エクスペリエンスデザインサービス コラム

Z世代の特徴とは?
価値観や消費行動の観点から解説!

Z世代は1990年代中盤から2000年代に生まれ、物心ついた頃からSNSに親しむ「ソーシャルネイティブ世代」です。今後、本格的に社会活動および消費活動の中心的存在となることから、企業のマーケティング対象として年々、重要度を増しています。
今回は、Z世代の定義から他の世代との違い、注目されている背景、消費行動の傾向・特徴、Z世代へのアプローチ方法やコミュニケーションのポイントを解説します。Z世代へ向けた商品開発やマーケティングを行う際のヒントとしてお役立てください。



<目次>
1.Z世代とは?
2.Z世代の特徴
3.Z世代の消費行動の傾向・特徴
4.Z世代へのアプローチ・コミュニケーションのポイント
5.まとめ


1.Z世代とは?

Z世代とは、1990年代中盤から2000年代に生まれた世代を指します。厳密に区切りは決まっておらず、諸説あります。共通しているZ世代の特徴として、スマートフォンを通じてLINEやX(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどのSNSに親しむ「ソーシャルネイティブ」世代である点が挙げられます。

X世代・Y世代・α世代との違い

Z世代という名称は、その前の「X世代」と「Y世代」の次の世代という意味合いで名づけられています。

X世代は1960年代中盤から1970年代後半に生まれた世代といわれており、いわゆるベビーブームの後の世代です。「X」とは「Generation X」という言葉からきており、ハンガリー生まれの写真家・ロバート・キャパ氏のフォトエッセイで「未知の世代」という意味合いで使われたのが発端といわれています。この「X」から続く次の世代という意味で、アルファベットの並び順通り、Y世代、Z世代と続けて呼ばれています。

X世代の主な特徴は、アナログ時代に生まれ、デジタルやネットワークの急速な発展と共に成長してきた点です。競争意欲が高く、社会的地位の確立をゴールとしており、高級ブランド品などのステータスを誇示するような消費傾向があるといわれています。

次にくるY世代は1980年代前半から1990年代中盤に生まれた世代で、ミレニアル世代やミレニアルズと呼ばれる世代に相当します。この世代は幼少期からインターネット環境があり、デジタルネイティブである点が特徴です。一方で、デフレ経済を背景に、給与アップは見込めず、ワークライフバランスを好み、過剰な消費を行わず、モノを消費するよりも体験に価値を置く「コト消費」の考え方が生まれました。

そしてZ世代へと続きます。Z世代は、後ほど詳しくご紹介しますが、Y世代と同様にデジタルネイティブでありながら、SNSが定着していった時代に幼少期を迎えたことから、人間関係やコミュニティ構築に関する意識が前の世代と異なるといわれます。消費傾向についてはコト消費のみならず、そのときにしか得られない体験や感情を重視する「トキ消費」や貢献意欲などを満たしながら購入することの意味を重視する「イミ消費」を特徴とします。

α世代は、Z世代の次にくる世代であり、2010年代前半から現在に至る時代に生まれた世代です。まだ特徴が明確にとらえられていませんが、Z世代同様、デジタル・ソーシャルネイティブであり、よりタイムパフォーマンス(タイパ)を重視する傾向があるといわれます。

Z世代が重視されている理由

Z世代は、近年、企業のマーケティングや商品開発のターゲット層として重視されています。世界的に人口の割合が多く、これから社会的に影響力を持つ中心的な年代となっていくことが挙げられます。重要な顧客層となることは間違いないでしょう。


2.Z世代の特徴

続いて、Z世代の特徴をさらに詳しく見ていきましょう。

ソーシャルネイティブ

Z世代は生まれたときからスマホやSNSに親しむソーシャルネイティブ世代であり、それが価値形成に大きな影響を及ぼしています。また、活動フィールドがSNSのみならず、メタバースやオンラインゲーム、eスポーツなど、以前の世代より拡大しています。

オンラインコミュニティへの参画

Z世代が親しむSNSやオンラインプラットフォーム、オンラインゲームは人間関係の構築にも大きな変化をもたらしています。「つながり」はリアルからオンラインへ、さらには「オンラインにおける共創」というところまで発展しています。

多様な価値観を尊重

Z世代は生まれた頃から国籍問わずグローバルにつながり合えるインターネットの存在があったため、壁を越えたコミュニケーションが当たり前となっており、多様な価値観を尊重する意識が培われているといわれています。

経済面において保守的で現実主義

Z世代は、東日本大震災やリーマンショックなどが起きた不安定な社会情勢の中で幼少期を過ごしているため、いつ何に生活が脅かされるか分からない意識が根付いているといわれます。そのため、経済面においては保守的であり、現実的な生活を重視する傾向があります。

本物にこだわる

Z世代は、幼少期からSNSに慣れ親しんできたことにより、見知らぬ相手に対しても「いいね」などの「共感」を通じて意思疎通をはかるといったコミュニケーションを体験しやすかったと考えられます。その分、共感性が高い傾向がありますが、裏を返すと共感できなくなったとき、例えば裏切られる、虚偽の情報だったと後から判明する、といった場合の精神的ダメージは大きいものとなるでしょう。そのため、偽物には敏感で、本物にこだわる傾向があるといわれています。

環境問題や社会問題に高い関心を持っている

グローバルな意識が高く、多様性を尊重するZ世代は、環境問題や社会問題に高い関心を持っているといわれます。特に産業がもたらした地球環境への負荷の課題が浮き彫りになった昨今の状況を受け、サスティナビリティ(持続可能性)への関心が強い傾向があります。


3.Z世代の消費行動の傾向・特徴

Z世代は、次のような消費行動の傾向と特徴を持っているといわれています。

SNSで下調べをして検討する

何かを購入する際には、まずSNSでリサーチし、インフルエンサーの考え方やレコメンドを参照する傾向が強いといわれています。それによって自らの価値観や信念に合うかを判断します。

「イミ消費」に価値を置く

先にもご紹介した「イミ消費」とは、商品やサービスを購入するときに、物質的なモノやサービスそのものだけでなく、その背後にある意味や価値を重視する消費活動です。例えば推し活で推しのグッズを購入するのは、推しの活躍と成功に貢献する「意味」を見出した上での消費活動とされています。

コスパやタイパの高さを重視する

実用的で現実主義のZ世代は、コストパフォーマンス(コスパ)はもちろんのこと、タイムパフォーマンス(タイパ)も重視する傾向があります。Z世代の周りには膨大な情報やコンテンツがあふれており、必要な情報に短時間でたどり着き、無駄な時間をかけずに目的を効率よく達成することが生活の中での重要なポイントとなっています。


4.Z世代へのアプローチ・コミュニケーションのポイント

Z世代向けのマーケティングや商品企画の際には、どのようなアプローチ手法やコミュニケーションを意識すれば良いのでしょうか。そのポイントをご紹介します。

インフルエンサーやUGCを活用する

Z世代の目に触れるためには、自社の公式サイトなどにおける情報発信だけでは足りないといえます。SNSにおけるインフルエンサーからの声や、一般ユーザーによって作られたコンテンツを意味する「UGC(User Generated Content)」のほうが響くでしょう。

企業やブランドの価値観と使命を伝える

「本物にこだわる」「イミ消費」などの傾向を受け、企業やブランドは、より自身の価値観と使命を積極的に伝えることが有効です。共感してもらうのはもちろん、「つながり続けたい」と感じさせる情報発信の仕方が求められるでしょう。

透明性・信頼性を担保する

共感性に優れており、本物を求める傾向を受け、裏表のない本物の透明性や信頼性を担保することも重要です。そのために有効といわれているのが、「ナラティブマーケティング」です。ナラティブとは「物語」や「語り」などを意味する言葉で、マーケティング分野ではユーザーに自分事として共感し、興味を持ってもらう手法として取り入れられています。

個性を出して徹底的に差別化する

情報があふれる時代に、競合他社と同じようなことをやっていたのでは、いくらおもしろい企画でもZ世代からは飽きられてしまうでしょう。徹底的に差別化する意識を持ち、自社のパーパス(存在意義)など根本からアプローチすることが有効といえます。

N1分析・デプスインタビューでインサイトを深掘りする

Z世代は、価値観や嗜好性が細分化していることから、顧客一人ひとりのインサイトを深掘り、傾向をつかむためのN1分析(※1)やデプスインタビュー(※2)は重要な活動といえます。

※1 N1分析:1人の顧客の感情や課題からヒントを得て広げる分析手法
※2 デプスインタビュー:対象者に対して、インタビュアーが1対1でインタビューを行い、深掘りする定性調査の手法

価値観分析データやトレンドデータベースを活用する

Z世代に関する調査・分析データは世の中に多数存在しています。より多くのデータを活用することで、施策により根拠が生まれます。Z世代の専門家に相談するのも一案です。


5.まとめ

Z世代は今後、社会活動と消費活動の中心となっていく世代でありながら、その特徴は一概にはいえないほど、多様化している部分もあります。あくまで傾向ととらえ、テストマーケティングを重ねていくことで、自社にとっての最適解を見つけていくことが重要と考えられます。

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2025.04.21