コラム

第2回:導入事例から見る
ラベル型温度ロガーの効果

さまざまな製品の輸送時や保管時の温度記録を残すことは、品質証明やトラブル時の責任所在の明確化には欠かせません。特に長距離輸送時や化学品・生鮮食品など温度管理が厳しい製品を扱う場合は、温度を適切に記録しておくことがこれまで以上に求められています。
また、近年の気候変動により、猛暑や冬季の想定外の高温が観測されており、年間を通じた細かな温度管理が重要です。

しかし、輸送や保管業務を担う現場では、温度データの記録や提供がされないことが原因で、トラブル時の責任や原因があいまいになるようなケースも多く発生しています。

本コラムでは、このような課題に対応するため実際に「ラベル型温度ロガー」がどのように現場で活用されているのか、化学品、食品、医薬品の事例を通して具体的にご紹介します。


化学品分野:管理負荷軽減と迅速対応の実現

化学品分野において、製品の品質と安全性を維持するために温度管理は非常に重要です。温度変化が化学反応などの引き金となる場合があり、正しく温度管理されないと製品の品質と安全性に悪影響を及ぼす恐れがあります。

温度管理には温度ロガーを使用するのが一般的ですが、従来型の温度ロガーでは、設定やデータの取り出しに手間がかかります。また、有線式の場合、使用場所によっては設置の際に危険が伴う事もあり、現場での作業負荷が課題となっていました。

このような場合に検討したいのが、無線式の温度ロガーです。 

実際に温度変化の正確な把握が求められていたある化学品メーカーの現場では、上記のような課題を解決するために、ラベル型温度ロガーを採用しました。

ラベル型温度ロガーは配線不要で、さまざまな場所に貼り付けるだけで設置可能。設置時の作業負担を大幅に軽減しました。また、スマートフォンで簡単に温度データを取得できるため迅速な対応が可能になり、品質トラブルの未然防止や早期発見に役立っています。

食品分野:多品種小ロットの温度管理に対応

食品業界における輸送では、多品種小ロット輸送や冷蔵品と冷凍品の混載が一般的です。このような輸送形態の場合は、品質劣化などを防止するため「商品単位の温度管理」が非常に重要になります。車両やコンテナなどの内部では、空調機やドアの位置、また商品の積み方などにより、実際には温度ムラが生じてしまう場合があります。

また、冷蔵品と冷凍品ではそもそも保管の際の温度帯が異なります。
一般的な温度ロガーでは、コストや設置場所などの制約が生じてしまうケースが多く、この状態では、温度ロガーで計測している場所の温度が正常であったとしても、個別の商品単位で見た場合には温度逸脱が発生している可能性があります。

「ラベル型温度ロガー」は小型で低コストな温度ロガーです。そのため、1箱単位での管理、必要なロットのみを対象とした温度記録を行うなど、現場に適した臨機応変な温度管理ができるようになります。

さらに、スマートフォンからメールでデータを送付することで、納品先からの急ぎの要求に対しても現場で柔軟に対応することも可能です。このように、顧客との信頼関係の維持・向上にも貢献します。

医薬品分野:庫内の温度“見える化”で管理改善と廃棄ロス削減

医薬品の保管現場では、温度変化をできるだけ抑えることが品質を保持する上で極めて重要です。しかし、均一な温度が保たれているように見える倉庫内部でも温度ムラが発生しやすく、場所によって温度差が生じている場合もあります。

把握できないリスクを放置すると、気付かない間に品質低下などを発生させてしまいますが、従来の温度ロガーでは設置できる場所や個数に制約があり、庫内の温度分布を細かく正確に把握するのが困難でした。

このような課題を解決するためには、「点」ではなく多数の温度ロガーによる「面」での温度管理が有効です。

ある医療製品の倉庫ではラベル型温度ロガーを導入し、倉庫内の温度変動の「見える化」を実現しました。ラベル型温度ロガーは、設置場所を選ばずかつ低コストのため、倉庫内のさまざまな場所に設置でき、多点での温度計測が可能になります。

これにより、データに基づいた問題箇所の特定や管理方法の改善ができるようになり、品質トラブルの抑制と温度管理の効率化を同時に実現しました。また、これらが現場の安心感向上や破棄ロス削減にもつながっています。

現場で選ばれる理由:「確実に記録できる安心感」

これら多くの現場でラベル型温度ロガーが高い評価を受けているのは、「扱いやすさ」と「記録の確実性」です。全体的な温度変化・挙動を見るためなら、大抵の場合ラベル型温度ロガーの±0.5~2℃(※)の精度で実用上は十分です。加えて、校正不要で温度管理の手間を省ける点が高評価を得ています。簡単で確実に温度記録が残せることが、トレーサビリティ確保と品質保証の両立を実現し、安心して製品を届けるために日々尽力する現場を支えています。

まとめ

本コラムでは、「ラベル型温度ロガー」がどのように現場で活用されているのか、化学品、食品、医薬品の事例を通して具体的にご紹介しました。

TOPPANの温度ロガーは、輸送・保管中の温度管理を簡単にするICラベルです。
一定時間ごとに温度を自動で記録し、その情報をICチップ内に蓄積、スマートフォンの専用アプリ(TEMPROGⓇ)で簡単に読み取ることができます。

ご利用中の現場からは、「薄型・小型で扱いやすく、発送先からの返却も不要なため、運用が非常に楽になった」と、高く評価されています。

詳しい使い方や導入方法については、ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

2025.09.03