マーケティングオートメーション(MA)の効果とは?導入による成果を解説!
米国で広く利用されていたマーケティングオートメーションは日本でも浸透、普及が進んでおり、導入企業数も増えているといわれています。これからマーケティングオートメーションの導入を検討している、導入し始めたばかりといった企業は、その効果について気になるところでしょう。
今回は、マーケティングオートメーションの効果を中心に解説します。
<目次>
1.マーケティングオートメーション(MA)とは?
2.マーケティングオートメーション(MA)の導入効果
3.マーケティングオートメーション(MA)の導入効果を高めるポイント
4.マーケティングオートメーション(MA)の導入事例
5.マーケティングオートメーション(MA)導入でよくある失敗事例とその対策
6.まとめ
1.マーケティングオートメーション(MA)とは?
まずはマーケティングオートメーション(MA)の概要やセールスフォースオートメーション(SFA)やカスタマーリレーションシップマネジメント(CRM)との違いをご紹介します。
マーケティングオートメーション(MA)とは?
マーケティングオートメーション(MA)とは、「マーケティング活動を支援する、可視化と自動化のためのツール」のことを指します。個々の見込み顧客の興味・嗜好・関心に合わせ、適したタイミングで継続的にコミュニケーションを行うことで、顧客とのエンゲージメント強化を実現するプラットフォームです。見込み顧客であるリードの獲得、育成、評価の3つの施策を可視化・自動化する役割があります。
まず、マーケティング部門と営業部門がそれぞれに獲得したリードのデータを集約します。中には簡単にメールフォームを作成できるツールもあり、それらを用いて資料ダウンロードやセミナー参加の申込を受け付けることができます。これによって新たなリードの獲得も可能になります。
続いて、メール配信やランディングページの作成、ステップメールなどのシナリオ作成、広告やSNSとの連携機能などを活用してリードとコミュニケーションを図り、育成していきます。
育成したリードに対して購買意欲のスコアリングや評価を行い、アプローチ方法を変えていきます。こうして購買意欲が高まったリードについては営業部門に引き渡し、商談につなげます。
なぜ今、マーケティングオートメーション(MA)が必要とされるのか?
近年、マーケティングオートメーション(MA)が注目される理由には、ビジネス環境の大きな変化があります。従来の営業活動だけでは多くの機会を逃す可能性があり、その課題を解決するシステムとしてマーケティングオートメーション(MA)が注目されています。
・顧客の購買行動の変化
インターネットが普及し、顧客は自ら情報を収集して製品の比較検討を終えてから企業に接触するようになりました。この購買行動の変化に対応し、早い段階から顧客とのつながりを持つことが成功の鍵です。マーケティングオートメーション(MA)は、顧客のWeb上での行動を追跡し、興味に応じた情報提供を自動化することで、関係構築を支援します。
・多様化するデジタル接点と営業活動のDX化
Webサイトやメール以外にも、SNSや動画など顧客との接点は多様化しています。これら全ての接点で人が対応し、情報を管理することは困難です。営業部門の効率化、すなわち営業活動のDX化が急務となっています。マーケティングオートメーション(MA)の導入は、複雑な顧客情報を一元管理し、アプローチの自動化によるコスト削減にもつながります。
SFA・CRMとの違い
マーケティングオートメーションは、SFA(セールスフォースオートメーション)やCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)と混同されがちですが、以下のような違いがあります。
マーケティングオートメーションは主にマーケティング部門で利用され、見込み顧客を商談に引き上げるためのツールです。
一方、SFAは、主に営業部門で利用される、商談から受注までのプロセスを効率化するツールです。また、CRMは社内の複数部門で利用される、主に既存顧客に対する対応や、リピートおよびアップセルなどを生み出すために役立つツールです。目的や機能が異なるため、最適な目的とシーンで使い分けることが大切です。
2.マーケティングオートメーション(MA)の導入効果
マーケティングオートメーションを導入することで、どのような効果が得られるのでしょうか。主な効果をご紹介します。
リード獲得・育成・評価の施策のベースを作ることができる
マーケティングオートメーションを利用することで、一連のリード獲得から育成、評価までの施策の自動化が可能になります。随時蓄積していくリード情報は自社の資産となり、将来的に活用できます。そのデータも含めた施策を自動的に行うベースを作ることができます。
Webを通じた新規商談につながる可能性
リードの獲得先がセミナーや展示会などに限られていた場合、マーケティングオートメーションを利用することで、Web経由での獲得も期待できるようになります。これまでに獲得できなかった層のリードを獲得し、新規商談につながる可能性があります。
確度の高いリードに絞り込める
マーケティングオートメーションを活用し、リードの検討度合いを点数でスコアリングすれば、確度の高いリードを抽出することができます。このような有望なリードだけを絞り込んで営業部門に引き渡すことで、商談の成果が出る割合も高まります。
マーケティングコスト削減につながる
確度の高いリードを絞り込めることは、マーケティング部門にとってもメリットがあります。確度の低いリードへアプローチしてしまうことで無駄なコストが発生していた場合は、コスト削減につながるでしょう。
3.マーケティングオートメーション(MA)の導入効果を高めるポイント
マーケティングオートメーション(MA)の導入効果を高めるポイントをご紹介します。
運用フローの設計・構築
マーケティングオートメーションの運営フローや体制をしっかりと整えるのをおすすめします。マーケティングオートメーションは、ただ導入すればすぐに成果が出るものではなく、設計や設定、コンテンツ作成などやるべきことが豊富にあります。
そのため、設計やメールコンテンツを作成できる人材が社内にいるかが重要です。また、社内でリソースを確保できないのであれば、外部に委託するなど別の手段を検討する必要もあります。誰がどのように運用するのかという観点で設計・構築しましょう。
数値による効果検証の仕組みを作る
マーケティングオートメーション導入の際には、導入の目的をあらかじめ定めておくことが大切です。そして導入後に、その目的が確実に果たせるように、効果検証を行っていきましょう。この効果検証の仕組みを作る際には、数値によって検証できるように設計しましょう。数値化できれば目標値が明確になり、達成しやすくなります。
SFAやCRMなどと連携する
SFAやCRMなどの他のツールと連携させることで、営業部門をはじめとしたマーケティング活動と密接にかかわる部門と顧客情報を共有できるようになります。情報共有が漏れなく適切に実行できれば、リードへ適切なアプローチが可能になります。
4.マーケティングオートメーション(MA)の導入事例
マーケティングオートメーション(MA)の成功事例をご紹介します。
事例①運用フローを外部委託して成果につなげる
ある企業は、マーケティングオートメーションを導入してはじめて、シナリオ設計からコンテンツ作成まで行わなければならないことに気付きました。しかし、社内のリソース不足で、多忙な担当者では対応しきれなかったことから、外部委託を利用することにしました。
その結果、メール配信などのシナリオ設計からコンテンツ作成のほか、配信業務やDM制作のリスト抽出まで委託し、運用体制を構築したことで、成果につながっています。
事例②リード数を拡充してCV増加を実現
ある企業は、ECサイトのリードを育成するためにマーケティングオートメーションを導入しましたが、メールコミュニケーションを行う対象のリード数が不足している課題がありました。そこで、マーケティングオートメーションの機能をフル活用してナーチャリングを行い、ECサイトに訪れたリードの顧客属性をリアルタイムに把握した後、シナリオを元に最適なコンテンツを表示させる仕組みも構築しました。
その結果、ナーチャリングがスムーズに進み、ユーザー登録や商品購入などのコンバージョン(CV)数を増やすことができました。マーケティングオートメーションが本来持つ機能を十分に活用できています。
5.マーケティングオートメーション(MA)導入でよくある失敗事例とその対策
マーケティングオートメーション(MA)システムを導入しても、期待した成果が出ないケースは少なくありません。多い失敗パターンとその解決策、注意点を把握しておくことが成功への近道です。
機能を持て余し、定着しない
多機能で高額なマーケティングオートメーション(MA)製品を導入したものの、設定や操作が複雑すぎて現場の担当者が使いこなせず、結果としてシステムが放置されてしまうのは、非常によくある失敗例です。これは、導入時に自社のリソースや担当者のスキルレベル、本当に必要な機能を見誤ったことが根本的な理由として挙げられます。
対策として、まずは自社が抱える最も大きな課題を解決できるシンプルな機能に絞り込み、「スモールスタート」を切ることが重要です。多機能を追い求めるのではなく、確実に使いこなせる範囲から始めるべきです。また、導入後の継続的な運用の改善をサポートしてくれる体制や、操作に関する手厚いサポートが提供されるかどうかも、ツール選定時における重要な注意点となります。
営業部門との連携がうまくいかない
マーケティング部門がマーケティングオートメーション(MA)を活用して創出した商談候補(リード)を、営業部門に共有しても、営業担当者がそれをうまく活用してくれない、あるいは無視してしまう状態です。これは、マーケティングオートメーション(MA)から提供されるリードの質に対する不信感(例:「まだ温度感が低い」「情報が不十分」)や、システム間の情報連携がスムーズでないことが原因と考えられます。
このような課題を対策にするためには、マーケティングオートメーション(MA)導入を決定する段階から、営業部門と緊密に連携することが不可欠です。どのような状態(例:特定のページを閲覧、スコアが何点以上)になったら営業に引き渡すのか、その基準となる共通認識を明確に設定する必要があります。リード情報の管理ルールを全社で統一し、マーケティングから営業までのビジネスプロセス全体の向上を目指すという視点が、部門間連携の向上と最終的な受注率向上につながります。
配信するコンテンツが不足する
マーケティングオートメーション(MA)を導入して見込み顧客リストを一元管理し、アプローチできる基盤が整ったとしても、肝心の見込み顧客を育成(ナーチャリング)するために必要なメール、ホワイトペーパー、導入事例といったコンテンツが不足し、施策がすぐに停止してしまうケースです。リストはあるのに送るものがない、という本末転倒な事態に陥ります。
対策として、マーケティングオートメーション(MA)はあくまで施策を実行するための「器」であり、その中身となる有益なコンテンツは人が継続的に作成する必要があります。ツールの導入準備と並行して、「誰に」「何を」「どのタイミングで」届けるかという具体的なシナリオを設計し、それに基づいたコンテンツの制作計画を立てることが、運用を軌道に乗せる成功の秘訣です。コンテンツを一度作って終わりではなく、継続的に制作・改善していく体制づくりも視野に入れましょう。
6.まとめ
マーケティングオートメーションの導入効果を中心に、高めるためのポイントや事例をご紹介しました。ぜひ今回ご紹介した内容をヒントに、マーケティングオートメーションの効果を上げるための施策を行っていきましょう。
TOPPANでは、マーケティングオートメーション(MA)伴走支援サービスをご提供しており、貴社のマーケティングオートメーション運用の安定化と共に成果創出のお手伝いをします。マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入・運用に特化した専門チームが運用のための戦略設計から携わり、貴社の課題に合わせた運用体制構築のサポートをします。
また、業務量・幅に応じた人員数の可変や、高度な運用に求められるコンテンツ制作・プランニング・分析・データ基盤構築などのスペシャリストのアサインも可能です。貴社が希望する成果を事前にヒアリングし、創出につながるようにご支援します。ぜひお気軽にご相談ください。
2025.11.17



