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MZ世代とは?ミレニアル世代とZ世代の
概要から消費傾向まで

近年、マーケティング分野で注目されている「MZ世代」。ミレニアル世代とZ世代を合わせた呼び名です。これらの世代に共通していることは「デジタルネイティブ」であることです。今回は、この世代の概要や、消費行動の傾向・特徴、マーケティング施策のポイントをご紹介します。



<目次>
1.MZ世代とは?
2.MZ世代の特徴
3.MZ世代の消費行動の傾向・特徴
4.MZ世代向けのマーケティング施策のポイント
5.まとめ


1.MZ世代とは?

企業が行うマーケティング分野において、今後、主要な消費者層を占めるといわれるMZ世代をターゲットとする動きが高まっています。なぜMZ世代が注目されているのでしょうか。MZ世代の概要と共に、その背景について確認していきましょう。

MZ世代とは?

MZ世代とは、ミレニアル世代(ミレニアルズ)とZ世代を合わせた世代です。1980年代前半から2010年代前半に生まれた「デジタルネイティブ」に該当する世代を指します(世代の区切りには諸説あります)。主に20~30代の若者世代を包括する概念としてとらえられています。

ミレニアル世代とZ世代はそれぞれ異なる特徴があるといわれています。それぞれの特徴を押さえておきましょう。

ミレニアル世代とは?

ミレニアル世代とは、ミレニアルズとも呼ばれる、1980年代前半から1990年代中盤頃に生まれた世代です。特徴的なのは、インターネットやデジタル技術、携帯電話、ソーシャルメディアなどがこぞって台頭し、急成長を遂げていった時代に、共に成長期を迎えたという点です。

次のZ世代にも大きな影響を与えるようになったその大きな変革期の最中に生まれ育ったという点から、「価値の変革」をキーワードとしています。今や当たり前になっているインターネットやスマートフォン、SNS文化がどのような過程で進化してきたのかを目の当たりにしてきたという点が特徴といえます。

Z世代とは?

Z世代は、1990年代中盤から2000年代に生まれた、ミレニアル世代の次の世代とされています。物心ついた頃には、すでにインターネットはもちろん、スマートフォンからSNSなどが身近なところにあり、メタバースやeスポーツというさらに進んだ時空を超えるコミュニケーションを通常とする世界観の中で生まれ育ってきました。

多様性に関する理解度も深まり、新たなコミュニティ形成の価値観をリードする「ソーシャルネイティブ世代」です。

MZ世代が注目されている背景

MZ世代が注目されているのは、特に韓国で注目されていること、そして日本においても、特に首都圏在住者が多く、今後、消費活動のメインとなっていく層であることが背景となっています。

また企業がマーケティング戦略を立てる際に、Z世代だけでなく、世代を30代にまで引き上げたいときに、MZ世代をターゲットに据えることがあります。


2.MZ世代の特徴

MZ世代の特徴を具体的に見ていきましょう。

デジタルネイティブ&ソーシャルネイティブ

先述の通り、MZ世代の生活環境にはインターネットやデジタルデバイスが身近にあり、SNSなどのオンライン上のコミュニティで人間関係を構築する傾向があります。従来の世代と比べて、時間と空間にとらわれない、広範囲の情報収集や、国籍や年齢を問わない多様な人々との交流が定着しているといえるでしょう。

多様性・包摂性を受け入れる

MZ世代が生まれ育った時代は、デジタルテクノロジーを通じて、これまで不可能だったグローバルなネットワークを容易に構築できる環境にあります。その意味で、SNSやオンラインプラットフォームを通じて多様な背景を持つ人々とつながることができるため、国籍や性別、年齢などを問わない多様性を自然に受け入れる傾向を持ちます。誰もが等しく幸せを享受すべきという包摂性についても受け入れやすいでしょう。

細分化・スモールマス化

多様性を受け入れる考え方を背景として、自身の個性を伸ばし、他者も尊重するスタンスから、興味関心や嗜好性も細分化しています。そのため、市場にはすでに細分化、スモールマス化(※)された商品が展開され始めています。例えば、スキンケア商品選び一つを取っても、ただ「美肌になれる」というだけでなく、自分の一番の悩みである「いちご鼻をなくせる」や「ニキビをケアしたい」などのターゲットが絞られた商品を追い求める傾向があります。

※スモールマス化:マス(大衆)より小さく、セグメント化されていること

ワーク・ライフ・バランスを重視する

ワーク・ライフ・バランスとは、仕事と生活(プライベート)のバランスがとれた状態を指します。リモートワークが定着し、SlackやZoomなどのコミュニケーションツールを柔軟に使いこなし、効率的に仕事ができるようになったことを背景に、仕事のために生活を犠牲にすることなく利便性を高めて仕事もプライベートも充実させたいという意識があります。

体験と感情に価値を置く

MZ世代は、従来の大量生産・大量消費時代のように、画一化された商品や高級品を購入してものを手に入れることによる充足の価値よりも、自分にとってどれだけ価値のある体験であるか、どれだけ感情が揺り動かされたかという点を重視するといわれます。

実用性を重視する

MZ世代は従来の終身雇用型の働き方から、自らのスキルや個性を活かして自由に仕事と趣味を組み合わせ、人生を充実させる傾向があります。その意味で、経済状況も千差万別であり、ただ単に出世や高収入がゴールではないところがあります。そのような中、人に対する見栄よりも、「実際に通用するか?使えるか?」という点を重視する実用主義の側面が強いといわれています。


3.MZ世代の消費行動の傾向・特徴

MZ世代の特徴を踏まえて、消費行動の傾向を見ていきましょう。

自分の価値観や信念で判断する

MZ世代の個々人の多様な価値観を受け入れる姿勢は、自身の価値観や信念を尊重することにもつながっています。情報収集において何を見るか、そして誰を参考にし、何を買うかも「自分が納得するかどうか」が重要な判断軸となります。

ミーニングアウトのための消費

ミーニングアウトとは、「ミーニング=意味」と「カミングアウト=公表」をかけ合わせた言葉です。これは消費活動を通じて自分の価値観を公表することを指し、MZ世代はミーニングアウト意識が高いといわれています。例えば、エシカルな商品を購入し、自らをエシカルな価値観を持つ存在としてアピールします。

インフルエンサーを参考にする

MZ世代にとってインフルエンサーは絶大な価値を持ちます。誰もが情報発信できるようになった今、誰の声を信じていいのかという迷いも増えています。そうした中、日頃から親しんでいるSNSでリスペクトするインフルエンサーや、嗜好や趣味の合うインフルエンサーの声は消費活動を大きく後押しします。

「コト消費」「トキ消費」「イミ消費」に魅力を感じる

従来の物理的な所有欲を満たす「モノ消費」を経て、MZ世代は利用によって得られる体験に価値を置く「コト消費」、ある一定の日、場所、時間でしか体験できない消費行動を求める「トキ消費」、さらにはその商品やサービスの背景にある意味や価値を重視する「イミ消費」に魅力を感じるように移り変わってきているといわれます。特にMZ世代は「イミ消費」の中心的存在といわれています。

シェアリング・エコノミーに抵抗が薄い

MZ世代は「モノ消費」から解放されていることから、他者との共有を前提とするシェアリング・エコノミーに抵抗が薄いのも特徴です。サブスクリプション、つまり必要なときに必要な分だけお金を払って利用するといった消費活動も定着しています。


4.MZ世代向けのマーケティング施策のポイント

MZ世代向けのマーケティングにおいて何を重視すればよいのかは、特徴や消費傾向から自ずと見えてくるものです。そこで、施策を立案・実施するときのポイントをご紹介します。

MZ世代に響く新たな魅力を伝えるコミュニケーションを行う

従来のマーケティング手法から脱却し、MZ世代に響くオンラインやSNSでのコミュニケーションをメインとすることは大前提といえます。また、インフルエンサーを活用するなど、企業発信ではない、MZ世代に刺さる新たなコミュニケーション方法に挑戦していく必要があるでしょう。

N1分析・デプスインタビューでインサイトを深掘りする

MZ世代は、従来の世代はもちろんのこと、同じ世代であってもとらえにくいといわれています。その一番の理由として考えられるのは、価値観や嗜好性が細分化していることです。例えばコーヒー商品一つとっても、眠気覚まし、インスタ映え、ランチのお供などさまざまなニーズがあります。これらの一つひとつのインサイトを探り、傾向をつかむためのN1分析(※1)やデプスインタビュー(※2)は重要な活動といえます。

※1 N1分析:1人の顧客の感情や課題からヒントを得て広げる分析手法
※2 デプスインタビュー:対象者に対して、インタビュアーが1対1でインタビューを行い、深掘りする定性調査の手法

価値観分析やトレンドデータベースを活用する

すでにMZ世代に関する調査・分析データは世の中に存在しています。それらのデータベースを入手し、分析に取り入れることで、より客観的な施策立案につながるでしょう。


5.まとめ

MZ世代は、今後、さらに消費活動の中心的存在となっていくと考えられます。早期から従来のマーケティング手法から脱却し、SNSを中心とした多様な価値観を深掘りするマーケティング施策により、より確実に成果の出るアプローチを探っていくことが重要です。

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2025.04.21