カスタマーエンゲージメントサービス コラム

VOC分析の方法とは?
活用方法からステップ、分析におすすめのツールまで解説!

日々、蓄積されていくVOC(顧客の声)は企業にとってビジネスを成長させる財産でありながら、活用方法・用途がわからない、十分に活用できていないなどの課題を抱えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、VOC分析の活用方法やVOC分析を導入すべき企業の特徴、具体的なVOC分析のステップ、VOC分析を最大限活用するためのポイントを解説します。


<目次>
1. VOC分析とは?活用方法を解説
2. VOC分析を導入すべき企業の特徴
3.VOC分析のステップ
4.VOC分析を最大限活用するためのポイント4選
5.まとめ



1. VOC分析とは?活用方法を解説

VOC分析の概要と共に、主な活用方法をご紹介します。

VOC分析とは?

VOC分析とは、VOC(Voice of Customer)のデータをビジネスに活かすために分析することを指します。
VOCとは、主に次のチャネルから収集される、商品・サービス、企業、ブランドなどに対する顧客からの意見、感情、要望、クレームなどのデータです。

・電話
・メール
・問い合わせフォーム
・チャットボット
・アンケート調査
・SNS・口コミ(オンラインレビュー)
・店舗・展示会・セミナーなど

データ形式はテキスト、音声、動画などさまざまであり、デジタルデータ化して整形し、分析を行います。そして顧客のニーズや好感・不満の感情、商品・サービスの改善点などを抽出し、洞察を得ます。

VOC分析結果の活用方法

VOC分析結果は、ビジネス活動においてさまざまな用途に活用できます。主に次の活用方法が代表的です。

・コールセンター/コンタクトセンターの応対品質向上
・FAQへの活用による問い合わせ削減
・商品・サービスの開発・改善
・店舗での接客・サービス品質向上
・顧客ニーズを満たす営業資料の作成
・顧客に響くマーケティング施策の実行


2. VOC分析を導入すべき企業の特徴

VOC分析を導入すべき企業は、次のような課題を抱えている企業です。

膨大に蓄積されたお問い合わせログが活用しきれていない

電話やメールでのお問い合わせログは日々増えていきますが、貴重な声が含まれていることを知りながらも、なかなか活用する機会がない、もしくは活用方法がわからず放置してしまっている場合は、VOC分析に最適な企業といえます。

個人情報が複雑に入り組んだデータになっており、分析がしづらい。アウトソースしづらい

顧客の声には、氏名や住所、電話番号といった個人情報が複雑に入り込んでいる場合が多く、データの前処理が難しいため、分析が進みにくいという課題があります。また、外部の専門業者に分析を委託(アウトソース)しようにも、個人情報保護の観点から情報提供が難しく、自社内で対応せざるを得ないため、リソースが不足している企業も少なくありません。

顧客満足度が低い

問い合わせ応対や商品・サービスの使用感などに寄せられる顧客からのクレームや指摘などを通じて、顧客満足度の向上が急務と考えている企業には、VOCが解決の大きな手がかりになるでしょう。

商品・サービスの購入リピート率を上げたい

商品・サービスそのものを改善し、機能面と情緒面の両方を改善し、リピート率を上げたいといった場合にも有効です。

よりリアルな顧客ニーズに沿ったマーケティングコミュニケーションを行いたい

日々、マーケティング施策を打つものの、顧客ニーズとのズレを実感しており、より「刺さる」企画を考案したいケースにもVOC分析は大きな手がかりとなります。

顧客の声が反映された商品・サービスの開発を行いたい

世の中には、顧客の声が十分に反映されて作られた商品・サービスが多くありますが、自社もそのような開発を行いたいといった場合に、VOC分析が役立ちます。

マルチチャネル応対を行ったが、それぞれを最適化できていない

電話やメールだけでなく、SNSやチャットボットなど顧客接点を増やしたものの、それぞれのチャネルを最適化できていないと感じる場合は、VOC分析の出番といえます。


3. VOC分析のステップ

VOC分析は、次のステップを踏んで実施していきます。

STEP1:目的の明確化

VOC分析の目的を明確にします。

目的例)
「顧客満足度を高めるための問い合わせ応対品質の検証」
「新商品開発のための顧客ニーズの発見」

STEP2:調査項目と収集・分析方法の決定

調査項目や収集方法、分析方法を決めます。

●調査項目
例えばコールセンターに寄せられているVOCのうち、何をテーマに集めるのかを決めます。

例)
・オペレーターの応対品質について
・商品の使い勝手について
・ブランドのポジティブ・ネガティブな意見について

●収集方法
収集方法は、主に下記の種類があります。

・問い合わせ(電話・メール・問い合わせフォーム・チャット・チャットボット)
・アンケート/インタビュー
・SNS/口コミサイト
・店舗・展示会・セミナーなどでのリアルな声

●分析方法
分析方法には、主に次のツールや手法が用いられます。

・VOC分析ツール
・アンケートツール
・自動音声認識ツール
・テキストマイニングツール
・ソーシャルリスニングツール
・外注

目的や利用チャネル、予算などをもとに最適な方法を選びましょう。

STEP3:データ収集

決定した収集方法によりデータを収集します。問い合わせやアンケート、SNSなどの複数のチャネルから収集し、組み合わせて分析することで、より精度が高まるでしょう。

STEP4:分析

決定した分析方法で分析を進めます。従来の手作業は担当者の主観が入りやすく業務効率も低いことから、近年はツール利用や外部への委託が進んでいます。特にAI活用のVOC分析ツールや専門会社の台頭により、膨大なデータを高い精度で分析することが可能になっています。なお、分析データに個人情報が含まれる場合は、セキュリティが確保されたエリアでマスキング処理を行う必要があります。データの持ち出しが困難な場合には、現地(オンサイト)でマスキングや分析作業を行うといった、セキュリティポリシーに応じた対応が求められます。

STEP5:活用

VOC分析結果を応対、接客、商品・サービス、マーケティング施策などに反映し、活用します。

STEP6:効果測定

VOC分析結果をもとに改善施策を実行した後は、施策実行前後の変化を測定しましょう。応対や接客に活用した場合は、顧客満足度調査やSNSの口コミを確認します。商品・サービス開発に活用した場合は、SNSの口コミや売上への影響などを測定します。


4. VOC分析を最大限活用するためのポイント4選

VOC分析結果を上手に活用し、成果改善につなげていくための方法として、考え方、進め方、実施事項、社内体制作りについてポイントをご紹介します。

考え方:VOCは宝の山であり、企業成長のエンジンである

VOC分析を行う前に、考え方として組織全体で共通認識を持っておくことをおすすめします。それは「VOCは宝の山であり、企業成長のエンジンである」ということです。

商品・サービスの機能や品質向上だけでは他社との差別化が困難になっている現代市場においては、差別化のために顧客満足度やCX(顧客体験価値)を向上させることがビジネスの成長に直結します。そのため、VOCを差別化に活用できる貴重な資源ととらえ、積極的に活用していくことが大切です。

進め方:目的を明確にし、PDCAサイクルを回す

進め方としては、VOC分析の目的を明確にし、活用・改善・効果測定のPDCAサイクルを回すことがポイントです。目的が曖昧なままだとVOC分析を行うこと自体が目的化してしまうこともあり、活用の成果が数値として現れなければVOC分析そのものが行われなくなってしまう恐れがあります。VOC分析導入前に、PDCAの推進体制まで構築しておきましょう。

実施事項:多角的な分析と具体的なアクションへの落とし込み

VOC分析実施の際に心がけたいのは、次の点です。

1.VOCの多角的な収集と分析
VOCは問い合わせ応対履歴だけでなく、自らアンケートやインタビューを行うことやSNSからも収集できます。はじめから多角的な収集をイメージしておくことで、分析精度が向上するでしょう。

2.担当部署へフィードバックし、具体的なアクションへ落とし込む
VOC分析結果の主要なポイントを担当部署へフィードバックし、改善策の検討を話し合いましょう。そして具体的なアクションへしっかりと落とし込むことが重要です。

3.改善策の優先順位付けを社内で合意形成しておく
改善策は複数生まれるものです。優先順位についても社内で話し合いましょう。

社内体制:部門横断的な協力体制の構築

VOC分析の成功を決めるのは社内体制にあるといっても過言ではありません。先述のPDCA運用体制を部門横断的に構築し、組織全体が協力し合う仕組みを作りましょう。その結果、顧客の声を経営・ビジネスに活かす文化が醸成されます。


5. まとめ

今回ご紹介したVOC分析を導入すべき企業の特徴にあてはまった方は、ぜひVOCを最大限に活用する取り組みを行ってみてはいかがでしょうか。しかし、自社だけで進めるのはリソースやノウハウ不足で現実的ではないこともあるでしょう。その場合は、TOPPANにご相談ください。

TOPPANがご提供するコンタクトログマネジメント®では、お客さまの声をAIツールで可視化・分析することにより顧客接点における改善点を発見し、問い合わせ削減と売上拡大の実現をご支援します。また、個人情報を含むデータに関しても、専用エリアでのマスキング処理や、お客さまの環境に伺って分析を行うオンサイト対応など、セキュリティ要件に合わせた柔軟なご提案が可能です。

これまで実行できていなかったVOCデータ活用が進み、CX向上やLTV向上につながるよう、TOPPANが伴走支援します。ぜひお気軽にご相談ください。

2025.10.15