コラム

サステナブルとSDGsの違いとは?
企業の立場・経営視点から読み解く

人・社会・地球環境の持続可能な発展を目指すサステナブルな取り組みが、近年、政府、自治体、団体、企業によって行われています。
その取り組み内容は、国際的な目標であるSDGsとも重なっています。両者は似ている言葉ではありますが、どのような違いがあるのでしょうか。今回は、サステナブルとSDGsの違いや経営視点でとらえた場合の意味について確認していきましょう。


SDGs関連コラム一気読み資料

サステナブルとSDGsとは

まずはサステナブルとSDGs、それぞれの言葉の意味を見ていきましょう。

サステナブルとは

サステナブルとは英語の「Sustainable」のことで、「持続可能な」「維持できる」「耐え得る」という意味があります。

近年では、自然に配慮した取り組みや、地球環境の維持に役立つ開発を行うこと、限られた資源を大切に使うことなどを通して、未来の世代に渡って、永く地球環境を豊かに保ち続ける社会を目指すといった意味で使われています。また、地球環境の保全と経済成長とを両立させて、安定的な社会づくりを目指すという意味でも用いられています。

SDGsとは

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」のことで、国連に加盟している193か国が目指すべき、2016年から2030年までの15年間に向けた17の目標(ゴ—ル)です。そしてその17の目標それぞれに紐づく169のターゲットが定められています。その目標はいずれも持続可能なより良い地球環境を目指すものとなっています。

SDGsは「誰一人取り残さない」ことを前提としており、貧困をなくすことや、ジェンダー平等の実現、健康に暮らすための安全な水や衛生的な環境を保つこと、地球環境の保護・回復など、国や人種を超えて達成すべき目標が掲げられています。


サステナブルとSDGsの違い

一見似ている点が多いサステナブルとSDGsですが、どのように異なるのでしょうか。
サステナブルは「状態」や「様子」を表すのに対し、SDGsは「目標」であるという根本的な違いがあります。

また、サステナブルは「取り組み」として捉えられることもありますが、SDGsと比べて目標が明確ではありません。そのため、例えば企業がサステナブルな取り組みを行う際には、何らかの目標を独自に掲げるのが一般的です。一方で、SDGsは国連総会で採択された目標が細かく定められていますので、その目標を軸に活動を行っていくことが求められます。

SDGsは、サステナブルな地球環境や社会を実現するために掲げられた目標であるため、目標達成への取り組みは、すべてサステナブルな取り組みといえます。

「サステナブル」と「SDGs 」は違うものではありますが、持続可能な社会を作り出すためには、サステナブルな視点を持ちつつ、SDGs の目標に向かって行動することが重要であると言えます。


その他の似た言葉「エシカル」「ESG」についても確認!

SDGs

その他にも、サステナブルと同時によく使われる言葉に「エシカル」があります。サステナブルとはどのように違うのでしょうか。また企業の取り組みとしてSDGsと同様によく使われる「ESG」という言葉の意味と違いについても確認していきましょう。

「エシカル」とは

エシカルとは英語の「ethical」のことで、「ethical」の意味は「倫理的な」「道徳上の」であり、多数の人々にとって正しいと感じられる社会的規範を表しています。
この単語がサステナブルと共に使われる場合は、地球環境や地域社会、人権、道徳などに配慮した思考や行動のことを指すのが一般的です。またフェアトレードや労働者の人権配慮、人々が永く安心して暮らせる環境への配慮などの取り組みを示すことが多いです。

【サステナブルとの違い】
エシカルはサステナブルと意味が似ているようで異なります。サステナブルは「持続可能な」という意味であり、対象は「人」よりも、人や自然を含めた「地球環境全体」への配慮という意味合いが強いといえます。一方で、エシカルは倫理的な配慮というニュアンスが強く、貧困や人権問題に配慮した消費活動を指すケースが多く見られます。しかし、エシカルも目指すところは持続可能な環境であるため、サステナブルな取り組み中に含まれているともいえます。

「ESG」とは

ESGとは、「Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)」の略称です。企業が長期的に成長していくための取り組みであり、サステナブルな社会に向けて地球環境をより良くするための経営手法です。
世界の企業では「ESG経営」が積極的に取り入れられており、ESGへの配慮ができていない企業は、投資家から良い評価が得られにくい状況となっています。ESGに配慮した企業に対して投資を行うESG投資も世界的に進んでいます。ESGに配慮した経営は、企業の長期的な成長にも関係することから、対応の必要性が高まっています。

【SDGsとの違い】
近年、SDGsについて、企業が経営視点でその目標達成に取り組むケースが増えています。特に事業や企業の目的達成にSDGsの目標達成を重ねることはよく行われており、「SDGs経営」と呼ぶこともあります。ESG経営と似ているように見えますが、SDGsは国際的な目標であり、ESGは企業それぞれが独自に行う経営手法の一種であるという点が異なります。しかしESGは、持続可能な企業経営のために行われることであるため、方向性としてはSDGsと重なるところは多くあります。そのため、SDGsとESGへの対応を共に実施している企業が多くなっています。


サステナビリティ経営とは?

先ほど、SDGs経営という言葉が出てきましたが、それに関連して「サステナビリティ経営」という経営手法もあります。SDGs経営との違いも含めて確認しておきましょう。

サステナビリティ経営とは、環境や社会及び経済の持続可能性への配慮により、事業の持続可能性の向上を図る経営のことを指します。

企業自ら進めたい事業をただ進めるだけでなく、同時に社会要請に対応し、社会課題の解決に取り組み、社会価値の創造を志す経営方法です。例えば、CO2排出量の削減、生産における持続可能な人権尊重や商品パッケージの脱プラスチック、持続可能な新規事業開発などが具体的な取り組みとして挙げられます。

SDGs経営との違い

サステナビリティ経営とSDGs経営は、基本的に目指すところは、持続可能な社会への貢献によって企業や事業を長期的に成長させること、と共通しています。しかしSDGs経営は、SDGs目標を軸とするものであるため、サステナビリティ経営をより具体的にしたものといえます。

SDGs経営を取り入れ、企業は社会課題解決に取り組むことで新たなビジネスチャンスを見つけ、競争優位性を確保することが可能となります。

サステナビリティ経営とSDGs 経営の違いを理解し、企業が社会全体の持続可能性に貢献するための経営スタイルを選択することは、企業の未来にとって重要となり、企業の成長と社会貢献を両立させる新たな経営の形として、注目されています。


企業が SDGs やサステナビリティに取り組む理由とは

現在、SDGsやサステナビリティに取り組む企業が増えているのはなぜでしょうか。
大きな理由としてあげられるのが、企業価値の向上につながるという点です。企業が長期的に経営を維持するには、環境・社会・経済に悪影響を及ばさないことが重要となります。具体的には環境に配慮した製品作りなどがあげられます。

企業がSDGs活動に取り組むメリットとは

企業価値の向上の他にも以下のようなメリットがあると考えられます。

【ステークホルダーの評価が高まる】
対外的にSDGs の取り組みを示すことで、従業員はもちろん取引先などからの評価につながります。評価が高まることで、経営の安定化や人材の定着化といった効果が得られます。また、投資家や金融機関は、投資や融資先の企業が環境・社会・経済の分野へどう取り組んでいるかということに関心を寄せており、SDGsやサステナビリティの取り組みを行うことで評価を得られます。

【新たなビジネス機会の創出】
社会の課題解決に関連する市場には、多くのニーズが存在するため、このニーズと自社のビジネスを掛け合わせることで、新たなビジネス機会の創出が可能です。

【コストの削減につながる】
SDGsに取り組むことで、自社が消費するエネルギーなどの使用量の削減につながるため、事業コストの削減が可能となります。

企業がSDGsやサステナビリティに取り組む際のポイント

では実際に企業がSDGsやサステナビリティに取り組む際のポイントを紹介します。

【経営層が主体となる】
SDGsやサステナビリティの取り組みには、経営層が主体となって進める必要があります。取り組みを形骸化させないためにも、マネジメントのできる経営層が主体となり、目的の明確化や、社外発信などの重要な取り組みを行う必要があります。

【他の企業や政府などと協力する】
すべて自社で完結させるのではなく、他の企業や政府と協力しながら、SDGsに取り組むことが重要です。サステナブルな取り組みを協力して行いやすい環境の整備も進んでいるため、どのような協力を得られそうかを踏まえて、自社は何ができるのか検討することが重要です。

【SX (サステナビリティ・トランスフォーメーション)の実践】
SX とは企業の「稼ぐ力」と社会の持続可能性を両立し、中長期的な企業価値を創造するための戦略指針です。
SX の 実践では、企業SDGs の取り組みに関わる人たちが、長期的な視点を持ち、これからの企業の経営や、企業の価値をどう生み出すのかなどを考え、常にアップデートしていくことが重要となります。


まとめ

サステナビリティとSDGsの意味や両者の違い、その他の関連キーワードや経営手法についてもご紹介してきました。

「サステナブル」は「持続可能」という点に主眼が置かれており、自然に配慮した取り組みを通して、地球環境を豊かに保ち続けるといった意味があります。「SDGs」は「サステナブル」と似た意味ではありますが、こちらは国連で採択された国際目標を指します。サステナブルな取り組みを目標レベルに落とし込んだものが「SDGs」と言えるでしょう。

「ESG」も同様に国連主導で広まった用語ですが、視点がより具体的になっており、環境(Environment)、社会(Social)およびガバナンス(Governance)の3つの観点を経営や投資にも取り入れる、という観点で使われる用語です。

最後に、やや抽象的な用語ではありますが、「エシカル」という「倫理的」「道徳的」に正しい、という意味を持つ用語を紹介しました。この用語がサステナブルと共に使われる場合は、地球環境や地域社会、人権、道徳などに配慮した思考や行動のことを指すのが一般的です。

TOPPANでは、SDGs達成に向けた事業活動を通じて、特に注力すべき分野を特定した「TOPPAN Business Action for SDGs」を2020年11月に公表しています。「ふれあい豊かでサステナブルなくらし」の実現を目指し、事業で取り組む注力分野を特定して活動を行っています。

また、TOPPANの情報誌「ideanote」のVol.146では、SDGsをテーマに据え、「ビジネス視点から考えるサステナブル」という観点から記事を多数掲載しております。SDGsやサステナブルに関する知識を深めることができます。ぜひご覧ください。

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2023.04.20

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