コラム

リベラルアーツを学ぶ企業研修の
効果とは?

近年、リベラルアーツが企業研修に取り入れられるようになっています。その背景にはどのようなことがあるのでしょうか。
リベラルアーツを学ぶ企業研修には、どのような効果があるのでしょうか。リベラルアーツ研修の具体的な例も合わせてご紹介します。


リベラルアーツとは?

まずはリベラルアーツの意味や起源をご紹介します。

リベラルアーツとは

リベラルアーツとは、日本語に直訳すると「教養教育」といわれています。つまり一般的に行われている企業研修のような、特定の専門職への職業教育ではなく、広範かつ深い教養を身に付ける教育方針を指します。

近年、このリベラルアーツが企業研修として取り入れられています。リベラルアーツ研修では、一般的なビジネススキルや専門知識だけでなく、問題解決能力や批判的思考力、コミュニケーション能力など、幅広い視野と深い思考力を培う内容となっています。また人間力を高めるような、多様な価値観や視点を理解する力や、尊重する姿勢の獲得も目指します。

リベラルアーツの起源

リベラルアーツの起源は古代ローマ時代にまでさかのぼるといわれています。当時の自由市民が学ぶべき基礎的な学問を指す言葉で、文学、哲学、歴史、社会科学、自然科学、数字など幅広い分野の教養を身に付けることを目指されていました。

現代においては、このリベラルアーツを継承しながら、現代の社会人に必要な教養が研修に取り入れられています。


リベラルアーツ研修が注目されている背景

リベラルアーツ研修が注目されている背景にはどのようなことがあるのでしょうか。

VUCA時代における変化が激しい時代を乗り切るため

現代はVUCA(ブーカ)の時代といわれます。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字をとった造語で、現代の状況を指す言葉として使われています。つまり、状況が目まぐるしく変化し、複雑で予測がつかない現代の特徴を指しています。

こうしたVUCAの時代は、ただ論理的な思考や予測能力だけでは乗り切ることができなくなりました。既存の枠組みの中だけでなく、新しい価値や課題の設定が求められています。そのためには今までにない視点や感性が必要になっており、他者や多様性への理解などあらゆる視点でものを見る必要性が生まれています。

AIの発達

近年は、AIが急速に発達しており、もはや単純な作業や作文、資料作成などはAIがこなしてくれるようになりました。そのような中、人間が行うべきことは新たな価値の創造であり、顧客のニーズを汲み取ってサービスを拡充していくことといえます。

より人間らしい仕事を行うことが求められる中、そうした仕事に必要な幅広い教養が武器となります。

多様化・グローバル化

グローバル化が進んでいることや国内の労働力不足などを背景に、多様な価値観や背景を持つ人とのビジネスやコミュニケーションの必要性が生まれています。

多様な価値観や背景を受け入れ理解するためには、柔軟な理解力や多様な人々の立場に立った視点が求められます。専門的な知識やスキルの習得では、得られない教育内容が求められているのです。


リベラルアーツ研修の効果

リベラルアーツ研修を企業研修で実施することにより、次のような効果が期待できます。

多様な価値観を受け入れられるようになる

リベラルアーツ研修では、幅広いジャンルの教養を身に付けることができます。その際、日本文化や他国の文化やアートなどに触れるなどすれば、多様な価値観やものの見方に出合うことができます。そして、多様な価値観を受け入れられるようになれば、自分自身が持っている固定概念にとらわれずに、柔軟な考えができる可能性があります。

質の高い課題解決力が養われる

固定概念を取り払い、多様な価値観や視点で物事を見られるようになることで、論理的な思考を養うことができます。論理的思考を鍛えることで、ビジネスにおいて欠かせない目の前の課題をいかに解決するかという解決力が養われます。

新しい価値の創造・イノベーションの促進

リベラルアーツ研修では幅広い視野と深い思考力を培うことで、予測不可能な現代において新しい価値を生み出す能力を養うことを目指しているため、今までにない製品や技術革新、イノベーションが生まれる可能性があります。

リーダー・経営層の創出

リベラルアーツ研修の特徴として、リーダーや経営層、その候補生といった上位の職種に親和性が高いというところがあります。なぜならリベラルアーツは専門的技術を習得するというよりも仕組みや物事の見方、価値観といった、深い概念や哲学などに関係しているからです。


リベラルアーツ研修の例

リベラルアーツ研修は、具体的にどのように行うことができるのでしょうか。3つの研修の例をご紹介します。

唐招提寺に学ぶ「ビジョン浸透」研修

奈良の世界遺産寺院 唐招提寺を舞台にした集合研修およびオンライン研修です。
この研修の対象者は経営陣や管理職層で、目的は「ビジョン浸透」です。唐招提寺を建立した鑑真和上の功績や生き様から、強い想い(ビジョン)とその浸透の重要性を学びます。
文化財である唐招提寺の動画を鑑賞したり、 唐招提寺の講師とやりとりをしながら双方向型で行います。

この研修を通じて強い想いを実現した鑑真和上の生き様からリーダーシップの重要性を習得し、自身の将来のありたい姿を形成し、浸透させることが期待できます。

リベラルアーツ研修

全生庵に学ぶ「禅」研修

禅の考えや体験を通して、内省とチームビルディングを行う研修です。
歴代の政治家も参禅する東京・臨済宗の禅宗寺院「全生庵(ぜんしょうあん)」で、座禅体験や住職との対話を行う研修です。自己内省のスキル醸成と、組織論についてのワークショップで構成されています。

期待される効果として、非日常空間や坐禅体験により、自己開示を促すことが挙げられます。
また参加者同士の体験の共有により一体感を向上させ、対話により相互理解を深めるといった側面もあります。

発想力を高める「アート思考」研修

この研修は、これまでのやり方にとらわれずに物事を捉える思考法をアートを通じて養います。
スペインにいる講師とオンラインでつなぎ、画像閲覧ツールを活用し、オンライン上で絵画鑑賞など各種トレーニングを実施します。
対象者として、事業変革が必要な個人やチームに最適です。日々の業務で凝り固まった従業員に対し、ものの見方や捉え方を変えるためのトレーニングを実施して、ビジネスの円滑化・活性化につなげます。

期待できる効果は、柔軟で多様な発想でイノベーションを生み出す発想力を高めることが挙げられます。また課題発見力を向上させ、多様な価値観を受容するといった学びも得られます。


まとめ

今回ご紹介したリベラルアーツ研修の例は、TOPPANがご提供している研修の一例です。貴社に合った研修をご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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2024.03.21