コラム

日本文化の特徴とは?
伝統や習慣を学び
ビジネススキルを高める

近年、企業研修に日本文化の学びを取り入れる企業や自治体が増えてきています。ビジネスパーソンは日本文化からどのようなことを学ぶことができるのでしょうか。
今回は、日本文化を学ぶ研修事例を通じて、日本文化を研修に取り入れる意義を探ります。


日本文化を研修に取り入れる潮流

どのような背景から日本文化研修を取り入れる潮流が起きているのでしょうか。
それには複数の背景があります。

VUCAの時代ニーズ

物事の不確実性が高く、将来の予想が困難なVUCAの時代においてビジネスで成功するためには、一般的な研修で学ぶようなビジネススキルだけでなく、変革力・共感力・多様性受容力などのソフトスキルを身に付けることで問題解決へと精力的に進むことができます。

※VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字をとった言葉で、目まぐるしく状況が変わり、予測困難な状況を意味する。

持続可能性の観点からの日本文化の見直し

SDGsの広がりなどを受け、企業はサステナビリティ経営を進めており、事業にかかわるあらゆる対象の持続可能性を追求しています。その中で、将来長きにわたって良き日本文化と伝統を継承し、後世に伝えていくことも重要な課題です。日本文化を改めて振り返り、その価値を見直す動きが高まっています。


リベラルアーツ研修のトレンド

近年、「リベラルアーツ」への興味関心が高まっています。リベラルアーツとは、幅広い分野を横断的に学ぶことで教養を身に付けることを重視する教育です。日本文化からは幅広い教養を学べることから、リベラルアーツの学びに適しているといえます。


日本文化の特徴とは?

日本文化の特徴とは?

日本文化にはどのような特徴があるのでしょうか。多様な特徴がある中で、主に4つのジャンルについて特徴を確認しておきましょう。

伝統工芸

日本には、日常生活で用いられる美術や工芸品が多く存在しますが、特に長く受け継がれてきた、手作業で高度な技術を必要とする伝統工芸は日本文化の代表といえます。有名な伝統工芸には、漆器や浮世絵、織物、絞り染め、日本刀などがあります。

また日本には伝統工芸を保護し、技術を後世に受け継ぎ発展させていくことを目的に「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」が存在し、一定の要件のもと、経済産業大臣が指定する「伝統的工芸品」が指定されており、希少な技術と伝統を守り続ける精神もあります。

道とは、伝統芸道とも呼ばれるもので、書道、華道、茶道などがよく知られています。技を極め、書いたり生けたりする自己表現や、美しいものの鑑賞を行うものではありますが、いずれも型を身に付け、修練を通して人格を磨く目的があるといわれています。

仏教

仏教は2500年ほど前、釈迦を開祖として説かれた教えで、日本では長年、海外から伝来してきた教えをもとにした日本仏教が根付いています。悟りを開いた釈迦(仏陀)の説いた教えに従い、修行や日々の実践を行うことで、悟りや解脱をすることを目標とします。

苦しみや思い通りにならないことの原因や仕組みを理解することで、あらゆる事柄に一喜一憂することなく心が安定した状態を目指します。

アート

日本には日本画や伝統工芸や美術などのアート作品が多数残されています。古くからあるアートだけでなく、現代の漫画やアニメなどの新しいアートも日本文化といえます。


ビジネスパーソンが日本文化から学べること

現代のビジネスパーソンが日本文化から学べることにはどのようなことがあるのでしょうか。

自他理解

自他理解とは、自分と他人、自社と他社、自国と他国など、自分と他者の両方の視点から理解することを指します。
自分の生まれ育った国の文化を学ぶことで、世界各国の文化と比べた特徴を理解することができ、他国への理解も進むと考えられます。

サステナビリティ

サステナビリティとは持続可能性を意味しています。長きにわたって社会の機能を継続していくために、長年続いてきた日本文化からその仕組みや理念を学ぶことで、将来に活かすことができます。また日本文化そのもののサステナビリティを考えることも日本の未来に貢献します。

多様性への理解

ビジネスにおいて性別や年齢、国籍、障がいの有無、性的指向、宗教・信条、価値観などが異なる人々の属性を尊重する考え方が重要になっています。多様性を理解し、受け入れるための一つとして文化の観点においては、まずは自国の日本文化を学び、理解を深めることで異文化理解につながると考えられます。

循環型社会への理解

循環型社会とは、限りある資源を効率的に活用し、持続可能な形で循環させながら利用していく社会のことを指します。日本文化の、朽ちたり、錆びたりする自然の変化の姿を美しいと感じる「わびさび」や「もったいない」考え方や、ものを大事に修復しながら使い続けていく考え方からは循環型社会につながる考え方が学べます。


日本文化を取り入れた研修事例

日本文化を取り入れた研修事例を3つご紹介します。

製造業 「高野山」における管理職向け研修

高野山は平安時代のはじめに弘法大師によって、開かれた真言密教の聖地です。自然・歴史・理念が継承されてきた高野山・山上宗教都市からは環境の持続性、事業の持続性、多様性受容といった多様なテーマを学ぶことができます。

ある製造業の会社は、この高野山現地で、企業倫理とダイバーシティをテーマに、働く意味と意義、自分の果たすべき役割を学び、適切な倫理観を持った上級管理職、経営者となることを目指す研修を行いました。
高野山におけるサステナビリティに触れることで、自社事業の俯瞰・洞察を行い、組織運営や目標達成に役立てることができます。

サービス業 禅寺「全生庵」における管理職向け研修

あるサービス業の会社は、現在も政財界の人々が多く参禅する、都内有数の禅寺「全生庵」にて、管理職向けに心身を整え自身と向き合う研修を行いました。

非日常空間や坐禅体験により、自身の内面と向き合うことで自己開示を促します。さらにチームメンバーとの体験の共有や対話を通じて、一体感を向上させ、相互理解を深めました。これによりチーム作りと未来創造を目指しました。

製造業 簡易VR制作体験 インターンシップ生向け研修

ある製造業の会社は、インターンシップ生向けに、 簡易VR(バーチャルリアリティ)制作体験を行いました。「100年後の未来に残したいもの」をテーマに、身の回りのアイテムをVR化したメッセージを発表しました。

茶道の茶碗や茶筅など日本文化の中でもまだ身近に根付いているものをバーチャルに再現することで、日本文化の学びと共に残すべきものの貴重さや大切さ、長年受け継がれてきたものと特徴を学びました。


まとめ

日本文化は、日本人にとってもまだ知り得ていない無限の学びの可能性を秘めていると考えられます。企業研修に取り入れることで、リベラルアーツの学びとなり、ビジネスパーソンとしての深い学びにつながります。

TOPPANでは、日本文化を含めたデジタルを活用した学びを提供する日本文化に学ぶリベラルアーツ研修や企業・教育機関向け研修・教育プログラム「ブンカ・ラーン」をご提供しております。ご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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2024.03.21