カスタマーエンゲージメントサービス コラム

コンタクトセンターにおける生成AI活用
まとめ|効果的なアイデア・方法を解説

コンタクトセンターは電話やメール、チャットなどを通じてお客さまからの問い合わせやクレーム、ご意見などに対応する重要な顧客接点ですが、さらなる業務効率化や顧客満足度向上のために、生成AIの活用が進んでいます。
今回は、コンタクトセンターにおける生成AI活用の現状と活用方法、アイデアと共に、コンタクトセンターにおける生成AI活用のメリットや課題、解決策としてのポイントをご紹介します。
ぜひお役立てください。


<目次>
1. 生成AIとは?
2. コンタクトセンターにおける生成AI活用の現状について
3. コンタクトセンターにおける生成AI活用方法・アイデア
4. コンタクトセンターにおける生成AI活用のメリット
5. コンタクトセンターの生成AI活用における課題
6. コンタクトセンターで生成AI導入を成功させるポイント
7. まとめ


1. 生成AIとは?

生成AIとは、テキストや画像、動画などのコンテンツを生成する人工知能の一種です。過去にデータから学習した内容を基に、新たにコンテンツを生み出したり、アイデアを提案したりすることができます。

近年、多大な注目を集めた理由は、その文章生成の精度にあります。まるで人間が生み出したかのような自然な文章に対し、これまでのAIに対する認識が改まり、企業は文章生成をはじめ、様々な用途で積極的に導入を進めています。


2. コンタクトセンターにおける生成AI活用の現状について

コンタクトセンターにおいても、生成AIの活用が世界的に進んでいます。

特にコンタクトセンターは近年、重要な顧客接点としてその業務効率化が叫ばれています。また日本では深刻な労働力不足から、コンタクトセンターにおいても人手不足が生じており、より一層、生産性の向上が期待されています。

そのような中、生成AIはこれまでにない革新的な業務改善をコンタクトセンターにもたらしてくれる可能性が期待されています。


3. コンタクトセンターにおける生成AI活用方法・アイデア

コンタクトセンターでは、オペレーター支援、フロント業務、バックオフィスの大きく3分野で生成AIの活用が進んでいます。具体的に見ていきましょう。

オペレーター支援

・対話内容の要約
・FAQ、ナレッジ検索
・教育・トレーニング
・感情解析による顧客対応の向上

オペレーターが顧客との対話を電話やメールで行った後、その内容を要約したり、顧客からのお問い合わせ対応に役立つFAQやナレッジ検索の機能を提供したりするほか、ロールプレイングなどによる教育・トレーニング、顧客の電話音声を感情解析して、顧客対応の向上に活用するといった取り組みも生成AIにて行われています。

フロント業務

・チャットボット、ボイスボットによる自動応答
・多言語対応

直接、顧客対応を行う生成AIもあります。チャットボットや音声によるボイスボットが一次対応や夜間対応を行うほか、外国人の方に対する多言語対応も可能です。

バックオフィス

・FAQ・マニュアル・トークスクリプトなどのコンテンツ作成
・メール文作成
・VOC(Voice of Customer/顧客の声)分析

バックオフィスでは生成AIが得意とするコンテンツや顧客へのメール文の作成などに役立てられます。さらに、顧客から得られた感想や意見、クレームなどのVOCを分析し、課題を抽出してサービス改善に活用する試みも行われています。


4. コンタクトセンターにおける生成AI活用のメリット

コンタクトセンターで生成AIを活用することで、主に次のメリットが期待できます。

オペレーターの業務効率化・生産性向上

FAQ参照やメール文作成など生成AIによるサポートはオペレーターの業務効率化に寄与します。その結果、コンタクトセンター全体の生産性向上につながると考えられます。

オペレーターの育成促進スピード向上・応対品質向上

生成AIがロールプレイングやマニュアル作成をサポートすることにより、オペレーターの早期スキルアップにつながり、応対品質の向上にもつながります。

呼量の削減

生成AIがチャットボットなどでの一次受付を行う、もしくは問い合わせ者に対して自己解決を促すことができれば呼量の削減につながります。

コスト削減

生成AIにマニュアルやトークスクリプトの作成を任せることで、作成工数が減り、管理者コスト削減につながることもあります。その他にも、あらゆる業務効率化が進めば、全体工数における無駄が削られ、コスト削減につながることもあるでしょう。

CX(顧客体験価値)向上

生成AIは、近年求められるCX向上にも寄与します。コンタクトセンターは、商品・サービスの購入前から購入時、購入後と、あらゆる購買プロセスにおける顧客体験に関わります。そのコンタクトセンターの業務が効率化し、生成AIが応対して電話がつながらないストレスを軽減したり、オペレーターが生成AIのおかげで素早く回答できるようになるなど応対品質が向上したりすることも見込めます。

データドリブンなコンタクトセンター運用

生成AIによるVOCの分析結果を応対やトークスクリプトに活かしたり、生成AIが分析した顧客の嗜好やニーズによってパーソナライズされた情報や商品を案内したりするデータドリブンなコンタクトセンター運用が可能になります。


5. コンタクトセンターの生成AI活用における課題

一方で、コンタクトセンターにおいて生成AIを活用する際には、次のような課題が生じることがあります。

最適なツールが分からない

コンタクトセンターでの生成AIの活用用途は多様にあります。そのため何を導入し、どのように活用すればいいか見当がつかないこともあるでしょう。

ハルシネーションリスクがある

生成AIが提供するコンテンツは、必ずしも正確であるとは言い切れません。特にインターネット上の情報を基に学習した生成AIモデルの場合、そもそも学習したデータ元の情報が誤っている可能性があるためです。ハルシネーションリスクを回避するための運用設計も不可欠です。

セキュリティ・情報漏洩のリスク

生成AIのサービスによっては、業務で打ち込んだ文章を学習してしまい、外部のユーザーに対してその内容を含む文章を生成してしまう恐れがあります。その結果、情報漏洩が起こることがあります。

導入コストがかかる

生成AIツールの導入に際しては、コストがかかります。特に自社仕様にしたい場合は、開発費用やカスタマイズ費用がかかり、コストが増加してしまいます。
導入によるコスト削減効果と導入コストを比べて費用対効果を検討することが重要です。


6. コンタクトセンターで生成AI導入を成功させるポイント

コンタクトセンターで生成AI活用を成功させるには、先に挙げた課題を解決するためにも、次のポイントを押さえることが大切です。

目的を明確にする

最適なツール選定や導入コストの課題に対しては、まず自社のコンタクトセンターにおける生成AIの導入目的を明確にすることが重要です。その目的達成のために必要な機能がわかり、最適なツール選定につながります。

必要性のある箇所から段階的に導入する

もう一つの解決策として、コンタクトセンターの現状課題のうち、最も解決を急ぐ箇所から順に生成AIを導入する方法が挙げられます。有効な方法や手順が判明してから他の業務にも転用することで、コストを抑えながら進めることができます。段階的に実施することでオペレーターの負担も最小限に抑えられるでしょう。

継続的、長期的に運用する

コストパフォーマンスを上げるために、継続的、長期的に運用し、改善しながら進めていくことも重要です。導入後に発生する課題を解決しながら、最適なAI活用を目指すことが、効果を最大化するためにも必要不可欠です。

セキュリティの安全なシステム・アウトソーシングを活用する

セキュリティリスクに関しては、あらかじめ徹底した対策がとられているツールを選ぶことが重要です。またコンタクトセンターのアウトソーシングを利用する場合は、セキュリティ体制の万全な業者を選ぶようにしましょう。

有人対応とAI対応を両立させる

ハルシネーションリスクがある生成AIチャットボットへの対応策としては、ハルシネーションを回避する仕組みを持つツールを導入する方法が挙げられます。また疑問点が生じたら、即座に有人対応に切り替えられる仕組みにし、AIと有人のハイブリッド対応を行うことも有効です。
生成AIツールを導入した後も業務改善を進めることが大切です。また、AIで効率化を図りながらも、人によるコミュニケーションが必要な工程は人によってCX向上を図り、業務効率化とCX向上を両立することで、生成AIを有意義に活用できるでしょう。


7. まとめ

すでに多くのコンタクトセンターにおいては、今回ご紹介したような多様な用途で生成AIの導入が進んでいます。十分なメリットを得るためには、課題を解決しながら、自社のコンタクトセンターに最適な形で導入することがポイントです。

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2025.04.23