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VOC分析にAIを活用する方法とは?
従来と比べたメリット・事例・成功ポイントを解説!

VOC分析を顧客応対品質の向上や商品・サービス開発、マーケティング施策などに活用することで、顧客満足度やサービス改善に役立てている企業は多くあります。近年は、AIを活用することで、より多くのデータを分析できるようになったこともあり、活用の幅が広がり、さらなるVOC分析の効果が期待されています。

今回は、VOC分析にAIを活用することの概要から従来の手法との違い、VOC分析にAIを活用するメリット、活用事例、VOC分析にAIを活用する際の成功ポイントを解説します。


<目次>
1.VOC分析にAIを活用するとは?
2.VOC分析にAIを活用するメリット
3.VOC分析にAIを活用している事例
4.VOC分析にAIを活用する成功ポイント
5.まとめ


1. VOC分析にAIを活用するとは?

VOC分析とは、日々、企業に寄せられる顧客の声「VOC(Voice of Customer)」をビジネス課題解決や成長に役立てるために分析する取り組みです。
電話やメール、チャットから寄せられる問い合わせの声や、店舗などのリアルの場での声、SNSでの声やレビューなどあらゆるVOCを分析します。

分析結果は、コールセンター/コンタクトセンターの応対品質向上や問い合わせ削減、商品開発・改善、店舗での接客・サービス品質向上、マーケティング施策などに役立てられ、顧客満足度向上や顧客体験価値(CX)向上、販促、リピート率アップなどの売上貢献につなげることが可能です。

VOC分析へのAI活用が進む・従来の手法との違い

近年、VOC分析にAI(人工知能)を活用する動きが出てきています。
【主なAIの活用用途】
・膨大なVOCデータの分析
・収集・分析の自動化
・顧客の意見や感情を高精度に分析

VOC分析に対して、このようにAIが活用されることで、さまざまなメリットを生み出します。

また従来の人間が手作業でVOCデータを集計し、分析することと比べて、次の点が異なります。
【【従来の手法との違い】
・分析精度
・主観の有無
・分析結果の詳細さ
・分析業務の効率性

AIを活用したVOC分析は、人が手作業で行うよりもはるかに膨大なVOCデータを取り扱えるため、より精度高く、事実に近く、客観的な結果が得られると考えられます。また分析結果はより詳細になり、分析業務の自動化による大幅な効率化も実現します。

AIによるVOC分析の実施方法

現状のAIによるVOC分析の実施方法として、次の2通りが挙げられます。

・AI搭載のVOC収集・分析ツール利用
・AI活用のVOC分析サービス(外注)の利用

自社でツールを操作するリソースがない場合は外注を利用することで、分析結果を活用するほうに集中できます。VOC分析の本来の目的により素早く専念できるでしょう。


2. VOC分析にAIを活用するメリット

VOC分析にAIを活用することで、次のようなメリットが得られるでしょう。

分析精度向上

先述の通り、AIが網羅的に膨大なVOCデータを精緻に分析することから、分析精度が向上します。精度が高まれば、応対品質や商品・サービス開発の精度も挙がり、より顧客に寄り添うビジネスを進められるでしょう。

自動化による業務効率化・属人化解消

従来、手作業でVOCデータを分析していた場合は、自動化による大幅な業務効率化につながります。専属の分析担当者不在でも実施できる環境であれば、属人化解消も実現できます。

感情解析データの活用

感情を解析できるAIによるVOC分析結果を用いれば、顧客の感情を客観的に捉えることが可能です。主観を入れることなく、ポジティブ・ネガティブ・中間の感情傾向を常に一定の基準で把握できます。

トレンドの変化に迅速に対応可能

手作業での分析は時間がかかるため、タイムラグが発生することも多くありました。AIは大量データを瞬時に解析できるため、リアルタイムに近い形で常時、分析結果を確認でき、トレンドに合った施策を実行できます。


3. VOC分析にAIを活用している事例

VOC分析にAIを活用する企業は続々と増えています。ここでは3つの会社の事例を見ていきましょう。

大手生活用品メーカー|膨大なVOC分析で応対品質・マーケティング戦略の強化に成功

【課題】
ある大手生活用品メーカーは、お客様センターの既存サービスの改善やマーケティング戦略の強化などを通じて顧客満足度向上を実現したいと考えていました。

【取り組み】
お客様センターに寄せられる声やSNSの月40万件以上もの膨大なVOCをAIによって分析する仕組みを構築しました。

【成果】
膨大なデータ解析が可能になったことで、従来よりも多様な顧客ニーズ把握の精度が増しました。お客様センターでの応対やマーケティング戦略に反映させることで、顧客満足度やブランド価値向上に成功しています。

大手通販会社|電話の声をリアルタイムでテキスト化し利活用の模索が可能に

【課題】
ある大手通販会社ではオフラインでの顧客が多いことから、声を拾える主な手段は電話でした。そこで電話の声を効率的にテキスト化する手段を検討していました。

【取り組み】
電話の声をリアルタイムでテキスト化してデータ化するために音声認識のAIを導入しました。

【成果】
従来行っていた手動での打ち込みと比べてはるかに高速になり、収集業務が大幅に効率化したことで「VOCデータをどう活用するか?」について社内で意見交換が活発になりました。

Webシステム会社|生成AIチャットボットによるVOC自動分析で顧客満足度8割以上を実現

【課題】
あるWebシステム会社は、サービスに対する問い合わせ件数増加に伴う応対リソース不足に課題がありました。

【取り組み】
生成AIをベースにしたチャットボットを導入し一次応対に活用しました。

【成果】
問い合わせ対応負荷が下がったのはもちろん、問い合わせログの傾向をAIが分析する機能を利用したことで、自動のVOC分析を実現。チャットボットの回答精度の向上とチャットボットのメンテナンス業務の負荷低減を実現しています。


4. VOC分析にAIを活用する成功ポイント

すでにVOC分析にAIを活用する企業の存在を知っても、実際に自社を振り返った際に、課題が山積みで、なかなか現実的ではないこともあるのではないでしょうか。そこでよくある課題と、課題解決につながる成功のポイントをご紹介します。

目的に応じた得意分野のツール選定

VOC分析が可能なAIツールといっても種類が多く、どれを選んでよいか皆目見当がつかないというのはよくある課題です。現状、AI技術が用いられているVOC分析ツールは3つに大別できます。それぞれ適しているケースを示しますので、参考にしてください。

1.コールセンター/コンタクトセンター向けツール
適しているケース:コールセンター/コンタクトセンターの応対品質向上を目指している

2.レビュー収集ツール
適しているケース:ECサイトやSNS、口コミサイトなどでレビュー投稿が多いケース

3.感情分析に特化したツール
適しているケース:発言に対してポジティブ・ネガティブを判断し、顧客満足度向上やブランドイメージアップを目指したいケース

機密情報と個人情報の適切な取り扱い

VOC分析の際に注意しなければならないのが、個人情報のマスキングです。例えばコールセンターログには氏名や住所、電話番号などの個人情報が話されることも多く、分析の際にはこれらの情報をプライバシー配慮の観点から適切にマスキングしなければなりません。また外部のクラウドツールを利用する場合や、外部委託の場合は特に、機密情報の取り扱いにも注意が必要です。
これらの情報の取り扱いに関するケアがしっかり行われているツールを選びましょう。

AIモデルの精度・メンテナンスの状況

VOC分析に利用するAIモデルの精度やメンテナンスがどのくらいされているのかなどによって結果が変わってきます。VOC分析には業界に即した用語を学習するなどカスタマイズが必要なケースもあります。VOC分析ツールのベンダーに問い合わせ、AIモデルがどのようなものなのかなど明らかにしておきましょう。

データ連携性

VOC分析結果は、単独での活用のみならず、社内の各種データと組み合わせて分析することで、より分析結果の精度が上がり、活用の幅も広がります。
VOC分析ツールを選ぶ際に、社内の顧客データ管理システムやマーケティングツールとデータ連携が容易に行えるかどうかを確認しましょう。

AIモデルはメンテナンスが欠かせないことから、自社が自ら導入してツールを利用するほかに、専門会社の支援を受けながらVOC分析を進めるのもおすすめです。


5. まとめ

VOC分析を実施する際には、膨大なVOCデータを取り扱えるAIの活用をおすすめします。すでに成功事例も多く出ていることから、自社の課題に最適な活用方法を見つけましょう。
しかし成功のポイントでご紹介したように、目的に応じた得意分野のツール選定やセキュリティ、AIモデルの精度など、専門知識が不足する部分もあるかと思います。そのような課題を抱えている場合や、VOC分析をAIツールで精度高く行いたい場合は、ぜひTOPPANにご相談ください。

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2025.09.25