コラム

教育DXがめざす

未来図と課題とは

2021年にほぼすべての小中学校での1人1台端末支給が完了し、GIGAスクール構想がめざす「多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された教育環境の実現」に向けてスタート地点に立ちました。ではその先にめざす、教育DXとはデジタルでどのような変革を起こす未来図を描いているのか、本格的に導入されて約2年が経とうとしている現状の進捗と課題は何なのか。教育DXのいまを探っていきます。


目次

1.なぜ「教育DX」に取り組む必要があるのか
2.教育DXで実現できること
3.教育DX実現に向けた課題とは
4.まとめ

1.なぜ「教育DX」に取り組む必要があるのか

デジタルを活用して教育を変革させる教育DX推進の背景にあったのは、日本の教育におけるICT活用の遅れです。PISA2018の調査結果では、学校の授業や宿題へのデジタル活用はOECD加盟国で最下位。一方、学校外でのゲームやチャットなど遊びでの利用はトップでした。子ども達はICT活用に慣れ親しんでいるにもかかわらず、教育への活用が大幅に遅れていることが明らかになったわけです。そこでまず教育へのICT活用に必要な基盤を整えるため、1人1台PCの配備と学校のインターネット環境の整備が進められました。

また、教育DXがめざす変革は、授業や宿題など学習への活用だけではありません。データやデジタル技術の活用によって様々な校務を効率化することで、長時間労働が問題視されている教員の負担軽減や時代に合わせた教育体制の構築も期待されています。

2.教育DXで実現できること

学校現場でのICT活用は基盤の整備が完了した段階で、本格的な教育改革はこれからです。では教育現場にDXを導入することで何が実現できるのでしょうか。

1つ目として、個別最適化が挙げられます。デジタル学習が進めば、学習履歴などの膨大な学習データの履歴を蓄積し、指導に活かすことができます。児童・生徒の理解度や習熟度、学習進度に応じて学年を越えた先取り学習やわからないところまで戻るなど、柔軟な指導方法や教材を提供することができるようになるでしょう。何がわかっていないのか、どこでつまずいているのかを把握するには、学習の取り組み履歴や動画の視聴履歴、教科書の閲覧時間やマーカーを入れた箇所、課題やアセスメントなどへの取り組み結果などの教育データを収集・分析し、活用していくことが欠かせません。教育ビックデータが蓄積されていけば、効果的な指導方法など様々なエビデンスが見えてくるでしょう。

2つ目は、遠隔学習の実現です。政府は教育のデジタル化のミッションを「誰もが、いつでもどこからでも、誰とでも、自分らしく学べる社会」と掲げています。不登校や病気療養、災害などの事情があっても学習を続けることができます。また、教員以外の専門家から教えてもらえたり、海外を含めた他の学校の児童・生徒と交流や協働学習ができたりするのも、デジタル化の大きなメリットです。

3つ目は、CBTによる採点・管理業務の削減や、教育データのオンライン化による校務負担削減です。日本の小中学校教員の1週間あたりの仕事時間はOECD加盟国内トップであり、なかでも事務作業に費やす時間が多いことが課題となっています。校内テストを端末で実施できるようになれば、問題作成やコピー、回収、採点、管理などの作業負担を減らし、テスト結果を指導にも活かしやすくなります。

3. 教育DX実現に向けた課題とは

教育へのICT活用で現状挙がっている主な課題として、以下のようなものがあります。

●インフラの整備と維持
今後ソフトウェアの更新などのメンテナンスやデジタル機器の管理、セキュリティ対策が必要になります。またインターネット環境が十分でなく、複数クラスでICTを取り入れた授業を行うと回線が不安定になるなどのトラブルも多いようです。今後は教育機関だけでなく家庭内でもインターネット環境が整っていることが前提となるでしょう。インフラの維持にはコストもかかり、どこで負担していくのかが課題となっていきます。


●教員の情報リテラシー・経験不足
ICTの取り扱いや学習にデジタルを効果的に取り入れるノウハウが蓄積されておらず、教員の情報リテラシーや経験がまだまだ十分ではありません。今後はICT支援員に加えて「GIGAスクール運営支援センター」やICT活用教育アドバイザーが整備され、支援が手厚くなる見込みです。さらに教員向けの研修や事例等の情報共有の充実など、ノウハウを蓄積・共有していく必要があります。


●依然としてアナログな校務も
教員の校務負担軽減も教育DXの目的のひとつですが、まだまだ紙文化が根強く、アンケートやその集計や報告、様々な手続きなどで手書きや手作業、押印などアナログな作業が残っているところが多いようです。文部科学省も統合型校務支援システムの活用を推奨し、今後は学習系データとの連携や、教員がどこからでもシステムにアクセスできるネットワークの構築を検証していくとのことです。

4.まとめ

ICTを活用した学習は環境整備が整い、デジタルならではのメリットを活かした学びのあり方を試行錯誤しながら進めていくフェーズに移りました。2024年から先行して小学5年生から中学3年生の「英語」でのデジタル教科書の導入が決まっています。音声や動画、他のソフトウェアや教材を効果的に組み合わせるなど、学びの拡充が期待されます。
教育DXが進めば、児童・生徒にも教員にも様々なメリットが得られます。時代に合った新しい学びを柔軟に取り入れ、子どもの可能性を引き出すためにICTを活用していきましょう。

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2024.04.11

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