課題がありました。

施策:各種サービスを共通の顧客IDで利用できるTOPPANの「ID統合プラットフォーム」を導入し、基本的な顧客管理の機能である顧客登録、ログイン、退会などに加え、外部連携するAPI群を実装しました。

成果:一度のユーザー認証で複数のサービスへログインできるシングルサインオンにより、従業員の利便性が向上しました。その結果、CX向上につなげています。

6)小売流通企業

課題・目的:店舗へ新たに若年層の顧客を呼び込むために優れたCX施策を検討していました。

施策:若年層に響くトレンドのメタバースを選定し、VTuberとのコラボやゲームなど、店舗では得られない体験を提供し、若年層を惹きつけました。

成果:SNSでユーザーより店舗へ出かけた投稿も数多く見られたことから、店舗送客に成功しています。

7)クレジットカード会社

課題・目的:顧客満足度の向上やDX推進などを背景に、デジタルを活用したCX向上が求められていました。

施策:クレジットカードの利用額に応じてポイントを提供するデジタルリワードプログラムの実施のほか、顧客データを軸としたパーソナライズされた体験を提供するべくプラットフォームを構築。顧客行動に基づいた特典のオファーを提供しています。

成果:顧客エンゲージメント(顧客と企業との信頼関係)や顧客維持率の向上が期待されています。


3.成功事例から学ぶ、CX向上のための成功ポイント

成功事例から見えてくる、CX向上の鍵となるポイントを抽出します。

目的の明確化

まず、CX向上施策の目的を明確にすることで、施策全体を通じてブレのない取り組みが可能になります。複数チャネルの連携や統一も図りやすくなるでしょう。目的を明確にすることで、やるべき具体策や効果測定の方法も見えてきます。

徹底した顧客理解

成功事例の多くは、顧客ニーズを深く掘り下げ、徹底した顧客理解を実践していることがわかります。顧客の声を取り入れる姿勢が成功の鍵です。

PDCA運用

施策は「やって終わり」にせず、結果を受けて改善するサイクルを繰り返すことで、初めて成果につながります。社内でPDCAサイクルを回せる体制を構築することが重要です。

部署横断の社内連携体制

CX戦略チームを組織的に編成することで、顧客体験に統一感が生まれ、成果につながりやすくなります。部署横断のメンバー構成で、こまめなフィードバック会を定期的に開催しましょう。


4.まとめ

CX向上の必要性はさらに高まっていくと考えられる中、顧客理解やチャネル連携・統一、PDCAサイクルを回すことなどの課題をいかに克服するかが問われています。

成功ポイントをお伝えしましたが、ノウハウやリソースがなければ実施は難しいと感じる方もいるかもしれません。そのような場合は、ぜひTOPPANにお任せください。

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2025.10.09