セミナーレポート
オフィスIoTのショールーム構築
ZETAを活用したスマートオフィス
※本記事は、2020年10月に当社発行の情報誌「ideanote」に掲載した記事です。
TOPPANではZETAを活用したスマートオフィスの実証実験を行っています。社員の働きやすさを実現するために、IoTを活用して便利で快適なオフィス環境をつくり上げるとともに、TOPPANが普及に向けて取り組むZETAの有効性や優位性を実際のオフィスで検証し、オフィスIoTのショールーム構築を目指しています。
スマートオフィスに取り組むきっかけとなったのは、2019年5月に実施されたデジタルイノベーション本部秋葉原オフィスのフロア改装でした。
複数フロア(2階と4階)での利用、フリーアドレス化、オープンスペース新設などを行ったのですが、改装にともない、階をまたいだ共有スペース・会議室の利用状況確認や消灯・施錠管理の煩雑さ、席によって暑い・寒いといったオフィスの課題が顕在化しました。そこで同本部では、さまざまなセンサーを設置してオフィス環境の「見える化」を図ることにしました。
具体的には、打ち合わせスペースに人感センサー、会議室に照度センサーやドアセンサー、フロア各所に温度・湿度・CO₂といった室内環境を検知するセンサーを設置しました。ユニークなものとしては、カフェサーバーに設置した電流・漏水センサーや花粉・ハウスダストを検知するホコリセンサーのほか、プライバシーに配慮した低解像度のカメラ、人感・照度センサーと連動した自動消灯スイッチなども取り入れて、オフィス環境の把握と改善に努めています。
設置したセンサーは合計33個。各センサーがキャッチしたデータをサーバーに送信し、フロアに設置した大型モニターや個人のPCでいつでも閲覧できるようにしました。このセンサーからのデータ通信手段として活用しているのがLPWAです。ZETAに加えて他の有力な2規格も同時に導入しています。これにより、自社が開発・普及に関わるZETAのセンサー設置・設定技術の取得、長期間利用による耐久性・保守性の確認とともに、他のLPWA規格と比べたZETAの優位性の検証も実施しました。
複数階利用はZETAに軍配
各LPWAの通信可能範囲の比較検証では、アクセスポイント(基地局)をフロアの見通しの良い場所に置けば、どの規格でも性能に大きな差はありませんでした。しかし、フロアがL字に折れ曲がった区画で電波の回り込みが必要な場所では、他の規格では通信範囲に限界があったのに対し、ZETAがもっとも良い成果を示しました。
また、中継器を介して通信エリアを拡張できるZETAの強みが活きました。今回は基地局を2階の窓際に設置し、4階に中継器を置くことで、フロアをまたいだ通信も問題なく行えました。他の規格では電波が届かず、基地局を各階に設置しなければなりませんでした。これはZETAの大きなアドバンテージです。
こうした検証から、見通せない区画のあるフロアや階をまたいだ複数フロアでの利用など、実際のオフィス環境においてZETAがその強みを大いに発揮することがわかりました。
取り組みの結果、社員からは打ち合わせスペースや会議室の状況を確認しやすくなり、利用しやすくなったという反響が多く寄せられています。今後は、IoTで解決できるオフィスのニーズをさらに発掘し、より良い環境づくりを進めるとともに、「見える化」によって社員の気づきを促し、意識・行動の変革につなげたいとの思いがあります。
2020.10.15