体験型研修の効果とは?
事例を交えて解説!
近年は、体験型研修という言葉をよく耳にするようになりました。企業研修にも積極的に取り入れられています。体験型研修には、どのような特徴や効果があるのでしょうか。これから体験型研修を取り入れたいとお考えの方に、実際に行われた事例を交えてご紹介します。
体験型研修とは?
まずは体験型研修の概要を確認していきましょう。
体験型研修とは
体験型研修とは、参加者が能動的かつ主体的に、自身の体や頭を動かしてスキルや知識を学ぶ研修スタイルを指します。
従来の集合型研修のような講義形式の研修と比べて、ただ知識やスキルをインプットするのではなく、自らの体験を通じて学ぶところに特徴があります。ときには社外の施設や自然の中に足を運び、普段とは違う環境での体験機会を取り入れることもあります。
また、もう一つの特徴として、参加者同士が対話や共同作業を通して学びを深めていく点が挙げられます。一般的にワークショップと呼ばれるスタイルの研修を行うことで、講義形式とは異なる学びを進めることができます。
体験型研修では、自らの体験や参加者同士の交流により、さまざまな考えや気づきが生まれ、高い学習効果を得られる方法として関心が寄せられています。
越境学習との違い
近年、越境学習という学習スタイルもよく企業研修に取り入れるようになりました。体験型研修と関連するため、こちらも押さえておきましょう。
越境学習とは、普段の職場を離れ、まったく異なる環境に身を置き、新たな視点や考え方などを得る学習スタイルです。会社員であれば他社への出向や社会人大学院入学など、普段の職場の領域を越えた、あらゆる学びを指します。
体験型研修は、必ずしも所属や環境などを越境するものではありませんが、幅広いジャンルの体験を行うためには社外に出ることも必要になるでしょう。
越境学習と体験型研修は重なっている部分があり、両方を取り入れることでそれぞれの学習の相乗効果が得られることが期待できます。
体験型研修のコンテンツ例
企業研修として行われている体験型研修では、どのような内容が取り入れられているのでしょうか。コンテンツ例を確認していきましょう。
ボードゲーム形式
ビジネスや経済などを題材としたボードゲームを参加者全員で行う方法です。たとえば、ビジネスシミュレーションゲームと呼ばれるビジネスをゲームによって擬似体験できるものや、財務、メンタルヘルスなど、業務やビジネスパーソンの健康に関わるテーマにて体験するゲームも存在します。カードやコマを用いたすごろく形式のゲームが一般的です。
謎解きゲーム・サバイバルゲーム
時間内に1人もしくはチームで謎を解き、ゴールを目指す謎解きゲームや、軍隊を模し、エアソフトガンなどを携えて戦闘するサバイバルゲームなど、施設や屋外でチームそろって同じ課題に取り組むゲームもあります。チームメンバーが互いに協力し合う必要があるため、チームビルディングにも役立ちます。
キャンプや農業体験
キャンプ場や農場などに足を運び、キャンプ体験や、農作業を実際に行うと言う体験を通じて、さまざまな学びを得る研修も行われています。
坐禅や茶道など日本文化を体験する
日本文化には、さまざまな学びが得られる要素が豊富にあります。たとえば仏教の座禅を取り入れることで、気持ちの切り替えや集中力を高めることに役立てたり、茶道を通じて美しさの真髄や人格を学ぶといった体験を通じた多彩な学びを得たりする研修があります。
リベラルアーツ・教養体験を通じて学ぶ
近年、幅広い分野の学びから教養を得るリベラルアーツの研修も、企業研修として多く取り入れられるようになりました。哲学や文化などの幅広い教養を身に付けるためには、実際に体験して文化を学ぶといった研修が求められています。
体験型研修の効果
体験型研修には、どのような効果が得られるのでしょうか。
主に期待できる効果を見ていきましょう。
学習内容の定着率が高い
体験型学習の大きな特徴として、自ら心身を使って体験する要素と、参加者が協力して対話をしながら学ぶ要素があります。こうした学習スタイルは、ただ教材を読み、頭の中で想像しながら学ぶのと比べて、心と身体で体験することで、よりリアルな実感と共に学びが得られることから定着率が高いと考えられています。
チームワーク醸成・社内コミュニケーション活性化
参加者がチームを組んで同じ課題に取り組み、深い学びを得る体験を通じてチームワークが醸成され、絆が深まり、社内コミュニケーションの活性化につながると考えられています。
フィードバックをその場で行いやすく学びが進みやすい
一般的な研修は、知識をインプットした後にテストを行い、理解度を把握するといった流れで行われ、テストの点数や結果は後日フィードバックされることになります。
また、eラーニングなどの個人で行う研修では、フィードバックが遅くなることもあります。体験型学習は、その場で講師とコミュニケーションをとりながら行っていくため、結果や学びの進捗についてフィードバックを行いやすいメリットがあります。
フィードバックのスピードが速くなれば、それだけ学びの進行も早まると考えられます。
人間力や異文化理解力などの専門研修では得られない効果が得られる
専門知識やスキルを教える一般的な研修と比べて、体験型学習は一つの領域にとらわれず、幅広い人間力や異文化理解力を得ることができる可能性があります。
体験型研修の事例
体験型研修の事例を紹介します。
製造業 和歌山県高野山における管理職向け研修
ある製造業の会社は、思想・文化が自然と融合した和歌山県・高野山の現地にて、管理職向けに体験型研修を行いました。
高野山は1200年の伝統を守る宗教環境都市であり、多様な価値観を包含した循環型の社会・組織の姿に直接触れることができます。
管理職に向けては、企業倫理とダイバーシティをテーマとした企業研修のプログラムを組みました。実際の建造物を見て歴史を学びながら高野山における「サステナビリティ」に触れることを通じて自社事業の俯瞰・洞察を行い、組織運営や目標達成に役立てることができます。
また管理職個人としては働く意味と意義、自分の果たすべき役割を学び、適切な倫理観を持った上級管理職、経営者となることを目指しました。
食品製造業 ボードゲームを通じたプロジェクトマネジメント研修
ある食品製造業の会社は、プロジェクトマネジメントを体験するボードゲームを研修に取り入れました。
プロジェクトマネジメントの重要性を学び、食品、開発プロジェクトに生かすことが研修の狙いです。
チームに分かれてプロジェクトマネジメントのシミュレーションを行いました。ゲームを通じて、現実のプロジェクト進行においても、メンバーの強み・得意を把握するためにコミュニケーションの重要性に気づいたといった感想が挙がりました。
製薬業 インプロを通じたチームビルディング研修
ある製薬会社は、インプロという手法を取り入れたチームビルディング研修を行いました。インプロとは即興劇を意味しており、台本を用意せずに、即興的な演技によって俳優が自発的に演じる演劇の形式です。
この事例では、チームとは何か、チームで動くとはどういうことかを追求することができるインプロを取り入れました。現在のチームにとって何が必要なのかを考える気づきにつながり、チームビルディング醸成に寄与しました。
まとめ
体験型学習は、新しい企業研修のスタイルでありながら、すでに多くの企業でさまざまな形で実践されています。
TOPPANでは、デジタルやリアルにおいて日本文化を中心とした充実のプログラムの研修を数多くご提供しています。
体験型学習をお探しの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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2024.03.21