コラム

「NEXT GIGA」時代の教育DX

~持続可能なICT活用に向けたNEXT GIGAの取り組みとは

2019年に発表され、1人1台端末の実現と通信環境の整備が急速に進められた「GIGAスクール構想」。第1フェーズが完了し、第2フェーズである「NEXT GIGA(GIGAスクール構想第2期)」への移行が始まっています。NEXT GIGAで目指すものは何か、ご紹介していきます。


目次

1.GIGAスクール構想の経緯と成果
2.「NEXT GIGA」に向けた国の取り組み
 ① 1人1台端末の着実な更新
 ② ICT活用の進化
3.NEXT GIGAの推進に向けた展望と課題
4.個別最適な学習を実現するデジタル学習サービスICT教材「navima(ナビマ)」

1.GIGAスクール構想の経緯と成果

GIGAスクール構想は、ICT教育を普及させるため、まずは1人1台端末の実現と学校内高速大容量通信ネットワークの完備といったハード面の環境整備からスタート。2020年のパンデミックによる休校の影響で計画よりも前倒しで進められることになり、2023年度内にはすべての自治体の小中学校で端末の整備が完了。つながりにくい場合があるなど通信環境に課題は残るものの、新学習指導要領がめざす「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」を実現させるための環境が整ったといえます。

同時に2020年から小学校でプログラミング授業が必修化、2021年から中学校にも追加、2022年には高校で「情報Ⅰ」が必修化されるなど、ICTに関連した学びもより力を入れて行われるようになりました。

文部科学省によると、現時点では現場で「学習速度・到達度等に応じた指導の個別化」「関心や課題に応じた学習材や学習課題の提供」「一人一人の学習状況の詳細な把握」などで積極的な変化を感じているのは6~8割程度ですが、今後への期待は9割を超えています。
また、情報の収集や発表などの探究的な学習に際して行動への変化を感じている割合が高く、端末の活用に一定の成果が出始めているといえそうです。

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出典:文部科学省「GIGAスクール構想の成果と課題について」(令和5年6月8日) https://www.mext.go.jp/content/20230612-mxt_jogai01-000030057_005.pdf

一方で、初期段階に端末を導入した学校では端末のバッテリー耐用年数の目安である5年を迎えます。ICTを取り入れた学習を持続可能にするために、端末を更新していく必要に迫られ始めているのです。

2.「NEXT GIGA」に向けた国の取り組み

「NEXT GIGA」での文部科学省の取り組みには、大きく「端末の更新」と「ICT活用の進化」というハード面とソフト面の2つの側面があります。それぞれについて、詳しくご説明していきます。

① 1人1台端末の着実な更新

文部科学省はGIGAスクール構想の第2期を「国策」と位置づけ、「公教育の必須ツール」である端末の更新を計画的に推進していく方針を示しています。始まったばかりの個別最適な学びと協働的な学びを止めないためにも、児童生徒が端末を日常的に活用できるICT教育環境を保持するための取り組みといえます。

その具体的な施策の一つが、都道府県に基金を設置し、端末の整備・更新を5年間継続的に支援するというもの。令和5年度補正予算での補助基準額は、1台あたり上限5万5千円となっています。
この補助要件として、都道府県・自治体単位での共同調達への参加や、最低スペック要件を満たすこと、指導用端末の整備やWebフィルタリング機能の整備などが規定されています。

また、同時にネットワークの遅延や不具合などの学習阻害を解決するため、学校内のネットワークアセスメントの実施に補助金を出す方針も示されています。今後教育DXをさらに推進するためにも、端末やネットワーク、運営支援といった環境整備がさらに進められることになりそうです。

② ICT活用の進化

環境整備が進み、今後はさらにデジタルの効果的な取り入れ方を進化させて、個別最適化な学びや探究学習、協働学習の実践を模索していく必要があります。

そのための取り組みのひとつが、教員向けの研修の実施です。文部科学省が公表した「GIGAスクール構想の成果と課題について」でも、校長が「研修やサポート体制が十分ではない」「効果的な指導方法がよくわかっていない教師が多い」と感じている学校が4~6割ありました。

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出典:文部科学省「GIGAスクール構想の成果と課題について」(令和5年6月8日) https://www.mext.go.jp/content/20230612-mxt_jogai01-000030057_005.pdf

NEXT GIGAでは、教員向け研修や事例共有の充実も方針として示されています。そのひとつが全国の取り組みの好事例を集める「リーディングDXスクール」です。全国の事業指定校約200校での事例を動画や公開授業等で見ることで、担当学年や担当教科のICTの取り入れ方を学ぶことができます。

3.NEXT GIGAの推進に向けた展望と課題

研修の受講や教材研究などの時間を確保するためには、教員の時間の確保が欠かせません。NEXT GIGAでは、校務DXや働き方改革の加速によって事務作業等の業務のスリム化を進め、スキル習得の時間を確保するのと同時に、ICT支援員の確保など外部人材の活用を推進することが求められます。そのため、基金に補助金の申請をする際には、端末整備・更新計画やネットワーク整備計画のほかに、校務DX計画を提出することが必須となっています。

授業でのICT活用は地域や学校によって格差が大きく、調べ学習や学習支援ソフトなど活用用途を増やす学校もあれば、端末の活用が進まない学校もあるようです。その要因として、学校のネットワーク環境の課題やICT活用指導支援の有無などが考えられます。
アナログの方が教育効果が高い場面もあり、北欧諸国でもデジタルから紙の教科書に戻すなど、一部揺り戻しも起きています。こうした先行事例も参考にしながら、学習の個別最適化、校務効率化などデジタルの強みを活かせる部分は積極的に推進し、学習機会の損失とならないよう、地域格差を是正していくことが求められます。

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また、活用が進むほど蓄積される教育データの利活用について、ガイドラインが必要となります。今後、個人のプライバシー保護とエビデンスなどの教育ビックデータ活用のバランスをどう取っていくか、検討が進められていくことになりそうです。

GIGAスクール構想でハード面の環境が整い、本格的な教育DXの実現が期待される第2期のNEXT GIGA。音声や動画、AIによるアダプティブラーニングなど、デジタルならではのメリットを活かした学びの拡充に大きな期待が寄せられています。

4.個別最適な学習を実現するデジタル学習サービス「navima(ナビマ)」

デジタル学習サービス「navima(ナビマ)」は、小学校・中学校の5教科で個別最適な学習体験を提供するICT教材です。
子どもの習熟度に合わせて問題が出される「デジタルドリル」でアダプティブラーニングに取り組み、解説動画など様々なコンテンツの中から自分に合った学び方で個別に学習を進められます。そのため授業中のちょっとしたスキマ時間などを活用して、自然に端末の活用を取り入れることができます。また、子どもの自発的な気づきや対話を促す協働学習を支援する「学び合いツール」も搭載。
小中学生向けデジタル学習サービス「navima」についてもっと詳細が知りたいという方はぜひお問い合わせください。

2025.02.26

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