コラム

自治体のAI戦略
~AI導入のメリットと課題を解説

近年、人手不足の深刻化やDX推進などを背景に、業務効率化およびデジタル化を目指したAIを活用した戦略が進められています。AI導入を進めるに当たっては、数多くの課題に直面してしまいます。
今回は、自治体がAI導入を進める背景からメリット、課題と対策、自治体のAI導入事例をご紹介します。ぜひ自治体におけるAI導入のヒントとしてお役立てください。


■自治体がAI導入を進める背景

●自治体におけるAIの導入状況
令和6年7月に総務省より発表された地方公共団体へのAIの導入状況の調査結果によると、1,788団体のうち、都道府県・指定都市でAIは100%導入済みであることがわかりました。その他の市区町村は50%であり、実証や導入を予定しているなどの状況であり、約72%が導入へ向けて取り組みを進めています。
AI導入を完了している自治体が多数ある一方、市区町村についてはまだ課題に直面しながら進めている段階と考えられます。

●自治体がAI導入を推進する背景
自治体がAI導入を推進する背景として、国内の少子高齢化に伴う自治体職員の人手不足の深刻化により、業務効率化が求められていることが挙げられます。また国を挙げて推進されているDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応も大きな理由です。
DXによって自治体業務を変革し、より住民ニーズを満たす行政サービスへと発展させていくために、AIは大きな可能性を秘めています。

■自治体がAIを導入するメリット

自治体がAIを導入するメリットをご紹介します。

●人手不足への対応
お問い合わせに対して無人で自動対応できるチャットボットの活用が進んでいることからもわかる通り、AIは人に代わって一部の業務を遂行できます。人によるフォローや補完が必要ではありますが、自動化は工数や人員削減につながっており、人手不足への対応策となり得ます。

●業務効率化・生産性向上
AIが人の業務を代替したり、効率を上げたりすることで、生産性向上につながります。例えば生成AIを用いて市議会の議事録作成を効率化したり、情報検索を自動化・効率化したりすることで、職員はコア業務に労力と時間を割くことができるようになっています。

 ●コスト削減につながる
AIによって人員や工数が削減できれば、コスト削減にも寄与します。これまで人が担っていた業務が丸ごとまたは一部をAIが担うことになれば、その分の人的コストが削減できます。よりコストを抑えながら業務効率化が実現できるのです。

 ●住民サービスの品質向上
ヒューマンエラーが多発する業務や、属人的になりがちな業務をAIが代わりに担うようになれば、業務品質が向上もしくは一定に保たれます。その分、住民サービスの品質向上にもつながるでしょう。

■自治体におけるAI導入の課題と対策

自治体がAIを導入する際には、さまざまな課題に直面しています。それぞれの課題とともに考えられる対策もあわせて確認していきましょう。

 ●AI導入の人材不足・リテラシー不足
現在、AI導入の重要性や必要性は理解している一方で、人材不足により、なかなか現実的な行動に移せない自治体は多くあります。またAI導入のリテラシー不足から足踏みしているケースもあります。こうした課題には他の自治体と共同で、または民間企業のサポートを受けること、AIツールを利用することなどが解決策として挙げられます。

●予算確保
AI導入の費用対効果が測れず、予算確保に苦慮しているケースも多々見られます。この場合は、できるだけ正確な試算を行い、数値的な可視化を行いながら、他自治体の先進事例も合わせて検討することが有効です。

 ●徹底したセキュリティ対策の必要性
AI導入に際して情報漏洩やサイバー攻撃の被害の予防策としてセキュリティ対策を徹底して行う必要があります。セキュリティを強化するとともにリスクを可視化して管理する体制づくりやインシデント対応の準備も必要です。

これらの課題解決策として、BPOの利用も考えられます。「Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」の頭文字を取った言葉で、業務やビジネスプロセスを、BPOサービス提供企業に外部委託することを意味します。アウトソーシングの領域を超えて、業務改善や業務改革を見据えた意味合いを持ちます。近年、自治体においてもサービスの利用が進んでいます。

AIのプロが担い、過去実績からの費用対効果を可視化しやすく、高いセキュリティを確保できることから、自治体のAI導入課題の全般的な対策となり得るでしょう。

■自治体のAI導入・活用事例

すでにAIを導入して成功している自治体の事例は多数あります。そのうち、3つの事例をご紹介します。

 ●総合案内サービスへのAI活用
自治体窓口のAI化は特に期待がかかっている分野です。ある自治体は住民対応の迅速化と住民サービス向上を図るため、複数の市町村において、AIチャットボットを住民の引越、妊娠・出産などの生活全般に関する問い合わせの一次対応窓口として導入しました。
単純な問い合わせはAIのみで対応できることから、職員の問い合わせ対応の時間が削減されました。また、住民にとっては24時間問い合わせをして単純な質問への回答がその場で返ってくる状況になったことで、利便性向上にも寄与しました。

 ●AIによる保育所入所選考の自動化
ある自治体は、保育所の入所選考業務の複雑さから人員的にも時間的にも負荷がかかっており、何とか効率化したいと考えていました。そこで民間企業に依頼し、数理手法を用いてモデル化を行い、AIが処理する仕組みを作りました。
その結果、人手による入所選考をわずか数秒で行えるようになり、選考人員の削減および住民サービスへのリソース配分が可能になりました。

 ●コールセンター代行とAIチャットボットの組み合わせによるBPO
自治体における共通課題として、住民が役所の窓口に訪れて各種手続きを行う必要性があり、移動が困難な方や平日日中の来所がむずかしい方も含めて、等しくサービスを提供することがむずかしい点があります。
そこで、複数の自治体がBPOを利用することで、窓口対応の幅を広げています。例えばコールセンター代行とAIチャットボットを組み合わせたサービスを導入し、電話での対応とともに、24時間、時間を問わず問い合わせ可能な体制を整えています。AIが対応できなかった内容もオペレーターが対応することにより、住民が等しくサービスを受けられる状態に近づけることが可能になりました。

■まとめ

自治体においてはAI活用が進んでいますが、複数の課題に対応する必要があります。すでに好事例が多数ありますので、参考にしながら順次、できることから進めていくことが大切と考えられます。

課題解決策の一つであるBPOの利用をお考えの方は、ぜひTOPPANにご相談ください。

TOPPAN BPOでは自治体向けのさまざまな業務に対応するサービスをご提供しています。AI活用のご提案も行っていますので、お困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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2024.12.13